草苅事件 公演情報 しむじゃっく「草苅事件」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2018/07/22 (日) 14:00

    価格3,000円

    とある文学賞の発表記者会見、覆面作家である受賞者の代理人として女性占い師が登壇したことで会見は紛糾し……な物語。

    「まんまじゃん!(笑)」な淺越さんを筆頭に人物の造形・表現が愉快で、文学界の一部にケンカを売ってないか?な文学賞への揶揄にはニヤニヤする一方、安心して「順路」をたどっていたら、あるところで急にその通路が溶けだして膝あたりまでズブズブ沈んでしまうような感覚が快感。

    「メビウスの環」「クラインの壷」を想起させる構造の物語がお好きな方には特にオススメ♪

    ネタバレBOX

    受付時に「取材票」を渡して観客それぞれを劇中の取材記者の一人として冒頭から取り込んでいるが、それはあくまで表見上のことに過ぎず、途中、「受賞作の秘密」を明かす時点で観客を本当に作品に「巻き込む」のがスゴい。劇中人物・観客の双方が基盤としているものを覆すもんなぁ、その衝撃たるや。(※)
    そんな風に物語の基盤をひっくり返すことに小松左京「こちらニッポン…」を連想。また、入れ子構造的なことに夢野久作「ドグラ・マグラ」も想起。こういうの、大好きなんだな。

    なお、7月に観た芝居のうち観客を劇中のモブ(反対運動参加者・記者・野犬)として参加させる(見立てる)演出のものが3本もあるというのは何?(笑)

    ※ 劇中の人物も受け手(観客・読者など)も「それが当然」と思っている常識というか物語の基盤というかそれを根底からひっくり返す物語って面白い。
    本当に思いもよらない側から弾が飛んでくる、みたいな?見事に騙された快感的なものがあって。
    古い例で言えば推理小説で探偵役だった人物が真犯人であるとか、語り手であった「私」が実は死んでいたとか、あと、人物捜索を依頼された探偵が探し当てた対象者が自分自身であったとか……。そういうの、好きなパターンの1つだしね。

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    2018/07/31 21:56

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