キャッチャーインザ闇
悪い芝居
王子小劇場(東京都)
2013/03/20 (水) ~ 2013/03/26 (火)公演終了
ゴドーは待たれながら
東京演劇集団風
レパートリーシアターKAZE(東京都)
2013/03/01 (金) ~ 2013/03/03 (日)公演終了
満足度★★★
なぜこの脚本だったのか、、、
いとうせいこうさんの脚本が面白い。
ただ、この脚本は、私の勝手な解釈では、台詞のある部分が重要なのではなく、むしろ台詞と台詞の間にある間(ま):時間や空間をいかに活かすかが重要な芝居なのだと思いました。
今回の演出も演技もけっして悪かったとは思いませんが、間(ま)を活かすというよりは、台詞や演技で見せようとする演出になっていたと思います。
それはそれで良いという人もいるのかもしれませんが、個人的には、オンオフを逆にするような演出だったら、この脚本が活きたのではないかと思ってしまいます。
この演技・演出ならば、むしろより一般的な脚本を選ばれた方がよかったのではないかと思ってしまいます。
美しい国
実験劇場企画公演
アートスタジオ(明治大学猿楽町第2校舎1F) (東京都)
2013/03/02 (土) ~ 2013/03/04 (月)公演終了
満足度★★★
不思議な魅力
先輩のお薦めで拝見したが、僕にはその凄さがいまいちわからなかった。
だが、印象に残る、興味深い点はあった。
それは役者の演技。特に主演の男性の演技。(女性の演技もよかったが。)
これは演出によるものか、俳優の個性なのか、単に「俳優」としての身体訓練がなされていないためだけなのか、理由はわからないが、この俳優の感じはとても印象深かった。
どういうことかと言えば、所謂舞台に乗る「役者」の演技ではないのだ。
声を張らない。声が通らない。ボソボソとしゃべっている。
これは、一般的な是非で言えば、否定されかねないものだが、
私にはとても興味深く思えた。
演出ならアッパレだが、他の俳優の演技は同質ではないので、
役者の個性か、単に訓練不足かのどちらかだろう。
職業俳優を舞台でやろうと思ったら、この身体では通用しない。
広い舞台では台詞が聞きとれないなどということが起ってしまうからだ。
だが、小劇場ならば、むしろ非常に面白い。
もしくは、すべての台詞が観客に聞きとられる(言語的意味が伝達される)必要がない舞台の演出作品ならば、大きな武器になる。
そんな作品に出てほしい。
もしくは、そういう作品を作ってほしいと思ってしまった。
ちなみに、これも一般論だが、映画ならば、むしろ、ああいう演技の方が良い部分もある。
私の勝手な意見では、あの俳優さんには、あのまま、あの感じを活かす(一般的な意味での「俳優の身体」を身に着けない)俳優になってほしいと思ってしまった。職業舞台俳優(映像は別)をめざす場合、特殊な演出家に出逢わない限り、かなり難しいことだとは思うが、、、。まぁ、余計なお世話ですね、すみません。
また、タイトルが思わせぶりな「美しい国」だったのに、
表面的にも、そしてどう深読みしようと思っても、
「美しい国」の意味がよくわからなかったのが残念だった。
勿論、安易な解釈はできる。
この言葉「美しい国」は、当然この作演出家も意識して付けたのだろうとは思うが、
現首相の安倍晋三が、第1次安倍内閣〈2006.9~2007.9)時に基本理念のようなものとして掲げた言葉だ。『美しい国へ』(2006.7)という著書まで存在する。
民主党政権から自民党政権に戻り、極端な右傾化が懸念されている今日の社会状況の中で、「美しい国」をテーマにすることの意味をもう少し考えてほしかった。
勿論、安易に社会的な問題意識を持ち込むべきだと言いたい訳ではない。
今回の作品のように、その歪んだ日常に目を向ける在り方は間違ってはいないと思う。ただ、その視線の向け方が、なんともステレオタイプな感じがしたのだ。
と、厳しい意見を書いて、すみません。
期待をして書いているので、悪しからず。
安倍首相は、今年の1月20日に著書『美しい国へ』の完全版『新しい国へ 美しい国へ 完全版』を上梓しました。
ぜひ、「新しい国」という続編など作っていただけると、、、と思ってしまいます、、、
勝手な意見ばかり述べて、すみません。
来訪者(作・演出:中津留章仁)
TRASHMASTERS
座・高円寺1(東京都)
2013/03/14 (木) ~ 2013/03/20 (水)公演終了
満足度★★★★★
批評性がすばらしい
今の社会状況の中で、尖閣諸島の問題をここまでダイレクトに扱うというその意志が素晴らしい。それも、この複雑な問題を、その複雑さを単純化せずに舞台に乗せている。近い将来に起こり得るかもしれない未来予想芝居。そうなってほしくはないが。
ドレミの歌
オイスターズ
「劇」小劇場(東京都)
2013/03/15 (金) ~ 2013/03/17 (日)公演終了
満足度★★
独特なコメディ
他で見たことがない独特な俳優の感じと、演出が面白かった。
でも、僕にはあまり笑えなかった。
ただし、とても個性的なので、ハマる人にはハマるのだと思います。
モーリス・ベジャール・バレエ団 Bプロ
公益財団法人日本舞台芸術振興会
東京文化会館 大ホール(東京都)
2013/03/08 (金) ~ 2013/03/10 (日)公演終了
満足度★★★★
Aプロが見たかった。
主演のライト役以上に、女役のエリザベット・ロスさんが素晴らしかった。と、思ったら、Aプログラム『ボレロ』で主演の人だった。彼女が主演の『ボレロ』観たかった。
父と暮せば・準ドラマリーディング
ユニット TOGETHER AGAIN
新宿ゴールデン街劇場(東京都)
2013/03/15 (金) ~ 2013/03/17 (日)公演終了
歴史の天使と住宅事情
アシメとロージー
劇場MOMO(東京都)
2013/03/14 (木) ~ 2013/03/17 (日)公演終了
満足度★★★★
演出が面白い
作品も、役者さんも、劇団の対応も、ともて良い印象を持った。
とても真面目な感じがした。
真面目と言っても、作品には笑いが溢れ、生真面目というのとは全く違う。
演出がとっても面白い。斬新。
わかる人にだけわかればよいという部分のネタの笑いなどがとってもよかった。(僕にはよくわからなかった部分も含めて)
逆に、いかにも笑わせようという点では意外と笑えなかった。(そうは言っても、嫌な印象ではない。文字通りそこで笑えなかったというだけ。)
西聖二さんという役者さんなどは、見ているだけで笑えた。
興味深い役者さんだなと思った。
笑いの要素が多く、演出も斬新だから、そっちに目が行きがちだが、
その中心に、とてもきちんとした土地と歴史や社会などへの問題意識が内包されていて、その辺もとても良かった。
というか、その点が一番よかった。
僕たちの町は1ヶ月後ダムに沈む *TypeA*
ソラリネ。
上野ストアハウス(東京都)
2013/03/13 (水) ~ 2013/03/17 (日)公演終了
仮の部屋
ユニークポイント
atelier SENTIO(東京都)
2013/03/09 (土) ~ 2013/03/17 (日)公演終了
【無事に終演しました】タイトル、拒絶【ご来場本当にありがとうございます】
ロ字ック
サンモールスタジオ(東京都)
2013/02/09 (土) ~ 2013/02/17 (日)公演終了
満足度★★★★★
今後にも期待
正直、観終わった後はそれほど感動していなかった。
だが、何かがひっかかり、数日この芝居の内容のことを考えていた。
観てその場で感動する作品よりも、
「問い」が数日、そしてその後も残る作品の方が素晴らしいんじゃないかと思う。
それは、おそらく、この作品が、良い意味で、作者も解らないことと向き合おうとしてできたものだからなのではないかと思った。
作者が高みから世界を形創っていない。
作者自身も何が正しくて、何が間違っているのか、わからない。
そういう問題と向き合った結果、
作品は一つのメッセージではなく、
多様な解釈を産む「問いかけ」となったのだろう。
こういう渦中でモガイテいる感じがある作家の作品は、ヘタに完成度が高い作品よりも、次も観たいと思わせられる。
今、出来る、精一杯。
月刊「根本宗子」
駅前劇場(東京都)
2013/03/06 (水) ~ 2013/03/12 (火)公演終了
満足度★★★★★
タイトル通り、今、出来る、精一杯。
これはパンクだ。
この芝居を支えているのは、テクニックでも上手さでもない、熱量だ。
特に作演出家の熱量を強く感じた。勿論、それを支える役者たちも。
彼女たちの「今、出来る、精一杯。」を形にしたのがこの舞台というでもあるのだと思う。
表現に必要なものが、そして生きる上で必要なことが、これ以上あるだろうか。
この芝居を観て、僕自身も「今、出来る、精一杯。」をしないといけないと強く思った。
ただ、登場人物の誰にも強く共感することができなかった。
それぞれに、部分的に共感する部分はあったし、
舞台全体で問いかけていることには、強く共感できたが、
それぞれの人物に関しては、自分にもその部分あるけれど、この人物とは何か根本的に違うなと思ってしまう人物ばかりだった。
欲を言えば、自分に似ている登場人物は勿論、自分と一見関係無さそうな人物にさえも、この人は私自身だと思えるような人物が描けているとより強い舞台になったのではないかと思ってしまう。
Aさんも私なら、Bさんも私だ、いやCさんこそ私かも、、、みたいな。
カップルの両方が自分に見えてしまうとか。
(追記:ただ、自分じゃないけれど、最近知り合った20代半ばの男子は、バイトが決まらない男役ととっても似ていたな。あまりに似ていたので、その知人を思い出しながら見てしまった。そう考えると、もしかしたら、僕(32歳)より若い世代、つまり作演出の根本さんや役者さん達の世代には、あの感じが凄いリアルな人物像なのかもしれないな、、、)
と、門外漢が偉そうに書いてすみません。
批判がしたいのではなく、この熱量で、もっともっと完成度が高い芝居ができれば凄いことだと思ったので、あえて書きました。
なんだかんだ言っても、おそらく僕はこの芝居を観たことで、明日からの生活の一歩が確実に違う。
もう、甘えたり、泣き事を言わずに、
僕にできる「今、出来る、精一杯。」をやろうと思っている。
そう思わせてしまう芝居って、凄いと心から思います。
ありがとうございました。
2013年・蒼白の少年少女たちによる「オイディプス王」
彩の国さいたま芸術劇場
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)
2013/02/14 (木) ~ 2013/02/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
オイディップスとは誰か?
ラストシーンで涙が溢れた。
それは普段作品を観て流す涙とは少し違うものだった。
「オイディップス王」を見ながら、その陰にある別のものを観ていたのかもしれない。
残像のように見え隠れする、この時代の断層とでも呼ぶべきものを。
父を殺し、自らの眼を潰したオイディップスとは誰なのか?
作品評として、過剰に寓意的に解釈するのは控えるべきだと思っているが、
この舞台に関しては、例外的にそういう読みをしてしまった。
古典であり、ストーリーも有名な作品を、
蜷川幸雄氏が、なぜ、敢えて「ネクスト・シアター」で上演するのか、
ということを考えながら観てしまったからかもしれない。
私がネクスト・シアターを観るのは初めてだが、
以前、TVでネクスト・シアターによる第一回公演『真田風雲録』の
稽古から本番までを記録したドキュメンタリー番組を観たことがあり、
その映像の中で、蜷川氏は、なぜ有名ではない若者とやるのか、なぜ『真田風雲録』なのかということを、熱く語っていた。
若い役者たちに、「今の時代に対する憤りや反感などのエネルギーをそのまま舞台にぶつけろ」という主旨のことを言っていた。
おそらく、蜷川氏は、商業演劇に移る前に、小劇場で社会への批評性の強い劇団「現代人劇場」や「櫻社」をやっていた頃の自分や仲間が持っていた想いを、
ネクストシアターに集う若者に託そうとしているのではないだろうか。
そして、もう一度、あの眼を、若者が、そして蜷川氏自身が取り戻そうとしているのではないだろうか。
そう考えながら観ると、
オイディップスとは日本という主体のことなのではないかとも思えてくる。
ならば、オイディップスが自ら眼を潰すのは1973年頃のことか。
蜷川氏が櫻社を解散した1973(74?)年。その前年、1972年の浅間山荘事件としてもよい。
いずれにせよ、政治の季節の終焉。
誰もが、政治や社会に無関心になる。眼をつぶるようになる。
いや、この年は、父ラーイオスを殺した年であり、
オイディップスがその悪夢のような運命を自覚し、自らの眼を潰すのは、
今現在のことなのではないか。
よく考えてみると、オイディップス自身には何の落ち度もない。
悪いことをした罰という訳ではないのだ。
その運命の中で、その役を与えられたに過ぎない。
今の社会構造だってそうだ。
個々人に何の責任がない問題でさえも、個々人にその運命が忍び寄るということはありえる。
解釈は無数に開かれる。そこに回答はない。
1945年は?東京裁判は?
資本主義そのものをオイディプスと捉えることもできるかもしれない。
バブルの崩壊は? 9.11は? リーマンショックは?
オウム真理教事件は?
原発事故は?
この作品には私の友人が出ていた。
友人と言っても、私が不義理をして、長く連絡をとっていなかった。
ラストシーンで、彼が僕の前に立っていた。
その生身の本気さに圧倒された。
理屈っぽい文章を書き、インテリぶっている自分が恥ずかしくなった。
勿論、彼だけではない。出演者の皆が、本気だった。
大きな役を与えられている人だけではなく、
舞台に立っている1人1人が本気だった。
そして、そのエネルギーが集まった時の熱気はすごいものがあった。
「オイディップス王」を一つの寓話として捉え、仮に、1973年をオイディップスが自ら眼を潰した年だと仮定した場合、そこで見えなくなってしまったのは、政治性という以上に、この真剣さなのではないだろうか。
もう長いこと、真剣であることや、生真面目であることは、カッコ悪い・ダサいと思われてきた。
そんな時代に、蜷川氏が、そしてこの舞台の出演者たちが投げかけてきているのは、
真剣さ、熱さだと捉えることもできる。
なんだかんだ、理屈っぽく、長い文章を書いたが、
結局、僕がこの舞台で涙を流したのは、出演者の真剣さと熱さ、それに圧倒されたからに他ならない。
IN HER TWENTIES 2013
TOKYO PLAYERS COLLECTION
王子小劇場(東京都)
2013/02/06 (水) ~ 2013/02/11 (月)公演終了
獣のための倫理学
十七戦地
LIFT(東京都)
2013/02/19 (火) ~ 2013/03/03 (日)公演終了