
人生の扉
サンハロンシアター
Geki地下Liberty(東京都)
2019/11/13 (水) ~ 2019/11/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
還暦を迎え、かつて竹内まりやの熱狂的ファンだった男達の人生。
ほろ苦く、優しさだったり、哀しみだったり、歓びだったり、何とも言えない複雑な後味がいっぱいに広がって、もう感無量です!
人に歴史あり。
当然ながら、どこにでも居るようなおじさん達にも歴史あり。
かつて竹内まりやの事ばっかり考えていたであろう若き日々から現在に至るまで、舞台には直接描かれていない人生の道のりまでもが想像にて肉付けできるような奥行を感じる作品でした。
彼等以外にも、訳ありの女性、道半ばの男女等々群像劇と言っても良いくらいに個々の人生が絡んだり離れたり・・・
性格があまりよろしいとは言い難い人達もググッと作品に深みを与えてくれ、観終わった今も後味を咀嚼するほどに旨味が滲み出してきます。
そして自分にも自分なりの歴史あり。
浸りたくて「不思議なピーチパイ」「二人のバカンス」「人生の扉」を聴きながら感想の書込み・・・う~ん沁みてきます。

クジラが捨てた島
元素G
調布市せんがわ劇場(東京都)
2019/11/07 (木) ~ 2019/11/10 (日)公演終了
満足度★★★★
物語の世界からあぶれた者達が共存し合う孤島。
その島に漂流した自分自身の記憶が全く無い少女。
無用の登場人物として三下り半を突き付けられた物語だと言えば何だか湿っぽいイメージすら浮かんでこようものの、イヤイヤ若いパワーが舞台いっぱいに拡がって演技・歌・ダンスどれをとってもなかなかのシッカリ者。
個々の自己紹介が丁寧に演出され、ストーリーの輪郭もクッキリ。
冒頭はキャラクターで惹きつけ、中盤で少女が一体何者であるか皆でイメージの一連のダンスシーン(ここが一番好き)そして終盤に向けての大団円(?)
最初から最後まで起伏ある展開にて演劇初心者も全くの心配無用!と思える公演でした。
もちろん明るく楽しい一辺倒ではなくダークな部分も描かれているのですが、欲を言えば劇中にも登場の『ヘンゼルとグレーテル』や『ハーメルンの笛吹き男』等々、案外こういった物語には底知れぬ心の闇も同時に描かれているので、本作にも同等な闇が存在していても良かったのかなぁと。

SAKURA
劇団Turbo
駅前劇場(東京都)
2019/11/07 (木) ~ 2019/11/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
事前情報は「SAKURA」というタイトルとフライヤーに写る桜の花びらが積もったキーボードのみ。
たったそれだけの情報で、どうしてこんなにも素晴らしき有象無象と“愛”に巡り合える公演だと想像できるでしょうか!
ストーリーは確かにサクラ尽くし、
物語で主要な少女の名も「さくら」だし。
彼女のお祖父ちゃん二人の対比がめちゃ面白い。
メインの優しいお祖父ちゃん(もう一方のお祖父ちゃんもホント優しいけど…笑)から滲み出る凄味は特筆もの。
そしてもうひとつの重要な「サクラ」・・・アバンギャルドでカオスな面々、人物が色とりどりにて壮観、これはヤバい 面白過ぎでしょう。
現実もそうだったら と考えると逆にちょっとしたホラー、いや現実でも案外これに近い光景かもです。
ふんだんに且つテンポ良く活用される昭和メロディーの数々は中高年にはたまらない笑いの飛び道具でしたが、曲を全く知らない若い方々でも歌詞に耳をすませばきっと楽しめるはず。
何より、細かいリアリティーなんてものは凌駕してしまうほどのユーモアセンスと引き込みテクニックには劇団さんの貫禄を感じました。
愉快に、そして懸命に生きている人達を観ていると気持ちが段々温まってきて、何やらジッと観ているだけなのが勿体無い気持ちになってくるから困ったものです。
一緒に踊るのはスペース的に難しいとしても、え~い皆で立ち上がってノリノリ手拍子できるシーンがあったら良いな~ なんて思えた(登場人物達とより濃厚に時間と空間を共有したいと思えた)楽しくも哀しい公演でした。

街の下で
今泉力哉と玉田企画
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/10/24 (木) ~ 2019/11/04 (月)公演終了
満足度★★★★
作・演出家が2名。
異なる2つの感性から成る演劇的化学反応系作品。
前半の男女間をはじめとする人間関係の機微の描き方は結構好きな作風。
それが一旦リセットされて別の作品に変身してしまったかの様。
変身とはいってもやっぱりひとつの作品、その駆け引きめいたせめぎ合いがとても新鮮でした。
前半でせっかく積み上げてきた繊細な空気感が崩れていく感じは快感にも似て、コインの裏表みたいな面白さだったけれども、ヤンチャが過ぎていたかカタルシスまでには至らなかった部分にはちょっと惜しかった感あり。
何よりこの斬新な演出に上手く乗っかれる役者さん達の演技力あってこその完成度。
その役者さんも何名か出演にて来年映画化、公開されるそう。
主演は演技の振り幅も大きい若葉竜也さん、う~ん何だか面白くなりそう。

死に顔ピース
ワンツーワークス
ザ・ポケット(東京都)
2019/10/24 (木) ~ 2019/11/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
ワンツーワークスさんの事を知る以前の過去公演の中で、最も観たかった作品。
観る事ができて本当に良かったと!心から思える公演でした。
「将来癌になるのでは」という思いは自分にもあって、保険もしっかり癌になる前提な入り方をしているくらい。
自分自身だけでなく家族も含めれば「癌」と全く無縁のまま生涯を終える。なんていうのは、現代の死亡原因の割合から考えてもかなり難しく、それだけに非常に関心の高いテーマでした。
最期の場所は自宅を望む「在宅治療」講演やセミナーとは全く違ったアプローチでもっての説得力と迫力。
演劇テクニックの宝石箱か!というくらい上質な魅せる工夫が駆使されているのがビシバシ伝わってきますが、難しい事抜きに引き込まれてしまうのは、その全てが登場人物の心情表現に繋がっていたから。
「家族に負担をかけるのでは」という理由もあって、自分の中で在宅治療という考え方は無かったし、観た後もそれ自体には変わりないのだけれども、いろいろ問いかけられたり参考になったり、何より実在の医師と家族で紡がれた物語として心揺さぶられ、とても実の多い観劇になりました。
演出・演技力をはじめとした公演に関わる全てのクオリティーの高さはもう言わずもがな です。

浅草福の屋大衆劇場と奇妙な住人達1982 改訂版
東京アンテナコンテナ
六行会ホール(東京都)
2019/10/23 (水) ~ 2019/10/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
始まると同時に顔がほころんでしまう即効性と安定感抜群のジャパニーズ喜劇!
この土着的ともいえる面白さって、日本人に生まれてホント良かった。
劇中劇のアクション付き大衆演劇もしっかり楽しめました。
とにかく役者さん全員が息ピッタリなのには感心しましたが、全方位から放たれるボケに絶妙なツッコミで返しまくる下平ヒロシさんの職人技。
流行の霜降り明星さんのツッコミも面白いですが、熟成スパイシーな下平さんのツッコミがもう逐一面白く、とりわけイジリー&下平さんのコンビネーションは鉄板にて最強。
スペシャルゲスト神谷明さんのサービスもラッキーな感じで、プラスワンのお得感頂きました。
タイトルにある「奇妙な住民達」とはそういう事だったのですね。
そのヒントがホラーコメディーってわけか・・・ナルホド、全然怖くなかったけど超可笑しかったです。

ノート
ティーファクトリー
吉祥寺シアター(東京都)
2019/10/24 (木) ~ 2019/11/04 (月)公演終了
満足度★★★★
弁護士一家殺人事件や地下鉄サリン事件等、あの歴史的にも最悪の大事件。
主人公は、このどちらにも直接関わった犯罪者であり死刑囚。
この主人公を如何にも悪人顔の方ではなく、むしろ優し気で繊細な印象を受ける役者さんが演じており(おそらく実在の人物を特定していないのでしょう)これは既存の先入観や作品全体のイメージに独特の影響を与えていたと思います。
その当時の記憶を辿る精神的なところがメインに描かれ、何故に彼等はこんなにも凶暴で大それた行動をとってしまったのか、決して一般人とかけ離れた境遇でも性格でもないのに。
心の中にぽっかり空いた穴をとんでもない「教え」で占領されてしまった人のコトバが折り重なり、当時読んだ記事やテレビの映像をだぶらせながら見入っていました。
どこかアノ教団とはまた違った世界のような雰囲気も感じます。
照明もセットのひとつであるかのよう、舞台の表情を様々に変化させていました。

おしゃれ紳士×神保町花月 presents「オシャレ紳士のオクトーバーフェスト」
神保町花月
神保町花月(東京都)
2019/10/16 (水) ~ 2019/10/25 (金)公演終了
満足度★★★★
何だろう、パフォーマンスショーとはいえ、この敷居が低く楽しめる感じは。
会社内の合同大忘年会で有志の集まりが、この日の為に練りに練った出し物を楽しむ感じに似ているのか。
とはいえ当然ながら90分強の時間、暗転無しノンストップのオムニバスパフォーマンスは、とても素人にマネできるクオリティーには納まっておりませんでした。
上半身裸にネクタイの正装は前説時にはヘンテコに見えるのだけれど、開演したとたん妙にカッコよく見えるし、何ならちょっとお洒落(アッ!おしゃれ紳士)
観進めていくうちに・・・激しく躍動する身体に飛び散る汗・・・何だか女性専用のキャバレーに潜伏している様な妙な気分。
男性客も普通に楽しめるけど、やっぱりコレ、女性客が大興奮。
本来女性しか立ち入れない様な空間に立ち入れているような背徳感がくすぐったく、なんだかんだ女性客の方々の興奮した空気に便乗して楽しんでいました(笑)
特に良かったのは元格闘家・須藤元気さん率いる「WORLD ORDER」を彷彿させるパフォーマンスと激しめのダンスナンバー(この激しめの割合が非常に高い!)
物凄い運動量で皆さんやり切った感。
お酒を飲みに行けないけど、非日常空間に身を置いて刺激を…と思っている女性の方にお薦め。
だぶん想像以上。

Photograph2019
劇団カンタービレ
ウッディシアター中目黒(東京都)
2019/10/17 (木) ~ 2019/10/21 (月)公演終了
満足度★★★★★
確実にカンタービレさんがひとつ高いステージに到達したという手応えを感じる公演でした。
実は今回、カンタービレさんが得意とする「コメディー」の看板を降ろしている様子だったので不安な部分がありました。
それは、劇団さんによっては、あえて自分の得意な部分を封印して純粋なストレート芝居にした結果、何の個性も無くなり記憶にも残らない寂しい観劇になってしまう可能性があると思ったから。
そうしての観劇・・・役者さんの身体を借りた登場人物達がステージ上で活き活きと泣き笑う姿に、もう釘付けの舞台だったので本当に良かった!
お馴染み、舞台セット早変わりの術もドラマの進行をしっかりサポート。
役者さんの演技力が突然上がったというより、各々の役柄に心からなり切った演技が自然と観る者の心に沁み込んでくる感じ。
辛い物語でありながら、根っこの明るさに救われる事しばしばで、嬉しい事があっては涙腺が緩み、悪い事が起こってはまた涙腺が緩む。
もうやたらポロポロ涙が出てくるのは生舞台のみが伝達可能な「生きた記録」だったからだと思います。

小刻みに 戸惑う 神様
劇団ジャブジャブサーキット
こまばアゴラ劇場(東京都)
2019/10/17 (木) ~ 2019/10/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
お葬式モノだというのに何でしょうこの清々しさ!
本来ストレートプレイのお葬式作品は故人をイメージしながらになるのでしょうが、本作では仲間をお供に本人が幽霊として出て来ちゃうのですね(笑)
早々にそれが解るようになっていて混乱もなく良かったです。
お葬式の準備には色んな事が起こり得るものだなぁと何かと勉強になったのも良かった。
大きな事件が起こらなくとも、上の階での大きなお葬式や、フリーの葬式ディレクター登場、お家の事情なども加わって感慨深い思いがどんどん積み重なっていき、やがては冒頭の感想へと繋がっていくのでした。

『パンパンじゃもの、花じゃもの』
劇団天然ポリエステル
小劇場B1(東京都)
2019/10/17 (木) ~ 2019/10/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
肌編を観劇。
由緒ある家系の重荷に耐えかねた猛太郎、死をも覚悟の果てに辿り着いたのは闇市パンパンワールド。
現代ならニューハーフの売春グループと言えばいいのでしょうか、彼女?達がズラリと揃うと凄味があります。
猛太郎の目線と一緒に拡がっていくパンパンワールド。
同じ闇市の住人からは馬鹿にされつつも呼称には拘りもあり、なかなか高いプライドをお持ちのようですが、夜の暗闇に乗じてわざと顔を隠しちゃって、女性と勘違いさせる客引方法は如何なものか(笑)
とはいえ保守とセクシャリティーの重圧から逃げてきた猛太郎にとって、規格外で気のいい彼女達に居心地の良さを感じていく様子はとても自然のように思え。
心無い迫害を毒づいてやり返す逞しさは面白可笑しくも、やがてそれぞれが迎える悲喜こもごも。
主人公・猛太郎の成長と共に様々な人生(キャラクターが実に豊富)が交錯して、とても見応えある作品でした。
人間そのものが持つ妬み・嫉みの他、女装娼婦ゆえの苦悩が加味された肌編。
もうひとつのバージョン、王道?女性パンパンワールドの髪編はどんな作品になっているのか非常に気になるところですが予定が立たない(泣)
今後の「観てきた」も楽しみにDVD化を期待する事にします。

バンク・バン・レッスン
“STRAYDOG”
ワーサルシアター(東京都)
2019/10/16 (水) ~ 2019/10/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
Bチームを観劇。
全員主役か!?ってくらい総勢8人の役者さんが弾けまくっていました。
若い役者さん達は男女問わずの美形揃い。
これはもうSTRAYDOGさんの様式美というか、いわゆるボケるのも美形なら突っ込むのも美形(笑)そりゃあもう潔いくらいの弾けっぷり。
見る見るうちに加速していく銀行強盗シミュレーションと間に挟まれるAKBナンバーに大興奮。
思わず「今の熱演お見事っ!」と拍手したくなる見せ場も有ったり、バカバカしさもここまで突き抜けてくれると、もはやアイドルものを超えた完全なるプロ仕様。
観終わった今は、もうメロメロになってしまった腑抜け感と、沢山エネルギーを貰った充足感でいっぱいです。

Blank Blank Brain
劇団芝居屋かいとうらんま
OFF OFFシアター(東京都)
2019/10/12 (土) ~ 2019/10/14 (月)公演終了
満足度★★★★
人気作家の脳内。
ひとつの脳内に3つもある書きかけの作品と、それぞれに女性担当編集者が付いているのがミソだったかと。
冒頭ではこんなに遠慮なく女性3人に脳内をあれやこれや観察されるのは裸を見られる以上の辱しめではないかと思いつつも、仕事にストイックな作家さんで良かった(笑)
とは言っても人の脳内がそうはっきり理路整然としているわけもなく、その混沌さで最初のうちはSFコメディーな感じで笑わせていたのに、想定外のキャラ登場、段々と予想外の流れへと変わっていくので、結果とても一括りにはできないと思えたジャンルレスな作品。
人の生み出す芸術がAIには決してとって代われない、人間だけが持つ「観念」それとも「意志」と言えば良いのでしょうか、その力強さと複雑さ、そしてちょっと感じる空恐ろしさ・・・何とも不思議な後味を残す作品でした。

私家版 孤島の鬼
K'srutan produce
新中野ワニズホール ( Waniz Hall )(東京都)
2019/10/09 (水) ~ 2019/10/13 (日)公演終了
満足度★★★★★
美と醜悪がとぐろを巻いた様に絡みあった物語。
そのビジュアルイメージが損なわれる事ない役者陣「よくまあ揃ったなぁ」と。
見た目だけでなく、レトロで美しい日本語が心地良く、何ともミステリアスな雰囲気。
個人的にはこの原作、何十年も前に一度読んだっきり、それでも未だ強烈に覚えている事で、面白い内容だという事は観劇前から織り込み済み。
同時に、とは言っても舞台化って…そうおいそれと実現できない作品であろう思いもありぃの。
なので今回そこも含めてどんな公演になるのか楽しみな観劇でしたが、まずは見事なほど真正面から原作と向き合ったスタイルだったのに加え、80分という時間内で収め切った独自の構成力が素晴らしかった!
「そうそう、そうだった!」と記憶をなぞらえる楽しみと、新しい物語に出会えた様な新鮮な楽しみが同時に味わえました。
怪しげな「灯り」と表現してもしっくりする照明も効果的、演技力との合わせ技で舞台の場を自在に変換。
小説に生身の役者さん達が息を吹き込んだ舞台版は、小さな劇場の密室感をも味方につけ濃厚な空気を創り出し迫力満点でした。
大胆な発想の怪奇エンターテイメントな中、おぞましく(その時代での感覚では)も哀しく残酷な恋の顛末を改めて認識させてもらった類い稀なる人間ドラマ。
台風の影響を受け幾つかの回が中止になってしまうのは非常に残念ですが、13日には振替公演が設けられるそう。

『GUNMAN JILL 』&『GUNMAN JILL 2』
チームまん○(まんまる)
萬劇場(東京都)
2019/10/03 (木) ~ 2019/10/20 (日)公演終了
満足度★★★★
西部劇といえば、やっぱり大衆酒場。
広々と酒場ド~ン!なセットは如何にも面白い事が起きそうな予感でプンプン。
セットのみならず衣装や小道具に至るまで美術の全てがスタイリッシュで本格的。
こんなカッコいいのに、こんな可愛いのに、こんなにアクションなのに、こんなにシリアスなのに・・・どれもこれもシモ絡みか(笑)このギャップとスピード感が笑いを生み出していくのですね。
これってもはやガンマン対決なのか変態対決なのか。
とは言ってもイケてる感は損なわれず下品さもさほど、これなら地上波で放映してもTOKYO MXあたりならOKっぽい(参考基準は岩井志麻子と中瀬ゆかり)うん全然OK。
何より楽しいのがイイ。

ぽつねんと・イン・ザ・1K
劇団テアトルジュンヌ
立教大学 池袋キャンパス・ウィリアムズホール(東京都)
2019/10/04 (金) ~ 2019/10/06 (日)公演終了
ワンルームの汚部屋に引きこもっているのは26歳ニート女性。
「全部、全部やかましいわ」
キャッチフレーズと共に威勢は良いのだけれど、内面はデリケート。
こんなに自己肯定力、低くて大丈夫なのか。
大きなお世話だけれど何とも勿体ない。
日常のワンルーム風景、出入りする男友達や奇妙な闖入者達が彼女の意固地に一石を投じていく。
こんな感じの引きこもりが本当に増えていくのなら、もはや在宅であっても社会貢献が可能な仕組みがどんどん必要になってくるのでは。
他人が出来る事には限度があるのだし・・・そんな心配を残しての観劇でした。

こどものおばさん
ふくふくや
駅前劇場(東京都)
2019/09/26 (木) ~ 2019/10/06 (日)公演終了
満足度★★★★★
熊谷真実さんがふくふくやに登場。
絶対相性がいいな、と思って観に行きましたが、おぉっやっぱり!でした。
というか前作の流れを汲んだ「真実なんてクソくらえ!」シリーズ(?)、この主演を務めるにはそれ相応の曝け出す覚悟が必要。
それに応えるべく熊谷さんの弾けっぷりがあまりに見事で、あんぐりする事しばしば、こんなにも近くに感じる公演は貴重なのではないかと。
(ちなみに前作を観ていなくても何ら支障の無い人間関係の流れ、更に当日パンフには相関図も掲載されていて、そこのところは至れり尽くせり)
相性の良い客演を得て、いつものふくふくやメンバーや演出も冴えまくりで、まさに相乗効果だったと思います。
海千山千、風俗の世界。
可笑し哀しき食えない男と女の化かし合い。
そんな中、山野海さんと熊谷さんの女の生き様の対比が実に鮮やかでした。

平和三部作 一挙上演!!
トム・プロジェクト
本多劇場(東京都)
2019/09/26 (木) ~ 2019/10/03 (木)公演終了
満足度★★★★★
時代に翻弄されながらも我が道を行き必死に生き抜いてきた熱い男達。
その熱さゆえに滲み出てくる可笑し味と哀愁・・・それらはまさに時代を駆け抜け、代々続いていく男の生き様の集大成。
大きな舞台空間を欲しいがまま、風間杜夫さんの数多い引き出しの中を心ゆくまでたっぷり堪能できる公演でした。
一流の役者さんが織りなす渾身の一人舞台ではあるけれど、気取らず、飾らず、大いに親しみが持てる演出と、演じ分けも見事な自然体でダイナミックな演技は、もう3時間とは言わずどれだけでも観ていたかったくらいです。

僕はキヨシ。名前だけはある。
演劇ユニットちょもらんま
北池袋 新生館シアター(東京都)
2019/09/26 (木) ~ 2019/09/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
おちゃらけ顔のフライヤーイメージから、てっきりコメディー作品かと思いきや、なかなかに骨太の人間ドラマ…笑うどころじゃなかったけれど、これは嬉しい裏切り。
「戸籍が無い!」どうやら漫画的設定というわけでなく、ナルホドこういったケースは確かに報道で聞いた事があります。
主人公が自分の戸籍をどうしても欲しくなっている冒頭に至るまでのあらましは当日パンフで説明されているも、現に目の前にいる彼の物腰から、これまでどういう思いで生きてきたのかじんわりと滲み出し、その長い道のりが窺い知れるものだから、どうにも歯がゆかったり、哀しかったり・・・彼のとる言動に思い感じるところはとても多かった。
確かに「私には戸籍が無いので、どうか作ってください」の申し出に役所がホイホイ応じてしまったならトラブル続出は必至なので、法的なハードルは設けるべき。
疑い深い法律の目線は冷たい様でいて、実に的確だったと思えました。
ただ主人公の場合、諸々の理由にてハードルが必要以上に高くなっているので、とても厄介。
そこにきて、あの戸籍担当職員か(笑)
主人公を取り巻く人間関係が生み出す感情のうねりに、こちらも奔放されっぱなし。
そもそもどうしてこんな面倒な人生を強いられてしまうのか、何だか妙にこみ上げてくる怒りの矛先に思いを巡らせ「これは結末次第で作品の明暗が分かれるぞっ」と息巻いて見入っていましたが、結果は★の数にて…お察しください、とても良かったです。

gift魂
MousePiece-ree
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2019/09/26 (木) ~ 2019/09/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
さすが大阪からやって来た本場の関西コメディー!
自前の世界観がしっかりで吉本新喜劇にも全然負けてない勢い。
ここまでコテコテネイティブ大阪ワールドを味わえるのは本来ご当地まで行かなければ…を考えれば「本当に来てくれてありがとう!」と申し上げたい。
何が凄いかって、大阪のおっちゃん・おばちゃんのネガティブをも笑いに転換していく口汚い(笑)パワフルさと、それに負けてない若者達も混ざってのキャラのぶつかり合い。
何でもかんでもぶつかって笑いを生み出すその魂が心地良く
「ストーリー的に うん、この流れ、やらかしてくれるシーンきっと来るぞっ」といったところもズバリ期待通りでホント気持ちいい。
もちろん根底に流れる人情味もしっかりと。
今回の主人公夫婦の奥さんが関西人ではない特別?仕様なのも結果的に面白いことに。