天獄☆サンサーラ
演劇企画ヱウレーカ
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2019/09/21 (土) ~ 2019/09/22 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/09/21 (土) 11:30
価格2,000円
「あの物語」の「あのキャラ」たちの「その後」という着眼点に荒井主宰の非凡さを感じる。
さらにその発想を元にキャラクター設定をして物語を紡いで芝居を作り上げたことに感服。
あと、衣装もそれぞれ説得力があり良かった。
その美女、自覚なし!
カリンカ
シアター711(東京都)
2019/09/26 (木) ~ 2019/09/30 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/09/30 (月) 13:30
価格3,500円
ブッ跳んだ発想に基づいたマンガチックな忍者もの。
ナンセンス系コメディっぽく始まりながらも、次第に落語的な味わいがにじみ出てきて、しかも各人が持っている(?)劣等感とどう付き合うか、どう克服するかなんてことをテーマにしているのがイイ。
落語的味わいと言えば、終盤、エピローグ前の場の終わり方が落語のサゲのように感じられた。
カチナシ!
ラビット番長
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2019/09/19 (木) ~ 2019/09/23 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/09/20 (金) 14:00
座席E列14番
価格3,500円
棋士(複数)の再起物語に得意の(?)介護・リハビリを絡めた物語。
池井戸潤作品で言えば「ギンノキヲク」が半沢直樹シリーズや花咲舞シリーズで、こちらは「ルーズヴェルト・ゲーム」や「ノーサイド・ゲーム」にあたるのではないか?
代表作「ギンノキヲク」と表裏をなす「内容スピンオフ」作品、一粒で二度オイしい感じで楽しめた。
開演前の初心者向け将棋のルール解説も親切でしかも楽しかった。
大塚由祈子ひとり芝居「売り言葉」
サキクサ
ゆうど(東京都)
2019/09/20 (金) ~ 2019/09/23 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/09/23 (月) 16:00
価格3,200円
高村光太郎の妻・智恵子を題材とした一人芝居。
初演(2002年)のスパイラルホールの無機質さに対して日本家屋での上演で印象は間逆と言ってよいほど。また、初演では舞台で自転車を乗り回していた記憶があるが、こちらはハンドルだけを使うなど小会場への落としこみも巧み。
で、劇中に「智恵子抄への売り言葉」という部分があるし、光太郎が描いた通りであろうとする智恵子が描かれたりもして、これは高村光太郎を告発するものではないか?などと思ったりも。(笑)
あと、言葉遊びなどはやはり野田秀樹作品だなぁ、とも。
純愛協想曲
劇団ヨロタミ
萬劇場(東京都)
2019/09/26 (木) ~ 2019/09/30 (月)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2019/09/27 (金) 14:00
座席I列7番
価格3,300円
当日パンフレットの挨拶文によれば作・演出の坂本さんは「恋愛の話は苦手」とのこと。そのためか本作で描かれるのはありきたりな妙齢の男女や熟年男女の恋愛ではなく、年齢差が大きかったり同性だったりとイレギュラーなもの。
が、それゆえにむしろ「純愛」が強調されたような気がする。
そして恋愛だけでなく夫婦愛も描かれており、終盤で麻里子が伊佐男に妊娠を告げると同時に思いきりひねくれた言い回しで歌手を続けるよう励ます台詞が個人的なツボ。
ベテランの味わい、安心して観ていられて(←決して「守りに入っている」ということではない)イイなぁ。いや、「あのグループをネタにして大丈夫?」というのはちょっとヒヤリとしたか?(笑)
ばしょ
Pityman
新宿眼科画廊(東京都)
2019/09/20 (金) ~ 2019/09/24 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/09/22 (日) 19:00
価格3,000円
オーストラリアの日本人が経営する飲食店でを舞台にワーキングホリデーで働いていた女性の退職・帰国を前にしての送別会の夜(一部回想あり)のおハナシ。
そんな題材だけに劇中に外国人が出てくるワケだが、まず前説で外国人役はサングラスをかけることで表現する旨を宣言(笑)し、最初に外国人が登場するランチタイムのテイクアウトの場面で英語台詞の部分はちゃんとオーストラリア訛りにするというのが見事。
また、その場面で男子店員が英語をほとんど聞き取れないことを示しておくのでその後のエアーズロック観光の場面で「日本語吹き替え」にしても彼がワカっていないのが見て取れるという。
そればかりでなくガイドは現地人だが参加者は中国(だっけ?)やドイツから来た観光客なので英語が片言(日本語吹き替えなのに)なのまでワカるのが巧い。
そんなこんなを経て迎えるラストは問題がありつつ突き放すようなカタチで、ヤだねぇ!(笑)
先天性promise
こわっぱちゃん家
「劇」小劇場(東京都)
2019/09/20 (金) ~ 2019/09/23 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/09/22 (日) 13:30
価格3,500円
入場してまず気付いたのは曲面・曲線による構成は洗練されて美しいが、過去2回(複数の場所を1つの装置に組み込んでいた)に較べてシンプルな舞台美術。
そんな舞台美術の通りに芝居内容もど真ん中の直球な(SF風味の?)ヒューマンストーリー。
SFファンにはお馴染みのアレに落ち着きそうになるもそれを一捻りするのがまたオツ。
ワルツ
新宿公社
テアトルBONBON(東京都)
2019/09/18 (水) ~ 2019/09/22 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/09/20 (金) 19:30
座席H列7番
価格3,500円
事件を起こしたらしい女子高生の精神鑑定にあたる女性医師……な場面から始まり、観客に次第に事件の内容が明かされるが、な物語。
観ていて何か懐かしさをおぼえて、考えてみたら往年の角川映画の(新宿東映パラスで上映していたような)学園青春ミステリー、あるいはNHK少年ドラマシリーズのもうちょっと年長版もしくはコース・時代の連載小説。それらをご存知の世代はより楽しめたのではないか?
そして結局手段は間違っているけれど悪いヤツはいなかったのか……と思ったが、それは錯覚。危うくコロリと騙されるところだった。(笑)
さらに終演後の帰り道で反芻していたら現実ではアレは無理では?という部分に気付いた。が、観ている間はそれに気付かなかったワケで、個人的には「芝居のウソ」として容認。
誰そ彼
浮世企画
駅前劇場(東京都)
2019/09/19 (木) ~ 2019/09/23 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/09/19 (木) 19:30
座席A列11番
価格3,800円
実家の建物を解体し更地にするということで主人公が訪れるとそこには奇妙な占有者がいて……な物語。
従来とはちょっと趣を異にするコミカルなファンタジーかと思いながら観ていると次第にシリアスでビター、ダークな部分があらわれて終盤ではホラー的な薫りも。
そんな中にちゃんと教訓的なものも織り込まれていてまさに現代の寓話。
そういえば大人版「ユタと不思議な仲間たち」の味わいもあったな。
キャラクター造形と配役も人にあらざる者の「それらしさ」、憎まれ役の憎たらしさ、女優陣の美しさ・可愛さなどそれぞれにステキ。
病室
劇団普通
スタジオ空洞(東京都)
2019/09/24 (火) ~ 2019/09/29 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/09/24 (火) 19:30
価格2,600円
本編を観ている間は確かに病室に見えていたのに、終演後に気付いてみればそこにはベッドに見立てた白木のベンチ4つと丸椅子2~3脚、車椅子2台だけしかないという不思議。
スタジオ空洞は(スタジオだけに?)奥の壁が一面の大鏡で、そこに紗の布がかかっていることでかすかに手前の空間が映っているのが見えて、それに病院の窓をイメージしたのかもしれない。(←開演前から)
そんな中で交わされる会話は時に笑えたりもするが大半は地味だったりヒリヒリするようだったりなリアルなもの。それで2時間以上を引っ張るのがまた不思議だしこの劇団らしさと言えるか。
あ、オジサンのクドい話術(?)もあったっけ。
あと、冒頭のいくつかの台詞を聞き取れないほどの音量にとどめて観客の注意力を一気に引き付けるというテクニックはズルい。(笑)
おへその不在
マチルダアパルトマン
OFF OFFシアター(東京都)
2019/09/04 (水) ~ 2019/09/16 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/09/06 (金) 15:00
冒頭こそタイトルに関連しているが次第に逸れてゆくオカしさ……(笑)
そうして一見おバカで跳んだ場が積み重ねられてゆくとそれなりにまとまって感じられるのが面白い。
ペンローズの三角形とかエッシャーの「物見の塔」「滝」とかは「部分部分は正しいのに全体を見ると間違っている」のだが、それとは逆に「部分部分はオカしいが、それらがまとまった全体はちゃんとしている」と言えるのではないか?(個人の感想です)
あるいなあることを隠そうと嘘をつき続けているとどこかで破綻するのと逆に、おバカやナンセンスな場が満載でも何かひとつ芯が通っていれば物語は破綻しないのか?みたいな。
本作は知的なバカ(実際は頭が良いのにバカを装う・しっかりした計算に基づいてバカを演ずる)と言えるのではなかろうか?
なお、本編前おまけ短篇の「女剣士ジェロニモ」は録音した日本語台詞に合わせてアテ振りのように演技するが、生台詞は英語というバイリンガル演劇。
しかしあの生英語、アドリブじゃないの?(笑)
こういうムチャ、好きだなぁ♪
『瓶に詰めるから果実』『プラスチックは錆びない』
埋れ木
北池袋 新生館シアター(東京都)
2019/08/28 (水) ~ 2019/09/03 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/09/03 (火) 17:00
価格2,300円
【プラスチックは錆びない】
事前情報から(勝手に)予期したものと異なるほぼストレートな恋愛もの、「瓶に詰めるから果実」とともに学生時代の夏休みを思い出したりして懐かしかった。
また、ごく自然に「怪獣」なんて単語が出てくるのでSSSS.GRIDMANを想起したが直後に1万人規模の被災者とか言っていたのでシン・ゴジラか……みたいな。(笑)
ってか、この世界観、前回公演「降っただけで雨」と統一されているのか。こういうの、好きだな。
『瓶に詰めるから果実』『プラスチックは錆びない』
埋れ木
北池袋 新生館シアター(東京都)
2019/08/28 (水) ~ 2019/09/03 (火)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/09/03 (火) 13:00
価格2,800円
【瓶に詰めるから果実】
NHK学校放送の道徳ドラマや「中学生日記」の高校生版的味わいの高校演劇部夏合宿物語。
各学年毎の特徴や部活に対する想いなどが巧く描き分けられていてあれこれ納得したが、1点「芝居のウソ」として見過ごせない点があったのはひっかかる。
部長を「夏合宿で」「3年生の中から」選ぶってヘンじゃないか?新年度の始まる4月から夏合宿までの間は部長がいないの?そしてそのタイミングで選ばれた部長って大学受験と両立できるの???
普通は夏合宿で部長を選ぶとしたら2年生の中からであって、その時点で3年生は部活引退、あるいは役職退任ではなかろうか?
もしかして劇中の学校は9月から新年度なの???
夏休みの友たち
ハグハグ共和国
萬劇場(東京都)
2019/08/28 (水) ~ 2019/09/01 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2019/08/30 (金) 14:00
座席I列7番
価格3,500円
後半でビター(あるいはハード?)に転じたりもするが、「何か忘れたものを取り戻す」ために小学生時代に林間学校で泊まった山小屋(現在は民宿)を訪れる者たち、という状況がなんともノスタルジック、「オトナ向け児童文学」のような味わいで良かった。
レティクル座の反撃オムニバス~乱れ撃ちの弾~
レティクル座
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2019/09/11 (水) ~ 2019/09/17 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/09/12 (木) 19:30
【ハートチーム】
コント系のドクロチームに対してこちらは芝居系と好対照で一人芝居・二人芝居に池亀脚本、SFホラーに病院サスペンス(ただしともにナンセンス)と多彩な中、傘の小品が特に好み。
レティクル座の反撃オムニバス~乱れ撃ちの弾~
レティクル座
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2019/09/11 (水) ~ 2019/09/17 (火)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/09/11 (水) 19:30
価格2,500円
【ドクロチーム】
過去作品に書き下ろし1編を加えた短編集……というよりもむしろコント集。会場が会場だけに「セルフ新宿コントレックス」的な?(笑)
アレやソレを擬人化するか!なものを含むブッ跳んだ発想は池亀三太作品に相通ずるような気もする。
ヘニーデ
AURYN
中野スタジオあくとれ(東京都)
2019/09/12 (木) ~ 2019/09/16 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/09/13 (金) 14:00
価格2,800円
マジック好きのマスターのもと、マジックの交流会が開かれるバーでの物語。
マジックの劇中への取り込み方・活かし方が巧みでキャスティングに説得力があった。
また、この少し前に観たフロアトポロジー「ツノノコ、ハネノコ、ウロコノコ」同様、ある部分が何かの隠喩ではないか?と深読み(あるいは誤読)をした……ってか、あれと通ずる部分があると思った。これも世相によるものか?
ガリレオの生涯
こゆび侍
新宿眼科画廊(東京都)
2019/09/07 (土) ~ 2019/09/16 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/09/10 (火) 14:00
価格3,300円
三越劇場のような「ザ・劇場」な会場向けの戯曲(私見)を刈り込み、演出・美術などでよくぞ小劇場風(内容だけでなく会場も含む)に落とし込んだものだ、と感心。
また、劇中での経年を示す演者の年齢表現と機材持ち込み(!)による照明も見事。
「それでも地球は回っている」という決め台詞(笑)以外実はあまり知らなかったガリレオの周囲の人々やあれこれに与えた影響など「そうだったのかぁ」と知ることができたのも収穫。
いわゆる「古典」な戯曲をこんな風に小劇場風にアレンジした公演がもっとあってもイイのではないか?などとも思った。
なお、原題は「ガリレイの生涯」と知ってビックリ。
悪魔を汚せ
鵺的(ぬえてき)
サンモールスタジオ(東京都)
2019/09/05 (木) ~ 2019/09/18 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/09/05 (木) 19:30
座席F列3番
価格4,800円
初演時はどうなることか、と緊張し固唾を呑んで観ていたと思うが、それで概要を知った上で観たこともあり、冒頭のある人物のヤなヤツっぷりの極端なことに頬が弛み、以降も状況やキャラの極端さや高木さんの「横溝愛」(ある一族を中心とした話で、関係者間の想像を絶する関係が次第に明かされるなんていかにも横溝(笑))、更に他のお客さんの反応にニヤニヤして観る。
また、初演の駅前劇場と較べて間口の狭い会場を「そう使いましたか!」と想わせる舞台美術、演出にも感心。(例えば初演時はあの部屋に加えて上手に中庭的な部分があったと思う)
舞台美術と言えば、奥の間の長押の上に飾られている歴代家長の肖像写真、犬神佐兵衛と夏目漱石(のそっくりさん)がいると思ったのはσ(^-^) だけではあるまい。(笑)
【勝手にキャッチコピー】
いちばんヤなヤツだぁ~れだ?
いちばんクズなのだぁ~れだ?
いちばん悪いのだぁ~れだ?
ツノノコ、ハネノコ、ウロコノコ
フロアトポロジー
オメガ東京(東京都)
2019/09/04 (水) ~ 2019/09/08 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2019/09/04 (水) 19:00
価格3,800円
ある属性を持つ少女たちが隔離されている山村を女性ジャーナリストが訪れるが……な状況から始まる物語。
実際の事件や歴史上の出来事を想起させるパーツを使いながら皆まで語らぬ余白のある物語につきもしも「ソレ」が日本で起こるとしたら、とか少女たちは何の隠喩か、とか深読み・誤読し放題(笑)。
また、近未来SF風味なところはいかにもフロアトポロジー。
とはいえ物語世界は近未来のように受け取れるが当日パンフレットのあらすじにある架空の元号がSで始まるので「この世界と決して交わることのない平行世界」を宣言しているのかな、と深読み。
また、廃墟っぽさの漂う舞台美術は前回公演と通ずるというか、同じ世界観で妙に実在感があったりも。下手奥の石のブロックで作られた壁の質感たるや……(驚)