お召し列車
燐光群
座・高円寺1(東京都)
2015/11/27 (金) ~ 2015/12/06 (日)公演終了
満足度★★★★
「台詞が沁みる」
多分、色々な「思想」があるので、どれが正しくて、間違ってるとは言い難い。
予備知識なしに観劇した『お召し列車』。
まず、「台詞が沁みる」。
個人的には「女」を演じた渡辺美佐子さんの「幸せを何ではかるの?」
と言った台詞が妙に沁みた。
渡辺美佐子さんのお歳をあとで調べて、かなり衝撃を受ける。
普段、観劇する状況とかなり違ったのも、面白い。
日本特有の排他する事によっての、調和保持。臭い物に蓋をする・・。
ただ、当事者(排他される)になった時は・・・
色んな史実も元になっている。
ただ、史実、資料だけでは虐げられた人たちの
本当の涙は見えないのかもしれない。
物凄く最初の方で、「女」が旧友と再会した場面。
何故だか、この場面が好き。ぎゅうと時を引き戻した「ふたりの女学生」
楽しい事ばかりでは無かった・・。という台詞。
当時の人たちが未来を見る事は、夢の様な事だったのかもしれない。
人知れず、都合で追いやられる。
劇中の中で、病気の人に対しての「未来」が悉く、奪われる処置を国が行っていた事。
一番、簡単で、一番、残酷なんだろう。
演技は勿論、するのが演劇。でも、今回、「演技」と、
その年輪のパワーを感じた。
物語は、「未来」のオリンピックに向けての車両選考会。
でも、その「未来」は色んなものを踏みつけてきた「未来」なのかな?
「関係ない」と見ない事も簡単。
今まで、「知らなかった」事も多かったのだから・・。
でも、この「芝居」をきっかけに
少しでも「知ってしまった」事は事実。
考える事、少し、出来る筈・・。
何故今回観劇しようと思ったか?
ダルカラード・ポップの東谷英人さんがこの劇団に出演しているのを
機会があればと・・と思っていた。
前情報がほとんどない状態で拝見。
もっと、重苦しい、堅い芝居のイメージを持っていたが、そうでは無かった。
劇中の東谷さんは、少し、クールな感じで他の役柄があまり、
波風立てないようにしているのに、あえて、ある「モノ」に執拗に絡んで、
色々面白い。
個人的に、東谷さんの「S」っ気のある声のトーンが好きなのでこういった役柄はハマっていると思う。
でも、少し、寂しい役柄なのかなと思う。
東京裁判 pit北/区域閉館公演
パラドックス定数
pit北/区域(東京都)
2015/12/22 (火) ~ 2015/12/31 (木)公演終了
満足度★★★★★
善き芝居を観た。
善き芝居を観た。
今年最後に、本当に観れて、良かった。
ただ、涙が流れたのは、台詞の向こう側の光景や、心情を自分の中ではあるが
増幅された瞬間があったからだろう。
膨大な会話劇の中の台詞に、心が飛ぶ。
『1946年東京、市ヶ谷。
極東国際軍事裁判所本法廷』
この5人の弁護人たちの
会話劇が、なんとも、静かではあるが
時に、熱く時が進む。
法を守るべき、それは至極正論。
しかしながら、あの時代に、本当に
「法」の正義は存在したのだろうか?
多勢に無勢、日本は、どう、
「戦う」のか?
本当に観ながら、専門的な事も
勿論出てきますが
息をつくのも憚れるような「傍聴」している観客も背筋が伸びるような
空間の中、
時折、「くすっ」と息つく場面もあって、
野木さんの書くホンは、他にない感じだなといつも思う。
ごりごりに硬派かと思うと
少し、お茶目なところもあって
この匙加減が、たまらなく素敵である。
*野木さんの前説・後説が観劇の楽しみのひとつでもある*
劇中
鵜沢 総明(西原誠吾さん)が「日本人、沢山死んじゃいましたからね」って
言う台詞が、普通に、普通に、言うんですけど
私の今日のスイッチがそこだったみたいで
そこで「ぷちっ」と入ってしまった。
体験した事のない戦争中の様々な人々の死の悲しさや、悔しさ、を
増幅させていった。
「感情」では「法」は遂行出来ない。
私の安っぽいヒューマニズムがそうさせてしまったのか。
涙が出てしまう。
柳瀬 秋午(今里真さん)の最後の方での台詞も
もう、涙が出てしまってしょうがない。
押さえて、押さえて、
問う台詞に、もう、無理だった。
この芝居ではこの5人の登場人物それぞれの
「キモチ」を、ある意味プロフェッショナルの姿に置き換えて
観る事が出来る。
ただ、「仕事」としてではなく諸外国を相手に戦う
「日本人」としての「キモチ」をなんとしてでも
遂行するための熱い1時間40分だった。
あっという間の時間だった。
観劇を強くお薦めします。
私は今年最後の観劇がこの芝居出逢った事、
幸せだと思います。
台本購入
そして、先行の特典のチョコレート。
Wミーイングだった・・。
殉職刑事
香魚拓
劇場MOMO(東京都)
2014/11/05 (水) ~ 2014/11/09 (日)公演終了
色んなとらえ方
コメディーとうたっている「殉職刑事」
流れ的には、男性キャスト、女性キャスト(パワーありました!!)個々の俳優のある意味抑えた演技と、弾ける演技のメリハリがきいていた。
全体に楽しく観劇。
劇中の絵本と、「死」のとらえ方に
観劇しながら色々な事を考えました。
立場でもまた、変わるんだろうなとも。
年代的にツボ的なフリが沢山あって、20代と30代とではまた違うのかなとも。
笑って、ほろっとした芝居でした。
六悪党
トライヲンズ
下高井戸 HTS(東京都)
2014/10/01 (水) ~ 2014/10/13 (月)公演終了
満足度★★★★★
まっすぐな
何が「正」で何が「悪」なのか。
皆がまっすぐに信じたことに
突き進むことだけに全てをかけた時代。
そんなことを考えた芝居だった。
各キャスティングの妙も、今回は面白い。
感想はTwitterですでにのべていたが
改めて。
鶴かもしれない
EPOCH MAN〈エポックマン〉
明大前KID AILACK ART HALL 5F ギャラリー(東京都)
2014/05/22 (木) ~ 2014/05/26 (月)公演終了
満足度★★★★★
鶴かもしれない
「想像」させる芝居。
基本でありながら、意外と感じ取ってもらえないものが多い気もする。
今回はイマジネーションをフルに働かせて貰った。
三回観劇。
観る場所を少しずつ変えて。
空間・ヒカリ・闇・オト・息遣い・・・。
顔が見えなくても
肩が震える・・・。気持ちが伝わってくる。
横顔、陰影による表情の違い・・。
指先の動き
目の動き
唇の動き
息遣い
蜜に、本当に密に伝わり、私のココロに感情が流れ込む。
熱を感じた芝居だった。
触れる事は出来ないけれど、熱を感じた。
それは、想いが激しく燃えるからなのか
悲しさが深いからなのか
切なさ、辛さ、苦しさ、愛おしさ、
色んな想いが噴き出てくる熱だったのかなと
感じた。
与える事。
ただ、与えたいだけ。
例え、自身が辛くても、狂いそうになっても
与えたいだけ。
私には、そこまで燃え上がる想いがあるかどうか
分からないけれど
感じる事は出来たとおもう。
ただ、与えるだけの想いは
苦しい。
そんなことを考えながら、観た。
献身的な愛は
美しいのだろうか。
身を引きちぎりほど、辛いのだろうか。
愛とは何なんだろうか。
簡単に口に出来る愛って、愛なのだろうか。
そんなことも考えてしまった。
耕太、宙に浮きながら
EPOCH MAN〈エポックマン〉
キッド・アイラック・アート・ホール(東京都)
2014/02/07 (金) ~ 2014/02/11 (火)公演終了
満足度★★★★★
観てきました。
初日。
渡辺×菊妻Ver
静かに伏線が張られ、最後に細い糸が全く違った物語の布に織り上げられた芝居。
それが、第一印象。
小沢道成さんの細部にこだわったホンが良かった。
そして、今回のWキャストの意味が
8日に観た小沢×西川Verで明らかになった。
可能であれば両方の回を観劇をお勧めです。
曲がるカーブ
クロムモリブデン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2014/01/09 (木) ~ 2014/01/23 (木)公演終了
もお!!!
初観劇
じわじわと皮膚に沁みこんでくような
重低音。
ホンが半年前、稽古が3か月強
かけて送り出される芝居は
強力でした。
ずるいし、うまいし、反則だし、面白いし、ぞくっとするし、
なんていうのか
やばいです。
もう、8月も行くしかない。
プラトニック・ギャグ
INUTOKUSHI
駅前劇場(東京都)
2013/12/25 (水) ~ 2013/12/29 (日)公演終了
まさか
犬と串で、まさか涙が零れ落ちるなんて想像できなかった。
しかし、確かにあの時間・・・。
切ないけど
悲しいけど
美しい、あのシーンが続けばいいのにとさえ
感じた。
藤尾さんの台詞が
頭から離れずにいた。
笑った。でも、泣いた。終演後、急ぐ自分の頬には涙が残っていた。
黎明浪漫譚-れいめいロマンティック-
エムキチビート
吉祥寺シアター(東京都)
2014/01/07 (火) ~ 2014/01/12 (日)公演終了
素晴らしい
前回の公演から暫くぶりの観劇だったが
今回は本当に良かった。
スタッフのパワーも随所に感じられる舞台作り
そして、脚本、キャスト、すべてに
「伝わってくる想い」が込められていた。
死が関連する話は
ただ人の死が取り上げられるから悲しいとは思わない。
そこにかかわる想いや、どう表現し、伝えてくるのかで
その「死」は陳腐な一つの記号になる危険性もある。
今回は、それがなかった。
だから、素晴らしかった。
二つのココロで観た芝居だった。
「子」の想い
「親」の想い
元吉さんのホンが、伝えてきた想い、受け止められたら幸せだ。
アクアリウム
DULL-COLORED POP
シアター風姿花伝(東京都)
2013/12/05 (木) ~ 2013/12/31 (火)公演終了
みておくべき
今回3回東京公演観劇
ゲスト回での違いも、大変興味深い物だった。
熱海のオマージュといっていいのかどうか、微妙だが冒頭の刑事のシーン。
あの熱さ、あのパッション。
80年代が蘇るようになるのか。
観ながら、あのお魚HOUSEの世代との対比が
面白かった。
ただ、観ていると観る回で印象が
変わる。
嫌悪感しかない回もあれば、何か救いがみえる光のような
ものを一瞬でもみたような回もあった。
ただ、これは観ておくべき芝居の一つであると思う。