夜を忘れなさい
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2017/06/02 (金) ~ 2017/06/06 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/06/04 (日) 13:00
劇中に故事由来の言葉が出てくることもあってか「現代の民話」あるいは「21世紀の新・故事」な感覚が南さんっぽい(私見)。
「あの言葉」のダブルミーニングも巧みだし、キャスティングの妙もあり、そんな効果もあって後半で「ゆるやかな怪異譚・恐怖譚」に転じてゆくのが何ともスリリング。
なお、「夢魔」「夢邪鬼(←無邪気ではない)」なんて言葉も浮かんだ。
回れ!回らないお寿司
santacreep
新宿眼科画廊(東京都)
2017/05/19 (金) ~ 2017/05/22 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/05/21 (日) 15:00
価格2,300円
ゆるふわ四姉妹(+α)の会話劇、ネジが何本か外れているようなやり取りやナンセンス気味な設定が愉しく(以前ちょくちょく観ていた頃のナイロン100℃に通ずる感覚)、それでいて一応スジは通っている上にうっすら姉妹愛さえ漂うあたりがいかにも池亀作品。
「回らないお寿司」はアレの隠喩か、なんて憶測は野暮というものか?
から・さわぎ
ZIPANGU Stage
萬劇場(東京都)
2017/05/24 (水) ~ 2017/05/28 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/05/27 (土) 14:00
座席I列7番
価格3,500円
製菓会社の新製品のプレゼンテーションと社長解任動議が出た役員会議進行中を描いた喜劇にして戯曲・演技ともベテランの技量をまざまざと見せつけられた。
途中にあるとっさに嘘をついてその場をしのごうとする場面などレイ・クーニー的なファルスになって不思議はないのに沙翁などの古典的な喜劇風に感じてしまう(さらに言えば一部の人物に「夏の夜の夢」のパックを連想してしまう)のはタイトルでの先入観ゆえか?(←反語)
また、タイトルにしても、劇中のチョコレートに冠した「Pure」のブランドにしてもちゃんと意味を為してそれで締め括るのもお見事。
アトレウス
演劇集団 砂地
吉祥寺シアター(東京都)
2017/02/09 (木) ~ 2017/02/13 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/02/09 (木) 19:00
座席F列16番
複数の悲劇を組み合わせて構成されており、そのさまはアトレウス単体と言うよりは大河ギリシャ悲劇「アトレウス家の一族」総集編…みたいな。(笑)
照明に浮かび上がる人物や装置など、画的に美しく、絵になる場面が沢山。
いろんな組み合わせ方で使われる4つのテーブル状の装置は「ハムレット」での水槽(だったっけ?)を想起。
ああ、演劇
くによし組
東中野バニラスタジオ(Vanilla Studio)(東京都)
2017/05/17 (水) ~ 2017/05/21 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/05/17 (水) 19:30
価格2,200円
バックステージものにハズレなし……どころかやはりアタリ。
これまた「そのテがあったか!」なアイデアあり、メタ構造ではお馴染みのクラインの壷的な層構造アリで大いに楽しむ。
観た回はウワサの「ディスり回」だったのだけれど、むしろ生コメンタリーのようで、「こんな先輩がいました」等の秘話あり、その場でのダメ出しに演者が動揺したりなどで面白かったし、「客席の話し声や雑音も含めて芝居」なんて話題も最近あったので余計愉快♪
バックステージもので劇中現実パートと劇中劇パートがあるのは定番だが、劇中現実パートに作者自身や作者を演ずる役者が出てくるとメタ度が増す。ましてや「ドグラ・マグラ」みたいにその芝居の執筆/稽古場面なんかあると「どこまで実話?」な疑問が膨らんでくるワケで(笑)……なんてことも改めて思った。
疚しい理由
feblaboプロデュース
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2017/05/12 (金) ~ 2017/05/16 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/05/12 (金) 20:00
価格2,000円
生命保険の営業マンが顧客の女性と共にその女性の後輩の家を訪れ加入を勧めるという一般的な状況がいつの間にかキナ臭くなり、やがては女性ってコワい、となり最終的に真相は明かされずに観客の想像に委ねられるという、さんざん痒がらせておいて手を縛って放置するような展開が憎らしくも巧み。
ドラマだったらNHKの土曜22時の単発枠か? 考えようによってはテレビ東京か?(笑)
祖国は我らのために
マコンドープロデュース
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2017/05/18 (木) ~ 2017/05/28 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/05/18 (木) 19:00
価格3,200円
「芝居で見るロシア革命」であり、今(よりちょっと先)や100年前の日本に考えが及んだり、工夫した演出(両刃の剣でもある)があったりで、やはり130分の尺を感じなかった。
だいぶ簡略化したとのことだが「楽しく(?)学べるロシア革命」であると共に100年前のロシアを描いて当時の日本を思い起こさせ、更に今の日本に警鐘を鳴らすのはいかにも古川脚本であり、今、この作品を上演する意義だろう。
殺人狂時代
立体映画館
小劇場 楽園(東京都)
2017/05/23 (火) ~ 2017/05/27 (土)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2017/05/23 (火) 19:30
価格2,800円
ああしたりこうしたりもできる装置(なのか?:時として小道具にもなったしな(笑))や生演奏のバンドが楽器でS.E.も兼ねたりと表現方法が楽しくそれが芝居のコミカルさと相俟って相乗効果。
そんなレイ・クーニーの「ラン・フォー・ユア・ワイフ」と通ずるような重婚のドタバタで笑えた一方、殺人場面はないに等しく、それゆえタイトルや終盤のあの有名な言葉が弱まった憾みも。
チャップリンの映画ではどうだったんだろう? テレビ放映で視たような気がするが定かでないので視ていたとしても内容など覚えている筈もなく……(爆) で、ふと、映画の元となった事件を芝居にしたのかな?とも。
あと、主宰によるチャップリンにちなんだ(?)マイム/ゼスチャーによる前説、「スマホ/ケータイの電源はお切りください」はもちろんのこと「開演が遅れて申し訳ございません」まできちんと伝わるのが見事。(さらに言えば押した時間をバンドの生演奏で繋いだのも上手い)
幕張の憶測
劇団献身
シアター711(東京都)
2017/05/12 (金) ~ 2017/05/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2017/05/17 (水) 14:00
価格2,700円
基本的には典型的なシチュエーションコメディの1つのパターンながら終盤で一転しさらに想像の上を行くシカケまで登場という構成が巧みでそのシカケも含めて物語的にも好みだった。
モラトリアムシンドローム的なダメ男たちの物語、終盤で彼らを諫める存在がいるのもイイし、シカケも唐突でなくちゃんと伏線をはってあるのできちんと溶け込んでいたし。
さらに、配役の妙と言うか、それぞれの役に説得力もあった。
あと、奥村主宰の前説での客席のあたため方も上手く、総じて満足。
戦浄のパンクロッカー
レティクル座
王子小劇場(東京都)
2017/04/13 (木) ~ 2017/04/16 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/04/14 (金) 14:00
価格3,000円
最初に不平を2つ。まず「なげーよ!」。あれこれ盛り込み過ぎで120分弱はチョイ長。いや、それはサービス精神の顕れだし冗長ではないからまだイイのだけれど、もう1つの、そして最大の欠点は「M16使えよぉ!」(笑)。←これゆえに画竜点睛を欠く、な感アリ……なのだけれど、逆に言えばそれ以外は上出来でとっても愉しかった♪
予期したほどお下劣ではなく、むしろおバカ/ノーテンキさと意外にも(失敬!)しっかりした痛快王道ストーリーとの配合具合は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」に通ずるのではないか?(あくまで個人の印象であり異論・反論は認めますが自説を変えたり撤回したりする気はありません(爆))
実はある定番ネタが中心なのでそっち方面のオマージュも複数あり、元ネタ(=ほとんど有名なもの)を知っていればその分楽しめるし、地口やパロディの小ネタ満載でいちいち覚えていられない状態♪ で、それらのセンスが良い……と言うと語弊もありそうだから「σ(^-^)の好みに合致」としておこう。
さらにキャラクター設定とネーミング、そしてその造形(衣装・メイクとか)・表現(演技)も良い意味で定番に則っており、それぞれ「あー、いるいる」「やっぱりそうなるよね」だったさ。
別役実「正午の伝説」フェスティバル
die pratze
d-倉庫(東京都)
2017/04/25 (火) ~ 2017/05/09 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/05/05 (金) 14:00
【トレモロ/IDIOT SAVANT theater company】
前半のトレモロは冒頭の「下駄タップ」はいかにもトレモロだった(笑)もののそれ以降は極めてオーソドックス。
がしかし控え目な照明とエッジの利いた台詞回しによって生み出す緊張感と「フィーチャリングえみりーゆうな」によって漂う(「エロティック」でも「色っぽい」でもなく)「えっちな」感覚が特色。
また、あの会場の舞台機構/構造を利用したラストシーンの構図もステキ。
後半のIDIOT SAVANT theater companyは「そのテもあったか!」なリーディングの第1場、他所で撮った映像中心の第2場、その第2場では舞台から客席を通り抜けるだけだった2人も交えた第3場、という変則的な構成が考えようによっては一番前衛的。
第1場での「男」の徹底して誇張した台詞回しと動きがウザく煩わしく喧しく、そのおかげで「女」は彼に対してこういう印象を抱いていたのかもぁと気付かされる。
が、第2場の映像は意図が読めず(かつて観たボクサーが主役の芝居でクライマックスの試合場面において第1ラウンド終了後にスクリーンをおろして映像を見せ、最終ラウンドでまた芝居に戻したことを思い出した)むしろ邪道に思えてしまい、そうして迎えた第3場はそのちぐはぐさに輪をかけるような混沌状態でもはや何が何だか……。
後日気付いたのは第2場「だけ」が映像メインだったからかも、ということ。
あれで第3場がリーディングと映像のセッションのようなものであればまだまとまりを感じることができたのではないか?
とはいえこの組み合わせもそれぞれ特色があって楽しめた。
別役実「正午の伝説」フェスティバル
die pratze
d-倉庫(東京都)
2017/04/25 (火) ~ 2017/05/09 (火)公演終了
満足度★★★★
【しおめも/劇団じゅんこちゃん】
前半のしおめもは少し前の「お昼と言えば……」なアレから始め、イントロ的なトークが終わって以降は2人のパフォーマーによるほぼ言葉を排した身体表現の60分。
ここまで言葉を排するともはや何がなんだか(Empty-Kubrickでさえオーソドックス寄りに感じられるほど(笑))ではあるが、これまでの4団体を観ているので動じることもなく、「あ、そうなの」的に受け止める。
5団体目と前半最後であったしおめもで一番の深淵まで来たと思ったら、後半の劇団じゅんこちゃんは折り返した途端に急浮上、な印象で1場での男女の性別入れ換えはあったものの、手法としてはアムリタよりもオーソドックスだったかも。
で、この性別入れ換えに青年団リンクRoMTと劇団やぶさかの「夏の夜の夢」を(考えようによっては楽園王もそうか?)、終盤での幕を使って演者の影を見せる手法に有末剛 緊縛夜話「盲獣 -あなたの世間に唾を吐く-」を、とそれぞれここ2ヶ月ほどの間に観たものを思い出し、やはり「小劇場シンクロニシティ」か?みたいな。
ところでここまでの6団体の組合わせと上演順(総合)、神レベルでは?
ここは宇宙の入り口です
in企画
イリヤプラスカフェ@カスタム倉庫2F(東京都)
2017/04/29 (土) ~ 2017/04/30 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/04/29 (土) 18:00
星にちなんだ(ぼかし過ぎ?)メルヘンチックなものと月にちなんだ(ぼかし過ぎ?)センチメンタルなものというファンタジー系連作短編(+α)。
音楽の使い方……というより「組み込み方」も巧く、大人から子供まで楽しめる、そしてスタンダードになり得る広角作品と言えるのではなかろうか?
客席となった階上のスペースの木材丸出し的な内装も優しさのある内容に合致していて良かった。
別役実「正午の伝説」フェスティバル
die pratze
d-倉庫(東京都)
2017/04/25 (火) ~ 2017/05/09 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/04/29 (土) 14:00
【楽園王/Empty-Kubrick】
先攻の楽園王は設定まで大きくいじって(傷病兵を女子高生に置き換えるとは!)1組目のアムリタ版でさえオーソドックスに感じられてしまうほどのアレンジでありながらやはり別役作品であり楽園王、な感じ?
後攻のEmpty-Kubrickはダンスカンパニーゆえ台詞もあるもののメインは身体表現で(3場なんて台詞なしだし:そもそも身体表現専属が3名いるし)楽園王版でさえオーソドックスに思えてくるほど?(笑)
がしかし、それまでの3団体で内容を呑みこんでいるので「ははぁ、なるほど」な感覚。
思いの外激しい動きや最近のトレンドになりつつある(?)舞台床面に灯体を置いて演者の影を舞台の壁に大きく投射する手法も印象的。
そんな楽園王とEmpty-Kubrick、1場と2場を平行して進めるという構造の共通点があろうとは!
ということで1組目、2組目と次第に深みにハマって行く感覚だったが、今後の3組6団体の攻め方やいかに? オーソドックスありバリエーションありなのかしらね? ますます楽しみになってきた♪
別役実「正午の伝説」フェスティバル
die pratze
d-倉庫(東京都)
2017/04/25 (火) ~ 2017/05/09 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/04/25 (火) 19:00
【アムリタ/P-Farm】
作品初見ながら当日パンフレットに掲載されたあらすじを読み概要を踏まえていたので、そしてアムリタはよく観ているので前半のアムリタ版は「そこをそう変えましたか」であったり「あぁ、いかにもアムリタらしい奇策!(笑)」であったり。
休憩を挟んだP-Farm版は例えば演劇集団円、文学座、俳優座など老舗団体を思わせる(私見)オーソドックスな「これぞ別役」という演出につき、あたかも「答え合わせ」をしているよう(笑)。
ということで前半はアムリタの芝居、休憩後は別役の芝居、な印象。通し券であとの4組・8団体も観るので、それぞれどうアレンジするかが楽しみ♪
空と雲とバラバラの奥さま
クロムモリブデン
吉祥寺シアター(東京都)
2017/04/20 (木) ~ 2017/04/30 (日)公演終了
LiTERaLY WoRKs
劇団やぶさか
高架下スタジオSiteーD集会場(神奈川県)
2017/04/22 (土) ~ 2017/04/23 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/04/23 (日) 14:30
価格2,000円
古典あるいはスタンダード級の小説2編(宮沢賢治・志賀直哉)と戯曲1編(沙翁)、それに書下ろし1編というおトク詰め合わせ。
がしかし、そんな構成でも劇団の個性(演出・衣装のセンスなど)が溢れているのがスゴい。
「予告編」と銘打ち、森での騒動が始まったところまでを30分弱で見せた「夏の夜の夢」だって笑いの入れ方や台詞回し、衣装など見事なほどに「やぶさか色」だったもんなぁ。
ところで雷THUNDER……もとい雷三太……もといライサンダーを女優が演ずるの、トレンド?(笑)
なお、スペースの真ん中に太い柱が1本あって、どのように使ってもそれが演技エリアに存在して死角ができてしまうこの会場で、(一部が時々)見えないことにストレスを感じさせない(極私的な印象です)演出も鮮やか。
場違いの一日前
電動夏子安置システム
赤坂RED/THEATER(東京都)
2017/03/29 (水) ~ 2017/04/02 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/03/30 (木) 19:30
座席C列13番
パラレルワールドも絡めた末に実はバックステージものというアガリスクの時かけと異なり純然たる(笑)時間もの(BTTFとかね)。
初日に流れた「ある情報」を知っていたのでより「ヤラれたぁ!」感が大きかったかも?
序盤の複数の会話のクロスぶりや中盤以降の認識の誤りによる会話のズレの可笑しさはお家芸的なものだね。
独立愚連飯店
トツゲキ倶楽部
「劇」小劇場(東京都)
2017/04/19 (水) ~ 2017/04/30 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/04/19 (水) 19:30
価格3,900円
ユーモラスな中に「こんな世界になってはイヤだ」「こんなことになってはいけない」というテーマが見え隠れするのが「マイルドな井上ひさし」な印象。(あれほどはテーマを押し出す部分がなく控えめなのが「マイルド」を附す所以)
キャラクター造形も登場した時点から「いかにも!」な方や終盤で正体が明かされた時に「あー、確かに!」な説得力がある方を筆頭に鮮やか。
が、あのラストの解釈は二つに分かれるかもなぁ。希望的には「あの映画」的ではない方を望むが(謎)。……できればあのラストシーンから始まる続編を観たいものです。
祇園
大統領師匠
【閉館】SPACE 梟門(東京都)
2017/04/04 (火) ~ 2017/04/09 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2017/04/04 (火) 19:30
価格2,800円
演劇的な「真面目なコント」あるいは「コントへの演劇的アプローチ」。
今回は特に前半の(ある意味「知的な」)着想が良く、そこからおバカ・ナンセンス系に転じて行くのが構成の妙?