満足度★★★★
二作品
「ラストシャフルB」
数年前にも観た作品。
ストーリーがわかっているため、筋を追うというよりも俳優たちの演技に目が行ったが、総じて楽しめた。
主役2人はどちらもいい雰囲気で熱演。
前回は、野球チームがらみの俳優たちのレベルに問題があった旨のことを書いた記憶があるが、今回は清さんとりつ子の存在感と絶妙な間のおかげで、非常に楽しいシーンになっていた。
反面、後半のシーンに前回よりも感動できなかったのは、ストーリーがわかっていたからだろうか。
意外なところでは、最後に出てくる民生委員の国枝さんが、淡々とした演技で、いかにもいそうなキャラクターを作り、出番はわずかながら強く印象に残った。
「リコリス」
今さらながら、久間勝彦氏のストーリーテラーぶりに舌を巻いた。
ストーリーテラーの作品は、かの「ラストシャフル」以来、必ず拝見しているが、毎回、じんわりと心の温かくなる名作に出会える。
今作も、静かな中に、人間の優しさ、弱さ、人への思いなどを詰め込んだ感動の一作で、近い再演を希望したい。
そして、特筆すべきは主役のマスターの、存在感のある演技である。
ひとつ間違えると嫌味なキャラクターにもなりかねない「いい人」を、実際にいるのではと錯覚するほど血の通った人物に作り上げていた。