
「ドドンコ、ドドンコ、鬼が来た!」
椿組
花園神社(東京都)
2017/07/12 (水) ~ 2017/07/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
壮大なる大人向けの「日本昔ばなし」。
外の人間をずっと拒み、隠れ続けた“鬼の里”に思わぬ綻びが生じ、舞い込んできた江戸の華やかさ。お金という魔物。
入り込みやすいストーリーも良いが、何といっても野外劇。お祭り要素と思わず目を見張る仕掛けの数々に否が応でも気分は高揚してきます。
実力派の役者さんが総勢37人と生演奏で賑やかで豪華絢爛な夏の夜でした。

孤独の観察
シアターノーチラス
OFF OFFシアター(東京都)
2017/07/12 (水) ~ 2017/07/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
日常に散らばっていそうなちょっと不安定なコミニュケーションが少しづつ積み重なって、後に大きな恐怖の塊となり崩れ落ちてくる様な人間関係ホラーな作品。
この作品、もし女性仲良しグループでワイワイ観劇しに来た場合、お互い無口になって顔をこわばらせ劇場を後にするケースが続出するのではないだろうか。
女子グループのいびつなパワーバランスと過去の殺人事件の経緯が絡み合って見どころ満載。隅から隅まで楽しめました。
作・演出は男性の方にも関わらず、いろんなタイプの女性の人間性がエグいほど見事に描かれています。
見どころは男性陣も一役買っていますが、男は「女同士の世界」とは決して交わる事は出来ないのだなーと、男と女の壁をしみじみと感じさせました。
贅沢なほどにリアルで臨場感ある空間。
臨場感優先で俯瞰しにくい構造ですが、自分でカット割りする楽しみがあります。
この劇団さんの特徴であり最大の武器なのでしょう。
上演時間は予定よりちょっとだけ増えて、最終的に1時間40分の作品。

先にぃ
劇潜サブマリン
シアター711(東京都)
2017/07/06 (木) ~ 2017/07/11 (火)公演終了
満足度★★★★
フライヤーが暗示するがごとく、ストーリーはしっかりしていながらも、どこか奇妙。
その奇妙さが観終わった後、時間が経つほどにじわじわと沁み込んできます。
あくまでも個人的解釈ですが、本作は都会に強く強く憧れる農家の女の子が見た壮大なる夢の世界だったのではないだろうか。
私がまだ地方で生活し東京に憧れを抱いていた頃、東京のイメージの雛型はTVドラマ「もう誰も愛さない」だった。
若い人はおそらく知らない昔のドラマだが、都会の人工的な輝き、お色気と同時に生き馬の目を抜く壮絶な大人達の打算・裏切り・復讐を描いたサスペンスドラマで、幼い思考回路の私には「東京」はお金を稼げば夢のようなオシャレな生活を送れ、その一方怖い大人がいっぱいで調子にのると直ぐに罠にはめられる油断できない所、そんなイメージが出来上がっていた。
もし私が上京する機会に恵まれず悶々と東京への想いと野心を募らせたまま事故等で深い眠りに落ちてしまったとしたら、
そこで見る夢はまさに本作の世界そのものではないかと思えるのです。
夢先案内人は怪しげな車掌さん。
辿り着いた都会の雑踏、混沌、怖い大人、ブラック企業、さらに一歩踏み込んだ先にはアブノーマルなエロの世界。
それでもその波にガムシャラに乗ろうとする女の子。
成功への階段を必死に登るその先に・・・
野心を持った女の子のイメージで形成された夢の中の世界として解釈すると、本作のあらゆる事に合点がいき、作品を美味しく咀嚼できるのでした。

「クラゲ図鑑」
えにし
「劇」小劇場(東京都)
2017/07/06 (木) ~ 2017/07/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
でましたっ、ダブルコール。
クラゲのエピソードが観終わった後、切なく余韻として漂っています。
描かれるのは息子が振り返る母の半生。そして自分自身のこと。
それは浮いたり沈んだり・・・そんなところもクラゲを彷彿します。
あらすじを読んだ印象としては身勝手な印象しかなかった母親・・・それは他人から見ればそうなのかもしれないが・・・息子の回想の中で生きる母親は、破滅を匂わせながらも、とても魅力的でした。

七、『土蜘蛛 ―八つ足の檻―』
鬼の居ぬ間に
インディペンデントシアターOji(東京都)
2017/07/05 (水) ~ 2017/07/10 (月)公演終了
満足度★★★★★
男の地獄と女の地獄。体は身じろぎも出来ないほどに、二つの地獄から目を離す事ができない。
凄かった・・・としか言葉がでてこない。
劇場の階段を登り、とりあえず現実界に戻れてよかった。

ドキュメンタリー
劇団森
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2017/06/30 (金) ~ 2017/07/03 (月)公演終了
満足度★★★★
大学生だけが住まうルームシェアハウス。
リアルに造られた広めの共有スペースには男子3名、女子2名。
この5名の共同生活がつくり出す空気は既にほぼ出来上がっており、日常のかったるさや各自の距離感もかなりリアル。
もし自分が同年代だったとして、このシェアハウスに入居したいかといえば絶対否!
女子の方にパワーバランスがちょっとなーという感じに偏っているうえ、何よりこの調和の中へ他者は入り難いものがあります。
男子が連れてくる彼女さんですら、ちょっとハブられている感があるし(本人は気付いているのか?)
そこに新しい入居者、大人しそうな女子が1名加わって・・・
タイトルの「ドキュメンタリー」はこのルームシェアをする若者達の生態を描いたドキュメントという事で冒頭に提示されていますが、演出の狙いとして更に挑戦的で挑発的な試みが施されていました。
やっぱりなー、実に早稲田らしい!

モラトリアム
ウゴウズ
要町アトリエ第七秘密基地(東京都)
2017/06/29 (木) ~ 2017/07/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
とある大学の哲学サークルに新入部員が1名入部した事を起点に、部員達の日常が綴られていく面白おかしくも切ない作品でした。
冒頭のシーン、部員達の恋愛論を聞いているだけで、いやまぁ実に面倒臭い人種だなーと逆に感心してしまいましたが、不思議な空気感をもつ新入部員と供に時間を過ごすうちに、独特のサークルカラーに染まっていくから不思議です。
何より計算高く即物的な恋愛観の人より、ゴチャゴチャ考え結局不器用な人の方がずっと親近感をもてるなーと思えるのでした。
全体的にナチュラルな演技が小気味よく、演技に慣れていないと思われる役者さんも独特の“間”と性格付けにより自然に溶け込み“味”となっていました。
新入部員がサークル員として馴染んでいく絶妙なグラデーションで月日の経過を実感させ、最後にはうたかたの青春の儚さが余韻として残ります。
これはもう文系サークルに所属していた方には特にお薦めしたいです。
先日の青春事情「ライブ イン トーキョー」とで青春名作が立て続き、なんかもうどっぷり感傷的になってしまいました。我ながらキモいことになってきた!

ライブ イン トーキョー
青春事情
OFF OFFシアター(東京都)
2017/06/28 (水) ~ 2017/07/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
タイトルを劇団名とそのまま同じ「青春事情」としても全くおかしくないと思えた「ライブ イン トーキョー」
まさに“男の東京ひとり暮らし”が目の前で展開していました。
フリーターゆえの経済的悲壮感は抑え目で、一部の登場人物は若干デフォルメされていましたが、これにより笑えるうえ作品として伝えたい内容がよりクリアに沁み込んできて実にいい塩梅です。
自分自身は既にサラリーマンとしての上京でしたが、その当時のあれやこれやが呼び起こされてジ~ンときます。
余談で申し訳ありませんが、本作品で自身以外にも思い浮かべてしまう事がもうひとつ。
初めての東京ライフ、私の下の階には、劇中の主人公と同じ音楽をやっている早稲田大の学生さんがいて、私は彼を「ミュージシャン」と呼んでいました。
たまにエントランスで会えばニコニコ話しかけてくる人懐っこい性格で、遅起きした日曜の昼には、決して上手いとは思えない弾き語りが下から漏れ聞こえ「あ~ミュージシャン歌ってるな」とわるいけど窓を閉め、自分の好きな音楽をかけ、聞こえない様にしていた事もありました。
ある深夜「ちくしょーっ、なんでだよっ!」という怒号で目が覚め、どうやらミュージシャンに何かとてつもなく悔しい事があったらしく自室でひとり泣きながら大暴れしている様でした。
この世の終わりみたいな荒れように何があったんだろうと思いつつも結局また眠りに落ちてしまいましたが、その数日後に「こんにちは~ッ」と挨拶してくれるミュージシャンはとても元気そうでした。
私の方が先に、そのマンションから引っ越すことになり、挨拶の際にもまだ彼は就職していないようで、ちょっといつもの元気者ではなかった事が気になる最後でした。
大人だけど大人にはなりきれない。でも前に進むしかない人生のひとコマ。
「ライブ イン トーキョー」もそんなほろ苦い味のする作品でした。

アジアン・エイリアン
ワンツーワークス
赤坂RED/THEATER(東京都)
2017/06/22 (木) ~ 2017/07/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
婚約者はいったい何者?
緻密に計算された奇妙なテイストのミステリーが心の闇を炙りだす。
う~ん、炙りだすというよりこぼれ出し、やがて充満し、飲み込まれていく感じ。

Go! Go!! ブレーメン
sailboat企画
北池袋 新生館シアター(東京都)
2017/06/24 (土) ~ 2017/06/25 (日)公演終了
満足度★★★★
会場最寄りの北池袋駅。
降りた途端、まだ明るいというのに聞こえてくるカラオケスナックからの歌声と歓声。
池袋からひと駅だというのに、まるで別世界。
初めての会場というのは往々にして駅に降り立った時から何かが始まっています。
徒歩1分弱にて年季の入ったビル。
1階スリーエフで軒先販売している妙にデカい玉ねぎを尻目に階段で2階へ。
温かい対応の受付けで受け取ったのはチケットではなく閑古鳥欽一さんからの閉館イベントの招待ハガキ。
劇場名は「ブレーメン小劇場」。
なんだかワクワクしてくるじゃありませんか。
登場人物は4人
・ドジっ子おじさんで、お人好しのオーナー「閑古鳥」
・しっかり者そうで肝心な事を結構報告しない女性スタッフ「猫田」
・相方だけが売れっ子、崖っぷち芸人「ロバート高田」
・現在ホームレス状態の元マジシャン「犬飼」
4人が繰り広げるのは“隠し事から発生する勘違い・食い違い”の王道コメディーですが、登場人物が少ない分、その人物像は濃厚に感じられ、とても近しく思えてきます。
劇場が小さい事もありますが、すごく近しい。
彼らが発信する、いろんな気持ちが入ってきます。
当日パンフにある、本作品が再演に至った経緯に目を通しておくと、そこにもまたストーリーがあり、一段と感慨深い思いで作品を楽しむ事ができました。
sailboat企画さんの本業は演劇制作のサポートだそうですが、決してビジネスライクではなく、役者さんを近しく感じられるアットホームな公演を手掛けられているのだろうと推測できる、そんな時間でした。

七芒星
創像工房 in front of.
慶應義塾大学日吉キャンパス塾生会館(神奈川県)
2017/06/21 (水) ~ 2017/06/25 (日)公演終了
満足度★★★★
新人公演で劇団☆新感線の演目をチョイスするところがスゴい。
コンパクトになった感はやむなしとして、派手に動きまくるエネルギーはラストまで余裕の若さ。
逆にノドの方がちょっと心配か。
魔女率いる「伝説の英雄7人」VS金令女率いる「ちと頼りない勇者ゆかりの7人」
脇役にもかかわらず藤本悠太郎 さんの存在感が光っていた。

腰巻おぼろ 妖鯨篇
新宿梁山泊
花園神社(東京都)
2017/06/17 (土) ~ 2017/06/26 (月)公演終了
満足度★★★★★
唐作品に挑む度に、その迫力に圧倒されつつも??で帰ってくるパターンが過去多かったが、数を重ねて理解力がついてきたのか、作品との相性が良かったのか本作品には見事にガツンとやられました。
妖しいエロティックさ、グロテスク、滑稽、残酷、奇天烈、猥雑なキャラクターがビリビリ心をしびれさせ、予想不能の展開が歓喜と驚きでウワッ!となります。
42年前の作品があまりにも新鮮さと毒々しい輝きに溢れ、病みつきになりそうです。
この感動、保存できないだろうか。

ノーマークだった6人
劇団フルタ丸
「劇」小劇場(東京都)
2017/06/15 (木) ~ 2017/06/19 (月)公演終了
満足度★★★★★
私にとって2度目のフルタ丸。もう最高でした。
高飛び専門の旅行代理店。
自分が悪いことをした訳でもないのに、首尾よく日本脱出できるかハラハラワクワク。
スタート時の面白さが時間経過と共にグングン加速し終盤はジェットコースターかっ!
まだ2作品しか拝見していないのに・・・なんですが(なにしろ15周年)、
ご自身「劇団フルタ丸」がどうすれば最大限に輝くことが出来るのか、ガッツリ掌握した最強のステージ(段階)に突入している印象を強く受けました。
本当に最強のメンバーだと思います。素晴らしいです。

るみ子のお酒~こだわり夫婦の一滴/満寿泉〜岩瀬を繋ぐ男
Unit Blueju
西新宿ハーモニックホール(東京都)
2017/06/15 (木) ~ 2017/06/17 (土)公演終了
満足度★★★★
「日本酒ロマンシアター」というネーミングが言い得て妙な豪華2本立て。
どちらの主人公も自分の理想を追い続けた山あり谷ありの人生。
登場する固有名詞が実話としての説得力を持たせテレビのドキュメンタリー等よりずっと身近に物語を感じる事ができました。
「満寿泉」
アーティストの街づくりを保守的な北陸でよくぞ実現出来た!と感慨深いプロセスストーリー。
私自身、町おこし的な富山の団体さんから、もてなして頂いた事がありますが、仕事がらみとはいえ町の方々からは実に人情味ある実直なエネルギーを感じました。
富山県東岩瀬で頑張る方達の人柄、熱量に実際ふれあった作者さんの、その時心打たれたであろう“想い”がほんのり伝わってくる作品でした。
「るみ子の酒」
見よう見まねのスタートから「こだわりの一滴」に辿り着いた多難の人生。
日々の奮闘がミュージカルと融合し独自の世界観を醸し出していました。
密度の濃いふたつの人生。見ごたえがあります。

非常の階段
アマヤドリ
シアター風姿花伝(東京都)
2017/06/08 (木) ~ 2017/06/18 (日)公演終了
満足度★★★★
オレオレ詐欺集団。
利己的な人ばかりで描かれていれば、単純に許せない奴らだなーという目で観られるのですが、人間味ある人物にスポットが当たっている為、何とも複雑な気持ちに。
仲間・お金・自己承認、ようやく見つけた輝ける場所かもしれないが、やっている事は詐欺行為。
いくら目をふさいでも、そこは「幸せ」から遠く離れた場所なのに・・・
彼らが転がり込んだ善良な一家の内情、それらも絡み合っていく事で実に多彩な視点から観ることになります。
頭の中がパンパンになりましたが、とても観やすい構成に仕上がっており、確かにリピート欲が湧いてくる公演でした。

梶山太郎氏の憂鬱と微笑
劇団道学先生
赤坂RED/THEATER(東京都)
2017/06/07 (水) ~ 2017/06/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
さすがの20周年記念公演。
「渾身の大人生劇場」に嘘偽り無しでした。
(記念公演だからか観客に著名人多数で客席も華やか)
こういう人生の機微がてんこ盛りの作品は大大大好きです!
主人公 低迷作家を筆頭にその身内、関係者の生き様がリアルに面白いうえ、もれなく文芸界という業界モノとしても大いに楽しめました。
世知辛い現代社会を生きる中高年の狡猾さが赤裸々にあぶりだされ、あ~人間歳を取ると何かと薄汚れて見えるものだな~と可笑し哀しですが、観終わった後には、よーし自分もガンバローッと不思議に“力”がみなぎってきます。
中高年の方必見ですが、若い人も大人ウオッチングとして、きっと楽しめると思います。

オープンブルー
あうとらいん
多摩美術大学 上野毛キャンパス 演劇スタジオ(東京都)
2017/06/08 (木) ~ 2017/06/10 (土)公演終了
満足度★★★★
舞台と客席の境界線が無いどころか観られている?!
何だかもてあそばれている様な、ちょっと斬新な演出。
登場人物達のいつまで経っても嚙み合わない関係性を見るにつけ、人は共通した目的やそれぞれの役割が無いと円滑な集団生活は営めないものなのかと。
衣食住足りても共鳴できないコミュニケーションがこんなにも苦しい生活空間を生み出すものかと思うとゾッとします。
席上に置かれたナゾの手紙が小粋でした。
ちょっと捨てられないので取っておこうと思うが、家族が知らないで読んだら「なっ何なの、これ・・・」と言われそう。

妖怪パラダイス
ピヨピヨレボリューション
シアター711(東京都)
2017/06/06 (火) ~ 2017/06/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
想定外なほどにアダルトな印象が残った異空間オンステージ。
怪しげな世界観。煌びやかで猥雑な登場人物。
そんな中グイグイくるミュージックナンバーの臨場感たるや、何だかお高めのショータイムがあるホストクラブに身を置いている気分になってくるではありませんか。
(実際ホストクラブに足を踏み入れた事など無いんですけどね)
では男の自分が居心地悪かったかと言えば否。
2名の女優さんが良い感じで紛れ込み、作品全体が実に艶やかに。
ぬらりひょん役のコロさんは華やかさを、macoさんは少年役ながら妙にエロティックな雰囲気を醸し出し全体のバランスが絶妙です。
「ナニカ」になってしまったミュータントの哀しみを含有したストーリーも面白かったし、
歌舞伎町チックに浮世離れした、不思議で楽しい夜でした。
アフターイベントは男女別各4名で対決の「嘘ホントトーク」
4人中3人が即興の作り話で、唯一実話トークの1人を当てるゲーム。
結果、男性チームの勝利でしたが女性チーム(ピヨピョメンバー)のトークスキルの高いこと。

ある愛のかたち
ジ~パンズ
シアター711(東京都)
2017/05/30 (火) ~ 2017/06/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
いろんな形の「愛」が描かれていました。
どれも世間的には嘲笑の的になってしまいそうな「愛」ばかりでしたが、概ね「愛」という事で、ここはどうかひとつ・・・。
そしてそれぞれの「愛」の関係性が繋がっていく面白さがたまりません。
都会に散らばる、ちょっと変わった日常を抜群のセンスで拾い上げたアダルトワールドな作品。
例えはヘタかもしれませんが、ひとつの屍をワサワサと踏みつけ、逞しく生きる虫たちの様な生命の力強さを感じました 皆「愛」を貪りながら。

二十日鼠と人間
GROUP THEATRE
ウッディシアター中目黒(東京都)
2017/05/31 (水) ~ 2017/06/04 (日)公演終了
満足度★★★★
働けど働けど得られるのは僅かな収入。
それすらも日々の鬱憤を晴らすべく酒と賭博と女郎屋で瞬く間に消えてしまうワーキングプアの世界。
フラストレーション渦巻く舞台には事件が勃発しそうな火種が沢山転がっており、常に緊張感が絶える事がなく、2時間40分(休憩有)は瞬く間に過ぎていきました。
ストーリーを知らなかった為、てっきり大金を手に入れるチャンスを得たジョージが、単純に足手まといのレニーを裏切ってしまう話かと思い込んでいましたが、実際にジョージのとった行動はもっと深刻で心揺さぶられるものでした。
人と人とがぶつかり合い転がっていく物語。
主人公ジョージ&レニーに対して反発する者、信頼する者と登場人物たちは作品にどんどん彩りを加えていきますが、最も作品に色濃く影響を与えるのは、頭の弱い大男レニーではないかと思います。
Bチーム レニー役の雷太さんは、かなりルックスが良く泥臭さの面ではマイナスに感じますが、ジョージが相棒としてなかなか見捨てる事ができない魅力を持った人物としての説得力は充分にありました。
Aチームではまた違った印象を残す作品になっているのだろうと思えます。
ひょっとして脚本家 野島伸司氏はこの作品に影響を受けているのでは?と思えるところもあり、何より名作ならではのスケール感溢れる公演でした。