
HEIAN MCZ
定時残業Z
ザムザ阿佐谷(東京都)
2017/01/07 (土) ~ 2017/01/09 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/01/08 (日)
価格3,000円
史実の翻案や言い換えが巧みなNEO HEIANのラップバトル。
平安期の歴史や文学などに詳しいとより楽しめるようなツクリだけにちょっと悔しい。予習をして臨むべきであったか。(いや、楽しくなかったということではない:為念)
ところで中盤のラップのない部分に中弛み感が漂ったのはラップの楽しさの反動か? その辺をうまくツマんで上演時間が2時間を切る(1月8日昼の実測上演時間は130分)ようであればもっと良かったのでは?

虚仮威
柿喰う客
本多劇場(東京都)
2016/12/28 (水) ~ 2017/01/09 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/01/07 (土)
座席Q列9番
価格1,000円
2016年のクリスマス・イブ、「妻」のある身である「僕」が深夜に呼び出されて訪れた「彼女」の部屋で聞かされたのは彼女の祖父を中心とした大正時代の東北の村と「ある風習」にまつわる話……な物語。
その異色の取り合わせ(+α)によるレトロなファンタジー感と現代パートの結末(=全体の結末でもある)の切れ味のよさが好み。

ぬるい体はかたくなる
深夜ガタンゴトン
インディペンデントシアターOji(東京都)
2017/01/05 (木) ~ 2017/01/09 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/01/06 (金)
病院の霊安室に出入りする人たちが織り成す人間ドラマ、森田芳光、相米慎二、大森一樹などの映画に通ずる味わいにシュールな笑いでアクセントを付けた感じ?
登場人物たちがそれぞれ単一指向ではなく多面性を持った人として描かれているので人間臭いと言うか実在感があると言うか……なのが巧い。
しかしペーソスもありつつ基調はユーモラスなんだから客はもっと笑ってもイイんじゃないか? けっこうリアルな舞台美術に気圧されて笑うと不謹慎に感じられてしまうのか?
なお、劇場入口の階段を下りて突き当たった所(受付が設置されていることが多い)の「装飾」にもニヤリ。客席につく前から芝居の世界の入口になっているんだな。

メビウスの劫罰
空想天象儀
阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)
2016/12/09 (金) ~ 2016/12/11 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/12/09 (金)
価格2,500円
内容・表現方法・タイトルが三位一体となったパラレルワールド系。
パラレルワールドものが好きな身としては「このテがあったか!」だし、パラドックスもあるような気がしつつ巧妙にはぐらかされる(爆)し、広瀬正の「マイナス・ゼロ」に通ずる感覚はあるし、で面白かったぁ♪

ありえたかもしれない発表
H-TOA
gallery to plus(東京都)
2016/10/14 (金) ~ 2016/10/16 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/10/15 (土)
価格2,000円
自由が丘の飲食街の一角、路地に面した建物の地下にある時空を超えるゲートを抜けた先にある他銀河の惑星で観る地球とその惑星の関係は宮澤賢治から長野まゆみへ伸びた線をさらにずっと延ばした先にあるような印象。
客席入場前の世界観告知(「説明」ではない)からもうその気になり、つい前日に観た「コズミック☆フロント」(銀河鉄道の夜を最新の物理学で読み解くヤツ)が脳内で甦るっていう。

楽園王25周年『物語』
楽園王
駅前劇場(東京都)
2016/10/21 (金) ~ 2016/10/23 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/10/21 (金)
出だしの2つの場面の関係性は?と考えさせることで中身に急激に引き込み、しかしそれが巧妙に仕掛けられた罠だと明かされた終盤の「やられたぁ!」感が殆ど快感。
他の部分も含めてホント綺麗に騙されたわ。その構造は落とし穴もある迷宮?みたいな。
オチも鮮やか(そこでも騙された)だし、はった伏線を後から悟らせる手法にも感服。面白かったぁ♪♪♪

煩悶耽溺無色の青年が積み上げる模範と成功、とそれに喰らわす一撃
the pillow talk
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2016/08/05 (金) ~ 2016/08/07 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/08/06 (土)
価格1,800円
ある高校のギター部(活動は軽音部的)の1年を描いた面白うてやがて哀しき共学校版「けいおん!」。
ダメ男の事例を各種取り揃えているので笑ったり呆れたりハラハラしたりする中、時々古傷をかきむしられたりもするのが巧妙。
一方、ダメ男見本市(爆)な男優陣に対して女優陣は複数が態度や見かけで二面性を見せてくれて、そんなところが女優系としての見どころだった。
なお、中心的人物の言動に「お前、自分を棚にあげて何言ってんだよ!」とハラハラするのは歪「夢叶えるとか恥ずかし過ぎる」と二夜連続(笑)

落ちこぼれアイドルだった私が社長になって1年で会社を立て直した10の方法
ガラス玉遊戯
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2016/07/27 (水) ~ 2016/07/31 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/07/27 (水)
価格3,000円
いつもの(?)ビター風味かと思いきや痛快ファンタジーにちょっぴり感動もまぶしてちゃんと落ち着くべきところに落ち着くのはさすが。
物語はワカり易く人物設定/役割分担も的確かつやはりワカり易く、肩肘はらずに観ることができたし、何より面白かった。
憎まれ役的な2人の人物に、ある大好きな有名作品を連想したりも……。

厄病神とジレンマ
ジョナサンズ
【閉館】SPACE 梟門(東京都)
2016/06/01 (水) ~ 2016/06/05 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/06/01 (水)
価格2,500円
説明過多でも説明不足でもなく、観客に想像の余地を与える語り口の匙加減が巧く、マイナス×マイナスがプラスになるような終盤がステキで「幸せとは?」なんてことも考えさせられた。

10歳が僕たちを見ている
第27班
アトリエヘリコプター(東京都)
2016/04/15 (金) ~ 2016/04/24 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/04/16 (土)
価格2,800円
前半に冗長感無きにしも非ずながらある時点以降グッと迫ってくる「等身大の25歳たちの物語」、終盤の若干強引な部分が気にならないでもないが、ギリギリ「芝居の嘘」か?
若い頃の佐藤浩市がリアルタイプのジャイアンを演じたりしているようでもあったな。(笑)
なお、20日に再見。
【勝手にキャッチコピー】あの頃の友だち……あの頃の夢……………25歳たちのスタンド・バイ・ミー

グランメゾン・アカシア
the pillow talk
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2016/05/27 (金) ~ 2016/05/30 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/05/28 (土)
価格1,300円
「〇〇家の7日間戦争」なホームドラマ(あるいはビター風味ホームコメディ)、 修羅場で笑える不思議さ、幕切れの巧みさよ!
ともすればあんな目に遭っていたかも知れない、と身につまされたと言おうか、パラレルワールドにはあんな目に遭っている自分がいるのでは?と心配したと言おうか…(笑)
舞台となるリビングルームがそれなりにきっちり作られているのでそこから扉ごしに続いている他の部屋も想像できるのか?

「(戦場に)行けたら、行くね。」
santacreep
RAFT(東京都)
2016/05/18 (水) ~ 2016/05/22 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/05/19 (木)
どこかズレたり噛み合わなかったり、なケラ風味の会話をする人々の日常に笑いながらも忍び寄る戦争の影の不気味さを感じ、やがて……な秀作。
音楽に喩えて言えば、楽しい曲調なのにかすかに不穏な通奏低音が流れていて、時々不協和音が鳴る…みたいな?

わたしたちの算数 あるいは 握手を待つカワウソ、とても遠い犬
アムリタ
シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)
2016/03/25 (金) ~ 2016/03/28 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2016/03/25 (金)
価格2,500円
山の中の小さな村から無限に広がる大宇宙まで、また、過去から未来まで、自在にズーム/移動すりのは「トリップする」感覚?こういうの、好みなんだなぁ。
主宰から伺ったあるキーワードによる先入観もあり、幼い頃「それ」について考えた時に感じた虚無/孤独/虚空を思い出した。

つきまとう教室
深夜ガタンゴトン
インディペンデントシアターOji(東京都)
2016/01/13 (水) ~ 2016/01/17 (日)公演終了

いつかエンドロールで(再演)【終演しました、ご来場ありがとうございました!】
20歳の国
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2016/06/15 (水) ~ 2016/06/19 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/06/17 (金)
価格3,000円
観ているこちらが照れ臭くなるほどに真っ直ぐな男女5人の青春群像劇。
しかし考えてみると「文化祭大作戦」にしても「保健体育」にしても…いやむしろ20歳の国の作品全ての根幹を成すものを抽出するとこうなるのではないか?
登場人物の少なくとも1人には(←だいたい複数かと)共感したりかつての友人を重ね合わせたりできる人物造形が巧みにしてズルい(笑)。
また、時として劇中の時期が前後するが、観ていてそれに戸惑うことがない演出/演技なのもイイ。
なお、喩えれば初演版は地デジ化前の4:3画面のテレビドラマ、こちらはそれの劇場映画版、みたいな印象。
新宿ゴールデン街劇場とSPACE雑遊(しかも横長)の演技エリアの広さの違いからか?(笑)

脱兎の見上げる、
荒川チョモランマ
高田馬場ラビネスト(東京都)
2016/02/25 (木) ~ 2016/02/29 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/02/25 (木)
価格3,000円
前作とは打って変わったホームコメディ。
長田主宰の御家族がベースとのことで、どこまでが事実でどこまでが虚構か推測しながら観るのも一興?(笑)
また、あー、この人はそんなイメージあるよねぇ♪…なキャスティングも見もの。
懐かしき単館レイトの(ブレイクするかどうか危うい若手女優主演の)青春もの映画っぽい幕切れも鮮やか。

車窓(まど)の外は星の海
風凛華斬
シアターシャイン(東京都)
2016/04/08 (金) ~ 2016/04/10 (日)公演終了
満足度★
鑑賞日2016/04/10 (日)
価格2,000円
死者には天上に行くか希望する相手(生者!)と共に冥界をさまようかの選択権がある…という設定の物語。
主人公の死の真相をめぐるミステリー風味なども悪くないが、終盤で主人公が愛する兄と冥界をさまようために策略を巡らすのに至ってはもはやホラー。
いや、ホラーなのは良いのだが、共に冥界をさまよわせる生者が、自分を死に追いやった相手なら…あるいは少し譲って死に物狂いで愛した相手ならまだワカるが、よりによって肉親とはどういう神経か?
ここでそれまで積み上がってきたものがガラガラ音をたてて崩れるような、あるいは真面目な顔で語っていた相手がふざけた顔をして「な~んちゃって」と言ったような気がして一気に白けてしまった。詰めを誤ると作品は台無しになるんですねぇ。
某人気演劇集団を思わせる作風は好みだったのに残念至極。

いちばん星のその次の
waqu:iraz
cafe MURIWUI(東京都)
2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/04/09 (土)
価格2,800円
結婚を控えそれまで住んでいたペントハウスで過ごす最後の夜を彼女は親しい友人2人と過ごし…なおハナシ。
初演時はそのまま受け取ったのだが、今回は冒頭でふと「2人の友人は実在するのか?」という疑問が浮かび、非実在と仮定して観る。
すると、やはりその推論が成り立たない部分はいくつかあれど、結婚前に生じた不安を1人の女性が自問自答で解消してゆく過程に見えないこともなく…(我田引水的?(笑))
その場合2人の友人は「別人格」とまではいかず「トワイライトマジック(逢魔が時?)が生み出した幻想」が妥当であろう。
また、明かりがキャンドルだけなので、どことなく「儀式」的なイメージも伴い、2人が実在しないとすればなおさら(笑)。
あと、初演時にも思ったが、冒頭部と後半で2度出てくる台詞がイイんだなぁ。
「そこから何が見える?」からの問答は恐らく実際に見えるものであろうし、 後に続く部分は本当に艦橋か操舵室にいるように思えてくる…まさにこの会場へのあて書きだね。
さて、来年、三演はあるかな?

サイクルサークルクロニクル
monophonic orchestra
APOCシアター(東京都)
2016/04/06 (水) ~ 2016/04/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2016/04/09 (土)
価格2,500円
端的に言えば「オトナ向けジュヴナイル」もしくは「時をかけ抜ける少女」、気が付くと時が過ぎている女子大生の物語…あ、じゃあむしろ「時をすべる少女」か(笑)。
その「滑る幅」が次第に大きくなることに梶尾真治の「クロノス・ジョウンターの伝説」を思い出したりも。
そうして、所謂マッドサイエンティスト系の人物(11歳ながら天才的で飛び級という設定も愉快)が解き明かした後がまた巧い。
主人公が薬によって「滑り始める」前の時点に戻るのだが、「滑った時間の記憶を取り戻している」とも「そこまでのすべてが夢だった」とも解釈できて胡蝶の夢系が好きな身として堪らん。
いやぁ、面白かった♪

西の風、むげんだい。
オフィス櫻華
吉祥寺櫂スタジオ(東京都)
2016/04/06 (水) ~ 2016/04/10 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2016/04/08 (金)
辺境の惑星で質素に暮らしている科学者のもとに「地球に帰りアンドロイド開発に力を貸して欲しい」とかつての同僚が訪れるが…な物語。
板張りの床やランプの灯を点す廃クレーンのアーム(?)などの美術も相俟ってレトロSF的な雰囲気は良い。
が、愛した相手が眠る惑星に残り死を選ぶ主人公…という結末は大いに不満。
そういう浪漫を解さないではないが、自らの能力をも埋もれさせて愛した人に殉ずるとは何と身勝手で情けないのだろう?
元同僚は力ずくでも地球に連れ帰れよ!と思ってしまう。
考えてみると、このナルシシズムは主人公の命と引き換えに多くの人が救われるという安直な結末(リメイク版の「N本C没」とか)とも通ずるもので好みではないんだなぁ。
一方、収穫は「演劇表現」について考えるヒントを得られたこと。
登場するキャラクターの1人が実は精巧なアンドロイドという設定で、登場した時にうんと控え目にロボマイムを取り入れた動きをして観客にはそれとなく伝えるのだが、その後の台詞に「(アンドロイドだとは)言われないとワカらない」という台詞が出てくるのだ。
劇中では人間そのもののようだが観客にはアンドロイドらしく見せるというある意味二律背反……これこそ演劇表現の面白さなのではないかしらん?
ちなみにそれを絶妙な匙加減で演じたのは楓朋美嬢でありました。