
「40 Minutes」
TABACCHI
スクエア荏原・ひらつかホール(東京都)
2014/03/21 (金) ~ 2014/03/24 (月)公演終了
満足度★★★★
各団体のカラーが如実に
3団体による「サムライ」をテーマにした40分の短編の競作。
劇団チョコレートケーキは訴えるべきことを、JACROWは演劇技法をそれぞれ前面に押し出し、電動夏子安置システムは作品としての面白さを追求した、という印象。
各団体ともよく観ている身として、冒頭部分からそれぞれのカラーが丸出しと言うか、その団体の空気がその場に広がり「そうそう、ここはこの感じだよね」とニヤニヤしたりも。
なお、このような観客投票によって順位を付ける場合、かつて劇団福耳がA-1グランプリで行っていたように「1人2票として同じ団体には2票入れない」方式にすれば、より公平になるのではないか?(投票を監視する必要が生ずるかも知れないが)

晴れ、ときどき束縛、のち解放/アマリリス
santacreep
RAFT(東京都)
2013/12/24 (火) ~ 2013/12/28 (土)公演終了
満足度★★★★
晴れ、ときどき束縛、のち解放
本来ならば緊迫した状況ながら、慣れていない(慣れていよう筈がない)ためにどうしたら良いかワカらず状況をもて余すことから生ずるズレが可笑しいことから「議論の苦手な日本人が「12人の怒れる男」のような状況に置かれたら、と考えた」という三谷幸喜の「12人の優しい日本人」誕生の逸話を思い出す。
また、関係者たちの間柄を活かした落としどころも巧み。

晴れ、ときどき束縛、のち解放/アマリリス
santacreep
RAFT(東京都)
2013/12/24 (火) ~ 2013/12/28 (土)公演終了
満足度★★★★
アマリリス
いかにも女子中学生が言いそうな聞きかじりの言葉やら非論理的な会話やらが巧み。
そして「飛び道具」あーぽん嬢を活かしたメタフィクション的な終わらせ方(←「終わり方」では断じてない)のズルいことと言ったら!(笑)
いやぁ愉快愉快♪

フウン
劇団→ヤコウバス
吉祥寺櫂スタジオ(東京都)
2013/12/19 (木) ~ 2013/12/23 (月)公演終了
満足度★★★★
野田風味アリ
冒頭のスローモーション演技から「ヤるな、こいつら」な漠然とした予感。
そして全体のトーンや序盤の言葉遊びなどは野田風味。
がしかし表面的になぞるのではなく吸収し消化した上で自分の表現として昇華させていることに好感。
また、大小2つの正方形が1つの角を接して並ぶるカタチの四方囲みの舞台(大きい正方形の周囲の焦げ茶色のすのこ的なものの隙間から青空が見えるのもステキ)や渋い色合いの衣裳など美術も良くてなかなかに満足。

(morning sun...)
第27班
北池袋 新生館シアター(東京都)
2013/12/13 (金) ~ 2013/12/15 (日)公演終了
満足度★★★★
見え隠れするピュアさに好感
やや雑然とした感なきにしも非ずだが、「トレンディ」とは対極にあるような不器用で恋愛下手な当世大学生達の生態。
そこここに(作家の人間性の顕れか)ピュアさが見え隠れすることに好感。
「なお、この公演は〇〇〇〇の提供でお送りしました」ってか?(笑)

1bitの深呼吸
劇団銀石
ギャラリーLE DECO(東京都)
2013/12/10 (火) ~ 2013/12/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
一見恋愛ドラマ風ながらしっかり哲学系SF
シリーズ第1、2弾とはうって変わって一見フジテレビの恋愛ドラマ(「恋ノチカラ」とか)風ながら、哲学系SFもしっかり含まれ、なおかつ「あるトリック」でアタマが心地好く混乱する快感もアリ。
さらに「最後の曲」を知っているだけにイントロで(心の中で)大笑い。面白かったぁ♪

「夕焼けの唄」
カワグチプロヂュース
ART THEATER かもめ座(東京都)
2014/03/20 (木) ~ 2014/03/23 (日)公演終了
満足度★★★★
王道ホームコメディ+α
長男夫妻と下肢に障害を持つ長女、高校生の次男、さらに次女夫妻も押しかけて来ている家に起こる騒動…な王道の昭和ど真ん中ホームコメディ。
…でありながらも、不妊・避妊に関する部分や長女の障害などは現代的。
そんな部分がただ笑えるだけの甘い作品にしない佳きスパイスとなっていたと言えよう。

ホーンテッドラブ(2014年Ver.)
in企画
レンタルスペース+カフェ 兎亭(東京都)
2014/03/20 (木) ~ 2014/03/23 (日)公演終了
満足度★★★
ユーモラスで優しく、ファンタジックな物語
オカルト雑誌の記者2人が取材で訪れた廃屋で…な物語。
所謂「優霊譚」、ユーモラスで優しく、ファンタジックな物語は好みだし良くできているけれど、回想シーンの過去の人物(=現在の人物を演じている役者が演じ分ける)が輪廻転生の中なのか外なのか判別し辛いのが惜しい。
終盤のシーンから、それぞれの「相手」は輪廻の外と思ったが、合っているかしら?

男の60分 -2014-
ゲキバカ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2014/03/19 (水) ~ 2014/03/23 (日)公演終了
満足度★★★★
懐かしき少年小説的世界
母の死により今は弟が住んでいる実家に帰った脚本家が昔書いた作文を見つけ、東京から大阪・摂津に越してきた小学生時代の夏を思い出す…という今江祥智や山中恒、古田足日らの作品を彷彿とさせる懐かしき少年小説的世界。
差し詰め死体を見に行かない日本版「スタンド・バイ・ミー」と言ったところか。
途中に出てくる「ごっこ遊び」のシーンなども楽しい。

フォアローゼス
ゲキバカ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2013/09/12 (木) ~ 2013/09/16 (月)公演終了
満足度★★★★
なるほどノワール
借金を棒引きにする代償として構成員連続殺人の犯人探しをすることになった私立探偵の行き着く先は…?なゲキバカ流ハードボイルドあるいはテアトル・ノワール。
出だしはコミカルだが次第にシリアスに転じ、本筋部分はかなり救いのない結末を迎えるが、ストーリーテラーが「巻き込まれた男」であることと、定年退職する老刑事の人情味とで緩和されるのが上手い。

カンロ 【ご来場いただきまして、誠にありがとうございました!】
鳥公園
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2013/10/25 (金) ~ 2013/11/02 (土)公演終了
満足度★★★★
モーフィング+トランスフォーム
会話の回想部分にその当事者が直接介入してくるなど、舞台演劇ならではの技法が面白い。
1つの場がモーフィングのように滑らかに別の場に変容して行く様から M,C,エッシャーの「メタモルフォーゼス」を連想したりも。
また、後半で装置がトランスフォームするのもアッパレ!

月見草一夜 ツキミソウヒトヨ
soulstory
遊空間がざびぃ(東京都)
2014/03/14 (金) ~ 2014/03/16 (日)公演終了
満足度★★★★
雄弁な身体表現がさらに万人向けに
虫、鳥、人間など転生する度に出逢う2人の物語。
元々雄弁と言おうか物語を綴るダンスな上に今回は初の試みとして各場の前にストーリーの朗読を入れたことで内容が丸ワカり。
より万人向けになったと言えよう。

VS(ヴァーサス)
演劇チーム 渋谷ハチ公前
赤坂RED/THEATER(東京都)
2014/03/21 (金) ~ 2014/03/30 (日)公演終了
満足度★★★★
ほろ苦ぁーいブラックコーヒーの味わい
職もなく故郷に帰り、妻の収入が頼りの元ボクサーの物語。
どちらかと言えば暗めの話でハッピーエンドとは言えないのに110分をしっかりと見させ、なおかつ後味も「悪いばかりではない」のが独特。
謂わば「ほろ苦ぁーいブラックコーヒー」か?

DOLL 後ろむきな人生の前むきな歩き方
劇団天動虫
要町アトリエ第七秘密基地(東京都)
2014/03/18 (火) ~ 2014/03/23 (日)公演終了
満足度★★★★
物語・演出・演技・装置どれも好し
かつての夢を諦めきれずに日々を過ごす男が心機一転、何でも屋を開業し、偶然知り合った女性を応援する物語。
素舞台でのオープニングから瞬時にしてポップでファンシーな装置が出現しテンポ良く進む冒頭でツカミはオッケー。
以降、フィクションならではの個性的な人物たちが織り成すストーリーに引き込まれる。
後半で若干テンポが落ちる感無きにしも非ずだが、それでも125分の長さは感じさせず。
演技・演出・装置と三拍子揃ってお見事。
「あ、そこって開くんだ」とか、「そういう向きにして他にも見立てるんだ」とかの工夫がある装置は劇団阿佐ヶ谷南南京小僧の段ボール製の装置に通ずるモノがあり、珍しくもそれを使わないのが残念だった先日の阿佐南公演の仇(爆)をここで討てた気も…(笑)

ろだん
643ノゲッツー
OFF OFFシアター(東京都)
2014/03/13 (木) ~ 2014/03/18 (火)公演終了
満足度★★★★
80分の中にキャラとそのドラマを凝縮
2人の主婦に「あなた方の夫と付き合って妊娠したので金を出せ」と脅す若い女…な状況から始まりそれとは別方向のサスペンスフルな展開へ。
以降は二転三転し、その度に新たな面(テーマ?)が見えてくる構造。
その感覚は、初めての道を案内されるがままに付いて行ったら途中で何度か「あ、あそこか」と思うもそこではなく、風光明媚な所なども通って「あぁ、ここだったんだね」な所に着いた、みたいな。

ショッキングなほど煮えたぎれ美しく×アイロニーの夜
KAKUTA
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2013/12/02 (月) ~ 2013/12/15 (日)公演終了
満足度★★★★
ショッキングなほど煮えたぎれ美しく
高校生が「ひと夏の経験」を経て少し前進する物語。
起承転結がハッキリしてワカり易く、クライマックスは確かに「ロック」。
全体的にはユーモラスな中、時折ほろ苦さも漂い、好きだなぁ。
序盤の映像(?)を使った演出も面白い。

ショッキングなほど煮えたぎれ美しく×アイロニーの夜
KAKUTA
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2013/12/02 (月) ~ 2013/12/15 (日)公演終了
満足度★★★★
アイロニーの夜
いつもながら作品選択がステキ。
また、開場前のカフェでの朗読でオリジナル版を復習した後だけに「神様2011」の皮肉(?)が沁みる。
さらにそれに引き続いて書き下ろし「アイロニーの夜」の最終場が続くので効果は倍増、的な。

ショパンの馬鹿!!!~別れの夜~
劇団東京イボンヌ
ワーサルシアター(東京都)
2014/03/18 (火) ~ 2014/03/23 (日)公演終了
満足度★★★★
よろしいんじゃないでしょうか
作曲の妨げになる、とジョルジュ・サンドと別れたがっているショパンのもとにシューマン夫妻やリストらが集まり…なドタバタ気味コメディ。
これはこれでアリと言うか、新しい切り口で愉快。
そんな中、3人の作曲家の曲のピアノ生演奏や生歌も当然入るし、劇中人物が演奏する場面の見せ方の工夫がイイし、オチも巧いし、小ネタも笑えるし、よろしいんじゃないでしょうか。
中には「東京イボンヌの馬鹿!!!」とお怒りの方もいらっしゃるかも知れないが、肩肘張らず「あは、あは、あは」と笑って過ごす90分間もまた楽しからずや。
次は謎の多い作曲家を取り上げての推理劇などどうかしらん?

AKINA
劇団阿佐ヶ谷南南京小僧
ザムザ阿佐谷(東京都)
2014/03/14 (金) ~ 2014/03/16 (日)公演終了
満足度★★★★
あれやこれやの元ネタにウケる
当日パンフレットの役名を見た時点で「あ、アレね」、客入れ時のS.E.で「その場面」が目に浮かび、劇中で「別モチーフ」とツッ込まれたネタももちろんワカり、そもそも大元の昭和歌謡はリアルタイムな世代なもので、大ウケ。
特に序盤と終盤を筆頭に元ネタの翻案ぶりは見事で、そう思って見るとまんまだもんなぁ(笑)。
また、後半はかの歌姫の歌満載だし。
こりゃあ元ネタを知っているかいないかで面白さがかなり違うのでは?
一方、お馴染みの段ボール、カメラとスマホくらいにしか使われていなかったのは残念。
ステージが広いと装置に使うのは大変なのかな?
あと、椿焼きそば太さんとちっぽんさんが出演されていなかったのも残念、次回は是非。

超能力裁判
風雲かぼちゃの馬車
シアター711(東京都)
2013/09/21 (土) ~ 2013/09/23 (月)公演終了
満足度★★
題材と表現方法に齟齬?
超能力で交際相手の首を折った人物の審理をする裁判員と判事。
着想、状況設定、人物設定、ストーリー展開、歌詞の乗せ方などそれぞれに於いてよく出来ていると認めるが、落とし所に今一つ得心がゆかない。
さらに題材と表現方法に齟齬がある気がしないでもない。いっそ番外公演としてストレートプレイで見せてくれないものか?