満足度★★★
時事ネタでコメディ
コメディの短編集8作品。
時事ネタあり、リアルな会話劇ありで楽しめた。
作品は現代の問題点を題材にしているが、個人的には、「タトゥーありあり」が一番良かった。
満足度★★★★
優しい嘘の残酷さ
初観劇の劇団さんであったが、楽しめました。
脚本、役者さんが素晴らしく、観劇後に優しくなれる作品。
公演中なので、以下ネタバレで。
ネタバレBOX
愛犬を交通事故で失ってしまった全盲の愛娘の為に、母がタイ人の役者さんに犬の演技をしてもらい、愛犬が生きている事にしてもらう。
通常この手の話は、序盤はバレずに中盤以降にバレてとなるが、演技初日にバレてしまう。これが当たり前だと思うし、この段階で面白いなと思った。
ここからは、嘘をつく人達の葛藤と、嘘をつかれる少女の嘘と分かっていながら、そのまま続ける虚無感が何とも言えない深みをもたらす。
最後は、薄々わかっていた愛犬の死を知り、自分の殻にこもっていた少女が前に進み出す悲しいけど暖かい作品。
タイ人の役者さんと日本人の彼氏との仲良い感じも、最後に意外な事実がもたらされ、これも少女の前に進む姿とは本質的には重なり、味わい深い。
個人的には、最後のダンス?シーンが好きです。
この舞台の成功は脚本に加え、役者陣の演技であると思う。
出てくる役者さんは少ないが、皆それぞれ深みのある演技をされていて、
とても素晴らしかった。
特に、彩香役の山村さんは難しい役所を見事に演じられ、光一郎役の鈴木さんの温かい演技が目に留まった。
ホム役のナルモンさんは可愛くピュアな感じで、後藤田夫人役の橘さんは力強く凛とした姿が素敵でしし、万丈役の泉さんと厳島役とパーカッションをやられた広田さんの存在が、重く暗くなりがちな舞台に笑いと彩香にあたえたような安らぎを与えている。
実に見事な座組だと思いました。
観て良かったと思える舞台でした。
満足度★★★★
ミステリー+ホラーの探偵もの
初見の劇団さんで、初北池袋 新生館シアター観劇。
さて、肝心の舞台の方ですが、脚本が面白く楽しめました。
以下、公演中なのでネタバレで。
ネタバレBOX
開演前に、案内や前説をしてくれていた人が、脚本・演出の森本さんでした。公演前の発声練習も兼ねているとはおしゃっておりましたが、驚きました。
フライヤーであらすじが書いてありますが、これに忠実に進んでいきます。
途中まで、それぞれの人物評や関係性を確認するような場面も多かったのですが、中盤以降に物語が加速していき、どんどん人が殺されていきます。
殺人、怨霊、魔女、悪魔の儀式とやや詰め込んでおりますが、混乱するほどではなく、楽しめました。
探偵とその助手のやりとり等、コメディ的な要素もまぶしてあり、暗くなり過ぎない舞台でした。
ラストもある程度予想はつきましたが、ひと捻りあり面白かったです。
役者さんも皆さん熱演とは思いましたが、やや技量に差異があるように感じてしまったのが少し残念です。
もう一つ残念だったのは、観客の方。時間ぎりぎりの方はまだしも、遅れてくる方や公演中に大きな動きをされる方もいてミステリー作品なのに集中しづらかったです。また、お目当てのキャストが登場するだけで笑っていては、
他のキャスト(特に客演さん)はやりづらいだろうし、少し身内びいきで
ぬるくなりすぎてしまうのではと思いました。
最後に、初のデジタル化(?)との話がありましたが、ちょうど良い感じで
良い意味で、映画や2時間サスペンスを観たようにも思えました(笑)
満足度★★★★
違うテイストの作品群
近藤さんを出すだけの条件で、各劇団が作られたショート作品群だが、それぞれの劇団色が出ており面白い。
公演中なので以下ネタバレで。
ネタバレBOX
頂いた当日チラシに、上演順はネタバレになるのでNGとの記載がございましちゃので、以下順不同で。
青☆組「お月様で逢いましょう」・・・少年時代に買っていた野良犬との別れを 中心に描いた作品で、お別れが言えずどんどん大人になっていく話。
最後にやっと「さようなら」が言えるが、切ない気持ちになる優しい作品。
ナカゴー「森」・・・売春婦を買いに先輩に連れられ森に来るのだが、
そこで○○女と戦う事に。延々と戦うだけの作品だが、これが面白く
近藤さん大活躍(笑) 途中に入る課長も良いし、何より先輩が良い!
ラストも面白い。
ぬいぐるみハンター「甘じょっぱいのぱい」・・・中学生の告白を描いた作品
だが、近藤さんのピュアっぽさが良く出ている。告白とUFOを絡めた
本劇団らしい変わったテイストであるが、20分間ではやや苦しいか。
あいかわらず、神戸アキコさんは存在感があるし、ピアノが驚き。
オールド・・・半海一晃さんと寺十吾さんが楽屋を訪ねる風の作品。
円熟の魅力か、単なる日常的な話だが面白い。言い方が悪いかもしれ
ないが、箸休め的な感じ。観ていてもリラックスできる。
Mrs.fictions「お父さんは若年性健忘症」・・・個人的には今回一番好きな
作品。健忘症の近藤お父さんがバブル時代の話をしてしまう作品だが、
それに合わせる小川お母さんと面倒くさがりながらも父を心配する娘役
の相楽樹さんの掛け合いが実に面白く、優しい。
※個人的な感想ですが、あと青山円形劇場で演劇を何回観れるかと思うと
切なくなりますね。
満足度★★★★★
2面性のある作品
興味をそそるタイトルだが、内容はHを前面に出してはいるものの兄弟愛、親子愛、友情を含めたシンプルだがなかなか深い人間ドラマ。
個人的にはとても好きな作品です。
公演中なので以下ネタバレで。
ネタバレBOX
オープニングは、主人公の学生時代で始まる青春物風の出だしであるが、すぐに成人した後の兄の弟への告白で物語が走り出す。
前半部分は、海を中心に主人公達のH目的の人間模様。これが下ネタではあるが実に爽やかな印象。これも役者さん達の技量か。
だが、海での事故で物語は急に変化する。この事故前後からは、登場人物達の悩みや隠してきた感情などが露わになっていき人間ドラマへと進む。
当たり前かもしれないが、誰もが悩みを抱えていて、切ない感じの舞台となった。本舞台では、生(性)と死に照準をあて、人生を考えさせられる。
登場人物は多いが、それぞれ個性的に演じられ、埋没しない。
特に主人公であるハルミ、テルオの兄弟、ケンジ、コトが印象に残った。
集団でのダンスやマイクでの歌唱シーンも見応えがあった。
少し残念だったのは、舞台が大きくそれをあまり生かし切れていないように思えた。奥行きがあるので、その差をもっと利用できたのでは。
また、亡くなった人が生きている人に話しかけるシーンはなかなか良いと思えたが(特にお母さん)、舞台左右は良いが、奥の上方部分はいかがかと思う。
それで、どうしても背を向けるようなシーンも多くなってしまった。奥の上方にその人がいるシーンでも役者さんはそれを観ているように観客側を向いて芝居をして欲しかった。ラストシーンでは特にそう思いました。
ですが、それを差し引いても大変楽しめました。
満足度★★★
脚本は面白かったが・・・。
脚本は面白いと感じた。ただ、役者さんのレベルに随分差があるように感じてしまった為、どうしても舞台に入り込めなかった。
その為、所々に笑いを取るシーンもあったが、ほとんど笑えなかった。
ストーリー的には、家族再生の話なので笑いは必要ないかとも思うが、少し中途半端な感じであった。
満足度★★★★★
既に続編が観たいです!
楽しみにしていた公演を観に行きましたが、大人気でした。開演40分前位に行ったのですが、既に長蛇の列。チケット入手で並び、開場まで並びで、更に期待が高まりました。
そして開演。結果からいうと「とっても楽しかった~!」
公演中なので、以下ネタバレで。
ネタバレBOX
キャッツアイをモチーフにした時代劇。だけど、グダグダミステリーコメディとあるように細かい時代設定等はなく(漠然と江戸時代)、ゆる~い感じ。言葉も現代言葉でそのまま見れます。全3話。
第一話:山賊が隠したある絆~大富豪密室殺人事件~
オープニングから主人公である3姉妹が登場するが、最初から各キャラ
全開。この3姉妹キャラが実に良い。(主役なので、一言簡易コメント)
長女:阿波 完全にオトボケキャラだが、「こうひヰ」と飲むと大活躍。
あのモチーフ漫画の○○さんの面影は全く無い(笑)
次女:琵琶 3姉妹一の行動派。ガサツな感じであるが、ブリッ子も
できる。3話目では優しい一面も。
三女:夢或 薬の調合もできるし、毒も吐ける知性派。
まだ寺子屋に通う年齢。
この三姉妹だけでも魅力的なのだが、出てくるキャラがそれぞれ味が
あります。1話目の中心でもある山賊の獏露団の3人組も山賊だが憎
めない感じで好きです。
回想シーンを多用する演出でしたが、これが再現方式で実に面白い。
また、各役者さん達もお見事です。
犯人、密室の謎にはおおいに笑わされました。
第二話:食い違う証言~夏祭り殺人事件~
1話目より少し重い感じの、4人の町娘の色恋に関わる話。
4人の町娘もそれぞれキャラがあり、良い。1話目で出てきた獏露団が
出てくる展開も面白く、楽しめた。
(1話目だけの登場なのかと思っていたので。)
嘘発見器や獏露団の尋問のジャンプシーン等も面白い。
恋文の隠し文字や犯人等、最後は悲しい結末に。
第三話:歌舞伎町を作った女~ある花魁の悲劇~
1話目、2話目に出てきたキャラも出てくる最終話。
(ある一人は、事情で出てこれませんが。)
この話の主役である、花魁と女商人がこれまた良い!
この二人に関しては、コメディ度は低めの、本格芝居。
最終話にふさわしい話で、各キャラが活躍する。
8千両の使い道と女商人の戦略にやや違和感もあったが、悲しい話で
3姉妹の目的にもつながる話に。
全話に共通しているのは、「愛」をテーマにしてそれぞれの「愛」に溢れた話でした。誰もが誰かを想っての嘘だったり、行動だったり。
上記あげたキャラ以外でも、全話に出てくる、お気楽な奉行所同心2人、3姉妹を手伝っている飛脚の双子、夢或の友達の美千留とどのキャラも立っていて、物語をしっかり底上げしている。各役者さんと熱演と、この座組のチームワークの良さがより魅力的にしているのではと感じました。
また、楽曲もとてもマッチしており、優しく悲しい選曲も良いです。
(平 義隆さんの「饒舌な情熱の愛の歌」と「幸せのカタチ」が特に好きです。)
個人的には、各話のオープニングや随所に出てくる踊りも魅力的で、
特に衆朱(辻圭子さん)の踊りは見応えがありました。
可愛いアイドル系の女の子が多い舞台でしたが、けっして可愛いだけの舞台ではなく、大変楽しいミステリーコメディでした。
「ほろにがヰぜ」のキメゼリフがまた聞きたいので、是非続編を観たいなと思います。
満足度★★★
コメディフェスティバルって。
コメディフェスティバルという事でしたが、コメディの線引きが難しいですね。
各劇団に共通していたのは、笑いを誘いながら、最後は良い話でまとめる感じでしょうか。前半の笑いが大きければ大きいほど、効果的なのですが、あまり笑えないとこれってコメディ?とも思ってしまいます。
また、ストーリー的に必要だったり、アクセントとしてなら良いのですが、一発ギャグのような笑いの取り方は、一歩間違えばお笑いコントのようにもなってしまう。
45分間という短い時間の中で良く練られた作品ばかりでしたが、コメディフェスティバルという意味合いからは次回以降は、主催者が作品を観られてから、出場チームを決められたらとも思いました。
満足度★★★★★
タイムトラベルものの傑作
前作「時をかける稽古場」に続いて、タイムトラベルもの。出演者も、アガリスクのメンバーに加えお馴染みの方々が多く、息がピッタリでした。
45分間の演劇とは思えない程、充実した舞台でした。
公演中なので、以下ネタバレで。
ネタバレBOX
主人公のアパートに喧嘩の仲直りに来た彼女とタイムトリップした元彼女が鉢合わせすることで起こるドタバタコメディ。前作と異なるのは、未来から来た主人公の子孫が、時間を調整できる能力がある所。
だが、なかなかうまくいかず、苦し紛れの言い訳でどんどんややこしい方向へ。また、後から出てくる登場人物達が皆、混乱に拍車をかけていく。
実に面白かった!
また、ラストは状況を皆が理解するのだが、主人公のその後の行動も素晴らしく、またそれに賛同する他の面々も実に良い。
観ていてとても暖かい気持ちになった。
また、役者さん達の演技がどなたも素晴らしい。時間を戻すシーンを多用するが、実に良く作りこまれており、この座組のチームワークの良さも窺えました。
皆さん素晴らしかったですが、特に元彼女を演じられた、鹿島さんは特に素晴らしかった。困惑している表情や彼氏に見せる表情、ラストの未来では別れているのを悟った後の表情等、観ていて切なくなるほどでした。
45分間では勿体ないと、もっと観ていたいと思える舞台でした。
満足度★★
期待した分・・・
前作の「0号」を観て、大変楽しみにしていた公演でした。
結果から言うと、期待していた分、残念な公演でした。
公演中なので、以下ネタバレで。
ネタバレBOX
ゲキバカさんは大変好きな劇団です。
ですので、あえて厳しい感想を書かせて頂きます。
オープニングから、観客に話しかける感じで入りました。それは良いのですが、既にコントメイクで、私的には引き気味でした。探偵が主人公ですが、いわゆるゴルゴメイクをしており、高校生時の回想シーン等もありますが、そのメイクのまま回想シーンは違和感があり過ぎました。
また、中途半端な下ネタやオーバーなリアクションも多く、笑わそうとするのが、見えすぎて正直笑えなかったです。
コメディフェスティバルという事で、私はあくまで演劇のコメディを観にきたのですが、3流のお笑いコントを観ているようでした。
作品内容的には、ちょっと良い話でもあり、演出等で全然違う舞台になるのではとも思います。
満足度★★★★
ハッピーちゃん=暖かい
初観劇でしたが、昨年の準グランプリとの事で期待しておりました。
当日は、一日券で観劇でしたので本作品が6本目という状況でしたが、楽しめました。
公演中ですので、以下ネタバレで。
ネタバレBOX
掃除型人型ロボットである、「ハッピーちゃん」の話でしたが、ハッピーちゃんが登場する前に、既に楽しめました。オープニングのキャッチボールシーンはとても良かったです。そこから、期待しながら物語に入っていきましたが、主人公の少年を中心にしたアットホームなコメディでした。基本的に、登場人物が皆、良い人なので暖かい感じでした。
笑いの方は、色々と小ネタを中心にして、クスリと笑う感じで、短い公演時間でしたが、ダンス等も入れて、内容の濃い45分間でした。
役者さんは、皆さん熱演でしたが、特に主人公のマサル少年を演じた堀さんとそのお父さんを演じたボス村松さんが特に印象に残っております。
次回はもっと長い公演時間で楽しみたいと思いました。
満足度★★★★★
短時間でもPMC野郎健在!
面白い! ただただ、面白い!!
回想シーンから始まり、物語に入っていくと45分間ほぼ笑いっぱなし。
公演中なので、以下ネタバレで。
ネタバレBOX
まず、開演前からお馴染みのコント?がありました。
PMC野郎を観劇された方は、お馴染みですがこれも実に楽しい。
「その卵に触れるな!世界を滅ぼす気か!!」というセリフを練習されておりましたが、やはりそのセリフもメイクも本編には全く出てきませんでした(笑)
さて本編の内容は、現代編、戦国編、未来編とでもいうような3編から構成されており、勿論それぞれがリンクしております。基本的には、現代編の小説の回想シーンから入っていくのですが、戦国編、未来編は笑いのオンパレード。世界観を壊す会話、体を張った笑い等等。
それでいて、現代編の終盤では涙を誘うのが、この劇団の凄い所!
毎回、吹原さんの才能には驚かされます。
役者さん達はあいかわらず、安定した笑いをみせてくれますが、今回も客演された美津乃さんが特に良かった。
口笛だけであんなの笑わされたのは初めてです(笑)
満足度★★★★
ベジタブルファンタジー
噂には聞いていた、おぼんろ さん初観劇。ベジタブルファンタジーという触書だったが、その通りで、やはり独特の世界観。
公演中なので、以下ネタバレで。
ネタバレBOX
まず野菜の「ウド」を中心に据えた演目が斬新( or 新鮮)に映る。
内容はコメディというより、実にシュールでそれでいて少し感動的でもある。
約45分の中で、実によくまとまっており、脚本・演出の末原さんの力量がうかがえる。
そして、この公演が二人芝居という所に驚き。末原さんも素晴らしいが、わかばやしさんが実に素晴らしかった。一人で何役もやられ、どの役も存在感があった。
公演前に、客席から末原さんが登場され、緞帳を開けるまでの客席とのやりとりも面白く、また想像力というワードで独特の世界観に引き込まれのも良かった。
物語終盤では、雨のシーンで雨を感じられた程、魅かれておりました。
ただ、コメディフェステバルというには、難しい作品かなとも思います。
おぼんろ さんは、「おぼんろ」というジャンルなのだと思いました。
満足度★★★★
お笑いの裏舞台
コメディ作品というよりは、お笑いの裏舞台を描いた作品。お笑いなので、随所にお笑いのネタが散りばめられており、これが面白い。
公演中なので、以下ネタバレで。
ネタバレBOX
舞台はお笑いだが、なかなかにギスギスした世界を描き出しており、実情に近い。(以前、この界の方と交流がありましたので。)
厳しい面を中心に描いた、コメディよりは人情劇に近い感じ。
短時間で(公演時間及び劇中の時間でも)、気持ちの揺れが感じられ魅せられる。
そして、やはり役者さん達が素晴らしい。バンタムクラスステージのお二人は勿論、客演の方も素晴らしかった。
特に6番シードの土屋さんはお見事。前半は軽い感じの役柄だが、後半は凄味が出る役で、あの声質もあり、適役だったのではと思いました。
満足度★★★★
悪と自由
「悪と自由」というテーマにふさわしい作品でした。
2時間25分という公演時間も、役者さんの熱演が伝わり、長くは感じませんでした。(もっと、短くても良いかなとも思いましたが。)
公演中なので、以下ネタバレで。
ネタバレBOX
振込詐欺をベースに「悪」の部分を、その集団内での位置、社会との関わりあいを「自由」の部分で表現した良作。
詐欺グループ内での立場や心情、もろくはかない絆等も描かれ、魅入られました。中心人物である大谷役の倉田さんが、虚無感を出されていたのも良かったです。
また、こういうダークな内容のせいもあり、大庭家の会話シーンにはホッとさせられました。特に、父である宮崎さんと三女の藤松さんの会話シーンには心動かされました。そのシーンにいる長女の笠井さんも実に良かったです。
振込詐欺をまとめた国家公務員の報告も、リアルな感じが致しましたし、
素晴らしい脚本と素晴らしい役者さんの舞台でした。
アフタートークでもありましたが、ナイトが自殺してからの尺は私も少し長いかなと感じました。無理にダンスなどを入れている感もありましたし。
(ゲキバカの伊藤さんも出られていたので、ダンスもあるのではとは思いましたが(笑))
1点気になったのは、公演内で2度ほど、この作品を演じるにあたり苦労した点等を役者さんが語るシーンがありましたが、急に現実に引き戻される感があり、私的には少し戸惑いました。初観劇でしたので、分かりませんがアマヤドリさんのいつもの手法なのでしょうか?
満足度★★★★
見事な世界観
まず、見事な世界観と惹きこまれるストーリーでした。当日パンプも凝っていて観劇前から期待が高まりました。
公演中なので、以下ネタバレで。
ネタバレBOX
舞台ですが、映像を上手く多用し、神話をモチーフにした世界観は大変魅力的でした。音楽も良く、良い意味で映画をみているような感じもあります。
随所に、ベタな笑いを取り入れコメディ要素もありますが、一言でいうと
「カッコイイ」舞台でした。
天使は、勧善懲悪ではなく、グリゴリの方にも感情移入できるような感じがとても良いです。
ダーク・ファンタジーな部分は、日本では残念ながら日常的になってしまったようなダーク感でしょうか。
続編につながる終わり方で、次回以降も楽しみです。
ただ、亡くなってしまった早坂さんのマリオ一人芝居やタミエさんの哀愁感が観れなそうなのは残念です。
最後に、フィクションとありますが、明らかにあの震災を思い出す演出はどうかとも思いました。近くで観劇していた人が東北出身の方のようで、観ていて気分が悪いと、おっしゃっていたので。これだけの世界観を出せるのですから、その辺を考慮して違う形でも同様の演出は出来たのではないでしょうか。
素晴らしい演技力の役者さん達と見事に映像を駆使した舞台なのですから。
満足度★★★★
異なるテイストの4作品
4本の短編集であるが、どれも違うテイストで面白い。
公演中なので、以下ネタバレで。
ネタバレBOX
『ラッキー・ストライク~特別な日~』・・・浮気をしている男の誕生パーティに次々に来る予想外の来客に四苦八苦するドタバタコメディ。 入れ替わり立ち代わりで、役者さんが登場することにより、嘘を並べて上手く乗り切ろうとする感が楽しい。最後もヒネリが聞いており、良作。
『リフォームするのに、業者はいらない』・・・崩壊している夫婦とそれぞれの浮気相手を中心に、勘違いや記憶の混乱が招くコメディ。同じセリフで意味が変わっていく言葉選びが面白い。後半に本当の気持ちが分かり、夫婦仲が戻るのが好ましかった。ただ、最後のシーンは予測は出来たが、コメディとしては余計だったのでは。
『離陸前リリック』・・・宮崎に旅立つ男性の奥さん、合コン相手、その旦那、そいて航空会社の人達がおりなすコメディ。それぞれの思惑が絡み合い、笑えますが後半は良い話にもなる作品。個人的には一番笑い、一番好きな作品でした。 特に鈴木さんガンバレと応援したくなります(笑)
『信じたらそこで終わり』・・・縁結びの神様が、人間の男女はそれぞれ浮気するのかを調べにくる話。最終作品なので、まとめ的な話にもなっており、結局浮気は無く、最終的に相手を思いやる話になっている。(3話目も厳密には無いのですが。)
確かな演技力の役者さんが多く、また脚本・演出も面白かったです。
せっかく4本の短編でしたので、登場人物が違う話に出てきたりすると
更に楽しめたのではとも思いました。(登場しなくても、会話の中だけでも)
満足度★★★★
正統派の舞台
説明文から勝手に、ホラーやサスペンス物と思っていたら、すぐに違う展開に。 ああ、そういう事かと意表を突かれました。
内容は重厚なテーマを役者さんの演技力の高さで進めていく正統派の舞台でした。ただ、役者さんの力量にやや差異があるようにも思えました。
ラストシーンは予想は出来ましたが、感じの良い終わり方で良かったです。
また、開場時から役者さんが役柄になりきり、楽しませてくれました。
こういう配慮は大変うれしいですね。
ネタバレBOX
個人的には、レッグの恋も上手くいって欲しかったですが(笑)
満足度★★★★★
林遊民という役者
実在の海賊をモデルに、大航海時代を描いたファンタジー的な作品。それを、若い林遊民さんが一人芝居で演じる。
東京初日という事もあり、またセリフ以外でも状況説明的なセリフも多く、膨大な量のセリフの為、言い直しや言いよどみが少し目についた。
途中休憩10分を挟み、2時間10分という長時間の舞台は一人芝居では体力的にもきついと思われ、息切れする場面もありました。(アフタートークで一日3ステージするという話もありましたが、少し驚愕です。)
それらを踏まえてみても、実に素晴らしい舞台でした。
壮大な物語に、林遊民という魅力的な役者さんがマッチし、実に見ごたえがありました。前述の部分が改善されればもっともっと素晴らしい舞台になるかと思います。既にファンになっておりますし。
大阪が拠点のようですが、東京での公演があれば、是非他の芝居でも林遊民さんを観てみたいと思いました。
ネタバレBOX
途中、舞台中で水分とエネルギー補給するシーンがありましたが、あれがもし演出なら脱帽です。(少し恥ずかしそうに言う、ウィーダ(号) in 食料 は笑いました)
満足度★★★★★
魅力的な役者さん達
客演で観た幸田さんがまた観たく、噂のクロムモリブデン初観劇。
児童ポルノ、ネグレクト、人身売買とダークなテーマ満載の舞台。音響もすごく、揺れる感覚を体験しながら、舞台の世界に引き込まれた。
公演中なので、詳細はネタバレで。
ネタバレBOX
まず、ダークなテーマ満載の舞台であるが、その問題点を残しつつ見事にコメディ化されている。問題と分かりながら、だけどじゃあどうする?と問題の深さをさらけ出す当事者たち。安易な解決策など提示せず、それぞれの問題点に、ひき逃げ&娘の復讐というテーマも加わり、更に物語が加速していく。
面白い、ただただ面白い!
これも、実に魅力的な役者さん達が演じているからだと思う。
全てが看板役者という劇団、クロムモリブデンの底力を感じた。
オーディショナーの方々も、魅力的な方はいらしたが、やはりクロムの方々に比べると差があるように思えた。演技力なのか、クロムという舞台での経験の差なのかはわかりませんが。
その中で、川村さんは劇団員に負けず劣らず、良かった。役柄の純真さを感じるみずみずしい演技でした。
クロムの劇団員さんはどなたも良かったが、特に武子さん&とかげさんの夫婦は良く、夫婦間の問題もありますが応援したくなる感じでした。
葛木さんには、驚かされた。舞台上でセリフがないシーンでの動きや表情を含め、実に上手い!登場シーンの電話の場面だけでも演技力の高さを感じました。
そして、幸田さん。やはり幸田さんでした(笑) 美人の無駄遣いと言われる幸田さんは、良い意味で上手いという表現ではなく、凄いという言葉が一番ふさわしいと思います。ダンスシーンは必見です。
今、書いていても色々なシーンが思い浮かびますが、葛木さんの登場の電話のシーン、宇野さんが殺処分屋に電話するシーン、物語の終盤で舞台上に全員が揃い、順々に冷凍されていくシーンが特に好きです。(あのダンスもたくさん見れますし(笑))
最後に、役者さん達が舞台を横切り、次のシーンに関係する人だけ残る場面転換は初めて見たので、とても面白いと感じました。
時間が取れれば、もう一度観たいです。