実演鑑賞
満足度★★★★
■約95分■
子供を失った夫婦の話であることは、チラシを通じてあらかじめ観客に伝えられている。したがって、幼な子との幸せすぎる日々を掌編集形式で描いた前半を観れば、そのうちこの子はいなくなるんだ、夫婦はこれから愛児のいない日々を過ごすのだと考え、観客の胸は悲しさで張り裂けそうになる。子供を失ったと夫婦が気づく場面が、その悲しみに拍車をかけ、そこで幕切れとしてもいいぐらい。極言すれば、前半部分のみでこの劇は充分成立している。だが、それだけでは物語としての結構がつかないと考えたのか、後半では、子を失った夫婦の“その後”が、そして末路が描かれる。その“末路”について思うところは、ネタバレにて。
愛児役を場面に応じてママ役の女性俳優が演じたり、パパ役の男性俳優が演じたりする演出が面白かった。