カミサマの恋
ことのはbox
萬劇場(東京都)
2023/03/01 (水) ~ 2023/03/05 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
この作品は初演がすこぶる好みであったので迷わず予約したが、やはり名作である。
カミサマ役木村望子さんは前回も良かったが今回はいよいよもって素晴らしい。
圧倒的な安定感があり、その醸し出す優しさが、まさにカミサマであり、この作品の出来はやはりカミサマ役にかかっていると感じた。
そして2回見たことで、畑澤氏の筆運びの細やかさも改めて知ることができた。
冷静になって考えれば都合の良い話でもあるのだが、人の感情を見事に的確に表現しておられるため、結末はわかっていながらもやはり涙腺が緩むのを止められなかった。
(Team 葉観劇)
Dramatic Jam 4
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2023/01/13 (金) ~ 2023/01/19 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
チームCを拝見。自分としては「名前のない名前を呼ぶ冒険」が非常に楽しめた。孫のような年齢の俳優さんたちだが、素直に彼らの世界に引き込まれた。実によくできた3篇であったと思う。
ほおずきの家
HOTSKY
座・高円寺1(東京都)
2023/01/11 (水) ~ 2023/01/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
演出、舞台美術、照明、そして俳優と、力のある人たちが集まれば、こういう作品ができるのだと納得。
味わい、情緒。しかし、そんな雰囲気に流されるような甘い作品ではない。
余韻がいつまでも心に残った。
コチラハコブネ、オウトウセヨ
ポップンマッシュルームチキン野郎
王子小劇場(東京都)
2022/12/22 (木) ~ 2022/12/28 (水)公演終了
映像鑑賞
満足度★★★★★
久しぶりのPMC公演だが、チケットは取れず配信で鑑賞。
こういう形なのかと納得してからは、実に面白く拝見した。
今は亡き吹原氏への劇団員の皆さんの思いも感じながら、笑いつつ感動させて頂いた。
これはやはり実際に見たかった。
キョウカイセン
JACROW
駅前劇場(東京都)
2022/11/17 (木) ~ 2022/11/23 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
他の方も書いておられたが、いつもと違う俳優陣で、他の舞台で見かけた方もちらほらおり、最初からミーハー根性で楽しみにしていた。
が、やはりこちらの作品は、観る側に問いを突き付ける。それに関しては、今回が最も顕著だったのではなかろうか。
舞台上のヒリヒリとした緊張感が伝わって、こちらも観終ってぐったり疲れた。
立飲み横丁物語
劇団芝居屋
ザ・ポケット(東京都)
2022/10/26 (水) ~ 2022/10/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
いつも拝見している劇団だが、今回はどうも違和感があった。
義理人情の世界が舞台だから仕方がないのかもしれないが、いつもにも増して言い回しに「古さ」を感じてしまった。
どんな所でも、今どき、こんな言い回しはしないだろうと思う箇所が散見され(いつもない訳ではないが)、少々首を傾げた次第である。
もう少し短くもできたのではとも思う。
しかし、小道具としてのマスクの扱いはお見事!
ここまでリアルに今のマスク事情を舞台で再現した作品を自分は知らない。
ぼくらが非情の大河をくだる時~新宿薔薇戦争~
オフィス3〇〇
新宿シアタートップス(東京都)
2022/10/22 (土) ~ 2022/10/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
まさに自分の世代の戯曲である。
それもあってか、客席の高齢者の割合が極めて高かった。
あの当時の熱をリアルに経験してきた同じ高齢者の皆さんは、半世紀の人生経験を積んだ今、この舞台に何を感じただろう。
きわめて個人的な気持ちであるが、自分はすでに当事者の感覚にはどうしてもなれなかったし、作品そのものに夢中になることができなかった。
この熱量の半端ない、混沌の作品を、懐かしさを持って観ることしかできなかった。
小刻みに戸惑う神様
SPIRAL MOON
「劇」小劇場(東京都)
2022/06/15 (水) ~ 2022/06/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
こちらでの評判のよさで観劇。観る前は、かの名作「お葬式」と似ているのではと思っていたが、まったく違う。しかし、暖かさや何とも言えぬ味わいを醸し出していた。
耳があるなら蒼に聞け・ハンズアップ2022
企画演劇集団ボクラ団義
CBGKシブゲキ!!(東京都)
2022/03/19 (土) ~ 2022/03/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
実はシブゲキ自体、初めてだったのだが、ここでの公演にもうひとつ惹かれなかったのは、傾向として自分に合わなかったのかもしれないと、この作品を観て感じた。客席の盛り上がりに置いて行かれた気分。年寄りには少々わかりにくかった。
石を投げる女がいて
ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2022/03/23 (水) ~ 2022/03/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
もともと堤氏の作品が好きなのだが、イメージが違って驚いた。が、これはこれで堤氏の実力を見せつけられる結果となった。
プログラムにあった「小河ドラマ」になるほどと思ったが、その通りで、クライマックスの台詞の応酬には聞いていて苦しくなうような言葉を浴びせられた気持ちになった。
内容は違っても、これは絵空事でも舞台の上のお話でもない。現実にいくらでも転がっていることだ。だから観客はどうしようもない気持ちにさせられる。だから苦しい。しかし観てよかったと思うのだ。
光垂れーる
ぽこぽこクラブ
紀伊國屋ホール(東京都)
2022/03/03 (木) ~ 2022/03/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
ちょっと珍しい空気感を持った舞台である。その昔の小劇場の熱気とパワーをそのまま包括したような、と言ったら良いだろうか。その熱量に、客席が巻き込まれていくような感覚を久しぶりに感じた。ある意味泥臭いこの作品に強く惹かれたのは、お行儀の良い演劇にいささか疲れを感じていたからかもしれない(本来は、決して好きなタイプの作品では無い)。
しかしカタルシスのある作品である。
遊び心満載で作られたロビーのお祭り広場も必見。早めに行くことをお勧めする。
通る夜・2022
劇団芝居屋
劇場MOMO(東京都)
2022/02/02 (水) ~ 2022/02/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ほぼ毎回拝見している劇団。今回は特に、セットの移動やマイムマイムの挿入などの演出が素晴らしかった。またオープニングの増田氏の独り芝居が同年配としてしみじみと心に沁みて、ずっとこのまま覗き見をしていたい気持であった。
そして、何とまぁ全員が高校生とは!いやいやしかし、十分楽しく拝見した。
また、唯一の「大人」である母親役の増田さんのリアルな存在感に圧倒された。微妙な訛りと生活感のにじみ出る所作や視線。すべてに目が釘付けであった。男子高校生と母親の関係もまさに「あるある」で秀逸。
ただ、たまにこちらの劇団で感じる「無理のあるテンションの高さ」を今回も感じた部分があり、時代と年齢と演劇であることを念頭においても、全員で声をそろえたりの演技に違和感を覚えた部分もある。
おつかれ山さん
ことのはbox
シアター風姿花伝(東京都)
2022/01/26 (水) ~ 2022/02/01 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
ほぼ毎回拝見している、お気に入りの劇団。箱チームを拝見。
あの教師に怒りを感じ、この教師にため息をつきと、ここまで当事者目線で観てしまう作品は珍しい。台本が非常によく書かれていると感じる。
そういう意味では実に楽しく、夢中で拝見したのだが、たまに感じるこの劇団のマイナス面も垣間見えた。
ダブルキャストでたくさん出演すると、俳優さんがいろいろで、ただ一生懸命台詞を覚えて早くしゃべっているようなシーンがいくつか見られたのである。
素人の爺がおこがましいが、役の大小にかかわらず、なぜこの人なのかと首を傾げる人も。
とはいえ、セットは秀逸。
やはりラストシーンには度肝を抜かれたが、冷静に考えてみると、あれは何を表したかったのか?彼の心象風景か?
と同時に、セットの問題なのか、力いっぱい投げているように見えず、キャッチボールのように見えたのは非常に残念。
関係ないが、カーテンコールの最後の挨拶、あれだけセリフを覚えて頑張ったのだから、夫婦揃ってではなく、山口先生1人でさせてあげてはどうだっただろう?
リトルプリンス
東宝
シアタークリエ(東京都)
2022/01/08 (土) ~ 2022/01/31 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
その昔、たぶん初演を拝見したミュージカル。縁あってまた何十年ぶりか?で観劇。
なんと、王子様役の土井裕子さんが、初演から変わらぬ初々しく可愛い王子様を生き生きと好演されているではないか!
お年など詮索するのは失礼だが、声がまったく変わっておられないことに感動した。
しかし、驚きはもうひとつ。プロジェクションマッピングを多用した演出には心底驚いた。
美しいシーンは、思わず声が漏れるほど美しい。
昔、素舞台のような装置で見たことを思うと、時代の流れを感じずにはおれない。
が、ヘビのシーンなど、俳優さんのパフォーマンスを見たい時などは、はっきり言って邪魔だった。
いや、ここまで多用して、結局、舞台の本当の良さを潰してしまった気がする。
図らずも、この作品のテーマを問いかけたくなったのは、ある意味、皮肉な結果といえようか。
人間讃歌
エンパシィ
スタジオ空洞(東京都)
2021/12/14 (火) ~ 2021/12/16 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
まず、美術が良い。決して金がかかっているものではないが、台の下にもちょっとした工夫があり見ているだけで楽しい。照明も、制約の多そうなスタジオでありながら美しい。そしてこれでもかと言うほどの会話劇の俳優陣がまた実に良い。岸田國士は若い頃によく読んで、おぼろげながらの記憶はあるが、ここまで面白いものではなかったような気がする。演出も若い方のようで、令和の岸田國士の作品として存分に楽しませていただいた。
蜘蛛女のキス
ホリプロ
東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)
2021/11/26 (金) ~ 2021/12/12 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
長く観劇も休んでいたが、久しぶりに観たのが夏の劇団チョコレートケーキ「一九一一年」であった。その日澤氏がミュージカルを演出するとのことで、チケット代の高さにも関わらず観劇した。
結論から言って、大正解であった。およそミュージカルには不向きと思われる題材を、なるほどこのようにして華やかな部分もみせるのかと感心した。日ごろ小劇場ばかり観ている身としては、歌やダンスのクオリティの高さにただただ驚くばかり。楽曲も素晴らしく、歌の上手いキャストたちによるナンバーは心に沁みとおった。特に「彼女は女」「愛しい人」は涙をこらえるのが難しかった。
この作品は30年も前のものらしいが、今もなお似たようなことが世界のあちこちでおこっている。いや、少しずつ増えているような恐怖を感じる。この作品が過去のお話として上演されることを望んで止まない。
十二人の怒れる男 -Twelve Angry Men-
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2020/01/10 (金) ~ 2020/01/20 (月)公演終了
満足度★★★★★
今までに観た「12人」の中で、最も輪郭のはっきりした作品だったと言える。
誰も埋もれていない「12人」は初めてかもしれない。
それだけ、俳優全員に存在感があったということだろう。
数年前に観た「12人」は、男女混合のダブルキャストで、さぞやチケットを沢山売りたいのであろうと思われるキャスティングで、半分以上のキャストがただ埋もれているだけであった。
演出の事はわからないが、どうすればこのように白黒はっきりさせた構成になるのだろうか。
あまりにも悪役でございの演出は、少々違和感を感じたものの、とにかくわかりやすく、初めてこの作品を見る人には特にオススメである。
彗星はいつも一人
ことのはbox
武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)
2019/12/12 (木) ~ 2019/12/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
何度も拝見している劇団だが、いつもと全く違う作風に最初は面食らった。
そういえばキャラメルボックスの作品だったと、改めて思い直す。
しかし、手練のベテランと若手の芝居巧者が、前半部分をただ騒がしいだけのコメディにせず、きちんと纏め上げたのは見事。
そこからラストに向かう感動のうねりも手堅い。
全員が芝居巧者とは言いきれぬが、さすがにこの劇団である。
こんな作品もできるのなら、これからもキャラメルボックスの作品を希望したい。
本家が消えた今、こういう力のある劇団が作品を継いでもいいのではないか。
美代松物語
劇団芝居屋
ザ・ポケット(東京都)
2019/11/27 (水) ~ 2019/12/01 (日)公演終了
満足度★★★★
手堅い作劇で確実に楽しませて頂ける劇団なので、ほぼ毎回拝見している。
この作品は初演に続いて2度目の観劇となるが、間違いなく進歩していた。
しかし、今回は特に古臭さを感じてしまった。
もちろん、常に昭和の匂いのする演劇で、自分のような爺には、それが大変心地よいのであるが、若い2人のシーンなどは、深刻であるのに台詞、衣裳、すべてにおいて、ギャグのように感じてしまったのは自分だけであろうか。
引き結び
ViStar PRODUCE
池袋GEKIBA(東京都)
2019/11/07 (木) ~ 2019/11/17 (日)公演終了
満足度★★★★
家族の微妙な感情をうまく表現して、最後には思わず涙腺が緩んだ。
何よりのヒットはお母さんのキャスティングではないか?
失礼ながら女優っぽさがなく、いかにも普通のおばさんのような俳優さんだからこそ、初めから無理なくストーリーに入り込めた。
ただ、他の方も書いておられるように、間のドタバタは必要なのだろうか?
芝居自体も騒がしい所はあったが、あれがなかったらもっと落ち着いて楽しめたようにも思うのだが。