昼下りの非情事
ジェットラグ
【閉館】SPACE 梟門(東京都)
2017/04/14 (金) ~ 2017/04/25 (火)公演終了
満足度★★★★
作・演の中津留章仁氏といえば、TRASHMASTERSの、ああいうタイプの作品を想像するが、これは典型的なシチュエーションコメディ。
主役の田中嘉治郎さんの大奮闘に、まずは拍手を送りたい。
観ている方が体力や喉を心配してしまうほどだが、それでも集中力が切れないのはさすがという他ない。
ストーリーもよくできており、俳優たちも巧い人たちが揃っている。
どこといって、文句のつけようがない、のだが、なぜか笑えない。
面白くて楽しんでいるのに、笑うという生理的行為にまで至らなかったのは何故だろう。
自分自身、不思議に思っている。
ナイスコンプレックス
ナイスコンプレックス
調布市せんがわ劇場(東京都)
2017/04/20 (木) ~ 2017/04/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
思わず涙がこぼれた。
俳優さんもみな、きちんとした芝居で安定していた。
特に子供時代の健介を演じた男の子の達者さには目を見張った。
実際は中学生くらいなのだろうか。
あの重い役を、様々な世代で演じ分ける力量はさすがという他ない。
ストーリーは重層的で深く、時間を行き来しつつ、テーマに向かって進んでいく。
そこに、それぞれの人生がフラッシュバックしていく。
切なく、つらく、重いが、いい作品である。
わが兄の弟
劇団青年座
紀伊國屋ホール(東京都)
2017/04/07 (金) ~ 2017/04/16 (日)公演終了
満足度★★★★
随分と昔に観て以来だった青年座だが、作マキノノゾミ、演出宮田慶子のお名前につられて久方ぶりに観劇と相成った。
ストーリーをきちんきちんとみせていく真面目な創りは、やはり青年座らしいといえるか。
笑いもあって、わかりやすく、作、演出、俳優の三者が揃っての、完成度の高い作品であった。
トビウオの翼
東京カンカンブラザーズ
ザ・ポケット(東京都)
2017/04/05 (水) ~ 2017/04/09 (日)公演終了
満足度★★
皆さんの高評価の中で、大変心苦しいのだが、自分はずっと首を傾げながらの観劇となった。
若者風の言葉で言えばツッコミどころ満載といったところだろうか。
意外性があったのはラストだけで、あとは随分とご都合主義なストーリーであった。
これが完全なコメディーならば許されるのだが、シリアスなものでこれをされると、まさに、いちいちツッコミたくなってしまう。
俳優さんも、うまい人もいれば、わざとらしい芝居をする人も、また滑舌に問題のある人もいた。
また上手い下手にかかわらず、よく台詞を噛んでいた。
稽古不足なのだろうか。
「凪のバッキャロー!」~端島・軍艦島編 第1章~
株式会社Ask
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2017/03/29 (水) ~ 2017/04/03 (月)公演終了
満足度★★★★
自分の世代には、なんとも言えず懐かしい、まさに昭和がそこにあった。
若い人たちが作ると、どこかしらバランスを欠くのだが、多分昭和を生で知る世代がおられるのだろう。
バッキャローのシリーズは、2年程前にも一度拝見しており、今回も予想通りの楽しませてもらった。
人々のエネルギーと人情と優しさとが詰め込まれた、安心して楽しめる作品である。
ただ、以前も感じたのは、チケット代の高さである。
イケメン君やアイドルちゃんを出すことで、そうなるのであれば、出す必要はないし、彼らの集客力を期待するのであれば、高くする必要はないだろう。
作品だけであれば、星は5つだが、チケット代で1つ減らした。
つぎはぎ
劇団水中ランナー
ワーサルシアター(東京都)
2017/03/29 (水) ~ 2017/04/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
観終って、まず「王道」という言葉が浮かんだ。
きちんと練られた構成で、観客を引き込み、感情を揺り動かし、席を立つときにはカタルシスの笑顔にさせてしまう。
ここの劇団は、もっと人気が出てもいいのではないか?
煙のミロク
ひげ太夫
テアトルBONBON(東京都)
2017/03/22 (水) ~ 2017/03/26 (日)公演終了
満足度★★★★★
毎度おなじみのチラシに、毎度おなじみの痛快冒険活劇。
自分は2年ぶりの観劇になるが、このワクワク感は他の公演では感じられないものがある。
失礼かもしれないが、見世物小屋に入った時の感覚と似ている。
違うのは、出し物師たちが見せるプロの演技(組み体操)と、表現の見事さである。
他に類を見ないこの世界は、ここまで徹底してこそ楽しめるのだ。
今回も、ばかばかしさを笑いながら、心から楽しませてもらった。
夢見る乙女じゃいられない
たすいち
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2017/03/23 (木) ~ 2017/03/28 (火)公演終了
満足度★★★★★
気になっていた劇団だったが、初見。
始まってしばらく、もうひとつ入り込めなかったのは、自分が漫画を読んだこともない人間だからであろうか。
しかし、それは途中から杞憂であったことがわかる。
なかなか深いテーマも内包するエンターティメント作品であった。
怒りの旅団-アングリー・ブリゲード-
ワンツーワークス
赤坂RED/THEATER(東京都)
2017/03/16 (木) ~ 2017/03/26 (日)公演終了
満足度★★★★
魅力のある若手俳優たちが、骨太な戯曲に挑んだ意欲作。
2役も、その意味付けがはっきりしていて、こちらに訴えかける。
が、やはり長い。
それぞれの人物が見事に書き込まれて、そこに作品の力を感じたが、それでももうちょっと短くできる箇所があったと思う。
「谷のかげ」「満月」
劇団俳小
d-倉庫(東京都)
2017/03/15 (水) ~ 2017/03/19 (日)公演終了
満足度★★★
アイルランドという土地と民族性に興味を持って観劇。
ただ、どうも中途半端な気分のままで終わってしまった。
この戯曲の問題なのだろうか。
雰囲気は伝わるのだが、それ以上のものが伝わってこない。
全体に大仰な演技なのも入り込めない一因だったと思う。
夏の夜の夢
青年団リンク・RoMT
サンモールスタジオ(東京都)
2017/03/10 (金) ~ 2017/03/20 (月)公演終了
満足度★★★
悪くはない。いや、面白いのだが・・・、今さら(などというと沙翁に失礼だが)「夏夢」をあえて上演するのなら、どう見せるかという、ある意味の観客サービスが必要になるのではないだろうか?
こちらも少々、ひねりを期待しすぎたのかもしれない。
カミサマの恋
ことのはbox
シアター風姿花伝(東京都)
2017/01/18 (水) ~ 2017/01/23 (月)公演終了
満足度★★★★★
いつも現代の名作を上演する劇団。
特に今回は、ずっと興味を持ちながらも観るチャンスのなかった渡辺源四郎商店の畑澤氏の作品とのことで、これは観ない訳にはいかないとTeam箱を観劇。
まず言えるのは、やはり、この戯曲の素晴らしさであろう。
派手な所のない作りで、それでも飽きさせない。
ちょっとした一言にその人物の生活が浮き上がる台詞の巧みさにはうならされた。
嘘かまことか、まことか嘘か。観終ってからも真相はわからない。
しかし、それのすべてを包み込むカミサマの存在の大きさが印象に残った。
晩餐狂想燭祭~惨~
Dangerous Box
王子小劇場(東京都)
2016/11/11 (金) ~ 2016/11/15 (火)公演終了
満足度★★
雰囲気倒れ
前作の評判の良さに、興味を持って行ったのだが、これは芝居だと思うからいけないのか?
少なくとも芝居として観た限りでは、期待外れであった。
それっぽいエピソードに、それっぽい言葉の羅列、ただそこにあるのは雰囲気だけである。
時代がかった味のある言葉を出していながら「ら抜き」だったりするのもしらける。
激しい調子で、立て板に水で喋り続ける俳優たちはすごいとは思う。
男女ともに、台詞術に長けた俳優が一定数おり、見事な名調子を聞かせてくれる。
だからこそ、彼らに同情したくなってしまうのだ。
もちろん、ショーであればこれでいいだろう。
今後はショーであると銘打ってもらいたいものだ。
しかし、ショーであっても、前説の、騒音としか思えないマイクの声の大きさと、押しつけがましさに、本編が始まる前に帰ろうかと思ったことも付記しておく。
パール食堂のマリア
青☆組
吉祥寺シアター(東京都)
2016/11/01 (火) ~ 2016/11/07 (月)公演終了
満足度★★★★★
これぞ青☆組
忙しかったために書きそびれてしまったが、やはりひと言でも書こうと思い、こちらに。
まさに「切なくも温かい」という物語なのである。
これ以上の言葉は見つからない。
あまりに切なく、あまりに温かい。そして懐かしい。
過剰な演技もなく、言葉が実に心地よく心に響いてくる。
こういう気持ちにさせてくれる作品を作る劇団を、自分はほかに知らない。
描かれたテーブル
9-States
小劇場B1(東京都)
2016/07/22 (金) ~ 2016/07/27 (水)公演終了
満足度★★★★
鳴海家具コーポレーション(苦笑)
説明を読んで、少々懐疑的な気持ちで下北沢に足を運んだのだが、いやいやどうして、きちんと作られた骨太な作品で、見応えがあった。
いささか、その「若さ」に、ついていけない部分もあったが、ジェネレーションギャップはあって当然だ。
なだぎ武・山田菜々主演「ドヴォルザークの新世界」
劇団東京イボンヌ
スクエア荏原・ひらつかホール(東京都)
2016/06/07 (火) ~ 2016/06/10 (金)公演終了
満足度★★★★
なるほど
以前から東京イボンヌの噂は聞いていたが、クラシックと演劇がどう結びつくのか、なまじクラシック好きだけに、二の足を踏んできた。
が、観てよかった。
なるほど、こうなるのかと、違和感なく、楽しめた。
ブレッチリーの啼かない鵞鳥たち
電動夏子安置システム
駅前劇場(東京都)
2016/04/20 (水) ~ 2016/04/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
やはり面白い
他の方も書いておられたが、中盤で名前が錯綜してわからなくなったときがあった。
最終的にわかったが、やはりカタカナ名前は覚えにくい(特に年寄りには)。
しかし、それはともかく、やはり電夏は面白い。
俳優たちの集中力にこちらも思わず引き込まれる。
言葉の取り違え、すれ違い、勘違いに理由など何もなく大笑いさせてもらった。
かなり長く続けてこられたと思うが、成熟を感じる数少ない劇団と思う。
2016-TSTクラシックス
東京ストーリーテラー
シアターKASSAI【閉館】(東京都)
2016/04/06 (水) ~ 2016/04/17 (日)公演終了
満足度★★★★
二作品
「ラストシャフルB」
数年前にも観た作品。
ストーリーがわかっているため、筋を追うというよりも俳優たちの演技に目が行ったが、総じて楽しめた。
主役2人はどちらもいい雰囲気で熱演。
前回は、野球チームがらみの俳優たちのレベルに問題があった旨のことを書いた記憶があるが、今回は清さんとりつ子の存在感と絶妙な間のおかげで、非常に楽しいシーンになっていた。
反面、後半のシーンに前回よりも感動できなかったのは、ストーリーがわかっていたからだろうか。
意外なところでは、最後に出てくる民生委員の国枝さんが、淡々とした演技で、いかにもいそうなキャラクターを作り、出番はわずかながら強く印象に残った。
「リコリス」
今さらながら、久間勝彦氏のストーリーテラーぶりに舌を巻いた。
ストーリーテラーの作品は、かの「ラストシャフル」以来、必ず拝見しているが、毎回、じんわりと心の温かくなる名作に出会える。
今作も、静かな中に、人間の優しさ、弱さ、人への思いなどを詰め込んだ感動の一作で、近い再演を希望したい。
そして、特筆すべきは主役のマスターの、存在感のある演技である。
ひとつ間違えると嫌味なキャラクターにもなりかねない「いい人」を、実際にいるのではと錯覚するほど血の通った人物に作り上げていた。
タルタロスの契り
劇団俳小
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2016/03/23 (水) ~ 2016/03/27 (日)公演終了
満足度★★★
残念
こちらでの評に興味をもって、初めて観劇。
やはり旺なつきさんの存在感に圧倒される。
ストーリーも起伏に富んでいて、思わず引き込まれる、と書きたいところだが、その手前でどうしても入り込めなかった。
台詞が話し言葉の体をなしていないのだ。
自分が書きたいことを、それっぽく話し言葉に替えているだけで、説明台詞に至っては、どこかの本からコピペしたかと疑うほど、ただの文章でしかない。
こんな血の通っていない台詞を喋らされる俳優たちに同情した。
スト-リー自体は面白いだけに残念。
夫婦
ハイバイ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2016/01/24 (日) ~ 2016/02/04 (木)公演終了
満足度★★★★★
不思議なすがすがしさも
自分の年代では、リアルすぎて胸が苦しくなるようなシーンもあったのだが、不思議なことに、終わった後に嫌な気持ちは残らなかった。
すがすがしい気持ちにさえなったのは、作家の腕ゆえであろう。
ただしこのテーマを、他の劇団が軽々に真似してはいけない。