
人間園
角角ストロガのフ
インディペンデントシアターOji(東京都)
2009/02/26 (木) ~ 2009/03/02 (月)公演終了
満足度★★★★
文字通りの「ブラックユーモア」
観たことのないトコロも含めて個性的な劇団・ユニットのメンバーを中心に、主にドラマや映画で活躍する女優まで加えた多彩なキャストで演ずるブラックコメディ、猛毒あるいは一篇の悪夢のようなドス黒い内容なのにどこか可笑しさが漂って重たくならないのは鈴木聖奈の癒しオーラ効果か?(笑)
また、「そっち系」のもう1人、栗原瞳は龍騎の編集部員よりも555のスマートレディ的な魅力をふりまいておりステキ!
あ、いや、もちろん小劇場系の個性派勢揃いな面々も皆さんそれぞれステキでしたが…(笑)
ところで立浪先生が「みんながストレスのない学校生活を送ることができるように」と前置きして「いじめ推奨」と板書するところなど笑うトコロでは? ってか、文字通りの「ブラックユーモア」なのだからもっと笑い声があってしかるべきでは?
また、4つ(+α-β)の異なった箇所をうまく組み合わせた装置と、その構造・配置ゆえ時として空間を超越する演出(コワれた後、職員室に突如現れる密花先生とか、レイプシーンを撮影する犬塚とか)が面白い。
これもまた、「アクセルを踏みながらブレーキも踏んでいる」というか、相反する要素(毒と笑い)が混在している独特の世界。
あと、当日パンフに掲載された舞台での基本的な位置&似顔絵付きの出演者紹介は有難い。またこの似顔絵がよく特徴をとらえていて見事。

爆走!大爆笑!
MK-Box
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2009/02/25 (水) ~ 2009/03/01 (日)公演終了
満足度★★★
記憶の虫干し状態
06年11月の『人生大爆走』の改訂版で、近付いた卒業まで問題を起こさないようにとワケありの社長から私立探偵に預けられたガングロ令嬢(?)が依頼人のトラブルを「みんなまとめてメンドーみたヨ」な物語、上演時間が初演時(約100分)の3割増の130分というのはこの小屋ではちょっとキツいか?
とはいえ、程よく昔に観たので、よく覚えている部分、観ながら「あぁそうだった」と思い出せた部分、全く記憶にない部分(改訂によって加わった部分であって欲しいが)などいろんなパートがあって記憶の虫干し状態。(爆)
で、栗コーダーカルテットによる「ダース・ベイダー・マーチ」「ハイウェイ・スター」などはよ~く覚えており、個人的なツボ。
あと、クライマックスの「爆走」シーンでのムーヴィングライトの使い方もほぼ初演のまんまで、これも上手い。
![アイズ[aiz]](https://stage-image.corich.jp/img_stage/m/853/stage8532_1.jpg?369918)
アイズ[aiz]
One on One
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2009/02/26 (木) ~ 2009/03/02 (月)公演終了
満足度★★★★
記憶ネタって最近のトレンド?
劇団初の再演もの(初演は未見)で、角膜の移植によって記憶も受け継がれる説が実証された近未来の物語。
「ブラックジャック」中の挿話「春一番」で角膜のドナーが最後に見たものがレシピエントにも見えるとか「キイナ 不可能犯罪捜査官」の第1話で移植された心臓によって記憶が継承されるとかのネタを目にしていたので基本設定については全く抵抗がなかったものの、角膜移植による拒否症状によって死に至る(ことがある)という部分はちょっと引っかからないでもない。
心臓移植による拒否症状なら心臓そのもののトラブルだし、蜂の毒によるアナフィラキシー症状なら「毒」によるショックだし、ということで納得できるのだが、たかが(?)犬の角膜移植、せいぜい失明レベルなんじゃないの?とか思ってしまって…。人間のカラダって、そこまで繊細なのか?
とはいえ、結局2巡くらいする「鈴のついたペンダント」の行方や「依頼人」の正体や目的も含めてストーリー本体はシッカリしているし、それを「いかにもミュージカル」な重唱を含む楽曲や「盲導犬の記憶」担当者を筆頭とした優れたダンスで彩って、いつもながらお見事。
ホント、大手のミュージカルに引けをとっていないのでは?
それにしても、前日のマチネも記憶を共有したりするハナシだったし、記憶ネタって最近のトレンドなのか?
さらに、落語「犬の眼」なども思い出す。いや、ちゃんと共通点があるのよ、これが。
あと、タイトルはダブルミーニング(「eyes」&「合図」)だったのね。

ワンダーランド2400 ★グリーンフェスタ2009「Box in Box THEATER賞」受賞作品★
マグズサムズ
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2009/02/25 (水) ~ 2009/03/02 (月)公演終了
満足度★★★
「新・大衆演劇」みたいな?
個人経営のネットカフェでの人間模様、ベタというか既視感アリアリというか、意外性は全くと言っていいほどないけれど、オチを知っている古典落語を何度聴いても笑えるのと同様、キャラ設定と演技によって客を笑わせてしまうのはある意味「新・大衆演劇」みたいな?

ピューパルメモリ
DMF
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2009/02/25 (水) ~ 2009/03/01 (日)公演終了
満足度★★★
休憩なし160分を走り抜ける
前作同様単純な勧善懲悪ではなく、中盤までは誰が正しいのかすら見えにくい展開なので実時間より長く感じても不思議はないのに休憩なし160分という長尺をダレさせずに走り抜けるのはスゴい。
アクションもいろんなバリエーションがあって単調にならないからか?
ただ、至近距離にしては射撃の命中精度が低過ぎる上にたとえ被弾(あるいは斬られたり刺されたり)してもかなり元気(ターミネーターかいっっ!!!)なのはど~よ?(笑)
その一方、「観たい!」コメントでの懸念は幸いにしてハズれ、最終作へつながりはするものの単品としても一応の決着はついており、一安心。

K
K Dash Stage
赤坂ACTシアター(東京都)
2009/02/25 (水) ~ 2009/03/01 (日)公演終了
満足度★★
やはりハコが大きすぎ
殺人事件モノながら起きた事件以降の出来事を主に描く「フーダニット」ではなく、冒頭で事件の概要を伝えた後、遡って以前の状況を描き、最後に殺人場面に至る「ホワイダニット」、その趣旨はよくわかるし、ドラマとして良く出来ていることも認めるが、殺人にいたる人物の内面をジックリ描いて殺人場面に説得力を持たせるにはやはりこのハコは大きすぎ。せっかくの主人公の心情吐露の演技もおそらく客席の隅までは届いておらずもったいない。
そんな中、桑原裕子や水谷あつしなどはさすがに慣れているというか、ポジションを心得て見せるところでは見せて、ある意味オイシイ役どころ?
この出演メンバーでは難しかろうが、できれば笹塚ファクトリーとか、せいぜいシアターサンモールあたりで観たかった。小劇場系のキャストのみで再演してくれないかしら?

夜の来訪者
シス・カンパニー
紀伊國屋ホール(東京都)
2009/02/14 (土) ~ 2009/03/15 (日)公演終了
満足度★★★
通算5回目
75年のドラマ版から悪名高い『インスペクター・コールズ』も含めて通算5回目となるが、終盤で「彼ら」が追い詰められて行くあたりは毎度ながらワクワクし、最後の電話の内容は「キターーーッ!」みたいな。(笑) ただ、内容と若干そぐわない時代設定にしたことには疑問が残る。

人~サラン~
CAP企画
劇場MOMO(東京都)
2009/02/24 (火) ~ 2009/03/01 (日)公演終了
満足度★★★★
なかなかの出来
在日コリアン女性と日本人男性(2組)の交際に関する問題を軸に家族愛、人間愛や相互理解のためのヒントなども絡ませた上に程良く笑いもまぶしてなかなかの出来。
性同一性障害のケインが元・警官の彼に理解されるあたり以降が特に良く、かつて日本が犯した罪への批判のみならず、コリアン側の受け止め方に対しても批判し、その中から「じゃあ、どうしたらいいの?」まで言及していて考えさせられたりホロリとさせられたり。
ただ、そのケインのパート、終盤で「性同一性障害であっても同じ人間である」=「国籍が違っても同じ人間である」とメイン部分とカブらせるところはイイのだけれど、そこに至るまではほとんどクロスしていず、水と油のような印象がるあるのは惜しい.
さらに、冒頭でケインが「看護士になれたのはあの人のおかげ」と口にしていながら終盤で「それはまた別の話」とはぐらかすのもどうも…

オンリー・ユー
鈴舟
シアターサンモール(東京都)
2009/02/24 (火) ~ 2009/03/01 (日)公演終了
満足度★★
内容的にも「小粒」な感じ
片田舎(だと思う)の小さな郵便局に強盗が押し入り…という犯罪コメディ、鈴置洋孝プロデュース時代から通じて一番コメディ寄りなのはともかく、ハートウォーミング要素が少ないのはやや不満。
それに加えて内海賢二が声だけの出演というのは事前に知っていたけれど、麻生美代子も比較的出番が少なく、90分という上演時間だけでなく内容的にも「小粒」な感じ。
そもそも強盗立てこもり系のコメディではショーマの『バンク・バン・レッスン』など傑作があるワケで…。
とは言え、コンパクトなサイズでそこそこ笑えたから、まぁよしというところか?

「三島由紀夫を読む!」
横濱・リーディング・コレクション
相鉄本多劇場(神奈川県)
2009/02/21 (土) ~ 2009/02/22 (日)公演終了
満足度★★★★
トリッキーな「美と…」が面白い
COLLOLの田口アヤコ「劇作」による「美と…」は討論ものゆえ三島役を舞台、学生役2名を客席に配する他、音効や動作など「バックグラウンド」を担当するメンバーがいるというトリッキーなシカケが面白い。一方、「わが友…」は洋モノに弱い身(爆)としては今ひとつピンと来ず。

鬼姫
虚飾集団廻天百眼
タイニイアリス(東京都)
2009/02/20 (金) ~ 2009/02/23 (月)公演終了
満足度★★★
でぃす・いず・あんぐら
神社などにテントを張って巡業していた見世物(「六尺のイタチ」(笑)とか「狼少女」とか…っていつの時代だよ!)を想起させる「多少の胡散臭さを伴う妖しさ、不気味さ」が漂いまくる、吸血姫たちを中心とした百鬼夜行的物語、チラシのデザインや掲載内容からの予想通り「でぃす・いず・あんぐら」。
時として散文詩のような美しい台詞はあるわ、耽美的かと思えばグロだったりもするわ、白塗りやどぎついメイクのキャラも登場するわ、ホントに「アングラの王道」みたいな?
その一方で、殺陣にバレエをとりいれたり、ポールダンスならぬ「ポールエアリアル」があったりと斬新な部分もあり、「ほほぅ!」と感嘆。
また、永劫に仇討ちのための闘いを続けるという部分に佐藤敏宏監督の『今昔伝奇 剣地獄』(02年公開)を連想。

うぐいすっ
KUSARE芸道R
シアターブラッツ(東京都)
2009/02/20 (金) ~ 2009/02/22 (日)公演終了
満足度★★★★
σ(^-^) 的には原点回帰
短編コント(連作もアリ)と中編パロディドラマの組み合わせで、劇団名に「R」がついて(=σ(^-^) が観始めて)から3回ほど上演した「ぼんやり劇場」シリーズと似たスタイル。
そんな刷り込み効果もあってか、σ(^-^) 的には原点回帰のような感覚もあり、ナンセンス満載、おバカ万歳な内容を満喫。
もうホントに「しょーもねー」以外のナニモノでもないのに、時には非常に滑らかで自然な、時にはしゃべくり漫才のようにテンポの良い台詞回しで引き込んで、笑わせて、気付いてみれば「え、もう終わり?」みたいな。
また、影絵(前説用は一部リニューアルされてるし…(笑))の使用もいつもながら見事で、時として小道具というか装置というか、その役目まで果たすなんてアイデアもイイ。

闇に咲く華
劇団伊達組
赤坂RED/THEATER(東京都)
2009/02/18 (水) ~ 2009/02/22 (日)公演終了
満足度★★★★
それぞれの人物にキチンとドラマ
意外な部分も含めて顔合わせの妙と言うべきキャスティング(「座長まつり」的でもある?(笑))は劇団名と異なり「伊達」ではなく、五右衛門のみならず、捕り手側や遊郭、市井の人々などそれぞれの人物にキチンとドラマがあって見応え十分。しかもそれを110分で収めているワケで。
また、殺陣にしても一般的なものはもちろん、歌舞伎風あり、実際には対峙している2人を1人は手前、1人は奥に配してともに正面から見せる、映画で言えばマルチスクリーン的な見せ方(かつてショーマがこのテの手法を得意としていたっけ)ありといろんな手法で見せてくれるし、そっちの面でも充実。
あと、クライマックスで焼け落ちる建物の梁などを布で表現するのも○。S.E.や照明と相俟ってちゃんとその場面が目に見えるようで、これぞ舞台芸術の神髄!
なお、五右衛門の装束とラストシーンから最近ヒットした日本映画をちょっとだけ連想。

宇宙花火師
宇宙食堂
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2009/02/18 (水) ~ 2009/02/22 (日)公演終了
満足度★★★
マンネリ回避に成功
過去3回の公演と比べて今回は1番現在に近く、得意の(?)宇宙空間ネタもありながら地球上でのドラマが中心となるのが特色で、マンネリ回避に成功。
さらに今回は「和のテイスト」を謳っており、本編に先立つアヴァンのパートは主人公がまだケンカに明け暮れていた頃で2049年の未来でも「火事とケンカは江戸の華」は変わらないところを見せて、もうそれだけでニヤリ。
以降、宇宙と花火という一見接点のあまりなさそうなネタをうまく結びつけたストーリーが展開。前半はちょっとテンポが良くなく、散漫な印象もあったものの、「宇宙花火」の計画が起案されるあたりからはグンとスピードアップ。アクションやサスペンスも交えて結末までは一気に走り抜ける、みたいな。
ただ、「星村庵」の従業員制服はいくら和テイストといえども往年のアメリカ映画に描かれた「ゲイシャガール」のようであまりといえばあんまりなのでは?(笑)
が、そこはともかく、舞台美術全体に漂う「レトロフューチャー感覚」は面白かった。

カブ太が嘘をついた
劇屋いっぷく堂
新宿シアターモリエール(東京都)
2009/02/18 (水) ~ 2009/02/22 (日)公演終了
満足度★★★
例えば線香花火のように
人気マンガのキャラクター・カブ太をシンボルとして「カブ太の街」を宣言する商店街のセレモニーに呼ばれたマンガ家は、実はストーリー担当で画が描けず…という物語。前回とはやや趣を異にしていたが、また別の味わいがあってこれはこれでアリ、な感じ。
例えば線香花火のように、トラブルが次第に大きくなって行くがそれぞれ落ち着くべきところに落ち着いて静かに終わる構成は安定感があると共に終わってしまう一抹の寂しさのようなものがあって巧み。

メガネに騙された
箱庭円舞曲
OFF OFFシアター(東京都)
2009/02/18 (水) ~ 2009/03/01 (日)公演終了
満足度★★★★
いたたたたっっ!!!
前2回と違ってかなりのビターテイスト。それをリアルな装置と(得意の?)リアルな会話で演るのでかなりヘヴィー。
ほとんどの人物がワケありの過去を持ち、いろんな意味で騙したり騙されたりしているし、第一場と第二場で暗転直前に心の底の「悪意」的なものが表出する瞬間があったりするし…(ちょっと身につまされたりもするのだ)
さらに尾辻のだらしなさが「今のオマエの姿だぞ」と自分自身を見せつけられているようで、居心地の悪~いことといったらありゃあしない!(笑)
ちょうどこれの1週間前に観た芝居の「何かすると言いながら何もしないじゃない!」も耳が痛かったが抽象的な分まだ傷が浅かったのに対して、こちらは具体的なだけに傷口を広げて塩をすり込むように感じられ…(いたたたた(爆))

テーブル・マナー
AGAPE store
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2009/02/06 (金) ~ 2009/02/16 (月)公演終了
満足度★
「笑いの不発弾」?
アラン・エイクボーン作品ということに加えてワン・シチュエーションのコメディしかも笑劇系との情報もあり、期待が膨らんでいたのに結果から言えば肩透かし、的な?
序盤は状況説明&人物紹介的なもので特に笑えるワケではなく、「そのうちどっかんどっかん笑えるようになるのだろう」と期待しながら観ていたら、結局大笑いできる部分は皆無で、さながら「笑いの不発弾」?
いや、大笑いどころか、普通に笑える部分もそんなになく、これが何でコメディなの?な感さえあり…。
また、不倫的三角関係もドロドロではなく、良く言えばマイルド、悪く言えばツッコミ不足なのでいずれにしても中途半端という感は免れ得ず。

那須ノ物語
演劇ユニット 金の蜥蜴
ブディストホール(東京都)
2009/02/12 (木) ~ 2009/02/15 (日)公演終了
満足度★★★★
キレイに一本取られましたわ
出だしはコミカルでありながら次第に人の心の弱さ・醜さのようなテーマにシフトして行き、「九尾の狐は人のココロに巣食う邪悪なモノの象徴のように扱い、それが引き起こすシェークスピア悲劇的な結末を迎えるも元凶はダメダメな藩主なのが極めて日本的」などというコメントを浮かべて観ていたら、終盤で韓国ドラマか「もう誰も愛さない」(91年、フジテレビ)か、な驚愕の展開(笑)があってド肝を抜かれる。(コメントまで考えていたモンだからなおさら…(爆))こりゃあキレイに一本取られましたわ。
また、タイトルに「異聞」とある通り、玉藻が九尾の狐ではないというヒネリにもぎゃふん。(笑)
なお、寸劇系の前説での吹き矢や手裏剣の使い方も楽しい。

eat,egg,east
タムチック
シアターブラッツ(東京都)
2009/02/11 (水) ~ 2009/02/15 (日)公演終了
満足度★★★★
群像劇系
小説家を目指していたが今はアイドルの連載コラムのゴーストライターにとどまっているフリーライターと仕事への力みが空回り気味のその担当編集者、「何かをする」と言い続けながら何もしない(=自分の方向性を決めることができない?)交際相手(だけでなくそれは即ち自分自身でもある)にイラだっているフリーターなどを中心とした群像劇系、かすかにリンクしたエピソードをスケッチ集のように重ね、そこからあぶりだしのように全体像が徐々に浮き上がって来る構造で、人物の心象を「影」(役名)のダンスで表現したり、エピソードのつなぎ目がダンスだったりするのが特徴的。
元々協力関係にあった演劇系とパフォーマンス系の2つユニットがタッグを組み昨年立ち上げ、それぞれ交互に作・演出を担当するシステムで、今回はパフォーマンス系側の作品なのでそういうスタイルになった模様。
ゆえにそのダンスも小劇場系の芝居としては難易度が高そうだし。
でもって「滞留」を抱えている各人物がある出来事をキッカケにそれぞれ方向性を見出すラストは語り過ぎず突き放さずのバランスが程良くて好み。
そのキッカケを与えるところの、大学の部室に何故かいて言葉を話さない(劇中での表現もダンスとマイムのみ)「フシギちゃん」はもしかすると今様座敷童子ではないかとか、本当は存在していなくて、各自の心の奥底に秘められた「変わりたい願望」の象徴ではないかとかそんな風に解釈の余地があるのも面白い。
また、紙ヒコーキを詰めたロケット(?)という部分に「銀河漂流バイファム」の最終話も連想。

Time Trouble 齢30
劇団虎のこ
ギャラリーLE DECO(東京都)
2009/02/10 (火) ~ 2009/02/15 (日)公演終了
満足度★★★★
全4チームのうち3チームを観劇
07年の再演から通算して7~9回目となるが、作品自体の面白さに加えてすべてキャストが異なることによる個性の違いで毎回新鮮な感覚?
特に今回は2つのチームで冒頭の主人公の心理状態が真逆だったのが印象に残る