tksuzuの観てきた!クチコミ一覧

21-40件 / 41件中
鷗外の怪談

鷗外の怪談

ニ兎社

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2014/10/02 (木) ~ 2014/10/26 (日)公演終了

満足度★★★★★

魅力的なキャラクタ達
金田さん、若松さん目当てで、二兎社新作を観てきました。大逆事件を背景として、鴎外の二面性に焦点を当てたという触れ込みですが、決して難しい舞台ではありません。鴎外を中央に配し、様々な立場の人々との対話を通じて、明治末期の世相を生き生きと再現するだけでなく、現代へも通じる痛烈な政治批評ともなっています。本作は、永井氏の傑作戯曲の1本になると思われます。特に、鴎外、鶴所を振り回す森峰(鴎外母)は、時には、鴎外の小説を厳しく批評し、鴎外の後妻(森しげ)と不仲に不平をならし、明治の元勲山県へ助命嘆願に行こうとする鴎外を薙刀で牽制する、江戸、明治女性を出現させる、鮮やな演技でした。でも、鴎外の怪談と言われた複雑怪奇な内面とは、実は日本的maneuver、要するに処世術、またセリフにもありましたが、日本的不真面目さというのが適切ではと思います。何れにしても、近年の二兎社の新作としては、キャスト全員が二兎社初参加とは思えない座組みの出色の出来で、演劇的な楽しさを満喫できる舞台でした。

炎 アンサンディ

炎 アンサンディ

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2014/09/28 (日) ~ 2014/10/15 (水)公演終了

満足度★★★

死者は自ら遺書を読むことはできない
今秋の最も期待される役者人、演出の舞台でしたが、正直この舞台を日本でやるのは難しいと思いました。主人公ナワルの死後、遺言代理人から、双子の姉弟に、遺言として2通の手紙を自分たちの父と兄に届けるようにとの指示の元、中東の母の生地に赴き、結果的に、母の衝撃の半生と、自分たちの出生の秘密を知ることになる。最後のクライマックスで、その父兄に宛てた2通の手紙が読まれるのだが、舞台上では、死者であるナワルが現前として、その遺言を滔々と読むのである。この演出は、死者が葬式の場で立ち上がり、遺言を自ら読むような光景で正直気持ちが悪かった。映画と同様、死者は飽く迄過去の回想の中でのみ存在し、手紙の場面ではナワルは音声のみという演出にできなかったのだろうか?これでは、生者である双子の姉弟が真実を知って、母の心を知り、母の死と子供達の再生という演劇的カタルシスが台無しだったと思う。

恋夢

恋夢

少年ギ曲団

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2014/09/25 (木) ~ 2014/09/28 (日)公演終了

満足度★★★★

アットホームな感じで良かったです
当日は新文芸坐さんのオールナイトに行く前のソワレを観劇ました。劇場は、シアターグリーンでも一番大きいBIG TREE THEATERで、小劇場としてはかなり大きい規模(ご存知の通り、座席が急勾配です)ですので、がらがらだったら寂しいなと思いましたが、その予想は外れ、前方の席は満員状態でした。舞台自体は、舞台紹介の説明の通りのストーリでしたが、オーナに弱い博士、風見鶏のオーナの部下の3人組、亡くなった奥さん復活を願うあぶないオーナの掛け合いやコメディが楽しかったです。演出的にはエンディングのMJ-12が恋人を見つけてスイッチオンする場面が、オープニングにもあると、後の展開を観客が納得しやすくて良かったと思います。帰り際に、お母さんに抱かれて、赤ちゃん(きっとデビューですよね)も観劇していてたのに気づいて、アットホームな気持ちで劇場を後にしました。

インポッシブル・マリッジ -ありえない結婚-

インポッシブル・マリッジ -ありえない結婚-

俳優座劇場

俳優座劇場(東京都)

2014/09/25 (木) ~ 2014/10/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

生命力と道徳のギャップの面白さ
昨年、ステージ円で作者の『クライムス・オブ・ザ・ハート』を観た時も、逆境にあっても女性の生命力の凄さを感じさせる舞台でしたが、本作の主題は、生命力と道徳(結婚に代表される法・倫理システム)とのギャップと、最終的に生命力は道徳を超えていくものと感じました。舞台の展開は、妹の結婚を巡っての、母姉も含めて三つどもえのほとんどありえないという程の恋愛コメディーなのですが、最終的に結婚という道徳と妥協和解しないで突き進む生命力は、予定調和的なハッピーエンドとはなりません。ここで、『インポッシブル・マリッジ』というタイトルが重く響いてきます。コメディーいう体裁はとっていますが、一種の思想劇としても楽しめる舞台でした。

弄ばれて

弄ばれて

劇団競泳水着

スタジオ空洞(東京都)

2014/09/17 (水) ~ 2014/09/25 (木)公演終了

満足度★★★★

作家の作劇プロセスと劇中劇
劇団競泳水着さんは、2月に『許して欲しい(作家バージョン)』を高田馬場で観劇した際も、作家の創作プロセス自体を舞台に載せ、作家さん達を集めてかなりエグい演劇をされていて面白いと思っていましたので、今回はご自分の不倫体験を舞台に載せると伺い、期待してスタジオ空洞に伺いました。

ネタバレBOX

不倫話は、公演の紹介にもあり、予想通りでしたが、やはり面白かったのが、不倫相手のご主人との出会いの場面です。このご主人が実にいい方で、『妻の不倫相手の◯はどんな男ですか?』と妻の不倫作家に聞いたり、作家のブログ読者であることを伝えて、『つまらないことでいいので書いてください』という場面は大いに笑わせて頂きました。しかし、本筋は、この不倫話自体より、相変わらずこうしたグタグタな状況の中、制作や女優さんには怒られ、馬鹿にされながら、本を仕上げて、劇中劇では、不倫話を曝露するような下品な話ではなく、素敵な男女の出会いと分かれの恋愛劇に仕上げて、再度観劇に来た不倫相手のご主人からは、激賞される内容でした。実を言うと、この劇中劇をまた別の形で観せていただければと思います。
今回、客席が、通常舞台側の奥に配置されており、珍しい構成にするなと思っていましたが、実際舞台が始まると、通常の出入口自体が、役者さんが舞台への出入口に使われており、舞台の使い方含めて、とても印象的でした。
サバイブ!

サバイブ!

自転車キンクリーツカンパニー

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2014/09/13 (土) ~ 2014/09/21 (日)公演終了

満足度★★★★★

ペンギンの家族と人間の家族
作演出早船聡(サスペンデッズ)、好きな久松さんが出演する舞台ということで出かけて行きましたが、期待以上に楽しめる舞台でした。パンフのペンギンとサバイブの謎は、劇中で分かりました。子育てが終わり、自立を促す為に、家庭を解散するペンギンの話は、いつまでも自立できないで密結合している母子家庭的状況の舞台との対比でとても面白かったです。題名と内容があまりに乖離しているのは、作者の人間の家族への一流の皮肉なのでしょうか?

今はただ遠くからありふれた歌を-

今はただ遠くからありふれた歌を-

演劇企画ハッピー圏外

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2014/09/12 (金) ~ 2014/09/16 (火)公演終了

満足度★★★★★

りあなちゃんの初主演舞台
りあなちゃんのブログで、ロボット好きの女の子と友達が約束を守るために50年後の未来で出会う話とのことでしたので、ハッピー圏外さんらしいハートウォーミングな舞台を予想して、初日マチネに伺いました。正直、あまりかっこ良くない未来の現実と登場人物達が、前半に撒き散らされた数々の伏線と共に、そのロボットの起動と共に一挙に動き出し、最後の度肝を抜かれるクライマックスに至るストーリは、いい意味に予想を裏切るもので、面白かったです。りあなちゃんは、初主演舞台をとても楽しそうに演じており、7C型マルチパーパスコンテナ(???)を演じた浅野康範さんの前半と後半の対比、いつもは盛り上げ役のハッピー圏外の矢野さんや中川さんがとてもカッコよかったです。終演後に、劇団ショウダウンの主宰の方をお見かけしましたのが、『マナナン・マクリルの羅針盤』を観たばかりでしたので、ちょっと驚きでした。

わが友ヒットラー【当日券ございます】

わが友ヒットラー【当日券ございます】

風琴工房

TRUMPROOM(東京都)

2014/09/09 (火) ~ 2014/09/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

犠牲の羊と男の愛憎
この舞台の白眉は、やはり2幕後半のレームとシュトラッサの談合と思います。シュトラッサは、レームに、「ヒトラーはお前を見捨てているぞ(もう愛していないぞ)、突撃隊を使ってクーデタを起こし、一気に政権を奪取、革命を続行しろ。」と説得します。しかし、レームは、その説得を撥ねつけます。レームの中では、ヒトラーと自分は完全に一体(アドルストネズミの話は、三島の創作ですが、象徴的に使われていました。)であり、ヒトラー政権を磐石にする犠牲の羊に供される迄、ヒトラーとの戦士の友情を信じて疑っていませんでした。もしかすると、知っていて知らないふりをしていたのかもしれません。実際、史実でも、ヒトラーもレームの殺害にはためらいがあり、まず自死を勧めて、応じない場合は殺害するようにと指示しています。また、3幕に出てきますが、ヒトラーもレームの死にはダメージを受けています。レームの愛情もあながち一方通行ばかり(レームの愚かさ)とは言えないと思います。従って、本作を政治劇からだけ観ると軍人のレームは政治を理解しない愚かさしかみえませんが、美-エロティシズム-死のトライアングルの三島美学から観ると、ヒトラーにより殺されて犠牲の羊に捧げられたレームは、シュトラッサの「英雄が英雄的に死ぬとは限らない、ヒトラーがレームの死を命じてきたらどうするのだ」という皮肉にもかかわらず、最高に劇的な死を遂げたといえるかもしれません。この舞台を政治劇だけでなく、愛憎劇として観ていただくと、また別の楽しみ方ができると思います。

きらめく星座

きらめく星座

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2014/09/08 (月) ~ 2014/10/05 (日)公演終了

満足度★★★★★

5年ぶりの再演
『兄おとうと』に引き続いて、こまつ座さんの舞台を連続して、サザンシアターで観劇しました。記録を調べると、2009年5月に銀河劇場(最近銀河劇場行ってないな!)でのこまつ座&ホリプロ合同公演を観劇(不思議に、『兄おとうと』も5年振り4回目の再演)していました。ご主人役の久保さん、下宿人の木場さん以外は役者さんは変わっています。言わずと知れたオデオン座を舞台にした、井上ひさし昭和庶民3部作の一作であり、ジャズや昭和歌謡に彩られた素晴らしい音楽劇でした。

ネタバレBOX

『兄おとうと』(大正時代)と比較すると、時代背景(昭和初期)特有の暗さが感じられます。それは、家の長男が兵役拒否で逃げまわっていたり、妹の結婚相手が傷病兵であっただけでなく、太平洋戦争に至る工程が、舞台のカレンダーで正確に表示されており、オデオン座での最後の晩餐は確か、12月7日(太平洋戦争開戦前日)だったはずです。また、エンディングの音楽は、庶民の運命を暗示させるような(引越し先は、長崎や満州でしたよね)、とても不安にさせる演出でした。
マナナン・マクリルの羅針盤

マナナン・マクリルの羅針盤

劇団ショウダウン

シアター風姿花伝(東京都)

2014/09/05 (金) ~ 2014/09/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

圧倒的な一人芝居
東京千秋楽(2幕構成の10分休憩を挟む2時間20分とアフタートーク)を観劇しました。Corichの投稿やTwitterでの評判を聞いていましたので、ある意味予想通りでしたが、圧倒的な言葉の洪水(とにかく一人芝居なのに、殆ど朗読劇かという程のト書きと多数の登場人物のセリフ回し)を滔々としゃべり、演じまくる役者の力量、そこから観客の頭の中(敢えて舞台では言いません)で、冒険譚のイメージが立ち上がり、展開する様は圧巻でした。アフタートークでは、作演出の方から、千秋楽は元々お客さんの予約が●人だったのだが、最終的にほぼ満員の盛況で千秋楽を迎えて感謝の挨拶がありましたが、とても誠実そうな方で好感を持ちました。

HOTEL CALL AT

HOTEL CALL AT

メガバックスコレクション

南大塚ホール(東京都)

2014/09/06 (土) ~ 2014/09/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

開演前の演出も楽しかったです
開演前にも役者さん達が客席と舞台に登場して、とても楽しい演出があり、舞台への期待が高まります。ストーリは、メガバックスコレクションさんの代表作と自称するだけあり、舞台も最後迄良い仕上がりで、2時間があっという間でした。

回禄のニライカナイ【アンケート即日公開】

回禄のニライカナイ【アンケート即日公開】

劇団バッコスの祭

あうるすぽっと(東京都)

2014/09/05 (金) ~ 2014/09/08 (月)公演終了

満足度★★★

思想劇、政治劇は正直苦手です
演劇として、悲劇を語り継ぐということを禁じる 「歴史認識保護法」が成立した近未来の物語。悲劇を語り継ぐ劇中劇と現実の公演を劇団が弾圧下で公演を実施しようと苦闘する政治劇の二重構成の舞台。舞台の構成はなかなかカッコいいのですが、正直、後者の政治劇は全く頂けませんでした。また、悲劇を伝える劇中劇には説得力はなかったです。最初の合唱と最後の三味線演奏は良かったです。

星灯り

星灯り

TEAM 6g

萬劇場(東京都)

2014/09/03 (水) ~ 2014/09/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

初TEAM 6g 初萬劇場
夫婦をテーマとしたハートフルコメディーということで期待して出かけましたが、期待以上の舞台で大変満足しました。本の構成が良く出来ており、当初主人公と思われた若い夫婦のエピソードから、一転してペンションでのドタバタコメディーとなり大いに笑わせて、クライマックスで泣かせる構成は、良かったです。

水面の月、揺れる、揺れる

水面の月、揺れる、揺れる

劇団皇帝ケチャップ

北池袋 新生館シアター(東京都)

2014/09/01 (月) ~ 2014/09/03 (水)公演終了

満足度★★★

前半の展開でもうちょっと笑いが取れるいいですねど
前半(人妻の家出物語)の展開はどうなるかなと思いましたが、後半(家出先での出会い)はサスペンスタッチで、結構泣かせる話で面白かったです。初見の劇団さんでしたが、まだ、劇団立ち上げして2公演目ということで、ちょっと役者さんの演技が稚拙なところはありましたが、初初しく、主宰の挨拶等好感が持てました。

無意味な花園

無意味な花園

空想組曲

サンモールスタジオ(東京都)

2014/09/02 (火) ~ 2014/09/07 (日)公演終了

満足度★★★★★

あっちの世界へ
空想組曲のほさかワールドと松本紀保さん・西井幸人君の怪演の見事な融合。完全にあっちの世界へ持っていかれる舞台でした。

UNKNOWN HOSPITAL

UNKNOWN HOSPITAL

壱劇屋

小劇場てあとるらぽう(東京都)

2014/08/30 (土) ~ 2014/09/02 (火)公演終了

満足度★★★

力技のパフォーマンスと可愛さ
末満健一さん推薦の大阪の劇団さんの東京初演ということで、お笑いをとりにくるのかと思いきや、結構カッコイイ音楽と演出をする劇団さんでした。話が完全ループしてるんですけどというところと、役者さんが途中で談合を初めて、このグダグダどうやって落ちに持っていくのか心配させましたが、結構力技でのエンディングでした。初日ソワレはほぼ満員で、3度カーテンコールもあり、主催の方の可愛い大阪弁で『何も用意してません』の挨拶がなかなかよかったです。

わたしの星

わたしの星

ままごと

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2014/08/21 (木) ~ 2014/08/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

『わたしの星』と『わが星』
『わが星』の学生版の焼き直しかと思ったのですが、いい意味で想定は裏切られました。『我が星』は、夏休み最終日(別れと出会い)、二学期初日のロケットの見送りで見事に『わたしの星』という劇中劇とし取り込まれていました。キャストの高校生の方たちの演技がとても眩しくて、8月の終わりに本当に良い観劇ができました。

グレイトハンティング

グレイトハンティング

劇団HOBO

駅前劇場(東京都)

2014/05/20 (火) ~ 2014/05/25 (日)公演終了

満足度★★★★

劇団HOBOお得意の田舎の群像劇
舞台はいい意味で、タイトルを裏切っていましたが、劇団HOBOお得意の田舎を舞台にした、変な人たちばかりがたくさん集まってくる愉快な群像劇でした。

夢も希望もなく。

夢も希望もなく。

月刊「根本宗子」

駅前劇場(東京都)

2014/01/10 (金) ~ 2014/01/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

月刊「根本宗子」初観劇
過去の自分と現在の自分が舞台上に並行し、時にはシンクロしながら進む舞台。幼ななじみの友人の忠告通り、過去の自分の決断は結果的に、夢も希望もないという、タイトル通りの現在の自分へつながるのだが、しかし、そうして生きる自分とその生を、エンディングのサークルオブライフとともに、許し、力強く肯定する。脚本演出役者共にとても良くできた、面白い舞台でした。

片鱗

片鱗

イキウメ

青山円形劇場(東京都)

2013/11/08 (金) ~ 2013/11/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

さすがです
手塚さんをこんな贅沢な使い方をして、役者が『ゆるさない』とか言い出して病院行きにならないか心配です。冗談はさておき、舞台自体は本、演出、役者の演技とも素晴らしく、さすがイキウメさんという舞台でした。

このページのQRコードです。

拡大