
桃色家族
桃と団地妻
Gallery & Space しあん(東京都)
2014/12/10 (水) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
【詳報】「劇場版」での再演も希望
父の七回忌の翌日、久しぶりに兄弟姉妹が集まった中に訪れる不審人物…。
序盤から昭和中期の「オトナが作っていた頃の日本映画」のように丁寧な日本語・正しい敬語に感心。
奇しくも2週間ほど前のコマイぬ公演で日本語の美しさに気付いたこの会場でまたもや…。
ほのぼのとした“ホームドラマ”系の前半と、来訪者の正体が明かされ波乱が起こるもさりげなく敷いておいた伏線を回収してキレイに落とす後半という対比もメリハリが利いているし起承転結に則って巧み。
ネタがネタだけに類型的な部分も少なからずあるが巧く組み込み効果的に使っているし、中盤での末っ子とその恋人、終盤での長女夫婦の会話を筆頭に名台詞も随所にちりばめて全体としては完成度が高く大いに満足。
(ま、一部演技に力みはあったがな(ぼそ))
恐らく一般的な劇場での公演に変換することも可能…どころか堤泰之の「煙が目にしみる」のようなスタンダードになりうる作品だと思うので演を重ねて欲しい。
なお、双頭ユニットであり両主宰の企画を交互に上演するそうなので、その意味で次回公演、次々回公演にも期待。

運命の女
味わい堂々
スタジオ空洞(東京都)
2014/12/10 (水) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★★★
心理サスペンス風味の娯楽作品
永年の腐れ縁の相手を刺してしまった女が駆けつけた男に語る被害者とのあれこれ。
中心となる2人の名前にヒントがあったり、駆けつけた男性の名前にトリックがあったりというのも巧みで、娯楽作品として上出来。
いつの間にこんな作風を身に付けた?(笑)
なお、サイコサスペンス風の味わいにバーベット・シュローダー監督の「ルームメイト」('92年)を想起。

しんみりなーんてしまへんしまへん!とびっきりの、クリスマスパーティーにするんだってばぁぁぁぁ!!!!↑(≧∇≦)↑
38mmなぐりーず
新宿ライブハウス&イベントスペースLEFKADA(レフカダ)(東京都)
2014/12/06 (土) ~ 2014/12/06 (土)公演終了
満足度★★★★★
なぐりーずの「次のステップ」を示したライブ
ついに持ち歌を全曲歌うライブが実現。それも基本的には卒業するなっこをセンターにし、何曲かは同じく卒業する研究生ままんも加わるスペシャル・バージョン。
また、三期生にとっての本格デビュー的なライブでもあり、いろんな意味で38mmなぐりーずの「次のステップ」を示したライブだったと言えよう。
「制服ByeBye」を残した「ほぼ全曲ライブ」と卒業セレモニーという二部構成は、観客にとっても愉しいものであり、こういう場に立ち会えたことは甚幸。

みえない雲
ミナモザ
シアタートラム(東京都)
2014/12/10 (水) ~ 2014/12/16 (火)公演終了
満足度★★★★
見せ方の工夫などで145分の長さを感じず
原作と出逢った子供の頃を語る作者(役)に導かれて始まるドイツの少女の原発事故体験。
避難パニックに始まり被曝まで至る内容に(ここまで極端ではないにせよ)福島の被災者もかくや…との思いにとらわれる。
また、これも語り継ぐべきこととする締め括りも鮮やか。
シリアスな題材での145分間ではあったが、見せ方の工夫などもあり、それほどの長さは感じず。

体夢-TIME
劇団桟敷童子
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2014/12/11 (木) ~ 2014/12/23 (火)公演終了
満足度★★★★
新型桟敷童子、発売中!
従来は暗色だったチラシが白を基調にしたものになったことから漠然と抱いていた予感が的中?
桟敷童子としては異色の作品となった。
最初は「作風が変わった」と思うも、作風と言うよりは題材が変わったと言った方が的確かと思い直す。
抽象というよりむしろ素に近い舞台で描かれるのはハードSF、時間の環、ゾンビ、ナウシカ、英雄伝説などどこか既視感のある世界だが、複数組み合わされている上に桟敷童子流に変換されているので明確に思い出せないのがまた巧いところ。
そうして戦争や殲滅戦、欲望などを取り上げて語るのが新味。
どちらかと言えば物語よりもテーマを重視した感じか。
そう言えば洋楽…というか英語の歌詞が付いた歌を使うのも初では?
さらに普段よりもアングラ色が濃かったのではあるまいか。
これはこれでアリと思うが、賛否は分かれそうだよね。
あと、カプセル兵団の某作品(内容)や別役実作品(ビジュアル)も連想。

【ご来場ありがとうございました!!】媚媺る、
ロ字ック
小劇場B1(東京都)
2014/12/10 (水) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★★★
いつもながらの女性作家ならではの作品
「女性はコワい、オトコはクズ」、そういう部分もあるだろうけれど敢えて見たくはない…な事象を客の眼をこじ開けて見せる(笑)ロ字ック、今回は「虐げられながらも堪える」女性を中心に据えて。
怖いもの見たさ的に眺めているといつの間にやら精神的に前のめりになってしまう。
中でも片桐はづきの「堪えっぷり」、榊菜津美の「悪い顔」、日高ボブ美の「〇〇ぶり」(劇中形容につきネタバレ自粛)が特に印象的。
また、場転の際にモニターに表示される「心の叫び」が次第に誰のものとも思えてくるのが上手い。
勾配の浅い短辺側の客席の前方の椅子を小さめにする心遣いも嬉しい。
しかし機種依存文字をタイトルに使うのは避けて欲しいな。

桃色家族
桃と団地妻
Gallery & Space しあん(東京都)
2014/12/10 (水) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
【速報】実は正統派にして完成度高し
タイトル、団体名とは裏腹に(爆)起承転結に則ったストーリー展開・全体構成から昭和中期の「オトナが作っていた頃の」日本映画のようにきれいな日本語・正しい敬語から、完成度はかなり高い。
一部気張り過ぎな演技や椅子の座り心地などの難点もあるが、それを補って余りある出来映えに大いに満足。
※「初物」に弱い(あるいは甘い)σ(^-^)ゆえ、ハナシ半分で受け取って下さい(爆)

フタリニミエタ
Oi-SCALE
駅前劇場(東京都)
2014/12/10 (水) ~ 2014/12/15 (月)公演終了
満足度★★★★★
「よく晴れた真冬の午前2時頃のような澄んだ空気感」は健在
同じ夜に起きた3つの出来事…バラバラに思えたそれぞれの流れが次第に関連付いてゆく後半は完成に近付くジグソーパズルの如し。
映像や朗読を併用した演出も効果的でラストの鮮やかな「仕掛け」にはまんまとしてやられる。
ただ、(それぞれの流れが断片的に示される前半は特に)物語性よりも「様々な人の想いを感じる」Don't think,feeeeel!的タイプにつき、好みは分かれるかも?
ちなみに個人的には Oi-SCALE の「よく晴れた真冬の午前2時頃のような澄んだ空気感」が大好き。
ピュアな雰囲気と言おうか、色で喩えれば限りなく透明に近いブルーと言おうか。
林さんが(やや強面のおっさん然とした見かけとは裏腹に(爆))ピュアな人だからだろうなぁ。

美女木ジャンクション、他
santacreep
RAFT(東京都)
2014/12/02 (火) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★★★
晴れ、ときどき束縛、のち解放
大胆なコトをしたもののそこから先をどうして良いやら…な主人公姉妹(だけでなく当事者全員か)の事態の持て余しぶりがマヌケと言おうかのどかと言おうか、ユーモラスなのは初演そのまま。
そこに新キャストの持ち味と初演キャストの口ぶりなど(あて書きだったのかな?)“面影”が加わって面白さ倍増、的な?

『海の夫人』/『水』
アマヤドリ
シアター風姿花伝(東京都)
2014/12/04 (木) ~ 2014/12/07 (日)公演終了
満足度★★★★
「水」…ハッピー?ビター?それが問題だ
死を受け入れることと死に急ぐことと…。
シトラについてはあれでハッピーと思うけれど、ヒソップにとってはあれで幸せなのかしら?
端からは苦悩(というより哀しみ)からの逃避にも見えるのだよなぁ。
それをファンタジックな純愛物語風に、「彼女は王子さまと幸せに暮らしました」的(性別が逆だけれど)に締め括られてもねぇ…。
以前観た時(再演)の印象が薄いのはそのあたりが納得できなかったからではないか?(笑)
そんなところからロミオやジュリエットは幸せだったか?的なことも考えたり…。
また、ヒバリと猫に宮沢賢治を連想したり、さらにシトラの心境とヒソップの行動に最近観た2本の芝居を思い出したりも。

美女木ジャンクション、他
santacreep
RAFT(東京都)
2014/12/02 (火) ~ 2014/12/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
美女木ジャンクション
おもしろうてやがて哀しき何とやら…ではないが、そこはかとなく可笑しくてそこはかとなく切なくて最後は感動的ですらある。
その感動的なオチに到る前のいろんな想いが錯綜しているであろうところもイイ。←ラストの感動の起爆剤になってもいるし。
あーこれ大好きだ。

おもひそむ
劇団SHOW&GO FESTIVAL
「劇」小劇場(東京都)
2014/12/02 (火) ~ 2014/12/07 (日)公演終了
満足度★★★★
王道コメディからハートウォーミングへ
嘘でごまかそうとしてドツボにハマる王道コメディから前夜の様子を挟んでハートウォーミングな結末を見せる構成が鮮やか。
ここを観るのはこれで4作品目となるが、今までの3作(「ひみつきち(初演・再演)」「今宵見上げし…」「まんが×青春!!」)がコミカルな部分はあれ「コメディ」と言うよりは「一般作」に近かったので今回初めてコメディらしいコメディを観た感じ、こういうのもアリなんだ。← 今までに観た3作が良くなかったということではない(為念)

夜よ、水際に揺らぐノートルダムの夜よ
天幕旅団
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2014/11/28 (金) ~ 2014/12/01 (月)公演終了
満足度★★★★★
天幕旅団的美学の真骨頂
かなりビターな原作のパーツを使って新たな寓話を編み上げた感じ。
原作よりもマイルドではあるものの悲劇は悲劇で、しかし優しさと美しさを備えたところがいかにもここらしく、「格調」や「風格」……は言い過ぎにせよ、「天幕旅団的美学」を感じる。
また、この会場の特質である地下通路(?)の活かし方や鐘を撞くギミックなども◎。

『由々しきララバイ』『哀しきランデヴー』
ワルモノ見参
APOCシアター(東京都)
2014/11/26 (水) ~ 2014/11/30 (日)公演終了
満足度★★★
哀しきランデヴー
女性を事故から守ろうとして命を落とした男の前に「やり直しますか?」と問う女性が現れて…な物語。
が、何度かやり直して幸福な結末に至るありきたりなパターンではなく、ビターエンド気味なのがユニーク。
その日その時までの主人公の軌跡を見せる狙いは悪くないが、最初の「やり直し」で「どこまで遡ったの?」と勘違いさせてしまうのと、演じられる場の「時」がすぐには察しにくいのがやや惜しい。

「葉桜/命を弄ぶ男ふたり/驟雨」
コマイぬ
Gallery & Space しあん(東京都)
2014/11/27 (木) ~ 2014/11/30 (日)公演終了
満足度★★★★
使われている言葉の美しさ
縁談について話す母娘、自殺しようとする男二人、姉夫婦に新婚旅行での夫について愚痴る妹…な3編。
岸田作品を観るのは10回目近くになるが、今回初めて「使われている言葉の美しさ」に気付く。
カタいのとはまた別で、スクエアというか折目正しいというか、昨今はなかなか耳にしない会話が心地好い。
7度(←ユニット名)の現代風にアレンジしても岸田は岸田、な公演を観た後だったことも関係していようか?(もちろん会場の雰囲気も)

バイセコ
劇団チャリT企画
座・高円寺1(東京都)
2014/12/03 (水) ~ 2014/12/07 (日)公演終了
満足度★★★★
長編群像コント…的な
シュール、不条理、ナンセンスと各種取り揃えた上で基本的には投げっぱ(笑)な長編「群像コント」。
あは、あは、あは、と笑うもよし何かの隠喩かと勘ぐるもよし、な感じ? で、ラストはちょっと不気味…みたいな。
他に類を見ない独特な味わいの80分。
冒頭場面の早替えによる多数の通行人たちも見もの。

喜劇王暗殺
トツゲキ倶楽部
d-倉庫(東京都)
2014/12/03 (水) ~ 2014/12/07 (日)公演終了
満足度★★★★
心温まるファンタジー+α
ありふれた表現になってしまうが「心温まるファンタジー」。
当世の大スタア(と言おうか世界の喜劇王と言おうか)がお忍びで来訪することで嬉しさに舞い上がる“庶民”の気持ちがガンガン伝わってくるし、カタコトながら次第に触れ合いが深まってゆく様子も良いし…で、漠然とした幸福感に包まれる。
そんな中に(多少類型的ではあれ)「戦争がもたらす哀しみ」をさらりと織り込むところは井上ひさし作品を連想。
また、ちゅうサンさんのマイムは「反則ワザ」的にステキ。(冒頭のパフォーマンスも、後半で皆がわいわい騒いでいるバックで身振り手振りをしているのも)

下衆な回遊魚
はぶ談戯
劇場MOMO(東京都)
2014/12/02 (火) ~ 2014/12/07 (日)公演終了
満足度★★★★
一粒で二度おいしいツクリ
60年代の日活の歌謡映画路線のようなヴィジュアルで昭和の松竹映画的な「ネオ・人情噺」を語る前半と、キレイゴトを排し人の弱さを描いてペーソスが漂う後半の二段構えで「一粒で二度おいしい」。
前半のクライマックスと全体の幕切れで味わいが異なるが、それぞれにステキ。

ヒトヒトヒト
キリンバズウカ
武蔵野芸能劇場 小劇場(東京都)
2014/11/23 (日) ~ 2014/11/30 (日)公演終了
満足度★★★★
ありがちなコミュニティ崩壊劇と思いきや
シェアハウスに住人の兄が転がり込んだことで起こる波紋。
円滑だった住人たちの関係が徐々に揺らいで行くさまは、不安定なタワー型のものに順に物をのせてゆくゲームの如し。
「そこまで行くの!?」な展開の後、時を遡り「種明かし」よろしくその前に見せたいくつかの場面を別の視点で見せるアイデアが面白く、最後に残された「再生の兆し」が優しい。

ミラージュ・イン・スチームパンク
X-QUEST
インディペンデントシアターOji(東京都)
2014/11/27 (木) ~ 2014/12/08 (月)公演終了
満足度★★★★★
もはや「新・様式美」
冒頭の「空中戦」を筆頭とした流れるような動きが美しい、本気の擬闘で躍動する肉体が美しい、どことなく野田を思わせる台詞の響きが美しい、物語全体の構成が美しい…もはや「新・様式美」では?