デッド・ビート・ダッド!
演劇企画CRANQ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2017/04/27 (木) ~ 2017/05/01 (月)公演終了
満足度★★★★
お通夜における悲喜こもごもを描いた超名作「エキスポ」と同様の面白さに加えて、遺産相続等の喜劇的エピソードを追加カスタマイズした様な作品でした。
前半はお通夜独特のバタバタした空気感そのままに、第三者として思わずニンマリしてしまう笑い。
後半は色んな事実が投入され、コメディー色の強い笑いへとシフトしていった感じでした。
生きてるものはいないのか
成城大学 演劇部
成城大学 002教室(東京都)
2017/04/26 (水) ~ 2017/04/30 (日)公演終了
満足度★★★★
有名な戯曲。映画化もされているみたいだがやはり舞台で観たかった作品で、それがまさか成城大学で実現するとは思わなかった。
シュールな世界観を若々しく表現。個性豊かで中々やるなーと感心。
あきこのアナの中 〜Again〜
劇団☆錦魚鉢
テアトルBONBON(東京都)
2017/04/26 (水) ~ 2017/04/30 (日)公演終了
満足度★★★★
恋愛体質あきこの破天荒な日々と、それに振り回されるあきこの体内成分たちの2WAYストーリー。
体内成分たちはその種類によって対立があったり、機能ヒエラルキーがあったりで、それはあたかも「あきこ」という惑星に生息する色んな人種の勢力図といった様相。
事前に当日パンフの、あきこの体内地図を見ておくとより楽しめます。
基本コメディーでありながら、作者は脳機能のしくみや体内菌の事をよーく調べて創られたと思われ、あきこの行動 状態との連動には説得力があり、更にはドラマチックでもあります。
バトルアクションもふんだんに取り入れられ内容的に盛り沢山。
あれっ今日「あきこのアナの中」を観てきたんだよね?とまるで違う作品を観て帰って来たんじゃないかと思えたくらい予想外の骨太作品でした。
役者さんフル稼働の1時間45分。
「新宿コネクティブ アナザー1975」
演劇企画ハッピー圏外
TACCS1179(東京都)
2017/04/20 (木) ~ 2017/04/26 (水)公演終了
満足度★★★★
沢山のキャラクターが入り乱れる作風が特徴の劇団さんだと思えるので歌舞伎町が舞台となると、まさにうってつけ。
それにしても人物の雑多さが今回は特にスゴかったのでは。
最近知る事ができた、teamキーチェーンさん、ラビット番長さん等からの客演の方々もホームとは随分かけ離れているのでは?と思えるキャラ設定にあ然。
そこそこ面白いと思いながらも「かっ飛ばし過ぎかなー」イケイケの展開に息切れしそうになってきた頃、ちょっと本筋から脱線したアドリブ風のシーン。
そこを境に、なぜかこの作品の世界観がパコーンと受け入れ態勢全開モードに!スイッチ入りました。
どのキャラクターも突如キラキラ輝いて見えるっ!イケイケ俄然オッケー。
アクが強いなーと見ていた探偵も凄くイイ感じ。
場面転換が小気味良い。
演出家を完全に信じきった演技パワーが、一歩外にいた感情をグイッと中に引き込む瞬間を実感しました。
オルギア視聴覚室vol.2
オルギア視聴覚室
上野恩賜公園・不忍池水上音楽堂(東京都)
2017/04/22 (土) ~ 2017/04/22 (土)公演終了
満足度★★★★
一日限り、やったもん勝ちのイベント、13団体 5時間。
出入り自由、飲食自由(屋台あり)の気楽さとは裏腹にガチ作品が多かった。
特殊な会場ゆえマイクを使用できずに芝居に挑んだ劇団さんは、声が届きにくく勿体ない部分もありますが、全力で演じ切るその勇姿は何とか客席まで届きます。
ラストの三森麻美さんは気迫で広い会場を圧倒。
唯一知っていた劇団「ゴキブリコンビナート」。阿鼻叫喚の悪夢な時間をありがとう。
「レティクル座」は世界一臭い食べ物シュールストレミングを用意したナイス企画。
ひと口その貴重なモノを食べたいチャレンジャーな観客が続々と舞台に。
しかし缶詰の蓋が開くと同時に、大半が撤退(笑)
ガッツリ真剣に観ても、ケバブ片手に気楽に観てもOK。
一日経過した今、夢幻でも見てきた様な感覚・・・それが祭。
忘れな三助
蜂寅企画
ザ・ポケット(東京都)
2017/04/19 (水) ~ 2017/04/23 (日)公演終了
満足度★★★
幕末、江戸の銭湯(湯屋)が舞台という異色の設定。
若手俳優中心の時代劇だが、人情的なものを前面に打ち出している為か観客年齢層が実に幅広いです。
女性陣は全員髪を結っているのに対し、男性陣はヘヤーカットモデルばりの髪型(EXILE系も数名)なのは手抜きではなく明らかに狙いがあるのだろう。
証拠に衣装は細かい所まで行き届いており、いい生地つかってるなーと美意識の高さに感心します。
個人的にストーリーはあまり心に刺さりませんでしたが、色々と見せ場をつくる意気込みは感じられました。
イケメン達がふんどし姿で大暴れするから。というわけではありませんがどちらかと言うと女性の方がハマる感じの舞台だったかなーという印象でした。
いつまでの森
劇団演奏舞台
九段下GEKIBA(東京都)
2017/04/14 (金) ~ 2017/04/16 (日)公演終了
満足度★★★★★
開演前、しっかりした当日パンフに目を通す中、何気なくかかっていたラジオ番組が見事な伏線に…
めちゃくちゃテクニシャンな劇団さんでした。
鳥居のある雄大な森をイメージさせるフライヤーとは裏腹に、舞台は森近くの小洒落たおでん屋台。
その様子はさしずめ「おでん屋の愉快な仲間たち」
奇妙な音響効果を味方に面白おかしいやり取り(伏線含有)から徐々に深刻な問題に突入していく一連の流れは、どこをとっても見ごたえがあり自身のリテラシーがいかほどか問いかけてきます。
以津真天(イツマデ)の伝奇をうまく取り込んでミステリアスな一面もあり、気が付けば雄大で深刻な森のイメージが頭いっぱいに広がっていくのでした。実にテクニシャンです。
螺旋と蜘蛛
神奈川県演劇連盟
KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)
2017/04/13 (木) ~ 2017/04/16 (日)公演終了
満足度★★★★
地獄の者達の精神的いたぶりと、主人公の人生振り返りシーンの数珠つなぎで1時間50分の長編作品に。
芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の主人公を作者の人生に書き換えた作品という事で驚くほどイメージチェンジしていました。
さすがに人を殺めたのは脚色でしょうが、随分と苛酷な環境で生きてこられた方なのだろうと推測。
ただ主人公よりも彼を取り巻く大人達のほうがよっぽど自分勝手な悪人に映って仕方ない。
私が「神」だったら主人公を地獄行きにはしないだろうな。余りにも理不尽すぎる!
観劇に行かれる方は、まだ陽があるうちに会場近くの山下公園に立ち寄るのがお薦めです。
花がいっぱい咲き乱れて、天国みたいだった。
『あぁ、自殺生活。』4月~6月/365
劇団夢現舎
新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)
2016/12/31 (土) ~ 2017/05/29 (月)公演終了
満足度★★★★
初めての無人受付システムにびっくらこき、秘密クラブの様な会場の雰囲気にそのまま飲み込まれた。
自殺願望のサラリーマンと自殺の師匠(?)のやりとりは小さな劇場ならではの生々しさで、これぞ演劇の醍醐味!
時々空気を一変させる通行人が良いアクセントに。
繰り広げられる論議は濃厚で思わぬ流れを生みだしていき非常に刺激的でしたが、私の力量では取りこぼしが結構あった気がしてならない。
なのでまた観に行きたい!
その時にはどのくらい変化を遂げているのかもとても楽しみ。
昇らぬ朝日のあるものを
劇団芸優座
調布市文化会館たづくり・くすのきホール(東京都)
2017/04/08 (土) ~ 2017/04/09 (日)公演終了
満足度★★★★
通常は全国の学校等を対象にした公演で飛び回っている劇団さんが、地元 近郊にアピールすべく企画されたものだけあって、良心的な料金で本格的な舞台を楽しめる公演であった という印象。
ストーリーも政治的な部分をかなり観やすく工夫されていたと思います。
オリンピックに向けてそれぞれに輝いていた3名の若者達。
オリンピックが幻と消えた現実を前に、彼らが選んだ三者三様の生き様(運命といってもいいのかもしれないが)その行く末にしみじみとした思いが残りました。
学生さんを対象に長い歴史を積み上げてこられただけあって、なるほど独特の様式美が感じられ、笑い要素は少なめだったものの自分も学生気分を味わえたぞっという気になったのでした。
トビウオの翼
東京カンカンブラザーズ
ザ・ポケット(東京都)
2017/04/05 (水) ~ 2017/04/09 (日)公演終了
満足度★★★★
思い起こせば中学時代、学園ドラマの世界観に憧れ先生になったと言う担任教師を「熱血ぶっていても何か保身が垣間見えて胡散臭いなー」という目で見ていた私はなんと可愛げのない子供だったことか。
今作の様に一見和やかそうに見えても問題が起きた途端、パッと顔をそらす教師達の姿には思わずため息が出てしまいます。
熱血教師なんてとてもやってられない世界ですね。
それでも当日パンフにある作・演出者の“いじめは無くならないだろうが世界には夢と希望が溢れている”という言葉には、もう激しく共感!
いろんなダークな問題を提示されながらも後味スッキリなのは、その込められたメッセージをしっかり感じ取る事ができたからではないかと。
観る者にとっては教師、生徒、保護者それぞれ思い思いの視点から楽しめる作品になっていますが、私は大好きだった先生(実に淡々とマイペースで実直だった)を久しぶりに思い浮かべながらの観劇でした。
誕生
ラビット番長
演劇制作体V-NETアトリエ“柴崎道場”(東京都)
2017/04/01 (土) ~ 2017/04/02 (日)公演終了
満足度★★★★
結構ラフな感じで、こういうのもイイねと思って観ていたのも最初のうち、アドリブが入りながらも中々に計算された策士な作品。
黒いシミが徐々に広がっていくようなダークな表現が巧いと思いました。
約1時間はあっという間で、これなら2作連続でもペロリといけそう。
レトロな会場は趣があり実験公演的なものにピッタリな感じがしました。
大改訂コメディ版「いつもある場所」
+ new Company
調布市せんがわ劇場(東京都)
2017/03/30 (木) ~ 2017/04/02 (日)公演終了
満足度★★★★
ファミリーホーム「ひまわり荘」での心の絆を軸に「笑い」をこれでもかっ!というほど盛り込んだ王道のホームコメディー。
前半は「ひまわり荘」の子供時代が描かれ、いったんストーリーは完結。
後半は12年後の大人時代となるので、実質2作品の連続公演の様な構成。
子供時代はちっちゃな子供役者さん達が大活躍。
スタート時の少々のスベリも物ともせず笑いで攻めまくり、最後は泣かされてしまうイイ話でした。
後半は子役が大人の役者さんに入れ替わり、怒涛のお笑い攻撃。
すっかり「ひまわり荘」の空気感に馴染んできたのか、めくるめく笑いの洪水が気持ちよかったです。
ボリューム満点でお得感ある公演でした。
家族の神話
劇団 でん組
ザ・ポケット(東京都)
2017/03/28 (火) ~ 2017/04/02 (日)公演終了
満足度★★★★
虐待がテーマだけに重苦しい雰囲気でくるぞ、さあ来いっ。と思っていたら、なんとサスペンス調。
事件の真相解明に夢中になっているうち、徐々に虐待の影が濃厚に迫ってきます。
兄妹役のお二人が、大人になっても心深く残った虐待の傷を、身を削るような熱演で見事に表現しておりグイグイ引き込まれました。
萩咲く頃に
トム・プロジェクト
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2017/03/21 (火) ~ 2017/03/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
親子、兄妹の機微が見事に描写され、これ以上ないと思えたほどの家族ドラマ。
原発問題もテーマとして描かれていますが、圧倒的に心に迫ってくるのは、震災の先にも息づく濃厚な家族の人間模様。
音無さん、大和田さんをはじめとする全ての役者さんの演技に魂が込められており、否が応でも舞台に釘付けになります。
終盤、家族全員が揃った場面からは誰の表情も見逃したくないが為、眼が非常に忙しく嬉しい苦労をしました。
いつまでも拍手を送り続けたいと思った素晴らしい公演でした。
HOTEL ONEIROS
劇団ICHIGEKI☆必殺
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2017/03/16 (木) ~ 2017/03/19 (日)公演終了
満足度★★★★
コンシェルジュ風の受付からのホテルマン風の会場案内、開演前までの雰囲気づくり効果で、気持ちがストーリーの中へと入りやすい。
「このホテルに泊まると夢が現実になる」という奇怪な現象も、オーナーとホテルマンが醸し出す空気で「あぁそういうホテルなんだねッ」と自然に納得できてしまいます。
3組の宿泊客のエピソードが微妙に絡み合い、基本コメディーでありながらブラックな要素があったり、恋愛モノであったり、人間ドラマであったりして、まるでホテルのビュッフェで色んな種類の美味しいもの食べまくった様な満足感。
観劇初心者でも すんなり馴染んで最後まで楽しませる演劇アプローチを熟知している劇団さんだと感じました。
うつろな重力
シアターノーチラス
RAFT(東京都)
2017/03/15 (水) ~ 2017/03/19 (日)公演終了
満足度★★★★★
人の不幸をビビるくらいの至近距離で存分に堪能しました。
小さな劇場なので限られた人数しか体感する事ができない贅沢な空間。
後味が決して良いわけではないが、それを遥かに凌ぐ舞台の面白さに満足感が漲ります。
まとわりつく不遇を振り払う事すら疲れ切った様子の姉。
幸福オーラバリバリで姉を見下した感じが意地悪気な妹。
憎悪と絆と虚栄が複雑にブレンドされた感情関係が絶妙でした。
姉妹を取り巻く人物もそれぞれにスパイシーで、静かにそして確実に壊れていく姉の姿に説得力を持たせます。
気をつけないと誰もが陥ってしまうかもしれない悪意の罠。
「人間関係ホラー」という新たなジャンルを発見した気分です。
快楽の谷
劇団 背傳館
王子小劇場(東京都)
2017/03/08 (水) ~ 2017/03/12 (日)公演終了
満足度★★★★
大学時代なぜかアニメ研の部室に入る機会があり、何とか話を合わせようと当時のある人気アニメを面白いと発言した途端、猛然と抗議され、あちこちで論議が勃発し始めたので、這う這うの体で退出した記憶が蘇りました。
どうやらアニメ界の腐敗に加担した作品を褒めてしまった様です。
「しっ知らんがなっ!」
本作はこの時の、別の空間を生きているようにも感じてしまった人達を彷彿させ、興味深かったです。
エロゲー制作事務所の、とある時間をそのまま切り取った形での進行で、説明的な台詞は特にない為、何とかその日常風景から内情を探り出そうと集中力が高まります。
エロゲ―新作がヒットしたのに、誰もさほど盛り上がることもなく、事件が起こっても不思議な収拾力をみせますが・・・
共感性ゼロ、心情不明・・・識別不可能ッ レーダーマ~ン♪(古く且つマニアックですいませんがピッタリきた曲)
只々リアルなひとつの世界を目の当たりにした残像が後に漂います。
1名だけでも普通?な登場人物を投入してもらえれば良きナビゲーターになってよかったかも。
肝っ玉おっ母とその子供たち
東京演劇集団風
レパートリーシアターKAZE(東京都)
2017/03/10 (金) ~ 2017/03/12 (日)公演終了
満足度★★★★
年月をかけ良く手入れのされた、いぶし銀のような作品でした。
予測不能のリスクを意識しながらも戦争の機に乗じて商いに奮闘する肝っ玉おっ母。
戦争を恐れ憎んでいるのか、それとも商売上歓迎しているのか、矛盾した人間臭さとパワフルさにはぐうの音も出ないが、どうにもその生き方は観ていて危なっかしい。
案の定、子供が次々と死んでいくじゃないか!
家無しの母1人子3人にとって、その当時どういう生き方が正しかったのか皆目見当もつかないが・・・。
母親の一面を見せながらも、したたかに生きていこうとする中年女の幌車を引く姿が目に焼き付いて離れない。
そして怒り、悲しみを焼き尽くしたような目力も。
第19回公演『隣人』
劇団天然ポリエステル
OFF OFFシアター(東京都)
2017/03/08 (水) ~ 2017/03/12 (日)公演終了
満足度★★★★
シリーズ第5回公演からの途中参加ながら「寂し部」のキャラクターはしっかり脳にインプットされていました。
「寂し部」のお馴染みの面々&公演ごとの客演、のスタイルは抜群の安定感。
さらに「寂し部」に新スタッフ陣も加わったようで今後も楽しみです。
第4回公演をDVDでゲットしたので、シリーズの半分はコンプリートできてヨカッタ。
このシリーズ第4回公演「稀人」は今月12日(あと3日!)までノーカット版でYouTube動画にて配信されているそうです。