バルブはFB認証者優遇に反対!!の観てきた!クチコミ一覧

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盲年【東京公演】

盲年【東京公演】

幻灯劇場

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/09/30 (木) ~ 2021/10/04 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

■90分強■
劇作家協会新人戯曲賞の最終候補作となり、『優秀新人戯曲集2020』にも収録された、能『弱法師』を下敷きとする一作。最終選考会から2年近い時を経て大幅な加筆修正がなされた脚本はもともと強かった奇怪味、不条理味がさらに強まり、秀逸にしてブラックな言葉遊びがさらに足されて確実にブラッシュアップされていたが、「ほんの少し複雑な物語」と当日パンフの挨拶文で作者自身も認めている通り、改作を経ても脚本のゴチャついた感じは解消されておらず、新人戯曲賞版同様、話はかなり呑み込みづらく、最後の最後まで消化しきれなかった。不条理味の強い作風からしてストンと腑に落ちるような劇を書く気は毛頭ないのだとしても、主人公である盲目の少年の今は亡きお母さんが誰なのか、せめてそれぐらいは詳らかにして欲しかったところ。とはいえ、二、三人いるお母さん候補のうち、少年の回想シーンに登場する鳩川七海さん扮するお母さんの、なんと魅力的なこと! 夕日の中にいるのだと少年の父が教えるお母さんは真っ赤な服を身にまとって強烈な存在感を放ち、演じた鳩川さんの地(じ)なのだろう、明るくおおらかで優しそうな雰囲気が客、殊に男性客を放ってはおかず、「元始、女性は太陽であった」という言葉を想起しながら、周囲を煌々と照らすような華々しいその姿に見入ってしまった。
本作の分かりづらさを非難するようなことを延々書いておきながらこんなことを述べるのはおかしいのかもしれないが、ド冒頭で提示された伏線を回収しつつさらに話を謎めかせるようなラストも好き。
最後に、本カンパニーはクリエイター集団という性格が強く、「映像作家や俳優、ダンサー、写真家などジャンルを超えた作家が集まり、(中略)創作をする演劇集団」だそうで、事実、シンプルなセットに絵や映像を投射して状況を表現する趣向などはたいそう効果的で面白く、プロフェッショナリズムを感じたが、各クリエイターの仕事を演出家が統括しきれていない印象は否めず。演出面における、全体的に不統一な感じはそこに起因するのでは?

ネタバレBOX

少年の父が高校時代にハマっていたのは、コンドームに穴を開けて廊下に落とし拾ってセックスした学生を妊娠させる遊び。盲目の少年がありつく仕事は工場での検品作業。作中に満載のこうしたブラックユーモアは今やほとんど触れる機会がなくなったので、次作にも存分に注ぎ込んで欲しい。
海底歩行者

海底歩行者

ぐうたららばい

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/10/14 (木) ~ 2021/10/18 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

■約95分■
子供を失った夫婦の話であることは、チラシを通じてあらかじめ観客に伝えられている。したがって、幼な子との幸せすぎる日々を掌編集形式で描いた前半を観れば、そのうちこの子はいなくなるんだ、夫婦はこれから愛児のいない日々を過ごすのだと考え、観客の胸は悲しさで張り裂けそうになる。子供を失ったと夫婦が気づく場面が、その悲しみに拍車をかけ、そこで幕切れとしてもいいぐらい。極言すれば、前半部分のみでこの劇は充分成立している。だが、それだけでは物語としての結構がつかないと考えたのか、後半では、子を失った夫婦の“その後”が、そして末路が描かれる。その“末路”について思うところは、ネタバレにて。
愛児役を場面に応じてママ役の女性俳優が演じたり、パパ役の男性俳優が演じたりする演出が面白かった。

ネタバレBOX

舞台下手には金魚鉢が据えてあり、一家は金魚を飼っているという設定。これにちなみ、劇は金魚に擬した夫と妻がまるで追いかけっこでもするように舞台上を回遊するシーンで始まる。問題は、エンディング。同じく金魚に擬した夫婦がオープニング同様、連れ立って舞台上を回遊するのだが、二人は終始身を屈め、曲がった腰に手をあてがっている。二人が生涯添い遂げたことを暗示するこの幕切れには大きな違和感を覚えた。
愛息子・柚(ゆう)君の死後、「柚君の所に行きたい!」と妻が夫に殺害を求めたり、夫が息子の生前から浮気していたことが発覚したり、夫婦の間には修羅場が相次ぎ、あげく妻は夫に離婚を提案。殺伐としたそれら一連のシーンを観ていると、とても二人が生涯一緒に居られそうには思えず、ラストが老夫婦となった二人の回遊シーンというのはどうしたって受け入れがたい。
それよりは、長い暗転を間に挟んで回遊シーンの前に置かれた、“最後の旅”のくだりが終幕には相応しい。離婚前にもう一度だけ、と説得されて妻が夫と向かった先は、柚君をお腹に宿しての新婚旅行で、そして、無事生まれてきた柚君を交えての家族旅行で訪れた海辺の町。そこで海の上を走る柚君を見た夫婦は二人して海に飛び込んで柚君と再会し、三人で大気中をグングン上昇、やがて大気圏をも突破し、パパが「いつかみんなで(笑)」と柚君の生前に冗談めかして言っていた「宇宙旅行」を果たし、夫婦は声を限りに「柚く~ん!」と絶叫して喜びに震える。
夫婦から柚君への果てしない愛情を描いた本作のラストには、柚君無しでは生きていけない夫婦による殉死とも言うべき入水自殺を暗示した、喜劇的でありながらもどこか切ないこのシーンが相応しい。
病室

病室

劇団普通

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2021/07/30 (金) ~ 2021/08/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

■約120分■
奇を衒った劇団名が引っ掛かって長年遠ざけてきたカンパニー。名前だけで毛嫌いしてきたこの団体の公演に私の足を運ばせたのは、ひとえにキャスティング。安川まり、小野寺ずる。この2名の名がチラシに載っていなければ、この団体の劇を観ることは生涯なかったかもしれない。そう考えると、キャスティングって重要。
内容は、大病院の入院病棟を舞台に描く、家族四態。ほぼ全編茨城弁ながら、茨城弁は口語でもあって、劇的言語を極力排したリアリズム志向の作風は、現代口語演劇を謳う青年団を彷彿させる。ただ、青年団の劇が“上演時間=劇世界での経過時間”なのに対し、回想が多用される本作は年単位の長い時間を扱っており、その分、各家族の物語が奥行きを伴って描かれる。
リアリズムを重んじたきめ細やかな脚本・演出は不安を抱える入院患者たちの心の襞、ひいては心配する家族と患者たちの関係の機微を緻密に描き、優しい家族に対する照れから本心とは裏腹なことを口走ったりする姿は入院中の身ではなくとも思い当たる節があって、胸がざわつくことたびたび。
それでも満点としなかったのは、時々起こる笑いの多くが茨城弁に、そして用松亮という役者に依存していると思えたから。笑いが好きで練りに練った笑いにこれまでたくさん触れてきただけに、標準語話者にとっては奇異で滑稽に感じられる地方イントネーションに大きく依存した安直な笑いに触れるとズルいと感じてしまう。一役者に過度に依存した笑いにも同様のことを感じてしまうのは私の度量が小さいせいか?
なお、このカンパニーが過去に上演した不条理小説の大家・カフカ原作の『変身』『城』などが本作同様リアリズム寄りの脚本・演出で上演されたのかは不明であり、リアリズム演劇というのが、あくまでも本作を観ての印象に過ぎないことを最後にお断りしておく。

ネタバレBOX

ともに優しい妻と娘にもっと見舞いに来てほしいのに、来ると憎まれ口を叩いてしまう小野ゆたか演じる中年患者が、二人が車で帰っていく姿を窓から秘かに見送るシーンにはしみじみ。
スーパーポチ

スーパーポチ

コトリ会議

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/09/23 (木) ~ 2021/09/27 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

■75分強■
帰省して久々に会った兄夫婦が実家を捨てて旅立つ動機は? 元担任教師が実家に入り浸ってる理由って? そもそも先生の右手が如雨露になってるのは何故? 
疑問を挙げたらキリがないが、思いがけない展開の連続で、とりあえず退屈せずに最後まで観られた。

ネタバレBOX

小学校時代、ヒロインと先生の間に花壇で何が起きたのか、ぼかされているだけに気になりました。まあ、推して知るべしですが…。
Cape jasmine

Cape jasmine

ニッポン放送/ぴあ

日本青年館ホール(東京都)

2021/10/06 (水) ~ 2021/10/07 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

■約85分■
根本宗子とニッポン放送のコラボ演劇にはロクなものがない。「目指したいのはミュージカルとライブの間です。決して「演劇」ではないものを作ろうとしています。」という意気込みとは裏腹に、出来上がったものは中途半端な演劇であり、中途半端なミュージカル。ニッチェ江上の図抜けたコメディエンヌぶりと意外な歌唱力、あっこゴリラの闊達な演技とラップ、耳目を惹かれたのはこれだけだった。

ネタバレBOX

そもそも、妄想オチは夢オチと並ぶ反則技。「演出家が逃げ中止が決まったのに開かれる記者会見」全体が横山由依の妄想だったと明かされた時には、それまで真剣に観ていただけに、がっかりさせられた。
どうして、演出家の失踪理由を掘っていく方向に話を進めなかったのか?
段差インザダーク

段差インザダーク

コメディアス

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/08/11 (水) ~ 2021/08/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

■約90分■
重い貴重品を載せた台車で、つぎつぎ段差を乗り越えていく――。これだけで90分もたせるのは大変だろうに、ほぼほぼ段差のくだりだけで時間を埋めているのは脚本力の賜物。笑いへの期待値が高まってハードルが上がるのを承知の上で「コメディアス」と名乗る潔さにも好感。一同が細かいことにこだわるあまり笑いが生まれる緻密な脚本がヨーロッパ企画を彷彿させる。次作にも期待。

ネタバレBOX

最初に読んだあらすじでは未来社会という設定だったところを、考え直したのか、違う設定に変えていた。設定変更は適切な判断だったと、観て納得。
<会場変更/追加公演有>山中さんと犬と中山くん

<会場変更/追加公演有>山中さんと犬と中山くん

渡辺源四郎商店

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/09/02 (木) ~ 2021/09/07 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

■約80分■
俳優たちによる5つの掌編の朗読と、短編演劇2本、計3コンテンツの寄せ集め。全体を貫く格のようなものもなく、こんなご時世にわさわざ上演するほどのものか、と疑問が残った。

ネタバレBOX

全体を犬でくくるのかと思いきや、現代の東京で仇討ちが起こり男たちが刀を抜き合う3編目は犬とは無縁。ナントカケンノスケ(犬之助?)という人名に犬が絡んでいるかもしれない程度で、この不徹底にはがっかり。「犬」はタイトルにも謳われているのに…。
1編目は観客を煙に巻くような内容だし、全体を通して、楽しい、面白い、と思える時間がほとんどなかった。
更地16

更地16

大森カンパニー

ザ・スズナリ(東京都)

2021/07/28 (水) ~ 2021/08/08 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

■約110分(カーテンコール込み)■
演技力でもって笑いを増幅できるような天性のコメディアン体質の役者が、大森ヒロシと山口良一しかいないのが物足りない。2人よりひと回りふた回り若くて、地力で笑いに拍車をかけられる、三宅弘城のような役者の加入を望む。
13編あるコントの中では、緻密な脚本が光る5、11、12番目の作品、そして、大森ヒロシと山口良一の、全てアドリブであるかのようなライブ感あふれる掛け合いが楽しい10番目がお気に入り。

ネタバレBOX

4編目の「まぁまぁ友」、6編目の「向いてない人々」はいまひとつの出来。
これしき

これしき

ほりぶん

王子小劇場(東京都)

2021/07/27 (火) ~ 2021/08/01 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

■約75分■
今回はストーリー性に乏しい上、山場も力不足。

ネタバレBOX

ひょんなことから友達になった女5人が、付き合いを続けるうちにそれぞれの恐ろしい(?)裏の顔を表し、関係がこじれていく物語。是敷(上田遥)の裏の顔が気功術もどきの使い手、横手(川口雅子)の裏の顔が怪力女というのは、ちょっと弱かった気がする。この2人の対決が本作の山場なれど、単なる力と力のぶつかり合いになってドタバタしているだけで、退屈してしまった。ここは一捻りほしかった。
“だいじょうぶじゃない”短編集

“だいじょうぶじゃない”短編集

果てとチーク

アトリエ第Q藝術(東京都)

2021/07/22 (木) ~ 2021/08/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

■125分強■
「だいじょうぶじゃない」という言葉で、4つの短編を無理やり括ってる印象。とりわけ2編目は、だいじょうぶかどうかなんて尺度で作品を測るのがまるでしっくりこない、ドタバタSFラブコメディ。それはそれで面白かったからよかったけど。
3編目は、人物と名前の対応関係が客には充分周知されていない序盤から作中人物の名が会話の中にポンポン飛び出し誰が何してどうなったのかよくわからないまま終幕となって、話がつかめなかった。
作品によって濃淡はあれど、どの話にも笑いがある点には好感。

ネタバレBOX

母からセクシャルハラスメント(?)を受けて女性恐怖症となった男子学生が、母の命令で女しか生まれなくなる薬を将来発明すると未来人から知らされる2つめの短編は、時間的制約もあってか話のポテンシャルを出しきらないまま終幕となってしまった印象。勿体なく感じた。
奇跡を待つ人々

奇跡を待つ人々

東京夜光

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/07/24 (土) ~ 2021/08/04 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

■約115分■
一つのSF作品として、すなわち世界観の相克の劇として、途中までとても面白く観た。

ネタバレBOX

が、イチが終盤で口にする「奇跡」の意味が、「奇跡」というその語がどんな事態を指すのかがよく分からず、繭の中のごとく安全・安心(図らずも旬なワードになっている笑)な部屋から恋仲(?)となったノンを伴い奇跡を求めて戸外に踏み出すラストシーンで彼らの高揚を共有できなかった。
アンジェリーナ3:49

アンジェリーナ3:49

MCR

ザ・スズナリ(東京都)

2021/07/14 (水) ~ 2021/07/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

■約90分■
MCRを観始めて間もなく10年。「ここ10年で最も振りきった、振りぬけた作品になった」という作者の言葉に偽りなし!!

ネタバレBOX

ドライブで立ち寄ったあの地この地でそれぞれの過去を清算して吹っきれた個性豊かな面々がゴキゲンなナンバーを代わる代わる絶唱するラストシーンでは、避けられない悲劇の一歩手前で一閃する束の間の幸福を、彼らと一緒になって体感! 演者と客とが空間を共にする、演劇にしか生み出し得ない恍惚に酔い痴れた!!
ソルティーなんとかメモリー

ソルティーなんとかメモリー

劇団かもめんたる

駅前劇場(東京都)

2021/06/26 (土) ~ 2021/07/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

■約110分(カーテンコール込み)■
SF的設定を施して奇譚めかせてはあるが、話の骨格だけを見るならば、ちょっとひねくれた人情噺といった趣。人情なんて枠には収まらない、一筋縄ではいかない人間のありようを岩崎う大には描いてほしい。

ネタバレBOX

とは言いながら、宇宙娼館のくだりは多分にバカバカしくて面白かった。
猫を探す

猫を探す

このしたやみ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/06/25 (金) ~ 2021/06/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

■約85分■
●大学事務員の地味なアラ還男にもあった、女性がらみの蹉跌。それを可笑しみを滲ませながら丹念に描いていて、同じく若くはない男の一人としてしみじみ見入った。

りぼん,うまれかわる

りぼん,うまれかわる

ナッポス・ユナイテッド

六本木トリコロールシアター(東京都)

2021/06/18 (金) ~ 2021/06/27 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

■120分強■
容姿やキャラクターが似すぎているあまり、冒頭の20分ほど、ヒロイン役の深川麻衣さんのことを、共演女優の中西柚貴さんだと信じて疑わずに鑑賞。そのうち、同じ舞台上に中西さんもいることに気づき、ようやく錯誤を覚った次第(爆)。
それはそれとして、輪廻かもしれない事象の真相をミステリー仕立てで炙り出していくストーリーの面白さたるや!
ヒロインの鞄をプチ悲劇が襲うシーンはヒロインの持ち前の可愛さと演技力を音効、照明が強力バックアップして鉄板の笑いを生んでおり、山崎彬の演出家としての才気をあらためて思い知らされた。

ネタバレBOX

ラスト、キレイにまとめようとしているが、肌篠天が放つ一言、「私たち、普通に出会ってても友達になれたよね」に違和感。共感できず、腑に落ちなかった。
そこまで波長の合う三人には見えなかった。
ウィルを待ちながら~インターナショナル・ヴァージョン

ウィルを待ちながら~インターナショナル・ヴァージョン

Kawai Project

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/07/02 (金) ~ 2021/07/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

■約90分■
初演にかなり手を加えての上演。シェイクスピア諸作品のセリフを組み合わせてオリジナル劇をこしらえるという試みは初演よりも上手くいっていた印象。ただ、結末は初演のほうが締まっていたような…。

ネタバレBOX

駅前劇場もそうなったようだが、アゴラも舞台上は火気厳禁となったのか、シェイクスピア役者二人が舞台上で鍋を食べつつ思い出話に耽るシーンは、エア鍋になっていて、少し味気なかった。
Silent Scenes

Silent Scenes

ゼロコ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/06/11 (金) ~ 2021/06/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

■約100分■
沈黙を強いられる、あるいは人々が沈黙しがちな状況下で展開される静かなドタバタ騒ぎ。テーマにあまりそぐわない一編があったり、終章が分かりづらかったりとアラはあるものの、パントマイムという禁じ手だらけのストイックな表現分野で、沈黙という難しいテーマに取り組み、笑わせたり唸らせたり、ここまで魅せる100分間を作り上げたのは見事。

ネタバレBOX

図書館、表と裏、ある男の一日、エレベーターの4編(もっとあったかも…)を序章と終章で挟み込む構成。
「ある男の一日」はある男の一日が何度も繰り返し演じられ、都度都度リミックスされていく一編。リミックスの妙により、もともとは別々だった食べるシーンと嗚咽シーンが接続されて笑いを生んだり、巧く作られてはいるものの、沈黙というテーマからは逸れていて、これがために作品全体の一貫性が削がれてしまったきらいあり。
外の道

外の道

イキウメ

シアタートラム(東京都)

2021/05/28 (金) ~ 2021/06/20 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

■約115分■
世界の仕組み(?)に気づいた男女の数奇な日々…。表現するのが難しそうな題材に果敢に挑んでいる。黒沢清監督の映画『CURE』を想起した。

オイディプス/コロノスのオイディプス

オイディプス/コロノスのオイディプス

隣屋

こまばアゴラ劇場(東京都)

2021/06/03 (木) ~ 2021/06/08 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

■『オイディプス』『コロノスのオイディプス』両作鑑賞/各約60分■
戯曲をストレートには上演せず、要所要所を抜粋して映像と実演で見せていく、いわばリミックス演劇。客は会場内を移動し、同時多発的に展開される映像を自ら選んで視聴、実演中は各映像から音が失せ、みんなが上演を観るという趣向。
この種のリミックス演劇は、来場者全員が話の筋を知っているという前提で企画されるのだろうが、この種の公演を観るたびに思うのは、客を買いかぶり過ぎだということ。演劇好きだから『オイディプス』の筋は知っていたものの、『コロノスのオイディプス』のストーリーは知らなかったし、若い客の中には『オイディプス』の筋を知らない人もいたに違いなく、当日パンフにあらすじは書いてあるものの、開演までの短時間では筋を把握できなかった客もいたはずで、上記2演目は元ネタがメジャーでないと成立しないリミックスには不向きだと感じた次第。リミックスの素材にしていいのは桃太郎とサザエさんだけだと主張したい。
それ以前に、なぜ今『オイディプス』なのか、という上演動機が見えてこないのも気になった。当日パンフの挨拶文では「選択」という語がキーワードとして頻用され、人生は選択の連続だと主張。選択の連続から成る『オイディプス』の物語を取り上げた理由の示唆にも思えたが、選択の連続から成るのはすべての物語について言えること。『オイディプス』を取り上げた理由としては弱いと感じた。
また、コロナ禍に突入してから、私たちは日々選択させられている、と感じることが増えた、とあるが、行動が制限されて選択の余地が狭まった、というのが実相であって、選択させられている、というのとはまた別なんじゃないかと、素朴にそう思った。
実演パートはしっかり演出されていた。この精度で頭からお尻までちゃんと上演すればいいのに、と、これまた素朴にそう感じた。

ネタバレBOX

映像は両作で同一。できれば変えてほしかった。
肉のマサオカ

肉のマサオカ

動物電気

駅前劇場(東京都)

2021/06/05 (土) ~ 2021/06/13 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

■115分弱■
思いつきをただつぎはぎしたような、行き当たりばったりな脚本が諸悪の根源。だから話がブツブツ途切れて一貫性がなく、ドタバタシーンにも乗り切れなくて、いつもほど笑えなかった。
2年に1度なんだから、もっとしっかり作り込んで下さい。

ネタバレBOX

海の女神も、豚・牛・鶏のバケモノも、ぜーんぶ思いつきだから、それら諸要素がまとまることなく、ストーリーという名のうねりを生まない。これまでに観た動物電気でいちばん不出来だった。

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