秘密
劇団普通
王子小劇場(東京都)
2022/04/20 (水) ~ 2022/04/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/20 (水) 19:00
特に大きな動きがあるわけではなく、ある家族(と近しい一部の人々)の「ほぼ日常」を描いている「だけ」(かつ装置もテーブル1つに椅子4脚のみ)なのに約2時間を飽きさせないのは「物語を見せる」のではなく「演技を見せる」あるいは「演技 で 見せる」作品だからではないか?と。
また、北関東の訛りと一般市民の話ということに立松和平作品を想起。
今まで何度も観ている団体ではあるが、今回改めてそんなことを考えた。
DGURA MAGRA
PSYCHOSIS
新宿スターフィールド(東京都)
2021/07/16 (金) ~ 2021/07/19 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
高取英脚本の月蝕版は未見だが、月蝕テイストに森永理科演出による「新たなモノ」が加わって化学反応が起きた、的な?
そして楽屋落ちもありつつけっこう忠実に描きながらも95分に収めたのはアッパレ。
あと「やたらに濃い」遊佐さんにニヤリ。
#15『朱の人』
キ上の空論
本多劇場(東京都)
2022/04/13 (水) ~ 2022/04/17 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/15 (金) 14:00
高校時代に「不純な動機」で演劇部に入ったことをキッカケに演劇の道に進んだ兄について語る弟、という形式で進む小劇場界内幕系。説明文には「「演劇」の話ではなく」「「人間」の話で」とあり、確かにそうでもあるが、演劇に憑かれた男を描くことで反面的/逆説的な(=裏返しの?)「演劇讃歌」になっているのではないか?そしてそれは中島主宰の信条表明的なものであるのではないか?と感じた。
1981年のグッドバイ
成井硝子店
新宿スターフィールド(東京都)
2022/03/30 (水) ~ 2022/04/03 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/04/02 (土) 13:00
1980年、大学入学後すぐに演劇サークル/劇団に入団した主人公の1年間……という脚本の成井さんの自伝的な物語。
登場人物や彼らの劇団名は多少変えてあるが、台詞で出てくる劇団・作品・人名は実在のもので「あぁ、あの頃か」などと身近に感じつつ楽しんだ。
また、アフタートークで登場人物全員のモデルが明かされ、うちお二方はよく存じていたので大いに納得。
「流れる」と「光環(コロナ)」
劇団あはひ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2022/04/03 (日) ~ 2022/04/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/10 (日) 14:00
座席J列6番
【光環(コロナ)(「Letters」改題)】
昨年11月の「試演版」と65分の尺は変わらないがあれこれ削ぎ落して(とはいえ出演者の数は1人増えた)様式美にまで昇華させた「現代能(未来能?)」な趣き。
それでいて終盤の日蝕のスペクタクルと言って過言ではないダイナミックな表現たるや。試演版の表現も優れたものだったがまた別のアプローチで圧巻!(試演版では照明で表現していた「波打ち際」を本水で表現するとは……(!))
「流れる」と「光環(コロナ)」
劇団あはひ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2022/04/03 (日) ~ 2022/04/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/04/09 (土) 14:00
【流れる】
能の「隅田川」に「子を喪った親」という共通項で天馬博士とアトムを加え、狂言回し的に芭蕉・曽良のコンビを配するクロスオーバーぶり。
「隅田川」を予習して臨んだので確かに下敷きになっていると思いつつ「一筋縄では行かない(私見)」あはひのこと、もしかして「女」は実在していないのでは?とか盛大に誤読(なのか?)して楽しむ。
なお、この回のアフタートークでライター・編集者の九龍ジョーさんが「観ながらあれこれ関連付けたり想像したり」とおっしゃっており「わが意を得る」(笑)。
明日のハナコ
なかったことにされた高校生の2人芝居がきっちり面白かったので自分たちでさくっとやってみる会
梅ヶ丘BOX(東京都)
2022/04/08 (金) ~ 2022/04/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/04/08 (金) 15:00
とある演劇部員が通りかかった元部員と次回作の構想を実演してみて……な二人芝居。劇中劇は福井地震からの復興から原発の建設までたどり、さらに遠い未来まで語って問題を提起するのが実に巧みかつ面白い。
そして既にある問題を提起するだけでなく、それに対して自分たちには何ができるか?と観客に問いかける内容なのに「なかったことにした」側は何を危惧したのか、が結果的に新たな疑問となるのが痛烈な皮肉に感じられる。
演劇史の貴重な1ページかも?
イン・ザ・ナイトプール
コンプソンズ
王子小劇場(東京都)
2022/04/05 (火) ~ 2022/04/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/07 (木) 14:00
座席D列8番
劇団員4人それぞれの作・演出による短編集。シリアス、コミカル、SF、実録もの(ホントか?)とタイプは全く異なるが3編目までは幕切れの切れ味が鮮やか。4編目はσ(^-^) が思うコンプソンズらしさ満載(笑)だが盛り込み過ぎてモタついた感があるのが惜しい。
ちろうに検診
Peachboys
サンモールスタジオ(東京都)
2022/03/30 (水) ~ 2022/04/03 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/04/01 (金) 14:00
毎度お馴染みパロディ満載の艶笑芝居。ここまで振り切った内容を全力で演ずるのは尊く(?)昨今の厳しい現実からの逃避に絶好♪ また、この会場だからできる「アレ」も見事。
ところで今回は従来以上にメタな部分が多かったような。
さらに、パロディの元ネタも新旧の幅が大きく時事ネタや自虐ネタも増量気味? そんな中に時折現状についての悲鳴的なものもあってヒヤリとしたとかとなかったとか。
あと、毎度ながらチープなものも含めて衣装や小道具も楽しい。
下品なジョン・ドー 笑顔のベティ・ドー
第27班
王子小劇場(東京都)
2022/03/24 (木) ~ 2022/03/28 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/03/26 (土) 14:00
突飛な設定もありつつ、それを絵空事ではなくそれなりに「あるかも?」と思わせる(笑)のが見事。そしてその設定を最大限に活かしてカフェの常連客とその周辺の人物が縦糸・横糸となって織り上げる恋愛系物語……コミカルな中にハッとする/刺さる部分を織り込んで巧み。
そう感じたのは登場人物名が一般的な名前でなく物語などのタイトルであることから。それぞれの「ドラマ」を無意識的に読み取っていたことによるのかも。
白片つぐつぐ
アナログスイッチ
駅前劇場(東京都)
2022/03/16 (水) ~ 2022/03/22 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/03/21 (月) 13:30
大正時代、朝鮮半島に渡り植林事業を行う傍ら朝鮮半島の陶磁器と木工を研究紹介した浅川巧を主人公に据えて当時の日本人(一部?大半?)の朝鮮人に対する意識を描いているが、昨今のレイシズム批判になっており、真摯なテーマをユーモアを交えて描く作風に井上ひさし作品を連想。今の世にも通ずる秀作、感服!
2番目でもいいの♡
劇団ズッキュン娘
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2022/03/24 (木) ~ 2022/03/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★
鑑賞日2022/03/25 (金) 19:00
座席D1列05番
2014年の初演両キャスト、2015年の再演に続き通算4度目となるが待子が身勝手に感じられなかったのは改訂のためかこちらの意識が変わったためか?
クライマックスの論戦は妻・不倫相手としてのそれぞれの愛に説得力がありどちらも悪くないように感じてしまう。
そしてそれはつまり不倫をしたシゲちゃんが悪いということで、男性観客として居心地が悪いったら……(笑)
また、この会場・この料金ゆえのキャスト・衣装・装置・照明効果なども見事。ただ、小劇場系観客はもちろん、アイドル系出演者のファンにとっても8000円という価格はハードルが高かったようで空席が目についたのは残念。
石を投げる女がいて
ジグジグ・ストロングシープス・グランドロマン
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)
2022/03/23 (水) ~ 2022/03/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/03/25 (金) 14:00
座席8列5番
あらすじに暗示されているように不穏な方向に向かうが一難去る。しかし真髄はその後ではないか?
実際にあった事件等を想起させる出来事が次々に起こりしかもそれまでのトラブルのように単純でなく真相も藪の中。ある共同体が壊れてゆく過程を見せられているようで居心地が悪かったなぁ(褒めてる)。これ、堤さんのダークサイドなのでは?(笑)
なお、ラストシーンで星新一の「おーいでてこーい」を想起したりも……(爆)
粗末な人たち 新宿編
モミジノハナ
雑遊(東京都)
2022/03/23 (水) ~ 2022/03/27 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/03/24 (木) 14:00
あくまで喩えだが、舞台上方に大きく厚いガラス板が吊り下げられていて、人物が台詞を発する度にピシッとかミシリとか音をたててヒビが入ってゆき終盤でついにヒビと重さにより大音響とともに砕け散る、みたいな。
しかもその後ある人物の台詞によって破片が地吹雪の如く舞い上がりトゲとなって台詞が向けられた人物に刺さってゆく、的な。よって傍目に見る分にはカタルシスさえある(!)が、そんな状況下に身を置いたらさぞかし怖かろう……(笑)
また、前の場の状況や台詞の一部をそのまま取り込んで次の場に移転する演劇的手法、好きなんだなぁ。さらにそれぞれタイプが異なる4女優の「競演」、眼福でもあった。
赤き方舟
風雷紡
小劇場 楽園(東京都)
2022/03/19 (土) ~ 2022/03/21 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/03/20 (日) 14:00
座席D列11番
連合赤軍の実在したメンバー5人に創作人物1名を加えて描く事実を基にしたフィクション。
「半世紀ほど前の事実を下敷きに現代を描いた」と言われたら信じてしまいそう。もちろんあの当時だから、な部分もありつつそのまま今に通ずる台詞もあり愕然。
が、考えてみるとドキュメンタリーや評伝芝居ではないのだから創作要素も多分にあるワケで、書き下ろし新作であるからには作家は現代の人であって、劇中人物が交わす会話がイマの情勢を反映したものになるのはむしろ当然ではないか?……なんてことも考えた。
また、「今の世の中を少しでも良くしたい」という理想の下に結集しながらも結果的に人殺し集団になってしいまうことに新撰組との共通項を見出したりも。とはいえ、あの若さで社会のことを真剣に考えていたと思うと隔世の感ひとしお。
あと、「(自分が思うところの)より良い社会にする」という理想を掲げて活動するも、思うように進まない苛立ちやストレスがひしひしと伝わってきて、その気持ちに共感したりも。
マリーバードランド
やみ・あがりシアター
北とぴあ ペガサスホール(東京都)
2022/03/17 (木) ~ 2022/03/21 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/03/18 (金) 14:00
座席F列9番
南極で執り行われている結婚披露宴が想定外のトラブルで続行不能状態に陥るが列席者たちの事情により何とか続けなくてはならず……というショウ・マスト・ゴー・オン系コメディ。
打開策が次々と失敗する中から各人物の個性(純粋だったり打算的だったりなど)がくっきり浮かび上がるのが巧み。また、「あの曲」を使った(内容が意味するものも含む)落とし方が絶品。
会場を披露宴会場に見立ててそのようにしつらえただけでなく、当日パンフレットの配役表を「席次表」にした意匠もイイ♪
Melancholic Burtons
飛行天幕
雑遊(東京都)
2022/03/16 (水) ~ 2022/03/20 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/03/17 (木) 14:00
1年の大半を旅して過ごすバートン家の人々と少年期に知り合い何度か時を共に過ごした男の回顧譚。ファンタジックで切なくどこかノスタルジックでもある寓話的味わいは一言で言えば「オトナのための児童文学の舞台化」、旅団から飛行に変わっても「天幕テイスト」は変わらず、でステキ。
そう言えば舞台美術も「あぁやっぱり!」な天幕テイストで客席に入った途端に頬が弛んだ。
また、「魔法」や終盤の時の経過の演劇的表現もイイ。
さらに得意の(笑)対面客席で白いマスクでは目立つだろうと受付で黒いマスクを配る心遣いに感服。
プルーフ/証明
DULL-COLORED POP
王子小劇場(東京都)
2022/03/02 (水) ~ 2022/03/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/03/10 (木) 14:00
【B version "Music"team】
、事前情報通り前々日に観た A version と演出(や装置)がガラリと変わり人物造形まで違う(たとえばコメディリリーフがAではロバートでBではクレアだとか)ことに「これが演劇の多様性というものか!」と感服すると同時に観た2つの version とさらに異なる C version も同時に稽古をつけていた谷さんに驚愕すると共に一人の演出家でさえこれだけ違うものが創れるのだから他の演出家だったらどうなるだろう?と思う。
「4人の役者と最低限なら椅子とテーブルだけで上演できる」と谷さんもツイートしていらしたので、いろんな演出で観てみたいとも思った。
プルーフ/証明
DULL-COLORED POP
王子小劇場(東京都)
2022/03/02 (水) ~ 2022/03/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
【A version "Hip"team】
本作を観るのは通算で4回目となるが、15~20分の場を重ねるスピーディさに程よいスリルと笑い、さらに途中に休憩を挟むツクリなどによって2時間超の上演時間を感じさせない。そして第一幕・第二幕ともラストの切れ味が心地よく、やはり良くできた戯曲だな、と思う。そして今回は3つのバージョンでかなり演出が異なるようで「あの人はここの部分をどう表現するのだろう?」などと想像/期待しつつ観た。諸事情でCを見送ったのが悔やまれる。
【補足】戯曲だけが良くできているのでなく、演出・演技も良かったのは言わずもかな。
ジャバウォック【3月2日~3月3日公演中止】
劇団肋骨蜜柑同好会
小劇場 楽園(東京都)
2022/03/02 (水) ~ 2022/03/06 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/03/06 (日) 15:00
2年前に出現し悪臭を撒き散らす怪鳥対策に取り組む田瓶市職員たちだが目撃者によって怪鳥の特徴は異なり……な最近の怪生物系サスペンスの様相で始まりながら物の見方/見え方などという哲学(?)っぽい方面や民俗学・神道などに触れ、とり・みき、諸星大二郎などの伝奇系作品にも通ずるという変容を為す。それでいて終盤にはアクション(?)まで盛り込んで娯楽要素も失わないという怪作にして快作。好きだなぁ、こういうの。