コナンの観てきた!クチコミ一覧

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エゴ・サーチ

エゴ・サーチ

プラグマックス&エンタテインメント / サンライズプロモーション東京

紀伊國屋ホール(東京都)

2022/04/10 (日) ~ 2022/04/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

主演の今江さん(関西ジャニーズjr.)と明記されていなければ完全に役者さんとして認識していたはず。
彼のみならず、舞台上に登場する役者さん全員の個性が活き活きと輝いた”キラキラ公演”
逆にその全ての輝きがなければ成り立たない公演でもある。

自分と同じ氏名・プロフィールのSNS。
“なりすまし”というのはあるらしいけれど、そこまで有名人でもないのに何故に?一体どこの誰が?
?に惹きつけられながらアナザーストーリーの行方も興味深く、謎と笑いに満ち満ちて宝箱のような時間が過ぎていく
全ての流れが主人公に結びついた時…まさにスパーク!!鳥肌ものでした。
謎を解くだけじゃなく、笑わせるだけじゃなく、(ネタバレ自粛)残る余韻と会場との一体感、何より役者さん達のキラキラ感(時にはギラギラ感)
久しぶりの鴻上ワールドでしたが、やっぱり素晴らしかった。

大迷惑

大迷惑

SUGARBOY

あうるすぽっと(東京都)

2022/04/14 (木) ~ 2022/04/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

若くて綺麗な役者さんや味のある役者さん達が入り混じって、ほんわかムードなコメディーがベースの中、悲哀や裏切り、ちょっとホラーな要素も加わって珍妙な味わい。
幾つものエピソードが重なっていくうちクセになってくる、そんな珍妙さがたまらなく良い。

小学生の時に誘拐され、ご近所の山の中、野生児として成長した二人。
22年ぶりに開放され、それぞれの家族のもとに戻るのだけれど、トイレという概念が無いばかりか、縄張りを主張するためウン〇を身体に擦り付けるという習性あり(笑)どうにも前途多難。
この誘拐に加担し、22年間二人を世話してきたのがネコ兄というか猫仕様のオジサン。
この役を主催の川尻恵太氏(作・演出も)が演じられ、ちょくちょく出没、笑いもバンバン生み出していくのだけれど、よ~く見てみるとちょっと不気味。
例えるならスティーブン・キングのホラー映画『IT』に出てくるピエロの様。
コメディーなのに、何だかゾワゾワ、当惑する二つの家族がどう転がっていくのか固唾を飲んでしまうのでした。

#15『朱の人』

#15『朱の人』

キ上の空論

本多劇場(東京都)

2022/04/13 (水) ~ 2022/04/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鳴りやまない拍手。
自分も拍手する力をどうにも弱めたくない。
見入ってのめり込むほどに辛い気持ちが伴ってきて、遂には持て余すくらいになって「うわ~っ」と爆発したような感情になっているものだから尚更。

女の尻を追いかけての演劇部
そんな兄の姿を弟が解説して生まれるリズムは兄への憧れに微妙な毒が含まれて絶妙。
この感じ面白い!と思っているうち、兄は上京、一旦弟とは離れて作品はまた新たなリズムを…そこは演劇界のリアル…これもまた面白い…いや、オモシロ痛い(!?)

兄の演劇人生を中心に様々な人の時間が流れていくのですね
それぞれ生き方こそ違えど「そう、あの時は…」と自分自身の時間とも重ね合わせて共鳴できる感情があって心が震える。
そして何より、これほどまでに演劇人を魅了する「演劇」って一体。
壊れていく「兄」と、滅んだ「僕」と。あと兄に関わった、兄を愛したり、憎んだりした「周りの人達」・・・そしてそれを観ている自分(観客)
辛いのであれば目を逸らせばいいものを、片時も目を離せない
これほどまでに観客を魅了する「演劇」って一体。

そのあとの教員室

そのあとの教員室

enji

吉祥寺シアター(東京都)

2022/04/08 (金) ~ 2022/04/12 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

敗戦後、アメリカの指揮のもと戦争に積極的だった教師をクビにするという教職員適格審査があったという日本の歴史…全く知らなかった。
そういう意味でも大変勉強になったのだけれど、こんなにも「学校教育」について一緒になって考えさせられた作品は初めてかも、凄い!
「お国のため」「戦争に勝つため」という絶対的価値観の崩壊。
本作の様子を観ていると当時の教師のほとんどが面目丸つぶれ状態だったのではないかと。

劇団enjiさんは教育現場やその歴史に関して特別に造詣が深いのでしょうか、ものすごい説得力でもって当時の教師の姿を、やがては教師という皮をはがして個々人としての姿を
学校公演もされている事から学校寄りの視点かと思いきや、教育者らしからぬ狡猾さや弱い一面もバンバン見せまくって、描かれるのはとても人間臭いドラマなのでした。

ネタバレBOX

年季が入った様子の机や本棚、調度品の数々、当時の職員室はこんな感じだったのかと、思わず金具の細かい所まで見入ってしまいます。

自殺の本当の原因は何だったのか
教師達が紐解いていく流れがどこかミステリーめいて、観ているこちらも本当に知りたいっ!となるのですが、まさかのあなたが関与…そうだったのですね…ガ~ン

最後は戦争の罪深さ、しみじみ登場人物達と

ちろうに検診

ちろうに検診

Peachboys

サンモールスタジオ(東京都)

2022/03/30 (水) ~ 2022/04/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

童貞のカオスじゃ、これはカオス祭りじゃ~(笑)
今まで抑えるようにしてきたけれど今日はPeachboysこれはもう仕方ない、思いっきり笑うしかない!
と劇場に行って、も~期待通り、思う存分笑えるという幸せ。(いや、コロナが無かったら全然もっといけたなぁ。飛沫の心配が無くなる日が待ち遠しい)
地上波じゃコンプライアンス的に色々と難しいギャグもここでは華麗にOK(笑)
いいではないか笑いは世界を救う。
この下ネタとセットになった面白さは世間でちょっとした評判になっても
ぜひ評判になって、演劇をあまり観たことが無い人にもこの未知なる悶絶笑いワールドがあるって事を知って欲しい。
そうすれば同時に演劇人の半端ない熱量も感じ取ってもらえるし。

仲良し童貞3人組が巻き起こす、というか巻き込まれる、このPeachboysスタイル。
初見のファーストインパクトも良かったけれど、回数を重ねた面白味も中々イイ。
そして今回は本編の後にレビューショーまで
ってレビューショー、10分しか無いんか~い(笑)
そうして冒頭の感想へと戻るのでした⤴

下品なジョン・ドー 笑顔のベティ・ドー

下品なジョン・ドー 笑顔のベティ・ドー

第27班

王子小劇場(東京都)

2022/03/24 (木) ~ 2022/03/28 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ダイニングバーの一角でたむろする若い男女。
誰と誰がくっ付いた、早く次の彼女欲しい、他人の不幸話で盛り上がる・・・皆が独自にぶっ飛んで、お互いにあけすけで軽薄。
若さ特有のどこにでもありそうな光景、いや絶対ここにしかない光景。
「なんか楽しそうだなぁ」と感じた瞬間からどんどん舞台世界が近寄って来て、本気で楽しくなってくる。

終始くすぐられ、我慢して、時折こらえきれずに笑ってしまう感がイイ。

こんなに楽し気なのに「本物の愛が欲しい」「友情が欲しい」枯渇感、ほんのり哀しみを忍ばせているのがイイ。

何気に と言うか、ごく当たり前な感じで不思議SFなキャラクターも混在させる世界観はどこか「マチルダアパルトマン」を彷彿させ、その異色の存在感、能力でもって群像を引っ掻き回したり、妙にしみじみさせてくれるところがイイ。

明日も明後日も彼等がたむろっている続きの光景を観ていたいけれど、いずれバラバラになっていくんだろうなぁ・・・そんなふうに考えてしまうと何とも切なく愛おしくなってくる2時間でした。

片生ひ百年

片生ひ百年

ハコボレ

新宿眼科画廊(東京都)

2022/03/26 (土) ~ 2022/03/28 (月)公演終了

実演鑑賞

前半は古典落語の「紺屋高尾」
全く知らない演目でしたが流石だと思う、上手い。
スルスル流れ込むように噺(はなし)が入って来る。
執念の恋物語。
特に良かったのが主人公・久蔵の演じ方。
下手するとドン引きな彼の一本気さを、とても魅力的に演じ、観ているこちらの気持ちまで高揚してくる。

休憩を挟まずに後半は演劇的動きの要素が加わった「片生ひ百年」
これは前作品を地続きにしたオリジナル? だとしたら凄くないか?
ストーリーとしてスルスル入って来る感じは若干落ちるものの、動き、それに伴って発生する“音”、音響、灯り、そして本作の重要アイテム「お香」と連動しての香り。
落語の古典的な世界観を崩す事なく、生舞台ゆえの情緒と動きを加えて、この世とあの世の物語を表現していました。

落語の可能性を拡げていこうとする姿勢・心意気が熱い。

一枚のハガキ

一枚のハガキ

劇団昴

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2022/03/16 (水) ~ 2022/03/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

上層部の采配ひとつで運命を振り分けられ、その挙げ句大勢が死に向かわなければならないなんて、戦争は自然災害とは全く違う。
前半は場面転換こそ多めでしたが、その分ワンシーン、ワンシーン、時系列を交えて丁寧に。
暗転後の場面にショックを受けてしまうシーンがいくつも、一体どこまで続くのかと思われる悲しみの連鎖、戦争の不条理をとことん突き付けられた前半。
そして後半は生き残った者達の生き様をじっくりと、命ある者の呼吸、演劇の力、様々なライブ感を活かした演出が素晴らしい。

演出は北村総一朗さん。
俳優として活躍されているイメージそのままに、重いテーマがズシンときながらも、とても親しみやすい演出になっていました。

ネタバレBOX

炎、情念、夫の名を叫ぶ友子。


え!・・・2番目の夫、三平は・・・
力一杯の拍手には名を呼ばれなかった三平の分を込めてしっかりと。
リムーバリスト―引っ越し屋―

リムーバリスト―引っ越し屋―

劇団俳小

萬劇場(東京都)

2022/03/12 (土) ~ 2022/03/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「狂」と「笑」は紙一重なのか…背筋が一瞬ブルッとくる作品。
舞台となる70年代当時のオーストラリアは社会問題になるくらい警察の質が悪かったらしく、全編にわたってシモンズ巡査部長の狡猾節が炸裂。
大きくガッチリした体躯で物凄い威圧感(名演技でした)
長年培ってきた独自の警官論もなかなか堂に入っておられ、こんなパワハラな指導を受けなければならない新米警官がマジで不憫。
とにかく全てが彼の胸先三寸で、DV夫から奥さんを逃す引越し作戦にもちゃっかり下心が。
ただし早々から引っ越しは妙な雲行きになっていき・・・
この引越し風景がボリューム的にも内容的にもメインとなるのですがジリジリするというか、ヒリヒリするというかバイオレンス&何とも異様な光景なのでした。
そして破滅の美学とも言える驚愕のラストシーン

結局、引越し屋が一番の強者だったのか
何をもって強者とするのか分からんけれど、感慨深し。
これだけハードな海外作品をガッツリやってのける俳小さん、「殺し屋ジョー」での超興奮は未だに冷めやらず、今後の作品も期待しています。

悪いのは私じゃない

悪いのは私じゃない

MONO

吉祥寺シアター(東京都)

2022/03/11 (金) ~ 2022/03/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

人間描写があざといくらいに面白い!
そして皆さん見事に我が強い(笑)

自身をそこに投影というより、よそ様の会社の人間模様をガン見している感じ。
とは言え身に覚えアリの発言にドキッとする観客はきっと一定数いるはずで、ハイ自分もその一人でした。
同じ組織内にいても個人個人で見ている景色はこんなに違うんだって、あたりまえだけれど、こうして俯瞰で見せてもらえると、苦々しくも可笑しくって、ハイ勉強になります。

ジャパニーズビジネスマン&ウーマンがぶつかり合い転がっていくストーリーに舌鼓を打ちつつ
やっぱり何よりのご馳走は思わずだだ漏れてくる彼等の人間味。
いろんな立場、いろんな性格の人間味が絶妙に絡み合い、時には艶っぽく、時にはほろ苦く、2時間最後まで美味しく楽しめる大人味の作品でした。

山奥の小さな会社、大きな窓から見える山々(ジオラマ)の風景が魅力的。
美術さんも良い仕事しています。

サヨナフーピストル連続射殺魔ノリオの青春

サヨナフーピストル連続射殺魔ノリオの青春

オフィスコットーネ

シアター711(東京都)

2022/03/11 (金) ~ 2022/03/21 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

死刑囚 永山則夫の犯した連続ピストル射殺事件。
50年以上前に起こったこの連続殺人事件を全く知らなかったので「よし、観劇前に予習をしておこう」と、その全貌を描いたノンフィクション・ノベルを読んで準備は万端、いざ劇場へ。
読んでいたから分かったのは、事件のあらまし(事実)が細かいニュアンスも含めてちゃんと表現されていた事。
その上で観る事ができて良かった!と思えるのは、永山則夫自身の主観世界、演劇だからこそ可能とも言える独特な表現世界。
そこ(舞台)に息づく者と時間・空間を共有しなければ湧き起らない感情というのは確かにあって、こればかりは映像や文章では無理。
観劇中、肉体を持って確かに存在していた「永山則夫」
4人の被害者を思えば同情はしたくないと「永山則夫」を睨みつつ、その内面へと。
事件を辿り、母親や姉、少年時代の「永山則夫」に気持ちを揺さぶられ、最期の「永山則夫」を見る。
確かに「永山則夫」は存在していたのだけれど、観終わった後、全ては哀しい白昼夢だったかのような余韻に包まれるのでした。

(当日パンフには永山則夫の年表や家族構成、その他情報が豊富に掲載されていますので、余裕をもって席に着かれた方は一読をお勧めします)

ネタバレBOX

アナザーストーリー「姉編」追加上演決定!
永山家、長女の人生。
彼女自身ではどうしようもなかった悲劇の人生。
家族…「永山則夫」を取り巻いていた悲しみの道筋の多さを彷彿させます。
キミガミテタ明日

キミガミテタ明日

TEAM 6g

萬劇場(東京都)

2022/03/02 (水) ~ 2022/03/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

一石を投じられた様に心の内から波紋広がってくる作品。
ニュアンスこそ違いますが若くして同じ事があったので尚更。
何故彼は・・・とことん紐解いていくその結果が吉とでるか凶とでるかは置いておいて・・・友人達の真っ直ぐさがかなり羨ましい。
(一番羨ましかったのは作品内容ともオーバーラップする座組全体の連帯感だったかも)

理屈を吹き飛ばす肉親ならではの言葉、そして更に更にと想いの交差するシーンが折り重なってもう見応え充分!と思っていたらなんと2時間越えの大作。
高揚感や失望感、観進んでいくほどに引き込み力が更に更にと強まっていくので、これはむしろ有難かった(良作であれば長時間歓迎派)
何より哀しいストーリーでありながら心の栄養剤にもなり得るTEAM6gさんの持ち味がしっかり効いているのが良かった!

チクリ、冬が胸をさす。

チクリ、冬が胸をさす。

ゴツプロ!演劇部

「劇」小劇場(東京都)

2022/02/23 (水) ~ 2022/02/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「演劇部」が付くと、どことなく青臭いイメージ。
まぁそれもアリかな~っていう感じで向かったのですが、どっこい、ゴツプロ!精神を真っ直ぐに受け継いだ見応えある舞台でありました。

冬のペンション、交互に繰り広げられる二つの物語。
総勢11人の若い役者さん、ひとりひとりの描写がとても丁寧。
じっくり腰を据え、観進めていくほどに取り込まれていく感じが心地良いです。
それぞれ二つの物語にどっぷり浸った後、この二つがバチ~ッ!と結びつく激展開。
その頃には、もうすっかり彼等に感情移入していたものだから・・・
あぁ~(ため息)切ない灯りの演出も良かった。

凪のように穏やかに

凪のように穏やかに

雀組ホエールズ

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2022/02/17 (木) ~ 2022/02/21 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

雀組ホエールズさんは(観客からの)愛され度がほんのり高い。
その柔らかな空気感を共有できるのも生舞台ならでは。

東日本大震災・被災者を真正面から描いた作品なので、てっきり重く暗い雰囲気になるかと思いきや、結構笑わせにかかってくる本作。
何しろ主役(被災者役)である阪本浩之さんのキャラがめちゃ元気。
(このギャップが悲しみの色合いを濃くしていくとも言えるのだけれど)
凪のように穏やかな家族との暮らしを望んでいた男。
ひとりの被災者(阪本さん)が今日まで歩んできた10年。
阪本さんと共演者(家族や友人など)の色んな掛け合いからなる味わいが作品の大枠を形作っていると言っても良いくらい。
中でも珍味なのが斉藤こず恵さん(キヨコ婆さん役)との掛け合い、その笑わかせ“力”たるや。
お互い子役時代からの付き合いだそうで、そうでなきゃ絶対作り出せない掛け合いがもうスペシャルにエグくって素晴らしかった。

被災者だけでなく他者からの視点にも胸が痛くなる、改めて途方もない悲劇がテーマであった中、物語としてはとても前向きになれる涙で見送ってもらえました。

The leg line

The leg line

仮想定規

中野スタジオあくとれ(東京都)

2022/02/10 (木) ~ 2022/02/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

妖しげな雰囲気を掻き立てるプロローグ、舞台の奈落、舞踏シーンから一転、楽屋内を舞台にしたコメディーが展開。
この楽屋を出入りする登場人物達が、うらびれ感をスパイスに笑いのツボを心得ていて無邪気に可笑しい。
舞踏の妖しげな残り香か、外は雨風吹き荒れる嵐、次々と巻き起こる混沌と連動していてどこか不条理な面白味も。

Show must go on
混乱の予感プンプンなショーのはじまり。
繰り広げられるのは、それまで単純に楽しんでいたコメディーに繋がった演目のオンパレード。
言ってみれば曲のひとつひとつがいわく付き、1曲1曲がアンサーという名の楽しい付加価値を生み出しているのだから本当に良く考えられた構成。
いつの間にかショーを観ている観客も物語の一員になっているかの様な感覚が更に楽しい。

日本発のオリジナルミュージカルを世界へ
過去には日本特有の美術を導入した作品も公演されていた様で、そういうのも観てみたいし、様々な個性が集まったファミリー感からサーカス団みたいなものも良さげだし、怪人二十面相的な作品も観てみたい、これからの期待はどんどん膨らみます。

ロング・タイム・ノー・シー

ロング・タイム・ノー・シー

ナイーブスカンパニー

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2022/02/02 (水) ~ 2022/02/06 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

照明・音響の躍動感、細やかな心情表現、1日限りのキャスティング、贅沢にもこの日だけの情感に満ち満ちた朗読劇。

プロローグから出会いの章。
おぼつかない手探りから、フッと手が触れ合い、やがてお互いの指に力が宿っていく、そんな感じのフワッとした幸福感に包まれていく心情描写、導入から巧い。

下手に喜田裕也さん、上手に今井彩菜未さん
座席の位置によって男女、言葉の発信・受信のアングルが異なるので、上手・中央・下手、微妙に影響あるかも。
今回、自分の席は完全に今井彩菜未さんサイド。
彼女が問いかける、繊細にて微妙な言葉の中から既に薄幸の影が薄っすら見える・・・揺られながら、そんな気がしながら観ていました。
やがて来る波も知らずに。

後半になるほど更に食い入ってしまう切ない男女のコトバとココロ、1時間50分。

おつかれ山さん

おつかれ山さん

ことのはbox

シアター風姿花伝(東京都)

2022/01/26 (水) ~ 2022/02/01 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

Team箱を観劇

観劇予定前は全くの白紙状態で観に行った方が良い。と思いながら、どんな様子?とコリッチ「観てきた」をつい見てしまう。(なるべくフワッと)
それでなるほど前半は面白可笑しく、後半はこんな感じかなぁと構図が見えてきた気になっていたのだけれど、思い描いていたのと全然違った!
確かに描かれるは高校教師の慌ただしくも赤裸々な日常。
確かに、確かにではあるのだけれど、めちゃ異色作でもって意欲作やん!
実際に観てみないと、どんな感情が噴き出してくるか分からない観劇の妙味。
も~何とも言えない感慨に包まれつつ、まさに「百聞は一見にしかず」を体感。

観終わって改めて見る「必ずどこかにあなたがいる。」っていうコピーはかなり毒の効いた決め台詞なのでは・・・


ネタバレBOX

職員室。
微妙に整理できていない机がひとつあるなぁと思っていたら、そこが山さんのデスクでした・・・ホントに繊細で後には大胆なセット。

有り余る勢いでやり取りされる面白可笑し気な台詞の応酬。
どんなふうに捉えるかは人それぞれだけれど、コミカルを装ったその中に「教師達が抱え込んでいる闇」の匂いがプンプンしてきて、自分にはとても笑える情景ではなかった。

担任指導に掛け持ちの部活指導。学校問題と家庭問題に加えて趣味の演劇。
何一つ切り捨てるわけにもいかないし、何一つ解決もしていかないジレンマ。
問題の芽をひとつひとつ摘み取っていけなかったしっぺ返しというには有り得ないほどの悲劇。
ちょっと!襟を正さなきゃいけない部分があるのなら今のうちにっ!と思わず身震いしてしまいます。

ガラテアの審判

ガラテアの審判

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2022/01/20 (木) ~ 2022/01/26 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

殺人を犯したアンドロイドは人間と同等に裁かれるべきか。
仮にヒロユキが論破したところで、それは無いだろうと思って観ていたのだけれども、とことん重ねられていく審議や証言、ドラマチックな流れに引き込まれるがまま気持ちが大きく揺さぶられていく見事な公演。

審判に向けて事件の本質を突き詰めていく作品力。
ひとつまたひとつと真実が明らかになっていくほどに、浮き上がるそれぞれのカタチ、それぞれのカタチで感情が高ぶっていく役者さん達の熱演が素晴らしい。
体感では劇場のほとんどが舞台スペース、シアター・ミラクルならではの臨場感。
近くを役者さんが通る時には台詞はなく、激しい感情表現の時は必ず飛沫が観客に向かない事等ことごとく配慮されており、安全とエンターテインメントの両立が考え尽されていたと思います。
それらの配慮に守られ、今、これだけの迫力ある舞台を堪能できたのだという事に強く感謝。

素

ゾノノキカク

OFF OFFシアター(東京都)

2022/01/20 (木) ~ 2022/01/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

PANCETTA一宮周平さんの演出・創作過程は、過去にその様子を一般公開していて、一部を拝見したそれはもうかなり独特だったと記憶。
ひとつのお題が持つ可能性をとことん広げて、解体・分析・絞り込んで独自の道筋ができていく感じ。

今回のタイトルでありお題でもある「素」も繭に姿を変え、お蚕さんが産生する繭から連想される胎児、“素”材である絹糸の精製、富岡製糸場で働く女工さんの生き様からその女性の“素”性にも遡って・・・ひとりの女性を描いた繋がりを保ったまま縦横無尽にシーンの姿が変わっていくというなかなかの強者芝居。
とても一筋縄ではいかないシーンの一連を中薗菜々子さんという若い女優さんが、まさに観客の視線一点集中、一人芝居で堂々と演じ切っていくのですから観ているこちらも真剣勝負。
とても50分だったと思えないくらいの燃え尽き感でした。

今回は繭の糸にインスパイアされた流れであったものの、ひょっとすると「運命の赤い糸」であったり「蜘蛛の糸」だったりとPANCETTA的な発想の道筋は無限であり、そこには一宮さんが持つ発想の瞬発力が大いに関わっているのでしょうが、中薗さんにとって何が一番だったのかは想像の余韻が残るところ。
憑依がかった芝居のできる女優さんなので、本作も立派な作品として成立していましたが、未知数の大きな女優さんでもあるので、一宮さんの未知数と掛け合わさって、もしかするともっととんでもなく大化けする世界もあるのではないかと
そんな大きな期待を将来の余白に取っておいても良いのではないかとも思えるのでした。

奇譚録。バーベキューダンス

奇譚録。バーベキューダンス

劇団「楽」

ウエストエンドスタジオ(東京都)

2022/01/19 (水) ~ 2022/01/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

バトルアクションシーンが途中あるのだけれど、刃物(もちろん小道具)が躰スレスレに空を切るなど、めっちゃキレッキレで激しいのには驚いた。
確かに奇譚録といった作風、いわゆるダークファンタジーになるのだろうか、ダーク多め、結構ハードな味付で、好みが分かれるところではないかと思うけれど、無難な流れには行かない武骨な感じに好感。
タイトル「バーベキューダンス」の意味は観た感じの方向性から想像すると怖いものになるが、いや、そういえば作中では“華”のあるシーンも。
なのでそこにも引っかけているのでは。と思ってみたりすると不思議とイメージが変わってくる。

何より旗揚げ公演。今の時期、これだけの大人数で本当に大変だったと思えるところ、渾身の集大成、その場に立ち会えた事に感謝!
(こんなご時勢なので補足 舞台と客席、客席と客席間には充分過ぎるくらいのスペースがとってありました)

ネタバレBOX

衣装とか他はしっかり気を配っているのに、小道具に関しては何故に。
手作り感ある剣等は、作風によってはアリだけれど、今回の芝居には合っていないので、どうしても気になる。

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