コーパス・クリスティ 聖骸
ネルケプランニング
青山円形劇場(東京都)
2012/09/06 (木) ~ 2012/09/17 (月)公演終了
満足度★★★
主演二人の演技は光るが…
■統括■
時代を現代に置き換える舞台が最近特に多く感じますが、
今回の作品は厳しいものがあったかな…と。
正直非常に軽かった。何が伝えたいのかあまりに分かり辛い演出。
キリスト教が根付いていないこの国では尚更かもしれない。
要は、見終わった後に心に残るものが少なかった。
主演二人の演技は光るだけに、もったいなかった。
(正直この二人で演じる他のテーマでも良かったんじゃないかという)
一人ひとりの掘り下げ方が甘すぎて、結局誰が誰だか分からない。
恐らく日本人は使徒全員のイメージを持ち合わせていないだろうに、
加えて使徒+何役も演じられては混乱が生じるだけ。
せめてメンタル描くのは数人にクローズアップしてほしかった。
■役者陣■
渡部豪太さん、窪塚俊介さんの演技が光る光る。
渡部さんの表情の豊かさに人間を超越した、けれども暖かい人間味を感じ、
窪塚さんの影を持った言動一つ一つに心を揺さぶられました。
特に客席を移動する窪塚さんの存在感が半端じゃない。
後ろに座られた瞬間背筋がぞくっとしたのがわかりました。
この二人の演技を見られたことに満足。
■その他■
導入の紹介部分、ガヤが大きすぎて、肝心のセリフが聞き取り辛い。
確かに最初はフリートークの様な感じだったので良いかと思うのですが、
舞台が始まったらマイクにガヤを突っ込まないで欲しい…
せめてマイクから外すか、小声で言うか、どうにかして頂きたかった。
あれだけの人数を瞬時に音響さんに動かしてもらうのは無理でしょうから。
円形劇場は360度観客から見える、客席と舞台の一体感あふれる場。
だからこそ演者と目が合いたくなかった…
目が合った瞬間「にこっ」と微笑まれると、思わず「…」となってしまう。
開演前でも話しかけられると思わず引いてしまう…
ABCとかHIROZ見に来たわけではないのです。舞台を見に来たのです。
ファンサービスを求めてわざわざ青山円形劇場に来た訳じゃないのですよ。
全体を通して、女性客の為に作られた舞台という印象を受けた。
それも、あざとい目線で。 正直ここまで狙われたら逆にヘタレる。
二枚目って大変だな、と思ってしまった印象。
見るのを楽しみにしていましたが…
正直内容にも期待していただけに、裏切られた印象を受けた舞台でした。
若くて綺麗な男性目当てで舞台を見に行った訳ではないのに。
ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ
ニッポン放送
渋谷O-EAST(東京都)
2012/08/29 (水) ~ 2012/09/10 (月)公演終了
満足度★★★★
二度目。
前回はスタンディングにて参加、今回はフロントシートにて鑑賞。
初日のふわふわ感は消え、堂にいった森山ヘドウィグを堪能しました。
若干声がかすれていたようですが、それがむしろヘドウィグらしさを醸し出しており良かった~。
これだから森山未來の舞台はやめられない。
ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ
ニッポン放送
渋谷O-EAST(東京都)
2012/08/29 (水) ~ 2012/09/10 (月)公演終了
満足度★★★★★
THAT'S ENTERTAINMENT!!!
公演初日にスタンディング席で鑑賞しました。
映画ヘドウィグは見たことがあった為、
森山未來らしさが最大限に描かれるヘドウィグを期待しての鑑賞でした。
今回はシートではなく、スタンディング席なので、舞台の一効果として参加できるのではないかとわくわくしていましたが…期待を遥かに上回る舞台っぷり!
今までこんなに「楽しんで」鑑賞したことはなかった。
森山未來のパフォーマーとしてのレベルの高さには、涙が出るほど。
舞台を見に行くというよりも、もはやヘドウィグのコンサートを見に行った…という方が正解かもしれない。
映画ヘドウィグを見たことがある方は勿論、
全ての人に自信をもってお薦めできる舞台。
音楽が好きな方、体を動かす舞台が好きな方は、見ないと後悔かも。
本来のヘドウィグは、一部の熱狂的なファンを生み出したと同時に、テーマがテーマだけに導入部であきらめてしまったり、独特のアングラ臭を毛嫌いしてしまう方が多かったように記憶している。
(映画が上映された当時、私の高校ではギター部や軽音部で熱狂的に支持者を増やしていたが、他生徒はほとんど関心を持っていなかった)
大根仁さんによる演出が、その何とも表しがたい敷居の高さを取り、全ての人にわかり易く伝えられる様手を加えていた様に感じた。
現代の日本に置き換えてのヘドウィグ。違和感も全くなく、あっという間に舞台の世界観に引き込まれた。
加えてスガシカオさんの威力は絶大だった。
ヘドウィグの世界観、音楽感を壊すことのない、舞台の魅力を存分に引き出す音楽。
先日「ウサニ」を観劇し、舞台を軽薄に見せる音楽が存在することに衝撃を受けたばかりだったので、涙が出そうなぐらい今回嬉しかった。
正にスガシカオワールド全開。
(逆にいうと、ヘドウィグのアングラ臭が好きな原作派や、スガシカオの音楽が苦手な方にはこの舞台は辛いものがあるかもしれない)
森山未來の素晴らしさについては、
実際に目で見て、肌で体感して頂きたい。
彼にしか演じることの出来ないヘドウィグワールドをご堪能あれ。
世界の果て
unks
ギャラリーLE DECO(東京都)
2012/08/28 (火) ~ 2012/09/02 (日)公演終了
満足度★★★
圧倒的な世界観にとりこまれる
非常にシンプルな構造のステージ。
終始演者の演技力の高さ、そして演出の美しさに目を奪われました。
役者の汗が飛んでくる距離感での観劇は久しぶりで、
4人の演者が所狭しと動き回る、躍動感にあふれる演技に圧倒されました。
この方々には青山円形劇場の様な、広く、全角度から見渡せる演劇場を使っていただきたい。
魅力が余すところなく伝わるような気がします。
(ちなみに体はぶつかりました…どきっとしました、笑)
空間の使い方も非常に巧みで、特に傘を使った演出が素晴らしかった。道具としての用途は勿論、音となり、形となり、時に心情を表す。寒気がするほど素晴らしかった。OHPも小学校以来目にしました。用途が気になり、思わず舞台ではなくOHPの操り具合を見てしまうシーンも多かった(笑
abc★赤坂ボーイズキャバレー 3回表~喝!&勝つ!~
K Dash Stage
赤坂ACTシアター(東京都)
2012/08/21 (火) ~ 2012/08/26 (日)公演終了
満足度★★★★
食わず嫌いも見るべき舞台っ!
■客の質の悪さに辟易■
新感線の粟根さんを拝見したくてチケットを手に入れましたが、
開場する前から思わず後悔…
というのも、まるでアーティストのファンクラブの集いのような客層。
会場では生写真を片手に、所構わず黄色い声で叫ぶ若者~年配の女性ばかり。ポスターを見た瞬間からある程度想像はしていたものの、客の9割9分が女性という圧倒的な場の力に完全に尻込みしました。
座席についてもまあ酷いこと酷いこと。知り合いを見つけて奇声を上げては突如立ち上がり走り回る客の達の悪さには閉口しました。
■音響・舞台美術・照明■
やはり登場人物が多いせいか、音響ミスが気になりました。
折角セリフを口にしているのに、肝心のマイクの音量が低くて客席まで届かない。全体的に音量も小さ目。残念でした。
舞台美術と照明は、全体を通してシンプルかつ美しい。非常に見やすいです。こうシンプルだと役者に目が行くから良い。衣装もハデすぎず個性が出ていて、初見の客にも見分けがつきやすい。
■舞台■
粟根さんの存在感、迫力、30代後半とは思えない華やかな動きに圧巻。
粟根さんの生きた舞台を久々に鑑賞できて大満足でした。
やっぱり「俳優」ではなく「役者」を見にゆく醍醐味ってここにある気がするんですよ。
舞台を見終わって、思わず笑顔がこぼれる楽しい舞台でした。
ただ一幕は辛かった。可もなく不可もなくというか…個人個人のキャラ立ちの物語の様で、そこまで面白味が感じられなかった。(おかげで混乱せずにはすんだけれども…)
HIROZの優等生版かな?という疑問が頭の中をぐるぐる回り、
役者としては上をゆくかもしれないけど、ううん…といった感でした。
2幕からはもう物語にも役者陣にも完全に魅せられ、
笑いが、笑顔が止まりませんでした。
仲が良い!舞台が好きな様子が伝わってくる!
特に全員での大合唱はたまりません。
武骨に叫ぶような歌い方も時にはいいですよね。心を揺さぶられました。
ストーリーとしてはありがち、役者が多いだけに個々の心情までは描けていませんが、幕間を挟んで、あっという間の3時間でした。
久々に心から笑い、笑顔になれた素敵な舞台でした。
楽しかった!
■鑑賞後に思ったこと■
残念なのは、やはり女性客が多すぎること。
どんな些細なことにでも笑ってくれるから、舞台は温かくていいんですけどね。要するに出来不出来にシビアな客がいない。というかそういう方は劇場に来た時点で引き返すのではなかろうか。(そこが惜しいと思う。楽しめるのに!)
もっと幅広い層に受ける舞台が出来るだろうにもったいないと思ってしまったが、彼らはこの客層を取りに行っているのでしょう。
それぞれ伝えたいことは違うものな~。
と帰り道にいろいろ考えてしまったのでした。
ウサニ
フジテレビジョン
ル テアトル銀座 by PARCO(東京都)
2012/08/03 (金) ~ 2012/08/26 (日)公演終了
リンダリンダ
サードステージ
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2012/06/20 (水) ~ 2012/07/22 (日)公演終了
満足度★★
想定外のストーリー展開。
紀伊国屋サザンシアターにて初見。
再演とのことでしたが、山本耕史さん出演の際の舞台も見てみたかった。
ストーリーは震災以降に焦点が当てられており、
色々と考えさせられることの多い舞台でした。
やり場のない衝動、突き動かされる想い、体。
なんとなくわかる気がした。でも全く理解できない気もした。
ひやりとさせられることが多い舞台。
考えるだけで行動しない人間と、
後先考えずに行動してしまう人間、どちらがタチが悪いのだろう?
初演の時のストーリーはなんだったのだろうと気になってしまったのでした。
松岡充さんの歌唱力、素晴らしい。
そして高橋由美子さんの存在感は圧巻でした。
ミュージカル ドリームハイ
TBS
新国立劇場 中劇場(東京都)
2012/07/03 (火) ~ 2012/07/20 (金)公演終了
満足度★
着眼点によって評価の分かれる作品。
炎天下の中、新国立劇場初参戦。
ノイタミナ枠オープニング曲担当の松下優也さん主演とのことで
彼の声を楽しみに鑑賞させて頂きました。
原作を見ている方には楽しめるものなのかもしれませんが、
想像を超えるストーリー展開は、初見客には辛すぎる舞台。
音響もセリフと歌で切り替えが不十分に思えたし、
キツい照明は時々頭が痛くなるほど。
松下優也さんのソロは見ごたえ十分。
聴きに行った価値がありました。
みんな豚になる-あるいは「蠅の王」-
ワンツーワークス
吉祥寺シアター(東京都)
2012/07/20 (金) ~ 2012/07/26 (木)公演終了
満足度★★★★★
鳥肌が立つ舞台。
寒気がしました。
あまりの緊張感に目が離せず、息すらできず、
舞台が暗転して初めて、大きく息が出来た舞台。
「素晴らしい」の一言に尽きます。