Water
キコ qui-co.
三軒茶屋ライブ&バー GRAPEFRUIT MOON(東京都)
2017/02/12 (日) ~ 2017/02/12 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/02/12 (日) 19:30
価格3,000円
なるほどキコqui-co.流「銀河鉄道の夜」の本歌取り。
「希望を捨てない限りあいつは死なない」という台詞にそもそもの上演のきっかけも含んであれこれ納得。
一番の中心となるザネリを年齢・性別とも不詳とし、それを十七戦地の藤原薫が演ずるのがまたキャスティングの妙。
最初に登場した時は「ひねた」感が拭い去れない(失敬!(爆))ジョバンニも観ているうちに次第に説得力をもってきて、むしろ可愛く見えてくるのはさすが!(笑)
ほっほんとに、アイドルだったんだってばぁぁぁぁ!!!!(°□︎°)
38mmなぐりーず
渋谷GUILTY(東京都)
2017/02/11 (土) ~ 2017/02/11 (土)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/02/11 (土) 11:30
全19曲の持ち歌のうち卒業したかおりんのソロ曲を除く18曲を歌って踊り、かつてのメンバーからのメッセージや「解散式」などのサプライズがあったり同窓会状態だったりの135分余。
観ながら作詞や振付の担当者の顔が浮かんだ曲も少なくなく、時としてまんま、時として意外だったり……。
いやしかし女優業を続けながらのアイドル活動、片手間でなく両立させるとは、本当にお疲れ様♪
リバース、リバース、リバース!~Reverse,Rivers,Rebirth!~
ピヨピヨレボリューション
虎ノ門ギャラリー(東京都)
2017/02/23 (木) ~ 2017/02/28 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/02/28 (火) 14:00
価格3,000円
地方都市で12年前に「起きた事」の当事者4人とその後新たに関わることとなった人物の今…。
観ながらまず「世にも奇妙な物語」と梶尾真治作品を想起したが、それがその地方で過去からしばしば起きている怪異現象であると明かされることから恩田陸の方が近いか?と気付き、いずれにしても全体的にはNHK少年ドラマシリーズに通ずるな…などとも思い、終盤では罪と赦し(あるいは「赦さず」)ということが浮かび上がってきて考えさせられる、な感じ。「自分を赦さない決意により得る救済」なんてことも考えたな。
で、舞台となる都市は漠然と東北・北陸・山陰あたりを思い浮かべていたけれど、須貝さんによれば「東京へのアクセスの関係もあるので南東北から北関東あたり」だそうで。
その名の通りラポラトリーで化学変化を起こすように新たな作家・演出家との出逢いにより従来と異なる味を出したピヨラボ公演、今後も楽しみ♪
それにしてもピヨピヨレボリューション、一体いくつ引出しを持っているんだ!?
ドラゴンカルト
劇団ショウダウン
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2017/01/27 (金) ~ 2017/01/29 (日)公演終了
満足度★★★★
座席F列11番
価格3,800円
クライマックスでありかつ不気味で恐ろしいシーンから始めることで観る側を一気に引き込む。現代劇だし純粋な(?)悪を描くし…で、あれこれ新機軸。
多数の役を演じ分けるタイプの一人芝居をもこなすだけに林さんは「七色の声」で、今回はその役どころから高めだったな、とか。
夏の夜の夢
青年団リンク・RoMT
サンモールスタジオ(東京都)
2017/03/10 (金) ~ 2017/03/20 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/03/10 (金) 19:00
価格3,500円
ルドルフ・ジョーウォ演出でヤン・ペシェクがポーランド語で(!)パックを演じた1999年のものから東京芸術劇場の小1・小2・中の3つの劇場でそれぞれ観た(劇団BOOGIE★WOOGIE、空間ゼリーなど)2008年、悲劇版・喜劇版の2バージョンだった2010年の笑劇ヤマト魂(現・天幕旅団)、現代の設定・若者言葉でありながら実は原典にかなり忠実な上に独自の設定を加えてアッパレと思ったレティクル座(2014年)など、今まで観て来た10本は多かれ少なかれアレンジが加えられていたが、きちんと演るとこうなるんだぁ(上演時間含む)な印象。
よく存じている方々が適材適所だったり、イジーアスとハーミア父娘が「この父にしてこの娘あり」な雰囲気で納得だったり、オーベロンに某キャラを想起したりで楽しく、150分余の長さはさほど感じず。
また、こういうのがシェイクスピア時代のスラップスティックだったんだろうとか、職人たちの劇中劇は演出家/演者の腕のふるいどころなんだろうなとか改めて思ったりも。
個人的注目ポイントは小林さんのダンスの他、永井さんの○○(カワイイ)、塚越さんの○○○かな……(爆)
あと、本作(原典)についてはティム・ライス作詞、アンドリュー・ロイド=ウェバー作曲でコンセプト・アルバムを作った後にそれをノーマン・ジュイソン監督が映画化なんてのがあったら面白かったかもなぁ……などとも(笑)
【追記】
ライサンダーを女優が演じたことで女優が男役を演じたのか、同性で愛し合っていたのか観客の解釈も2つに分かれている。
元の戯曲に忠実なので同性愛をにおわせる台詞など出てこないワケだが、逆に考えればライサンダーが男であるという確証もなく、演出の妙と言えよう。
「ライサンダーは男性である」という戯曲にとらわれる派(σ(^-^) はこちら)と「女優が演ずるのは女性の役である」という芝居のお約束にとらわれる派(CoRich舞台芸術!やツイッターで目にした範囲内ではこちらが多数派)……なのか?
既成の、しかも有名な戯曲だから「男役を女優が演じている」あるいは「本来は男性の役を女性とした演出」と思うのであって、これがもしも書下ろし(かつ台詞などにヒントがない)だったら「女優が演ずるのは女性である」と受け取るんだろうな。この違いも面白い。
「男優が演じるのは男性の役、女優が演じるのは女性の役」という固定観念だけでなく「女性が愛する相手は男性」という(従来の)固定観念もこの頃は崩れてきているのだなぁ。
あ、いや、演劇の世界では前者は昔から崩れている…ってか固定観念と言うより「お約束」あるいはそれより緩いものだな。
今後は「従来の常識を疑え!」かもね。(笑)
淵、そこで立ち止まり、またあるいは引き返すための具体的な方策について
カムヰヤッセン
ワテラスコモンホール(東京都)
2017/02/16 (木) ~ 2017/02/19 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/02/16 (木) 19:30
価格3,000円
48時間の勾留期間に介護殺人の被疑者の取り調べを行う3人の刑事たち……。
その人間臭さはあたかも昭和の(特にNHKの?)事件よりも社会背景や人物に重点を置く刑事ドラマの如し。(もちろんミステリー要素もあるのだけれど)
理屈で考えれば被疑者に同情の余地はないのだが、何とも言われぬ切なさに支配され「理屈ではそうじゃないとワカっているのに心がそれを受け入れずに別の方向に動いてしまうこのアンビバレンツをどうしてくれよう?」状態(笑)
切羽詰った被疑者のしたことにどこか共感(?)を抱いてしまうことから鴎外の「高瀬舟」を連想したり、刑事が「もしかすると自分も“そちら側”ではないか?」と悩むことにリチャード・タッグル監督、クリント・イーストウッド主演の映画「タイトロープ」(1984年)を思い出したり。
あと、「もう一人」の「見せ方」も良かったなぁ。
ひとごと。。
劇団だるめしあん
【閉館】SPACE 梟門(東京都)
2017/02/22 (水) ~ 2017/02/26 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/02/22 (水)
熊本の震災を取っかかりとして自分の内面についていろいろ考える女性劇作家、という謂わば「エッセイ演劇」、故郷の震災被害に端を発して……という点ではミナモザ「ホットパーティクル」(2011年9月)を想起するが、本作はむしろ主人公の内面が描かれることで全く異なった芝居になっており、そんな違いも考えるとより面白い。
また、冒頭の1場面を見ていてかつてチャリT企画がみきかせプロジェクトで上演したリーディングも思い出した。題材と手法に通ずるものがあったのだが、やはり似て非なるものになっているのが作家の個性というものか?
1月のゆうめい「弟兄」のような私演劇(=「私小説」の演劇版)にしても本作のようなエッセイ演劇(いや、やはり私演劇か?)にしても「どこまで事実でどこまでフィクションか?」と考えながら観てしまい、それもまたこのテの作品の楽しみ方?
なお、ある場面でドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」を思い出してニヤニヤ。(個人の感想です)
Peach
INUTOKUSHI
シアター風姿花伝(東京都)
2017/02/22 (水) ~ 2017/02/27 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2017/02/24 (金)
価格3,200円
アレもコレも含めてThis is 犬と串。
で、「実はこういうことが言いたいのではないか」などと深読みするのはヤボで、ひたすら「バカだねぇ」とか「くっだらねぇ」とか「あのコ可愛い♪」とかで楽しむのが正解では?とか思う。
もちろん、「アレの隠喩か?」とか「あのことか?」とかもあって、深読みの余地はあるんだが、そうやって「実はイイ話」にしてしまうのは全力であんなことやそんなことを演っている面々に申し訳ない、みたいな?(爆)
「ケーキ」は予測できて「やっぱり!」だったけれど「まさかあのお方がそんなことをなさるなんて」という疑念を払拭できなかったな(笑)
パンドラの悩み
リブレセン 劇団離風霊船
ザ・ポケット(東京都)
2017/02/15 (水) ~ 2017/02/19 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/02/15 (水)
座席E列1番
「よろず相談所」に持ち込まれる変テコな3つの悩みとは?……実際にあった事件・事故・社会問題などを取り入れて考えさせつつ娯楽性もたっぷりという劇団離風霊船のお家芸的作風炸裂。
一方で珍しく連作オムニバスだし、「まさかのアレ」は演るしと新味もあり、詳細はネタバレBOXに収納するが「見事な演じ分け」もあって大満足♪
希望のゆくえ
643ノゲッツー
OFF OFFシアター(東京都)
2017/02/14 (火) ~ 2017/02/19 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/02/14 (火)
価格2,700円
定時制高校の20代、30代の生徒を中心とした物語……と言っても学園ものという感覚はなく、小学校の道徳の時間に観た教育テレビの番組や「中学生日記」のオトナ版なオモムキ。
典型的な憎まれ役にニヤリとしたり(「こいつゲスだなー!」なほどのベタな悪役・ベタな憎まれ役ってけっこう好きらしい)終盤のある人物の追い込まれた心情は似た憶えがあったり。
最終場なしのバージョンも(「明日に向かって撃て」風で)面白いかも、とか。
「あの音」が最終場以外ずっと流れているのもヤな感じで効果的(笑)。
これはペンです
H-TOA
gallery to plus(東京都)
2017/02/08 (水) ~ 2017/02/13 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/02/12 (日)
価格2,200円
円城塔の小説の部分部分を時に読み上げソフトによるものも挟みつつ2人の女優が読み上げ、観客はマーカーで読む部分を示した文庫本(各自1冊ずつある)を見ながら聞いたり考えたりメモを文庫に書き込んだり(!)という自由参加型(?)パフォーマンス。
ある意味「文章の洪水」の中に身を置くことになる訳で、目で元の文章を追ってはいるものの、次第に耳から入ってくるものが言葉や文章ではなく単なる「音」に感じられてしまうという「文章や言葉のゲシュタルト崩壊」を経験し、「これは文章ですか?」「これは言葉ですか?」を経ての「これは演劇ですか?」になるという……。
また、テキストに忠実だが句点がほとんどなく文章がダラダラ続く自動読み上げと部分的に意図してノイズ風にする(←子音だけ発音するらしい)生身の役者が読む文章のどちらが「文章らしく聞こえる」か?という実験のようにも感じられる。
芝居(に限ったことではないが)にはすべて用意されていて出てくるものを享受しているだけで楽しめるものと、観る側が想像力や思考力を駆使して積極的に参加(?)して楽しむものがあるが、本作は後者の極限に近いのではないか。
観ている最中にアタマの中に浮かんでは消えてゆくあれこれを楽しむ、みたいなものもアリ。そしてその場その時間の中で生じては消え行く観客の「想い」を残す文庫本というのも粋。
しかしそうするといろんな人の書き込みがある千穐楽が一番面白いんじゃね?(笑)
もれなく漏れて
ぬいぐるみハンター
OFF OFFシアター(東京都)
2017/02/22 (水) ~ 2017/02/28 (火)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/02/22 (水)
価格2,800円
初期のナイロン100℃のようなナンセンスなやり取りの合間にたまに哲学的だったり真理だったり風刺だったりの「ほぉ!」な部分を挟み込むが、その後の馬鹿馬鹿しさにいちいち覚えていられないのがクヤシイ。(笑)
とはいえ、そのもったいなくも儚いのがまたイイ。
そんな風に良い台詞を忘れさせてしまうのはリピートや台本購入を狙っての狡猾な戦略かはたまた三太さんの照れによるか?(笑)
ミラクル祭’17(ミラフェス’17)
新宿シアター・ミラクル
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2017/02/18 (土) ~ 2017/02/26 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/02/18 (土)
初日である18日にマチネのAversionとソワレのBversionを4500円のセット券で観劇。
【Aversion】
明るく楽しいいつも(いや、「いつも以上」か?)のたすいちと近未来の話なのに「昭和の文学臭(もしくは「あらすじ名作劇場」っぽさ(?))」がハンパないフジタタイセイ×アリソン・グレイスのダブルフィーチャー。
たすいち「堕天のスゝメ」
ポジティブなヒロインが次第に○○するが、最後にフッと○○されるという王道中の王道な物語。明るく楽しいたすいちど真ん中!
フェスティバルのオープニングに相応しい快作♪(嬉)
フジタタイセイ×アリソン・グレイス「Transcendent Express」
舞台は近未来だが、モノローグ部分と列車内の出来事という設定とで昭和の文学のような印象が強くそのアンビバレンツにトリップしてしまいそう(笑)。
そう言えばメーテルだけでなく車掌も……いや、何でもないです(謎)
【Bversion】
連作短編というよりは3場の中編に薄めの毒と笑いを盛り込んだハセガワアユムグループ、ロバート・ゼメキスの映画をキャラメルボックスが翻案したような劇団ミックスドッグスともに作家性丸出しあるいはモロ出し(笑)。
ハセガワアユムグループ「CANDY CITY」
3編の連作短編と言うよりは多少の時を隔てた3場で構成された中編、なオモムキ。
日常の「あるある」「ありそー!」を少しだけ誇張した絶妙な虚実のバランスと微かな毒(というか本作ではワサビ的なレベル?)がいかにもアユムさん作品。
女性を演ずる男優に違和感どころかコント感すらないのが不思議。
劇団ミックスドッグス「やねうらコスモス」
初期作品の短縮改訂版とのことでキャラメルボックスの影響がまだありありと出ている上にタイムマシンSFにさらに別のSFネタも組み合わせて、まさに「大人向けジュヴナイル」。
少年時代にSFものをを読んだり観たりしてワクワクした「あの気持ち」が蘇るよう。
時間ものでは定番の1つである「存在の輪」的なアレにもニヤニヤ。
なお、エレベーターの階床ボタンに「ミラクルは開場まで1Fでお待ち下さい」と書いた紙片を貼っておくの、妙案だね。
銀髪
アマヤドリ
本多劇場(東京都)
2017/01/26 (木) ~ 2017/01/31 (火)公演終了
満足度★★★★
初日(26日)は後方ほぼ中央(M列11番)から、中頃(29日)は上手前寄り(G列18番)、千穐楽(31日)は下手前寄り(G列6番)と、フリーパス(8000円)の恩恵に与り3回観劇。
その結果、初日に物語(本作は初演・再演とも観ていず今回初見)と舞台の全体像を俯瞰、2回目は受け継がれる生命、母性などの言葉や某演劇作品、さらには芝居の構造(打ち上げ花火型、帰納型と演繹型)なんてことがアタマに浮かび、千穐楽は後半での静と動のコントラストをキッカケに甚く共感する部分あり男女の対比ありで最終的には本作の上演理由を深読み(誤読?(爆))するに至る。
【初日編】
広田さんってこういう「組織(踝コンドルとか散華とか)もの」(勝手に命名)がお得意だけれど、舞台となるのは今の日本の延長上の世界ではなく、もっと以前に分岐して違う発展のしかたをした日本(例えば太平洋戦争で勝った日本、参戦しなかった日本、鎖国状態が続いている日本、開国のタイミングがもっと違った日本、鎖国しなかった日本……そんなレベル)だな、と思い、それって釈由美子主演の「修羅雪姫」(佐藤信介監督、2001年)に通ずるなと思ったのだった。
【2度目編】
本作は「打ち上げ花火構造」ではないか。主人公が「踝コンドル」という組織に関わり、組織が成長して行くのが描かれる前半部分は地上から花火が打ち上げられてヒューっと音を立てて上昇している段階、そして「ノストラドン」なる一大イベント当日が中心となる後半は花火が炸裂して大きく花開いた状態。
今まで、前半であれこれ伏線を張り巡らせておいて、ある時点からそれを一気に回収して行くのを「ドミノ倒し構造」と称していたけれど、「打ち上げ花火構造」は初めて思い付いた……というか、初めて言語化できた。
また、全体が1つの流れというよりも「場」の積み重ねで構成されているような印象を受け、そこから思いついたのが以下。
演繹型:1つの柱がありそれを中心に場が並べられる。物語などを語るのに適している。
帰納型:場を見せてそれらの重なりの中から伝えたいものが自ずと現れ出てくる。物語よりも思想などを語るのに適している。
【千穐楽編】
後半、回想シーンの種吉とライカのやりとりの部分がとても静かでノストラドンの喧騒との対比がクッキリ。(終演後に聞いたところによるとその日の朝に演出の変更があったとのこと)
そのことにより過去の種吉が強調されて、冒頭の派手な登場のしかたから豪胆に見えた種吉も実は非常に繊細な人物ではないか?と気付き「そういえばノストラドン当日にトイレに篭ってしまうもんなぁ……」とも思う。
そこからさらに種吉(イッセーも同様)がノストラドンという一大イベント直前になって「こんなところまで来ちゃったよ、どうしよう……できることなら昔に戻りたい・逃げ出したい……」と思う気持ちに(似たような体験もあるので)共感を覚える。
そして、そんな不安に押しつぶされそうな弱気状態から「けれどももう先に進むしかない」と踏み出す種吉の気持ち/決意も察し、もしかすると初の吉祥寺シアター、初の下北沢と劇団が更に次の一歩を踏み出す時にこの作品を再演するのは、そんな気持ち/決意が意識下にあるのではないかと推測するに至る。
一方、そんな種吉とは対照的にライカは自分の死を悟りながらもそれを恐れず遺されることになる自分の娘に想いをめぐらせるなど泰然自若、堂々としており、「ああ、男女の差ってこういうものかも……」などとも思ったり。(笑)
あと、ラストの締め方(の他、いくつか)が野田秀樹っぽくて(←ここまでは2回目に思った)、作品で言えば「半神」かな、と思ったのは「生命の選択」(PPTでの広田主宰の発言より)の部分もあるが、むしろ「双子が出てくる」からか?と自己分析。
こんな風に観ながらいろいろな考えが浮かんでくる作品って、イイなぁ。
都道府県パズル2017
キリンバズウカ
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2017/01/18 (水) ~ 2017/01/23 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/01/18 (水)
価格3,500円
北京喋々のオリジナル版を観ていながらもほとんど忘れていて、あのテーマは今の方がピンと来るのかあるいは70分程度に刈り込んだのでテーマが前面に出てきたのか?……と思ったが調べてみたら2012年9月のオリジナル版も70分程度だった。
ということは「あの問題」がその後ずっと継続しているので印象深かったのか?…と言うか当時はまだまるっきり他人事のように思っていたのかも?
当日パンフレットからBチームの配役も知り、一部の役はそちらの想像もしながら観ており、なるほどだいぶ印象が異なりそうだな、と思ったりも。
なお、関西感満載だった佑木つぐみさん、後から兵庫のご出身と伺って納得……ってか、逆に今まで関西っぽさを微塵も感じさせなかったのがスゴいな、と。
パル子の激情
江古田のガールズ
本多劇場(東京都)
2017/01/20 (金) ~ 2017/01/22 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/01/21 (土)
座席N列5番
価格3,500円
地球で悪事を働く宇宙人の支部を舞台にしたコメディ、支部長役の平田敦子さんを大黒柱に主要客演陣と劇団員がそれを囲み強化する柱となり安定感がある。
また、題材ならびにそのパロディっぷりに往年のTEAM 発砲・B・ZINを思い出し「日大藝術学部のお家芸?」などと思ったりしながら大いに笑う。
なお、少し安くて後方の小市民席、20分弱の冒頭シーンは舞台に上がれる(そして劇中で「芝居に4000円も出せない人々」などとネタにされる(笑))特典も付いていて、なかなか見ることができない景色や後半で台詞に出てくる小芝居(?)を見ることができたり、戦う部下たちへの支部長の檄/声援を耳にできたりできて、ホントにお得。
フォトジェニック
鵺的(ぬえてき)
【閉館】SPACE 梟門(東京都)
2017/01/10 (火) ~ 2017/01/15 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/01/10 (火)
死に瀕したモデルの表情を撮っていた写真家が探る模倣犯は誰?なサスペンスホラー、初日を観たがネタバレを避けるとSNSなどで洩らせないことばかりで「これはどうよ!」なレベル(笑)。
よって、さしあたってアップできたのはキャスティング・キャラクター設定・キャラクター作りの三位一体ぶりが見事ということと「たばかったな、高木登!(笑)」という叫び、そして以下。
4人の女優さんがたは本役の他に「その他名もない人たち」も演ずるが、そのギャップも見もの、と言うか愉快。高木さんは「モブはマンガチックに」と仰ったとのエピソードも後から耳にしたが、お一方に関してはむしろ本役の方がマンガチックでは?(笑)
(以降、公演終了後にしたツイートのコピペは念のためネタバレBOXへ)
さよならシェルター
のびる
SOOO dramatic!(東京都)
2017/02/10 (金) ~ 2017/02/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/02/10 (金)
価格2,800円
時期を前後して同じ部屋をシェアしていた二組の女性(+α)を描いた85分。
冒頭部分で3つ(or more)の時制の出来事が相次いで出てくるので時期関係を把握するまでやや戸惑うし、導火線部分(伏線パート)がチョイ長(ではあるが吉田主宰のアタマの中をのぞき見するようで興味深い)ながらある人物の正体が明かされた時の爆発的な(=それまでのあれこれが短時間ですべてつながり「あれは何?」だったわずかなシーンやタイトルの意味も解る)伏線回収が快感。
また、黒い床に白でアレした美術(玄関が特に愉快)のセンスも良く、窓を開けるとか壁のスイッチを押して点灯するとかの身振りとの相乗作用アリ。
あと、壁がない(想像上の壁はある)装置につき、時として床からあおる照明で会場の白い壁に映る演者の影が独特の効果をあげて印象的。
なお、吉田主宰推しのお客様におかれましては入口に近いエリアを選択されますことをオススメ(爆)
女の壁/憧れの雪国
劇団献身
スタジオ空洞(東京都)
2017/02/01 (水) ~ 2017/02/06 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/02/03 (金)
「女の壁」
ある高校の卒業式の日、2年前の卒業生が体育館裏によりによってタイムカプセルを掘り出しに来て……な状況から始まる物語。
今まで観た献身作品とはオモムキを異にするが、ベタなほどの「ありそー!」満載のキャラ合戦、再演ながら女優陣それぞれがハマり役な印象で愉しく、いくつか入るメタ系の部分にもニヤニヤ。
見どころは出だしの掛け合い漫才感(大竹、永井)、当り役的なぶりっ子キャラ(石澤)、2年間も待ち続けることで変化してゆく顔つき(武川)、典型的な手下(三下?)感(金)か?
【勝手にキャッチコピー】「乙女ゴコロは……フ・ク・ザ・ツなの♪」
「憧れの雪国」
疾走感……というよりはやはり暴走感(笑)がいかにも献身っぽい。
終盤で明かされる「あること」が古典的なネタと21世紀の技術の融合、な感じで面白く、また、「あるもの」の造形も(大道具的に)ステキ。(全体像が見えた時に構造?がワカった)
なお、奥村主宰の場内誘導、当たりが柔らかい感じで心地よく、なおかつ的確でお見事!
GO ON
演劇企画 heart more need
【閉館】SPACE 梟門(東京都)
2017/02/01 (水) ~ 2017/02/05 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/02/04 (土)
価格3,500円
厚木の米軍基地そばにあるリサイクルショップで起きた事件の真相をめぐる「藪の中」的物語。
出だしから(外国人への偏見も含む)重めの内容に大半のお客さんがどよ~んとしているであろう中、JACROW臭に包まれて頬が弛みっ放し。
事態の全貌を見せた後に再びオープニング場面を再現して終わるが冒頭では飛行機の音(轟音)にかき消された会話を観客に聞こえるようにして、そこがちゃんと(?)ネタバレになっているのもJACROWっぽい。
公演情報を得た時に思った「この面々で中村作品!?」というのがまんまと成功していた、という印象。