じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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ライジングさん

ライジングさん

カリバネボタン

ワーサルシアター(東京都)

2015/12/16 (水) ~ 2015/12/20 (日)公演終了

満足度★★★★

ハリウッド製SFアクションサスペンス映画に通ずる後味もあり
とある企業の総帥が亡くなり長女が跡を継いだが一番肝心なものは次女の意識下に隠されており、それを手中にすべく長女やライバル企業が雇ったスパイが次々と次女の意識内に入り込み…な物語。
全体的に長編コントのようにしょーもない(貶す意図は毛頭ない)ギャグが満載だが、中心となるストーリーが前述のようなサイバーSF系である上に、一件落着に見える結末にも謎を残すのでハリウッド製のSFアクションサスペンス映画に通ずるような「はて、それで本当に解決したのか?」な後味アリ。
また、舞台美術もシンプルながらセンスがイイ。
後方中央にある出入口が左右にスライドして開く紗のドアと上に引き上げられる暗幕なのは演出上の効果と未来的(?)なイメージで一石二鳥。

帰ってきたアンチョビー

帰ってきたアンチョビー

合同会社シザーブリッツ

上野ストアハウス(東京都)

2015/12/08 (火) ~ 2015/12/13 (日)公演終了

満足度★★★★

このテの公演の事情が偲ばれてニヤニヤ
ある村の出身者たちが理由あって帰省して村興しの芝居を上演するまでを描いたコメディ。
各人が村に帰る状況と村興しのイベントに向かう姿を描く前半はメリハリがあまりなく単調かつ冗長。
がしかし、このテの公演は出演者それぞれをできるだけ均等に扱わなければならないであろう事情が偲ばれてニヤニヤ。
これに対して終盤の劇中劇(とその裏)はそこまでの場面よりも演技がいきいきするのがまた可笑しい。
劇中設定からすれば即席の座組で稽古期間も長くないであろうから下手くそであって然るべきなのだが、むしろそっちの方が巧いという…(笑)
その劇中劇、ベタな説明台詞から入り、某スタジオへのリスペクトやオマージュ、さらにパロディですらなくほぼそのままな場面をちりばめたもので、いかにもヘボ脚本家(←劇中設定)が書きそうなもので楽しい。
そこに“ショウ・マスト・ゴー・オン”の要素も加味してあるので演ずる側も楽しいんだろうなぁ…などと裏を想像しながら観るのもまた楽しからずや。
可愛どころを集めた公演って、こういう楽しみ方もあるのね。

クリスマス・キャロル

クリスマス・キャロル

虹創旅団

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2015/12/09 (水) ~ 2015/12/13 (日)公演終了

満足度★★★

あれこれ惜しい、再演を希望
ディッケンズの原作を、人が“物”も演ずるなどの惑星ピスタチオ的な手法も使って舞台化。
脚本と演出(と音楽)は買うが、台詞が早口なばかりでなく“間”を置かない(代わりに変なところに台詞を思い出すための間が空く)のが致命的。
そのためにせわしないどころか、“膨大な量の台詞”(当日パンフレットより)を“消化する”ことに専心して肝心の“物語を伝える”“演技をする”ことまで気が回っていないように感じられてしまう。
カーテンコールの主宰(作・演出・主演)の言によれば「休団・退団があり劇団員は2名だけ」な上に「初舞台の者もいる」そうだが、だったら早回しでも130分近くかかる大作にせず、もっとスリム化するべきではなかったか?
とはいえ最初に書いたように脚本と演出は…というか、何を演りたかったか、何を見せたかったかについては感心。
いずれきちんと芝居的な間をとった「完全版」(150分くらいでも構うもんか!)で観てみたいと思う。

わがまま、こどく、かいにん、

わがまま、こどく、かいにん、

the pillow talk

王子小劇場(東京都)

2015/12/01 (火) ~ 2015/12/02 (水)公演終了

満足度★★★★

確信犯的やり逃げ(笑)
タウン誌の編集部、翌日に修学旅行を控えた高校のクラス、「なんたら女学園」なるイメクラの3ヶ所で繰り広げられる会話劇、ラヴェルの「ボレロ」を想起させる構造での「確信犯的やり逃げっぷり」が痛快。
ま、「おいこら、投げっ放しかい!(笑)」な感も無きにしも非ずではあるがそう何度も使えるテではないし、とにかく面白いので容認(爆)。
が、将来的に「コイツら、またあのテを使いやがった」な作品があってもそれはそれで認めよう。
(しばらく経って気付いたが、クロムモリブデンがこのパターンを得意としているような…)
また、今回の騒動の後日譚をいつか見てみたい気もする。
ところであの壷は星新一の「おーい、でてこーい」的なものか「王様の耳はロバの耳」的なものか、はたまた「逆“パンドラの匣”」的なものか?
あと、開演定刻を過ぎてすぐに5分ほど押す旨を伝えて謝り、実際の開演直前と終演後にそれぞれ謝罪したのはアッパレ!(←本来は当然のことであるが、それがアッパレと感じられてしまう昨今の小劇場界よ…(毒))

緋色、凍レル刻ノ世界、永遠

緋色、凍レル刻ノ世界、永遠

黒薔薇少女地獄

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2015/11/24 (火) ~ 2015/11/29 (日)公演終了

満足度★★★★

黒薔薇式2時間サスペンス風耽美ミステリー
ある女子中学校で起きた事件は15年前にそこであった事件に酷似しており…な物語。
モロにアングラ風味のオープニング、妖しげで「あんなもの」が登場人物に付きまといながら進む展開、一件落着したものの「後を引く」終わり方(=一見落着?(笑))などそれぞれにどこか懐かしさもあって好み。
あと、舞台中央にある「アレ(ネタバレBOXに詳述)」が醸し出す雰囲気がまたイイ。
で、勝手に付けたキャッチコピーは以下の3つ。
「黒薔薇式2時間サスペンス」
「耽美ミステリー」
「破綻しないG蝕K劇団(爆)」
※G蝕K劇団は破綻する(=換言すればブッ跳ぶ)のも魅力の一つなのでdisる意図は全くない

ネタバレBOX

舞台中央にある「紅い御簾」に囲われたエリア、事件現場でもあるワケで、それでなくとも赤い色なのに「その刹那」は照明も相俟って血生臭く感じるほど
チャイルドボイス

チャイルドボイス

『熱きロマンを胸に、生きる勇気と希望を与えるべく突っ走り続ける奴ら。』

シアターサンモール(東京都)

2015/07/15 (水) ~ 2015/07/20 (月)公演終了

満足度★★★★★

(シアターサンモールに)帰ってきた夢麻呂組
倒れた父に替わり保育園の園長代理となった元ヤンの金髪男にはなぜか園児たちの「心の声」が聞こえるわ「本当の姿(?)」が見えるわで…な物語。
園児同士の派閥やら空気を読んで“いい子”を演じる子供など、大人社会の縮図とも読める内容を中心に、しょーもないギャグ(←貶す意図は皆無)やアクション、感動を添えて休憩込み3時間の上演時間も体感的にはさほど長く感じず。
前半は娯楽性たっぷりな上にさりげなく伏線をはり、後半で複線を次々に回収しながらメッセージを伝えるという構成と主人公の設定が活きてくるのが巧いんだな。
なお、「前半で巻いたから延ばしてるんだよッ!」というサービス精神あふれる座長の台詞には大ウケ。
また、「今日は撮影が入っているから間違えると残るよ」とおっしゃったご本人が噛んだり…(爆)

あたしのあしたの向こう側

あたしのあしたの向こう側

トツゲキ倶楽部

d-倉庫(東京都)

2015/11/18 (水) ~ 2015/11/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

きちんと起承転結の構造をふまえた上に世相批判もあり、キャラクター造形も良くできた傑作
「もしもあの時…」が積み重なった挙げ句に生じたまさかの事態。
全体的にはコメディタッチながら後半には感動要素もちらほら、また、観客には現実にはおそらく起こり得ないであろう状況と油断させておいて現実世界へ警鐘を鳴らすのもインパクトがあり見事。
SFファンでなければちょっとややこしいかもしれないパラレルワールドについても、劇中人物が劇中人物に対して例を交えて平易に説明したり誤った例を挙げてそれを訂正したりすることにより説明台詞臭を感じさせないのも妙案。
ラストに関してはあのハッピーエンドも良いが、「4号」が「岸壁の母」よろしくずっと待ち続けるのも強い批判性を表現できたのではないか?とも思う。

ネタバレBOX

あと、自意識が高くずっと「私を誰だと思ってるの?」と言い続けていた「9号」が終盤で「“私たち”を誰だと思ってるの?」と言うところ、好きだなぁ。
なお、1人の人物が“増殖する”ことに劇団第三反抗期(劇団Peek-a-Booの前身)「うわっ!増えちゃった」(1999年11月)や最近復活(?)した六つ子のマンガ/アニメなどを想起。
破提宇子

破提宇子

演劇実験室∴紅王国

ウッディシアター中目黒(東京都)

2015/10/28 (水) ~ 2015/11/03 (火)公演終了

満足度★★★★★

紅王国の真骨頂
星野之宣やとり・みきに通ずる雰囲気の伝奇系ミステリー。
第二次世界大戦参戦直前の日本のある村を舞台に「天孫降臨/現人神」や「宗教弾圧」を練りこんだ物語は考えようによっては過激で危険、不敬なのではないかとハラハラしつつ、古風で重厚な語り口にすっかり引き込まれる。
「これこれ、これだよなぁ」であり、今に通ずる…というか今でなければならずもしかすると今そのものとも言える内容は紅王国の真骨頂。

ネタバレBOX

終盤の磔シーンと黙示録の内容は第二次世界大戦の戦禍であったとする場面にはゾクゾク。
土砂降りぶりっこ

土砂降りぶりっこ

ピヨピヨレボリューション

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2015/04/14 (火) ~ 2015/04/19 (日)公演終了

満足度★★★★★

旗揚げでこのクオリティ!
昔々、人間と魔女たちが共存していた頃のおハナシ。
最初の“ちゃんとした”合唱曲に始まり、いかにもミュージカルな重唱や手拍子、足拍子とカホンだけのほぼアカペラコーラスなど多彩な楽曲と民間伝承風の物語(洋風HげD夫気味??(笑))がいかにも、みたいな。
出演者も個性が様々で、歌も声楽系やゴスペル系がいたり、もちろん踊れるメンバーもいるし、単なるミュージカル以上の布陣?
旗揚げ公演でこれだけのものを創りあげるとはおそるべしっっ!!!
なお、曲終わりでいきなり次の場に飛ぶのは「ジーザス・クライスト・スーパースター」的と感じたり、空を飛ぶシーンに劇団四季「ユタとふしぎな仲間たち」(こどもミュージカル版)を連想したりと、勝手にオマージュと受け取る。

龍宮の庭

龍宮の庭

劇団皇帝ケチャップ

萬劇場(東京都)

2015/08/18 (火) ~ 2015/08/23 (日)公演終了

満足度★★★★★

初日にA班、楽日にB班を観劇
1990年代の月9ドラマ(音楽によるところが大きいかも?)か柴門ふみか…な王道胸キュン恋愛物語。
思い切りベタなラプストーリーをリアルな人間界を舞台に90分程度にまとめるのは、ましてや惚れ薬やら疫病やら出てくるのでは難しかろうところ、龍宮というファンタジー世界にしたのは妙案。
更に龍宮での出来事とすることで人間関係の説明を省くことも可能ならしめているし、新たな価値観さえ附加(←過言)して見事。
切ない終盤からラストにかけても良く、プロローグが実は…と終盤でワカるのや紙ヒコーキの使い方とか惚れ薬の使い方とかもまた巧い。(ラストの装置のシカケは劇団桟敷童子や劇団離風霊船を想起)
また、ある人物の「心の声」の「見せ方」(A班のみ)にはワロタ。
欲を言えばあの「憎まれ役(“悪役”ではないよね)」にはもっと暴れて…と言うか掻き乱して欲しかったが、全体のバランスを考えればやむなしか?
スタッフワークは他に“承認式”と“走る乙姫“の場面の明かりがイイ。
ただ、音楽も良いが1曲目のアレは知っている身として違和感あり。
あと、いつもながら会話/台詞のセンスが良くて心地好い。
物語のキーとなる大事な台詞とかいわゆる名台詞などではなく、単に物語を進めるだけの何気ない会話がウィットに富んでいると言うかウマいことを然り気無く言うと言うか、だから具体例を挙げられないんだが…
そんなこんなで、今まで観た中で(旗揚げの「フランスパン…」は見逃した)一番好き。
なお、定刻開演もお見事!(本来は当然のことをしているのについ誉めてしまう昨今の小劇場界…(毒))
ちなみにA班(18S観劇)はファンタジックなのに対してB班(23S観劇)はリアルタイプ(配役もそうだし、一部の演出もオーソドックス)と差別化を図ったのもイイ。
で、結末を知っているとプロローグでクるよなぁ…。

人間とカマキリ(『キンダガートン・コップ』改め)

人間とカマキリ(『キンダガートン・コップ』改め)

ナカゴー

ART THEATER 上野小劇場(東京都)

2015/10/22 (木) ~ 2015/10/25 (日)公演終了

満足度★★★★

酷いなー、バカだなー、ナカゴーだなー
まずは友近&なだぎのビバリーヒルズ青春白書パロディにも通ずる「いかにも吹替え調」な台詞回しが笑いを誘う。
そう言えば今までもこのパターンはあったっけ。
また、中盤までは結構元ネタを忠実に再現しているようで、その「意外とマジメ」なツクリな割には当然の如く元ネタに遠く及ばないギャップが可笑しい。
ある意味、往年の大映テレビのドラマ(赤いシリーズなど)を観て笑っていた感覚に通ずるんじゃね?
それが終盤になると例え元ネタを知らなくても「これはオリジナルだな」と気付くレベルの逸脱を始めて、このナンセンスな味わいがまた「いかにもナカゴー」(笑)。
さらに序盤でも出ていた下ネタ炸裂で締めくくって、これまたナカゴー!(笑)
で、実はその逸脱のヒントが前説の「キンダガートン・コップ改め…」というフレーズに含まれているのも賢い。
そんなこんなで漏れていた評判通りに酷い(←褒め言葉)上におバカでナカゴーで、大いに満足。
ホント、酷いなー、バカだなー、ナカゴーだなー(爆)

soifo

soifo

ボクキエダモノ

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2015/11/10 (火) ~ 2015/11/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

鮮やかな青春群像劇、いろいろ翻弄された
高校1年生のあるクラスの生徒たち(+α)の物語。
ウブな者から大人びて過激な者まで様々な人物がいる上にトリッキーな部分もあり、あたかも様々な球種の変化球主体のピッチングで進めて行き終盤は豪速球に転じ、それでいて最後のアウトは隠し球でとるが如き鮮やかな青春群像劇、いろいろ翻弄された。
また、舞台後方に垂れている帯状のもの、開演前はチラリと見て染物の布かと思ったが、開演して明かりがはいればそれは透明ビニールに白いビニールテープ(?)を様々なデザインに貼り付けたもの。(出演者それぞれが作ったとのこと)
その舞台美術もセンスが良くかつ効果的で感心。
なお、この夏頃以降、アラサー役者が演じる高校生・中学生をよく目にし、それぞれ説得力があったが、本作の「あの方」は(父親との二役の関係もあったが)さすがに苦しい(笑)。
がしかし、出オチと言おうか飛び道具と言おうか、十分にネタになっていたので、これもアリ。(爆)

「ウミダ短編演劇集『こりない』/『スモーキン・スモーキン・スモーキン』

「ウミダ短編演劇集『こりない』/『スモーキン・スモーキン・スモーキン』

劇団ウミダ

APOCシアター(東京都)

2015/11/11 (水) ~ 2015/11/15 (日)公演終了

満足度★★★★

こりない
海田主宰による前説からそのまま始まる表題作は分割されて他の各編の合間に演じられるスタイルにして「またやりゃーがった!」(笑)
前回賛否両論だった「だいなし」を「スモーキン…」の「おまけ」で巧く昇華させたと感心したのは何だったのか?(笑)
がしかし、そう何度も使えるワザではないという観客の油断をつき、少しカタチを変えてまた演る確信犯的な手口、ヤるなぁ(笑)。いっそこのまま毎回演って、ある程度たまったら番外公演でシリーズ一挙上演を…(爆)
他の4編は海田作品と出演者を含む他者作品が半々、バラエティに富んでいたが、とっちらかった感もアリ。
個人的には「やらない」「ふれない」の2作が特に好きかな。
なお、うち1編を「こりない」の劇中劇のようにしたアイデアも〇。

「ウミダ短編演劇集『こりない』/『スモーキン・スモーキン・スモーキン』

「ウミダ短編演劇集『こりない』/『スモーキン・スモーキン・スモーキン』

劇団ウミダ

APOCシアター(東京都)

2015/11/11 (水) ~ 2015/11/15 (日)公演終了

満足度★★★★

スモーキン・スモーキン・スモーキン
表題作である1編目は冒頭から大見得を切る感覚がカッコイイ…のだがその反動で後半に失速感が漂うのが惜しい。 が、「そうだよね、やっぱり」なオチは好み。
2編目「理不尽な財布」は二人芝居の前半と三人芝居の後半で分割された感、無きにしも非ずであるが引野早津希嬢の好演に免じて片目をつぶろう(爆)。
続く3編目「のんびりさん」、4編目「いつかばったり」はMCR櫻井さんのブラックな部分、アマヤドリ広田さんの詩的な部分、とそれぞれの個性丸出しでニヤリ。
ラストの「おまけ」も前回公演「だいなし」の発展形的で愉快。

親戚の話

親戚の話

コマイぬ

古民家シェアサロンasagoro(東京都)

2015/10/02 (金) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

人物それぞれの「距離感」を実感
従弟の結婚式で久しぶりに石巻に帰省した新婚夫婦と披露宴にも出席しなかった従妹との会話劇。
比較的ライトに始まりながらやがて震災や“親族の暗部”について掘り下げてゆき、それを埋める方向に転じたかと思わせてまた掘る(笑)という構成と、登場人物3人はもちろん彼らの会話に名前が出てくる人物たちまでそれぞれの「距離感」がまるで自分の身内のそれのように実感できるのが見事。

NBL大作戦

NBL大作戦

ゲキバカ

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2015/11/07 (土) ~ 2015/11/15 (日)公演終了

満足度★★★★

「シッポまでぎっしりアンコの詰まったたい焼き」のような娯楽作品
型破りなGジャン先生が受け持つ3年B組は「バカのB」と言われるダメ生徒が集まったクラス。そこに二学期から可愛いコが転校してきて…と、ベタと言おうか王道と言おうか、な学園ものに姉を探している宇宙人のプリンセス一行が加わっての騒動記。
おバカを基調に、ベタさ、チープさを加え、SF要素、感動、サスペンスとアクションにちょっとした風刺まで盛り込んでオマージュで味付けし、それらが奇蹟のような絶妙のバランスで組み上がっているのは映画版クレヨンしんちゃんに通ずるのではないか?
(ネタバレBOXへ続く)

ネタバレBOX

また、どこまで脚本でどこまで即興なのかワカらない部分が複数あるのも巧い。笑いをこらえきれない様子が演技だったらスゴいぞ。
あと、M-OKA33が時々ロボマイムを入れることでアンドロイドらしさを出すこと(と終盤のアレ)とC-5POの「アレらしい」歩き方が個人的にツボ。
さらに、クライマックスの「アレの最終形態」が学芸会の装置のようにチープなのも妙に似合っていて愉快。
強いて言えば、個別では良いが全体の尺を考えると引っ張り過ぎな部分も無きにしも非ずだが、体感時間はさほど長くなかった。
かくて「シッポまでぎっしりアンコの詰まったたい焼き」のような娯楽作品、存分に楽しめた。
悪魔はいる

悪魔はいる

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2015/11/11 (水) ~ 2015/11/15 (日)公演終了

満足度★★★★

およそSPIRAL MOONらしからぬ戯曲を自らの色に染めて
陰湿かつ過度な抗議行動から身を隠した小さな出版社の面々と作家をめぐる物語。
いつもは「やさしさ」「あたたかさ」が漂うSPIRAL MOONに底辺を「悪意」が大半を支配する戯曲は異色。
がしかし、台詞回しや間合いから生ずる舞台の雰囲気はまぎれもなくSPIRAL MOONそのものだし、微かに光明が見えるラストシーンは音響・照明も含めて真骨頂。
ところであの「現実にあったこと」は本作をオリジナルである820製作所が初演した昨年夏よりあとだって?…こわぁ。
なお本作は、それまで「本当に悪い人物」が出なかったのに対して初めて「悪い奴」が登場した演劇集団キャラメルボックスの「TRUTH」的な作品と言えるのではないか?

くそったれの世界

くそったれの世界

ソラトビヨリst.

ギャラリーLE DECO(東京都)

2015/10/28 (水) ~ 2015/11/01 (日)公演終了

センスの良さに舌を巻く
短編2本に中編1本の60分3本勝負。前菜二品・箸休めにメインディッシュという構成と言えるか?
その構成、各編の発想と落とし方などセンスの良さに舌を巻く。(詳細はネタバレBOXにて)

ネタバレBOX

1編目の「おこらないで」は、感染した場合はある条件を満たすと死ぬウイルスが蔓延した世界で生き残ろうとする人々の物語。
皮肉なその症状はむしろ現代に必要なのでは?などと思ったりもしつつ、いくつもの例を早替えで演じて見せる面々に大笑い。
そしてスタンダップコメディアンのパンチラインのように切れ味があるオチがまた巧い。

続く「ためになるね」は不思議な音が聞こえるようになった女性の話。
あれこれ試した末にたどり着く「どんな時に聞こえるのか」は…。
こちらも落とし方にキレがあり、この2編はショートショート的な味わい。
なお、この合間に1編目の早替えで脱ぎ散らかした衣装などを「演助(?)が回収する」体の一人芝居的なものが入るのも妙案。

表題作「くそったれの世界」は、ビルの1室で待ち合わせた筈なのに次々と違う人々が集まり、やがて…なサスペンスコメディ。
一言で表現すれば「陽気なDART'S」?(笑)、コミカルな中に犯人探しのミステリーもあり、それでいながら結末はコメディらしいもので、なかなかの出来。
ありふれた話

ありふれた話

猫の会

スタジオ空洞(東京都)

2015/07/22 (水) ~ 2015/07/26 (日)公演終了

満足度★★★★

「明るい夢十夜」的な感覚?(笑)
タイトルとは裏腹に日常をちょっと踏み外した感覚の奇譚。
「相互胡蝶の夢」を経て主客逆転のラストが鮮やか。
「明るい夢十夜」的な感覚よりもっと近いものが…と話したら、「川上弘美?」と問われて「あ、それだ!」みたいな。(笑)

猫と洞窟と夏についての試論

猫と洞窟と夏についての試論

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2015/07/23 (木) ~ 2015/07/26 (日)公演終了

満足度★★★★

今後いろんな演出で観てみたいとも思う
いかにもな柳井脚本なので十七戦地ファンは必見?
クールでスタイリッシュな装置も一見の価値アリ。
さらに、この内容でそう座らせるの?な演出も面白い。
人数・上演時間とも程よいので今後いろんな演出で観てみたいとも思う。
なお、冒頭部分でDART'S作品を連想したが、脚本の柳井さんがDART'Sをお好きであると伺って大いに納得。

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