満足度★★★★★
善き芝居を観た。
善き芝居を観た。
今年最後に、本当に観れて、良かった。
ただ、涙が流れたのは、台詞の向こう側の光景や、心情を自分の中ではあるが
増幅された瞬間があったからだろう。
膨大な会話劇の中の台詞に、心が飛ぶ。
『1946年東京、市ヶ谷。
極東国際軍事裁判所本法廷』
この5人の弁護人たちの
会話劇が、なんとも、静かではあるが
時に、熱く時が進む。
法を守るべき、それは至極正論。
しかしながら、あの時代に、本当に
「法」の正義は存在したのだろうか?
多勢に無勢、日本は、どう、
「戦う」のか?
本当に観ながら、専門的な事も
勿論出てきますが
息をつくのも憚れるような「傍聴」している観客も背筋が伸びるような
空間の中、
時折、「くすっ」と息つく場面もあって、
野木さんの書くホンは、他にない感じだなといつも思う。
ごりごりに硬派かと思うと
少し、お茶目なところもあって
この匙加減が、たまらなく素敵である。
*野木さんの前説・後説が観劇の楽しみのひとつでもある*
劇中
鵜沢 総明(西原誠吾さん)が「日本人、沢山死んじゃいましたからね」って
言う台詞が、普通に、普通に、言うんですけど
私の今日のスイッチがそこだったみたいで
そこで「ぷちっ」と入ってしまった。
体験した事のない戦争中の様々な人々の死の悲しさや、悔しさ、を
増幅させていった。
「感情」では「法」は遂行出来ない。
私の安っぽいヒューマニズムがそうさせてしまったのか。
涙が出てしまう。
柳瀬 秋午(今里真さん)の最後の方での台詞も
もう、涙が出てしまってしょうがない。
押さえて、押さえて、
問う台詞に、もう、無理だった。
この芝居ではこの5人の登場人物それぞれの
「キモチ」を、ある意味プロフェッショナルの姿に置き換えて
観る事が出来る。
ただ、「仕事」としてではなく諸外国を相手に戦う
「日本人」としての「キモチ」をなんとしてでも
遂行するための熱い1時間40分だった。
あっという間の時間だった。
観劇を強くお薦めします。
私は今年最後の観劇がこの芝居出逢った事、
幸せだと思います。
台本購入
そして、先行の特典のチョコレート。
Wミーイングだった・・。