『愚図』
KAKUTA
あうるすぽっと(東京都)
2016/11/10 (木) ~ 2016/11/20 (日)公演終了
満足度★★★★
正蔵さん
正蔵さんの人の好さそうなところがぴったりの役どころだったが、「なんでそうなの?」という疑問行動が多くもどかしい。そんな行動への誤解は修復されることなくますます深みにはまる。美しい舞台演出とともに人間の悲哀が描かれていて悲しい。
それにしても開演後に遅れて入ってくる人が何人もいて、しばらくは舞台に集中できなかった。開演前に携帯機器の電源についての念入りのアナウンスがあったが、微弱なバイブ音よりも観客の出入りの方がはるかに気になる。
パール食堂のマリア
青☆組
吉祥寺シアター(東京都)
2016/11/01 (火) ~ 2016/11/07 (月)公演終了
満足度★★★★★
懐かしい昭和の世界
パール食堂の家族とそこに出入りする人々の物語。恵まれない境遇にあっても悲しいことがあっても、愛情と思いやりを忘れずみんな懸命に生きていた。そんな懐かしい昭和の世界が優しさに満ちた視線で描かれ、力強く温かく演じられていた。
ホテル・ミラクル4
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2016/10/28 (金) ~ 2016/11/07 (月)公演終了
満足度★★★★★
小劇場の良さが凝縮
ホテルの一室で男女が4様のシチュエーションで対面し、さまざまな危ない会話や心理戦を繰り広げる。小劇場の良さがぎっしり詰まった小劇場でしかできない小劇場ならではの見事な4作品で4通り楽しめて大満足。
これまで見逃していたのが残念!
Shoe Cage
電動夏子安置システム
OFF OFFシアター(東京都)
2016/10/20 (木) ~ 2016/10/24 (月)公演終了
満足度★★★★
笑いに取り残されるな!
架空の監視社会をそこに置かれた人々の様々な笑いによって徹底的に風刺する。しかし見えてる人と見えてない人、しゃべる相手と聞こえている人を見分け、集中して会話を追っていかないと笑いに取り残される。これが2時間続くとさすがに疲れた。
遠い国から来た、良き日
ワンツーワークス
赤坂RED/THEATER(東京都)
2016/10/14 (金) ~ 2016/10/23 (日)公演終了
満足度★★★★
けっして「遠い国」とは言えない
転校生の悲愴な境遇の話と明るくはしゃぐ中学生仲間が、一見極端にバランスが悪く見えた。しかし、これは若い役者に見せ場を用意するというだけでなく、明確な意図を持ってそうしたに違いない。
ブラック祭2016
メガバックスコレクション
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2016/08/11 (木) ~ 2016/08/21 (日)公演終了
満足度★★★
熱演に支えられ
5邪鬼編を観戦。ストーリーはバトルロワイアルやハンガーゲームを密室型にしたもので目新しさはない。密室型なのでじりじりした心理戦が観られるのかなと思ったが、それも期待したほどではなかった。ただ、5人の役者さんの熱演に支えられて退屈しないで観ることができた。
夏に死す
劇団桟敷童子
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2016/08/02 (火) ~ 2016/08/14 (日)公演終了
満足度★★★★
他の劇団との際立った違い
手厚い出迎えから座席への誘導までこの劇団は圧倒的なホスピタリティがある。さらに手作り感たっぷりの見事な舞台セットやあっと驚くスケールの大きな仕掛けは今回も健在だった。これらは他の劇団との違いとして際立っている。
ただ、今回は現代の現実的な問題を題材としていたためかストーリー性や意外性という点でやや物足りなかった。
庚申待の夜に
風雷紡
小劇場 楽園(東京都)
2016/08/10 (水) ~ 2016/08/14 (日)公演終了
満足度★★★★
社会派
近代化に取り残された寒村と言い、庚申待という儀式と言い、いかにも妖怪や化け物が似合いそうな設定で始まるのだが、状況が分かるにつれて社会派劇の色が濃くなる。人間社会の利害が生み出す軋みが悲惨な結末を招く過程が恐ろしい。現代の似た状況と重ね合わせると背筋が凍りつく。意図的ではないだろうが、やや強めの冷房も効果的だった。
大風呂敷
髭亀鶴
王子小劇場(東京都)
2016/07/13 (水) ~ 2016/07/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
粒ぞろいの傑作ばかり
4つの短編はいずれも発展させれば立派な1本の公演になりそうな粒ぞろいの傑作ばかりだった。特に面白かったのは「大便意」。抱腹絶倒の裏には、ばかばかしく見えて実は計算された笑いのツボが仕込まれていたように思う。そして最初の「大口上」と舞台セッティング時の「大転換」は観客の心を掴み一時も退屈させない、というサービス精神に富んだ演出。
これが”旗揚げ準備公演”というのだから”旗揚げ公演”はどんな進化を見せてくれるのか、とても楽しみだ。
荒川、神キラーチューン
ロ字ック
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2016/06/29 (水) ~ 2016/07/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
カラオケボックス
弾けるエネルギーはあってもその心の底に潜む闇。そこに追い打ちをかけるように明らかになる救いの無い悲しい事実。最後まで希望の光が見えないが、描き方は実に巧い。カラオケボックスを舞台にして歌を入れた点もぴったりだ。ロ字ックは今回が初観だったがメンバーはこの舞台がまさにはまり役に見えた。別の舞台も観てみたい。
金曜はダメよ♥
トツゲキ倶楽部
「劇」小劇場(東京都)
2016/06/29 (水) ~ 2016/07/04 (月)公演終了
パラサイトパラダイス
ワンツーワークス
ザ・ポケット(東京都)
2016/06/23 (木) ~ 2016/07/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
「あるある」の連続
まるで我が家を見ているような部分もあって興味深かった。夫婦の会話も親子の会話も義父・義母との接し方も「あるある」の連続だったし、夫と妻が入れ替わって互いの言い分をぶつけ合うシーンも面白い。
場面転換の際も、役者それぞれの独自の動きからテンポ良く次のシーンに移るという手法も工夫が凝らされていて良かった。
神様が人の寿命を70年と決めたグリム童話の話は良いアクセントになっていた。
アベベのベ 2016
劇団チャリT企画
こまばアゴラ劇場(東京都)
2016/06/08 (水) ~ 2016/06/19 (日)公演終了
満足度★★★★
この作品の主張
コンビニのバイト店員のケチな言動とドタバタ劇が実に面白いのだが、同時に国民投票で憲法改正の是非が問われるのとは実にアンマッチだ。バイト店員の悲哀と対比させるなら「雇用問題」が自然だ。それでも「非正規従業員に憲法改正までも語らせる」というところにアベ政権に対するこの作品の主張を感じた。
um~潮龍伝~
super Actors team The funny face of a pirate ship 快賊船
ブディストホール(東京都)
2016/05/04 (水) ~ 2016/05/10 (火)公演終了
満足度★★★★
悠久の時の流れ?
とにかく衣装とメイクが素晴らしい。役者も主役の2人を軸にまとまっている。前半に時代背景や過去の説明が速いテンポのセリフの中で語られるが十分についていけない。「悠久の時の流れ」という割にせわしない。加えて入り組んだ人物関係や権謀術数などが絡み合って、観終わった後でやや消化不良感が残った。
アクションシーンに比重を置き説明的なセリフは抑えたいところだろうから、最初にナレーション説明を入れていただくとわかりやすくなると思った。殺陣シーンが見せ場なのだが、鉄砲で決着するのはやや調子はずれに感じた。
um~潮龍伝~
super Actors team The funny face of a pirate ship 快賊船
ブディストホール(東京都)
2016/05/04 (水) ~ 2016/05/10 (火)公演終了
満足度★★★★
悠久の時の流れ
とにかく衣装とメイクが素晴らしい。役者も主役の2人を軸にまとまっている。前半に時代背景や過去の説明が速いテンポのセリフの中で語られるが十分についていけない。「悠久の時の流れ」という割にせわしない。加えて入り組んだ人物関係や権謀術数などが絡み合って、観終わった後でやや消化不良感が残った。
アクションシーンに比重を置き説明的なセリフは抑えたいところだろうから、最初にナレーション説明を入れていただくとわかりやすくなると思った。殺陣シーンが見せ場なのだが、鉄砲で決着するのはやや調子はずれに感じた。
ブレッチリーの啼かない鵞鳥たち
電動夏子安置システム
駅前劇場(東京都)
2016/04/20 (水) ~ 2016/04/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
喜劇の極意
舞台は通信傍受と暗号解読の秘密機関。それだけ聞くと緊張に包まれた厳粛な場所を想像するだけに、そこで繰り広げられる屁理屈、勘違い、腹の探り合い、のドタバタが余計に面白い。暗号解読機を人口知能に転用するなどよく考えると完全に無理筋の設定なのだが、小気味良い会話から次々と繰り出される笑いがストーリーを反芻する余裕を与えない。これは喜劇の極意なのだろう。ラストの落とし方は逆に、後でたっぷり余韻を楽しむことができて良かった。途中、人物名をなかなか覚えられず、観ていて混乱する部分もあった。
前説からおかしくもやさしい配慮が伝わってきて、そのサービス精神に好感を持った。手形グッズは自分は買わないけど売れてほしいと思った。
レドモン
カムヰヤッセン
吉祥寺シアター(東京都)
2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了
満足度★★★
「共存・共生」というテーマ
「共存・共生」というテーマは1年半前に観た「未開の議場」と同じだ。ただ前作は1つの場面でスリリングな論戦が続いたのに対して、今作は頻繁に入れ替わる場面で流れが分断されテンポが悪い。次の場面に移る際、役者が舞台上で椅子、支柱、ロープなどを移動させるのが見えて転換の切れの点で気になった。さらに道具を多目的に用いる点は転換の効率の面でも良いのだが、支柱やロープがじゃまだと感じる場面もあった。SFベースの割にストーリーはやや単調で、もう少し事件性や意外性が欲しい(逆に過剰なキャラと思える人物設定もあった)。登場人物の心理描写は立川家の3人をはじめとして役者さんが自然にそして的確に表現されていて素晴らしかった。
Dの再審
かはづ書屋
スタジオ空洞(東京都)
2016/03/11 (金) ~ 2016/03/16 (水)公演終了
満足度★★★★
真相をめぐる推理論争
リハーサルの場で真実が暴かれるという会話劇にちょうど2年前に観た十七戦地の「眠る羊」を思い出した。脚本が同じ柳井祥緒だ。殺人事件の真相をめぐる推理論争は面白いのだが、まだ公演2回目のせいかいろんな面でこなれていない感じがした。
いつかの膿
VAICE★
駅前劇場(東京都)
2016/03/01 (火) ~ 2016/03/06 (日)公演終了
満足度★★★
奇妙な契約
奇妙な契約によって豪邸で共同生活をしていた人たちが契約終了となり、7人が再度集められた。謎めいた設定と訳アリの様子にその後の期待が高まったのだが・・・・・
キミが読む物語2016
ナイスコンプレックス
あうるすぽっと(東京都)
2016/02/24 (水) ~ 2016/02/29 (月)公演終了
満足度★★★★
3重構造
いやあ、泣けました。心が洗われるような物語でした。ピアノの旋律も効果的だった。大外に本屋で本を読む物語があり、その本の内容は本を執筆する(子どもの頃の思い出の挿入もある)という物語で、一番内に執筆中の物語が作中劇として進行するという3重構造も面白かった。その構造がカーテンの開閉で表現されて分かりやすかった。