じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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わたくしごと2本立て[はくちょうたちの、/ closets]

わたくしごと2本立て[はくちょうたちの、/ closets]

waqu:iraz

神奈川県立青少年センター(神奈川県)

2018/04/26 (木) ~ 2018/04/30 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/27 (金) 15:00

価格2,500円

女子高生とアラサーという一回り違う世代を描いた2作品を(休憩を挟んで)続けて見せることでその違いがくっきり浮き上がった感じ。

【はくちょうたちの、】
「小林ムーブメント」に彩られたモノローグ中心の高校生活、いかにも女子高生な感じに宮藤官九郎脚本のドラマ「ごめんね青春」を連想。
また、美術教師の描写に某芝居のN田先生を想起したりも(笑)

【closets】
女子高生の振付は創作ダンス風だったがこちらはダンサーっぽいし、白主体の照明に対しカラフルなど対比させて描くアラサーのライフスタイル。一回り上の世代はそんなにトウが立つの?な感覚も。(爆)
あと、オープニングで搬入されるハンガーラックのキャスターのガーッという音が「始まる!」な感じでワクワク。

空観

空観

ヒンドゥー五千回

座・高円寺2(東京都)

2018/04/25 (水) ~ 2018/04/26 (木)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/25 (水) 19:30

座席H列15番

価格4,000円

実験的演劇……と言うより「演劇表現実験室」なオモムキ。
これまたワカろうと思ったり読もうと思ったりせず舞台上の出来事を観て感じればヨロシイ、的な。ふとEテレの未就学児童対象の「何かをやっているところを見せて興味を持たせる知育番組」のオトナ向け版?な考えもよぎる。
また、これは扇田主宰の心の中のもの(=「観」)を表現しているのどは?などとも思う。(冒頭で仏教用語としての「空」の説明があったのでなおさら?)
結果、面白い表現や美しい場面が生まれたのか、的な。「面白い」と言うより「興味深い」公演だった。

【勝手にキャッチコピー】この作品に決まった「正解」はありません、あなたが感じ取ったもの、それが正解です

ネタバレBOX

好きだったのは後半で全員が両手に紙を持って創る場面で、紙を使っての表現が海(波)→カモメ→ハート/花束→バージンロードと変遷していくところ。
オカルト・ミステリー・アワー

オカルト・ミステリー・アワー

サムゴーギャットモンテイプ

ギャラリーしあん(東京都)

2018/04/25 (水) ~ 2018/04/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/04/26 (木) 20:00

価格2,300円

日本家屋である会場の構造を活かし客席と壁1枚隔てた廊下などでの声やS.E.によって観客にあれこれ想像させるのが巧み。
また、昨年6月の「おうちにかえる・オブ・ザ・デッド」同様「このテのハナシ」のセオリーを忠実に踏襲して見事。「このテのハナシ」が好きな上に出来が良い(私見)ので内容と裏腹に嬉しくて頬が緩みっ放し♪

最前列のお客さんが音などに反応して時々ビクッとするのが見えたのも頬が緩んだ要因の1つであるが、それはつまりコワさの証左。
そしてそれは「マイルドな呪怨」なオモムキとも換言できるかも?(そう言えば最後の場がビデオ版「呪怨2」と通ずる手法だし)

なお、会場のトイレの場所(客席背後上手側の外)を知っていると、より楽しめると言うか後で台詞にも出てくるが、何の音か先に気付けるので有利。開演前に場所だけでも確認しておくことを推奨。
また、会場は靴を脱いで入るスタイルなので脱ぎやすい靴、穴が空いていない靴下を推奨。

「舞台を初めて観る方に」を「お薦め!」にするとコワいものに弱い方から恨まれるおそれがあるので「どちらともいえない」にせざるを得ないのがツラいところ?(笑)

ネタバレBOX

最後に暗転したまま背後の廊下での過去の会話によってコトの原因を明かすのがまた上手い。しかも序盤でその伏線をちゃんとはっているもんなぁ。
で、画的には何も変わらないまま会話だけ聞かせて終わるのがビデオ版「呪怨2」と通ずる。
逃げぬれて、夜

逃げぬれて、夜

くちびるの会

調布市せんがわ劇場(東京都)

2018/04/19 (木) ~ 2018/04/23 (月)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/23 (月) 14:00

座席H列5番

価格3,400円

かつて絵本を出版したがその後がなくスーパーで7年間働いている幸子と、新聞配達に加えてコンビニエンスストアでのアルバイトも始めた伸夫を中心に進むので現代労働事情的な群像劇かと思いきや、その二人が邂逅した場面で「え、つか風味?」となり、以降はファンタジックあるいはシュール系に踏み外してゆき、その味わいは昭和の懐かしきワカモノ芝居。
で、つかのみならず唐を感じたお客さんもいらしたと伺い、そう言えば微かに漂っていたアングラ臭は唐か、なるほど……と得心がいく。

シンプルながら中心部分の向きを変えて様々な場を表現する装置も(どこか懐かしさがあって)○。

クライマックスは舞台上の幸子と客席最後部に登場した伸夫が縦通路を絆的なものに見立てて対峙する演出で、予約時に備考欄に書いた「後方通路際の席がイイ」というワガママが功を奏したのだった。(もちろんそういう演出とは知らなくて、「個人的に見易い席」を望んだのだが)

【余談】
「バットで壊す」はつい最近もあったと思ったら、この2日前に観た映画だった。しかも出る前にテレビでバットを使うシーンの撮影裏話を聞いたという……。(OM-2のハムレットマシーンもバットを使っていたっけ)
また、某コンビニの来客音をわずかに変えたメロディが使われていて、その元ネタの変奏を使った芝居を思い出して頬が緩んだのだった。

R老人の終末の御予定

R老人の終末の御予定

ポップンマッシュルームチキン野郎

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2018/04/18 (水) ~ 2018/04/23 (月)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/04/19 (木) 14:00

価格4,000円

そんなものも!?なものまで擬人化するナンセンスさとギャグ満載な一方、哲学的だったり心温まったりなテーマも謳うのはPMC野郎の得意とするところだが本作はその真骨頂にしてロボットSFに挑戦。よってそちら方面の知識があるとより楽しめるし深読み・誤読の余地もたっぷり。
もちろん衣装(貴ぐるみ?)の完成度やギャグのクオリティも高く、現時点での最高傑作かも。

ネタバレBOX

まずは自分の死後に相手が落胆しないよう老夫婦が互いに自分そっくりのロボットを……というところにO・ヘンリー「賢者の贈りもの」を連想。
他に観ながら連想したのは以下の作品。
・シェイクスピア「ロミオとジュリエット」:対立した2つの派閥に所属する男女の愛
・チャペック「R.U.R.」:人間が極端に減りロボットを修理できる人材がみつからない
・超時空要塞マクロス:初めて音楽というものに接して感動する
・鉄腕アトム「青騎士の巻」、虚飾集団廻天百眼「死ぬ機械」:ロボット三原則に反して人間を傷つけるロボット

ロボットに感情は宿るか?という時点からずっと進み、どうにも修理ができなくなって迎える「死」の後を考えていよいよ修理できなくなったら何が残るか?何かを残せるか?を語るロボ夫婦という発想は斬新であり、昨年秋ごろに複数あった「死後も人間の記憶をICチップなどを使って残したり他者に移植したりする」ネタの芝居の裏返しか?とも思った。
さらに、被弾して修理の見込みがない妻を破壊してから自分も破壊するロボット、というのは「ロボットの安楽死」であり、いろいろと考えさせられる。

弟の遺体を食べることで生き残った兄から弟の霊視を依頼された心優しき霊能力者のエピソードなど、独立した短編にできそうな話を惜しげもなく使うのはゼイタクだなぁ。

あと、いろいろヤバくて(笑)ひたすらナンセンスな開演前パフォーマンスが実は本編とリンクしているのはまんまと一本取られた感覚。
魂-ココロ-推理士 心弦真

魂-ココロ-推理士 心弦真

teamACT

要町アトリエ第七秘密基地(東京都)

2018/04/19 (木) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/20 (金) 14:00

価格3,500円

類型的だったり作為的で「そんなにうまくいくかーい!」だったりなツッ込みどころもあれど、総じて言えば巧みな作劇の心理カウンセラーもの。序盤とクライマックスなどそちらの本業の方が書いたの?な部分さえあってビックリ。
さほど長くないのにそれ1つで「背後」を察知させる台詞が複数あるのにも感心。

また、アヴァンパートの心弦がヒロインに名刺を出したところでオープニングクレジットとなり、名刺風のデザインで出演者名・役名・役の肩書きを投射するのがスマートで膝ポン。
台詞の1つにスピンオフ……ってか前日譚を作れそうなものがあったが、本作の反響によっては実現もアリか?(笑)

ネタバレBOX

序盤でのヒロインに対する上司や恋人の態度がまさに絵に描いたように類型的なのは「やれやれ」ではあるが、「演劇的記号」と解釈することにするか?
また、ヒロイン・夏海と心弦真との出会いが停電によるエレベーターへの閉じ込めで、どうやらそれが偶然ではないらしいことが後から明かされるのだが、そこまで操作できるほどの大組織なのかという疑問は残る。

一方、夏海が「お母さん」と呼ぶ麗が初登場後間もなく「お母さんよりもお姉さん」と言うが、その表現で麗が後妻/継母だと示すのが上手く、終盤で元・課長の河無田が心弦に「ありがとうございました」と言うことで、夏海だけでなく河無田(そしておそらく課の全員が)心弦のカウンセリング(?)を受けてストレスから解放されたことを示唆するのも巧み。

また、「心の持ちようを少し変えるだけで楽になる」とか「心の弱い部分がそういう事象を呼び寄せている」とかの夏海への心弦のアドバイスはまさしく心理カウンセラーが与えそうなものでリアル。

あと、心弦と麗の会話から麗もかつて心弦に救われたことがワカるが、ということはそのエピソードを描いた「エピソード0」的なものも可能ではないか?と、ちょっぴり期待。
「ハムレットマシーン」フェスティバル

「ハムレットマシーン」フェスティバル

die pratze

d-倉庫(東京都)

2018/04/04 (水) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/22 (日) 14:00

五組目:劇団シアターゼロ/IDIOT SAVANT theater compan
最終組は「まだこのテがあったか!」な2団体?

【劇団シアターゼロ】
狂言まわし的な人物と白塗りのハムレット、オフィーリアという3人によるほぼ無言劇。装置・小道具もなくひたすら演技のみによる表現なので最もヒントが少なく「難解」?
そういう意味ではもしかしてこれが本来のカタチか?(笑) ← 当戯曲は不定形なものにつき「本来のカタチ」などという概念は存在し得ません(私見)

【IDIOT SAVANT theater compan】
序盤はテキスト要員1名に応援団または一世風靡セピアのような6人(男5女1)のコロスによる絶叫型アングラ風味。その刷り込みか演者3名が加わってのパフォーマンス(立てた黒い板に各国語で言葉を書き込みアジテート立て看板のようにすつとか、椅子に座った人物に白く細い布を巻きつけてゆくとか)もアングラチックに見えてしまう。
また、ラストのルンバに「上海バンスキング」のラストシーンの家鴨を想起。
ところでダンスの犬ALL IS FULLに続いてヴィヴァルディ「四季」の冬・第3楽章(?)を使っていたが、終末だの廃虚だののイメージがあるのか?

新宿コントレックスVol.19

新宿コントレックスVol.19

Aga-risk Entertainment

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2018/04/20 (金) ~ 2018/04/21 (土)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/20 (金) 19:30

価格2,000円

それぞれ色合いが異なる5団体のコント合戦、各団体とも個性がよく出ていた印象(エンニュイのみ今回初見)。
そして通常より1団体増えても105分に収めるというテンポの良さは快感。団体間の転換も効率的だった。

エンニュイ「角度の授業」、卒業式の1コマ。登校拒否生徒の母の教師への批判からの教師の逆襲で大笑い。しかしメディアの利用が大きな要素になっているコント、未来だよなぁ。

くによし組「ななめ島」、お得意の(?)シュールな設定。「壁を背負って生きていく」が比喩でなくそのまんまで、壁ドンの際に黒子的な人物が裏から支えるのが個人的にツボ。

なかないで、毒きのこちゃん「キミはボクの光くん。」、伝説の「新宿眼科画廊事件」(笑)の応用編にして照明スタッフ版、なオモムキ。しかしバックステージものを短編とはいえ二人芝居で複数創るとは、鳥皮ささみ、おそるべしっっ!!!

劇想からまわりえっちゃん「おもろいフェスティバル」、そこまで演じられていた出来事が実は絵本の内容であったというオチは前回公演に通ずるものがあり、前作を観た観客への目配せかな?と思ったり。

Aga-risk Entertainment「エイジ」、津和野さんがテンパるというのは得意なパターンの1つではあるが、本筋部分はアガリクスに今までになかったもので「新型」と言えるのではなかろうか? そして、序盤の雑談的な部分が実は本筋への振りになっているのが巧いよね。
で、その序盤から「AGE」かと思ったら「EIJI」だったという……(笑)(しかし現実ではその内容からやはりAGE、みたいな?)

青春超特急

青春超特急

20歳の国

サンモールスタジオ(東京都)

2018/04/19 (木) ~ 2018/04/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/04/19 (木) 19:30

価格3,000円

卒業公演と銘打つだけにラグビー大会とか文化祭とかの個別行事ではなく「これが20歳の国的3年間の高校生活だ」と言わんばかりの内容で、冒頭からアオさとアツさ満載、青春真っ盛りな様子に胸がアツくなる。
以降、そんなコトあったな、あんなコトあれば良かったな、と観客に思わせたり、過去公演を想起させたりする行事が話題に出てくるのはズルい……もとい巧いし、劇中でも演劇同好会のメンバーが「卒業公演」について話すので本作とのリンクまで感じるんだな。
あと、学校用の机と椅子の組み合わせでいろんな場を表現する美術もステキ。
卒業、おめでとう!
さて、次回以降はどんな作品を見せてくれるのかしら?それもまた楽しみ♪

「ハムレットマシーン」フェスティバル

「ハムレットマシーン」フェスティバル

die pratze

d-倉庫(東京都)

2018/04/04 (水) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/18 (水) 19:00

四組目:風蝕異人街/7度
この組も好対照というか面白い組み合わせ。最多人数で「動」の演出の風蝕異人街と最少人数で「静」の演出の7度とスタイルこそ真逆ながら過去3組のように「ハムレット」そのものや他の小説あるいは創作部分など「混じりもの」を加えることなく、原典のテキストのみを加工して使ったのではあるまいか?(←原典未読につきあくまで推測の域を出ないが)

【風蝕異人街】
コロスも使った多人数版、オフィーリアが7~8人いて(!)台詞/テキストを割り振ったり「ダンスらしいダンス」や映像を使ったりもするが、先述のように実は原典のテキスト含有量がここまでで一番多いのではないか?

【7度】
冒頭こそ動きがあるがやがて演者2人はある位置から動かないばかりか体勢も変えない時間が続く……が不思議と惹き付けるものがある。OM-2も含めて9組目で最も静的な演出だったので新鮮に感じたことに加えて舞台を楕円形に切り取る照明の効力も大きかったか? なおその照明、終盤での変化も印象的。
また、フラワーロックのような小道具がほぼ動かない演者の台詞などに反応して動くも愉快だった。

卒業式、実行

卒業式、実行

Aga-risk Entertainment

サンモールスタジオ(東京都)

2018/02/17 (土) ~ 2018/02/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/02/17 (土) 19:30

生徒対教師の同じ問題の論争劇だった「紅白旗合戦」が事前の会議で「ナイゲン」気味であったのに対して卒業式直前から最中に設定を変えたことにより時間的な制約が加わってまさしくバックステージものに変貌。(東京サンシャインボーイズの「ラヂオの時間」がスタジオ収録であったのに対して映画版は生放送としたことを連想)
10日ほど前の試演会の段階ではクライマックス前までしかできていなかったのでこの短期間であのクライマックスを創り上げたか!な感もひとしおで、伏線回収も屁理屈もアガリスクど真ん中だし中田顕史郎さんの説得力にも納得(今まで観てきた他団体での演技ほぼそのままで、ちょっと考えると違和感がありそうなのにむしろ適合してしまうという……)。

生徒会長・クマガイの行動原理が「国歌・国旗反対」(←シリアス度が増してしまう)ではなく「生徒が自主的に決めたことを死守する」ことであるとハッキリさせるためにPTAのマエダを思想的な国家・国旗反対派として描いて熊谷と対比させるのも巧い。
これによってクマガイの「そこじゃないんだ」感が前面に出て、この芝居も思想的なことに基づいたものではないというのが強調される効果もあって鮮やか。(試演会の時にちょっと出たことを昇華させた感じ?)

また、下手の客席側にある出ハケ口や客席通路など会場の使い方やアガリスク初ではないかと思われる装置のギミックも効果的で良かった。

あと、冒頭部の見所は星秀美さんの顔芸 (爆)

WS 象をなでる↔魔王を倒す

WS 象をなでる↔魔王を倒す

アムリタ

新宿眼科画廊(東京都)

2018/04/14 (土) ~ 2018/04/15 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/14 (土) 15:00

価格2,000円

王から勇者と認定され(任命され?)魔王を倒すよう命ぜられた若者の話と2人のOLの話が交互に進行するが、表面的に異なるこの2つの流れがどこか深いところで通じているように感ずるのが面白い。

2015年9月の「死に至る眼、光る」で使った「観客に小型LEDライトを1個ずつ持たせて点けて気になるところに当てるも消すもほぼ自由」という演出を(客席キャパもやや増えたことから?)色付きにするなど進化させていた感じでもあるか。
で、この演出、またいつか使うんじゃないか?(笑)

Z-Studio  ~ゾンビ映画は愛を育む~

Z-Studio ~ゾンビ映画は愛を育む~

スズキプロジェクトバージョンファイブ

小劇場B1(東京都)

2018/04/13 (金) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/13 (金) 19:00

2045年、ゾンビ映画を撮影していた面々が体験する思わぬ出来事……。
コメフェス参加などで培ってきた力はホンモノ、単なるお笑いだけではなくきちんとテーマも持った良作。
問題解決後の2ステップが「あ、それね」なのは珠に疵だがそこまでの出来に免じて片目を瞑るか。

なお、開場が少し遅れたが、定刻にきちんと「只今開場時刻となりましたが機材トラブルにより少し遅れさせていただきます、大変申し訳ございません」とアナウンスし、その後も度々告知・謝罪したのは適切で、トラブル解消後にすぐ入場できるよう列を作り、待っている客の気を紛らわせるべく物販説明をしたのもグッジョブ。

ネタバレBOX

ただのゾンビものコメディにとどまらず、社会的(?)要素を2つ組み込んだのはアッパレ。
ゾンビ化の原因(の1つ)に食品添加物が挙げられており、今から四半世紀余も先なら添加物もヤバいことになっているかもしれず、そんなことにならなければいいな、と。
また、「ゾンビ状態から回復させるにはアツくなるものを思い出させる」ということからゾンビ化とうのはディスコミュニケーション傾向の隠喩で、相手のことを考えて興味を持っているものを会話のきっかけにするという解決法の1つの提案では?とも思える。
さらにコミュ障気味の恵木がゾンビにはなっていなかった、というのは冒頭の「助かるためにゾンビのふりをする」と対応するのではなかろうか?

問題が解決したあとの「この内容を映画に……」は定番だし、さらにラストの一件落着かと思いきやまだもう一つの要素が、というのもありがちではあるが食品添加物禍を思い出させて終わるのでアリかな、とも。
最果て忠敬

最果て忠敬

蜂寅企画

ザ・ポケット(東京都)

2018/04/11 (水) ~ 2018/04/15 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2018/04/11 (水) 15:00

座席K列7番

価格3,000円

人物、場とも多く、暗転が明けた時など「いつ?どこ?誰?」になりがちなのは難だが、日本地図作成への伊能父子の意気込みを縦軸に周辺の人々の想いや生き方(?)を活写するのは蜂寅企画の真骨頂か?
ちょっとNHKのドラマっぽいかも?(笑)

「ハムレットマシーン」フェスティバル

「ハムレットマシーン」フェスティバル

die pratze

d-倉庫(東京都)

2018/04/04 (水) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/10 (火) 19:00

三組目:ダンスの犬 All IS FULL/楽園王
三組目はバリエーション対決とでも言おうか、言葉のない「女たちのハムレットマシーン」なダンスの犬 All IS FULLに持ち味丸出しな楽園王。

【ダンスの犬 All IS FULL】
コカ・コーラを片足で引摺り垂れ乳(それも二組:深谷主宰によれば「過去」と「現在(未来?)」を表すとのこと)を「振り乱す」5人の女性パフォーマーや下手奥の巨大な女陰のオブジェから感じたのは「女たちのハムレットマシーン」。
元々ストーリーがあるものをダンスで表現するならまだしも「難解」で「上演不可能」と言われる戯曲を、となるとこれはもう「舞台で起こることをそのまま観て受け取る」のみ。
がしかしパフォーマンスのみならずクラシック、演歌、ロックンロールなど使う幅広い選曲などでそれなりに楽しんで観ることができた。
また、アフタートークで深谷主宰の「種明かし」を伺ってあれこれ納得。実はコカ・コーラと冷蔵庫が原典に出てくるというのをやっと知ったりも。で、終盤、女陰のオブジェに入ってゆく場面で「もしかしてここまでのパフォーマンスは逆回しだったのでは?」と思ったのは(やはり)ハズレ……

【楽園王】
始まる前に見える椅子の配置からすでに楽園王(笑)だし、お馴染みの句読点ずらしはもちろん、言葉遊びや不条理気味なやりとりを含んで語られるのは海辺の町(?)での劇団の稽古場的風景、原典を劇中劇に創作部分でくるんだ構造がいかにも。
ハイナー・ミュラーが「ハムレット論」を戯曲化したものが「ハムレットマシーン」で、本作は長堀さんによる「ハムレットマシーン論」(あるいは「ハムレットマシーン」への返歌:ちなみに最初に閃いたのは「二次創作」)ではなかろうか?
あと、アンゴラ村長の「あのサビの振り付け」が出てきてニヤリ。

誰も寝てはならぬ

誰も寝てはならぬ

feblaboプロデュース

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2018/04/12 (木) ~ 2018/04/18 (水)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/12 (木) 20:00

価格2,500円

演劇というものがなくなり、もはや考古学の対象となった未来、演劇を復活させる実験のために7人の男女が集められるが……な物語。
好きなタイプのヤツだった。そして最近の映画のキャッチコピーではないが「あなたは最初から騙されている」ヤツでもあった。そしてこれは国道五十八号戦線の「俺たちの演劇」宣言だったのでは?などと思った。
また、国道五十八号戦線による初演・再演(2008年・2009年)はどちらも観ていなかったので、当時出ていた、そしてよく知っている方々がどの役を演じたか推測しながら観るのも面白かった。(結果はアタリ)
ラストの台詞は虚飾集団廻天百眼「少女椿」にほぼ同じ意味のものが出てくるので作家脳というのは似た発想をするんだなぁ、とも。

ネタバレBOX

演劇というものを全く知らない面々が、どういうものであったか手探りするように考えるというのが芝居を観慣れている身にとって可笑しくも新鮮で、「あぁ、そう解釈してしまうこともあるのか」だったりするのが愉快。

また、準備した台本(劇中)をこなした後に「あくまでこれはダイジェスト版であり、実際はこちらです」と膨大なページ数の台本を提示し「さらに演出・照明・音響・大道具小道具・装置・衣装などが必要となります」と続ける女性考古学者に対して参加者が「そんなに大変なのか?」とネを上げる終盤は「はたしてそれらすべてが揃わなければ演劇と言えないのか?」と問いかけるようであり「それらが不備であっても観客を楽しませるのが「俺たちの(小劇場)演劇」である」という宣言に感じられて、その意気にワクワクゾクゾク。
(追記)考えようによっては「俺たちはそのしちめんどくさい演劇というものを演っているんだよ」という自負、はたまた「そういう演劇というものが大好きなんだよ」というラブコールともとれる。

全体、特にラストはメタフィクション的であり、しかし昨今このテは多いが10年も前に学生だった伊神さんが書いたというのもスゴいなぁ。感服!
そして本作をとりあげてくださった池田Pと出演陣には感謝!

(追記)
虚飾集団廻天百眼「少女椿」と共通の台詞は「私たちの物語はこれで終わるけれど、そちら(観客)側の物語はこれからも続く(大意)」というもの。
もしかして他にもこういう台詞で締める芝居があるかも?
「ハムレットマシーン」フェスティバル

「ハムレットマシーン」フェスティバル

die pratze

d-倉庫(東京都)

2018/04/04 (水) ~ 2018/04/22 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2018/04/08 (日) 14:00

二組目:初期型/身体の景色
様々な団体のアプローチを見比べることができるのがフェスティバルの醍醐味、一組目の「リミックス対決」に対して二組目は「表現法対決」のオモムキ。
内容を見て団体の組み合わせを決める訳ではないそうなのでこのような組み合わせになった偶然もスゴい。

一組目の時は「演出家や上演団体という器によっていかようにも形を変えるさらさらの液体のような戯曲」と感じたハムレットマシーン、今回は「何をやっても許される戯曲」と悟り、以下のような「観る時の心構え」を思いついた。(爆)

【ハムレットマシーンを観る時の心構え】
・考えたり読もうと思ったりしてはいけない、舞台上に起こることをただひたすら見てそこからナニカを感じよ
・ハムレットとの接点など探すなかれ、見ていて「ここはアレかな?」と思える部分があれば儲けもの
・「矢でも鉄砲でも持ってこい」くらいに開き直って臨むべし

【初期型】
某全裸芸人の進化形のようなスタイルでの「私はかつてハムレットだった……」という台詞から始まるが、今までの3団体はほとんどそこ以降が聞き取れなかったので「あの後はこう続くのか!」と新鮮な感覚。(笑)
以降、少年探偵団の「恐怖の人間カラオケ」のようなパフォーマンスも経て終盤では某100%風が3人に増殖し、でんぐり返しや組体操までやらかすのでスリル満点(爆)という型破り。これでこの戯曲は何を演っても許されると悟る。

【身体の景色】
終戦直後の日本を舞台とした翻案。それゆえ一組目でも使われた玉音放送がここでも使われ、演出家脳にはそれを思い起こさせるナニカがあるのか?などと思う。また、少し前に演劇ユニットハツビロコウの「廃墟(三好十郎)」を観たのでそちらのイメージも脳内にひろがり、それははたして良かったのか悪かったのか?(笑)

エレキ鰻は泣いている?【東京公演】

エレキ鰻は泣いている?【東京公演】

雨の一座

早稲田小劇場どらま館(東京都)

2018/04/05 (木) ~ 2018/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/04/06 (木) 19:30

価格2,700円

一言で表現すれば「羊の皮を被った狼」、表面上は一見ポップでファンシーなのに冒頭をはじめいくつかの台詞が懐かしき昭和のアングラ調だし、それどころか底流にダークあるいは不穏なナニカがあるし……でもそれが何故かは非常にワカり易い。そんなアンビバレンツが愉しい♪
また、ところどころ早口なのにさほどストレスにならないのはちゃんと間は取っている(しかも大事な台詞はノーマルスピードに落とす)からだろう、芝居の会話の「間」の大切さを改めて認識した。

ネタバレBOX

アングラ調の台詞については途中で寺山修司「書を捨てよ、町へ出よう」が出てくるので「あ~、それでか!」とニヤリ。
ナニカについてはポップな感覚で忘れがちだが冒頭で阪神大震災ものらしきニュース音声が流れるし、その少し後に首にロープを巻いた主人公(ともう1人)が死の直前の走馬灯について話しているし、主人公の生誕直後に阪神大震災が起こるのを皮切りに彼の身に何かが起こるのは大きな震災のあった日だし……ということで実は明白。
ピヨピヨレボリューション公演『Gliese』

ピヨピヨレボリューション公演『Gliese』

オフィス上の空

ザ・ポケット(東京都)

2018/04/03 (火) ~ 2018/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/04/06 (金) 14:00

座席J列7番

価格4,000円

テンポが良くリズム感もある場面構成、楽曲の質や使い方などエンターテイメントとして上出来な作品であることに加えて初演を脳内で再生したり今回の東バージョンを想像したりで大いに楽しんだ。
初演を観ていたので一部の人物の設定や台詞に初演時のあて書きの名残を見出したり、逆に脚本執筆の初期段階ではこちらを想定していたのでは?などと想像したり、あるいは新たなキャラクター造形に「そう来たか!」だったりで、より楽しめた感じ。
さらに、客入れ時BGMが使用曲のバックトラックだったので振付や場面を思い出したりも……
また、初演時にも感心したのだがファンタジックではありながら美醜の基準とか価値観の強要など、 けっこう大事なことを終盤で訴えるのもイイ。
それにしても普通は脚本家と作曲家が分業で成し得るレベルのものを1人で創り上げてしまうって、どういう才能だよ、多才か!?(驚)
なお、この回のアフターイベントはシアターゲームで、偶然にも前夜に観たものが人狼を劇中に取り込んだものだったというシンクロニシティも。

僕をみつけて/生きている

僕をみつけて/生きている

かわいいコンビニ店員 飯田さん

OFF OFFシアター(東京都)

2018/04/04 (水) ~ 2018/04/08 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2018/04/05 (木) 20:00

価格3,500円

【僕をみつけて】
バイト仲間たちが1人の家に集まっての人狼パーティーをするが……な物語。
小劇場系で人狼をやって見せるイベントは少なからずあったが、芝居中に取りこんで別のテーマと重ね合わせるとはズルい……いや賢く、やったモン勝ちなコロンブスの卵♪
そこにラブコメ……と言うより「ラブファルス(恋愛笑劇)」を組み合わせるのがまた上手く、思いきりベタなぶりっ子系や心理学専攻などのキャラを配し人物がそれぞれ生(活)きているのもイイ。
人狼の場面ではじめのうちは時々照明を落とすことで役職などを見せないことで観客も参加しているように思わせる演出も巧み。
そして訪れる結末、ゲームで人狼チームが勝利したかのような印象を残すラストカットは画竜点睛を打つが如し、お見事!

ネタバレBOX

雪(赤猫座ちこ)の人物造形(新境地?)についてその発声からアニメキャラのような気がしていたが、あとから考えたらもっと近い実在の人物がいた……小林麻耶アナ!(爆)
豊(むらさきしゅう)には推定7割近い男性が共感し3割強の男性は古傷を掻きむしられる気がするのではないか?(笑)
ところで慶応大出身者は肩のあたりが早稲田のスクールカラー(エンジ/えび茶)のセーターを着たりするのだろうか?(笑)

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