外の道 公演情報 外の道」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.6
1-11件 / 11件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    舞台演劇において「得体の知れない恐怖」を感じるのはイキウメさんならではだなと思うのですが、今回もそれを特に感じました。なめらかに遷移する時間演出と、肉体の殻の不確定さ、「認識」という個々によって違うものが軸になっている不安定さ、解釈に呑まれてしまって、混乱はしつつも、ことばは難しくなくしっかり伝えていただき、ぞわぞわとした不安を味わうことに専念できました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    会場に入ってまず思うのはやはりサンケイホールブリーゼ って大きいな、そして今回もきっちりいいセット組んできてるなって光景がこの後に展開していく物語への楽しみを膨らませてくれる
    大きな会場はまた違った開演までのドキドキ感があったりするんです
    これがまた良かったり
    そして客席照明がついたままでキャストがひとりづつ登場するって少し変わった始まり方
    しかしその座り方が同じ空間とは思えないなって印象
    これは物語が始まっていくとなるほどってなるんですけどね
    地元ではない遠くの土地で偶然その存在を知る同級生
    その2人を中心に紡がれる物語
    やはりイキウメ さんが作られる世界観は独特
    しかしその独特な雰囲気がたまらない空気感を作り出していく
    空間の使い方、時間の流れの表現が秀悦で照明の使い方や音響の入れ方がほんと効果的なんですよね
    今回はラストがスッキリって感じではなかったかもしれないですが、心地よい余韻が残る
    浜田信也 さんと安井順平 さんの作り出す空気感
    徐々に壊れていく感じがほんと見事
    清水緑 さんの役は実はかなり意外な感じなんですが、これがまたいいんですよね
    そして豊田エリー さんがまさに輝いてた感じの印象
    セリフでもベタ褒め、しかしそんな感じにぴったりやった印象

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    何気ない会話からしっかりと物語が膨らむ。
    ただし、コロナ禍を引きずってか、解決しない物語のように感じられた。

    劇場(客席)が明るいうちから、歪んだ扉から一人ずつ登場する人物たちが終劇までずっと舞台上にいる。
    心象風景の表現だったり、同調圧力だったり、さまざまに変化する俳優たちの演技と演出を楽しんだ。

    ネタバレに相当すると思うが、、
    劇中で2回、劇場が真っ暗になる。
    そのときの静寂、客席の集中、孤独感、台詞を聞きながら自分の身にふりかかったらと想像して感じる恐怖。
    これは劇場の客席で感じるからこその醍醐味だと感じた。この部分は配信してしまうと格段に薄れてしまう。
    そういう意味でも貴重な観劇経験だった。

    ネタバレBOX

    人間の内的世界、精神疾患、脳と人格、そういったところに立ち入って、そのまま解決せずに終劇を迎え希望をあまり感じられなかったなという印象。
    ただし、登場人物たちのセリフひとつひとつに納得感はあり、後味が悪いということはない。
    相変わらず俳優さんたちのレベルが高いと感じる。

    観劇しながら「外の道」というタイトルのことを考えてしまった。
    空腹の獣が鳴らすノドの音のような唸り、タイトルや作中の固有名詞に「獣」とは入れられなかったのだろうと思うがどうしたって「獣」を連想した。
    二回目に「無」に飲み込まれるところ、怖かったなあ。お見事でした。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ■約115分■
    世界の仕組み(?)に気づいた男女の数奇な日々…。表現するのが難しそうな題材に果敢に挑んでいる。黒沢清監督の映画『CURE』を想起した。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    他の方もコメントしてるが、いつものイキウメではない
    いつもなら、オカルティックながらも次につながるストーリーが残されるのだが、今回はスピリチュアルなカンジで、救いがない

    過去、似た感触の作品を思い返してみたが、2007年のヒステリア(同じトラム)かなあ、と。
    フロイトとは比較難しいけど、抱え込んだ内面的精神世界という観点で類似してる気がする

    イキウメ。次回作、どうなるのかな

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    海鳴りならぬ、空鳴りのする田舎町。UFOが接近したのではないかと思う程の異音、みんな反射的に空を見上げる。何十年振りに偶然再会した男女、安井順平氏と池谷のぶえさん。二人が語る近況と誰にも信じて貰えない本当の話。
    本格的SFとして設定が面白い。ただ、後半池谷のぶえさんの話に移行してからが余り盛り上がらない。黒沢清の『回路』のように孤独に世界と戦っている哀川翔みたいな存在が欲しかった。

    ネタバレBOX

    思いっ切り黒沢清っぽい語り口から始まる。辺鄙な田舎にある小さな喫茶店のマスター(森下創氏)が手品に見せ掛けた超能力ショーを余興として公開しているセンス・オブ・ワンダー。物体の中に傷一つ付けずいとも容易く物体を挿入させてみせる。それを見た主人公(安井順平氏)はかつて遭遇した不思議な事件を思い起こす。与党の大物代議士がパーティーの最中、突然昏倒、脳内出血で亡くなるのだが、脳の中から割れたビール瓶の破片が出てくるのだ。外傷一つ無かった為その事実は伏せられたのだが、主人公はこのマスターの仕業だと確信する。マスターの帰り道を待ち伏せして超能力について問い詰める主人公。マスターは「自然の理に過ぎない」と答える。約束を破り他人にこの秘密を漏らした主人公はマスターによって脳に氷を挿入され、少しずつ見えるものが変わっていく。

    マスターがマツモトクラブ的でカッコイイ。『スキャナーズ』っぽい描き方で現実に紛れ込んだ異邦人としての超能力者のリアリティー。彼が主人公で良かったんじゃないか。

    池谷のぶえさんの話は、見知らぬ誰かから届いた宅配便の小包、品名には“無”。開けてみると何も無い。悪戯かと放置したが、数日中に漆黒の闇である“無”がどんどん家中を覆い始め遂には池谷のぶえさんも呑み込まれてしまう。日の出によって“無”から解放されたが全裸で遠くのマンションの屋上に立っていた。「こうして日が昇ることの方がよっぽど不思議だ」との名台詞有り。何とか帰宅してみると見たこともない自分の養子(大窪人衛氏)が“無”から創生されていた。

    “無”に対抗するのが想像力であることがスティーブン・キングっぽくて良い。話のエッセンスが『ミスト』っぽいかも。

    誤配を意図的に繰り返して宅配会社を馘首になる主人公。自然に在ることを肯定し始める(『森田療法』っぽい)。どんどん妻(豊田エリーさん)の顔が整形を疑う程に美しく見えてくる。入院を迫られて逆上し妻の浮気を告発するも、只の思い違いであること(しかも自分は知っていた)に愕然とする。
    池谷のぶえさんは家中が真っ暗闇に包まれ、最早生活が出来ない。「何も見えないのではなく、“無”が見えるようになったんだ」との名台詞。突然存在し始めた養子は証明書の類がある為、誰も疑わず周囲に馴染んでいく。池谷のぶえさんは自分に関する証明書類を全て破り棄てる。

    二人が真っ暗闇の“無”の中に飛び込んでいくのがラスト。

    他にも認知症になり精神が十七歳の頃に逆行した池谷のぶえさんの母(清水緑さん)の姿が、養子の目には十七歳の少女に映るなど至る所に謎は散りばめられている。

    が、全ては隠喩でも暗喩でもなくナニカの意思でもなく、解釈されるべき答えもない。ただ呈示しているだけであることが観客を不安と不快に陥れているのであろう。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    従来のイキウメ作品から受ける快感は、未知の領域へと分け入るぞくぞく感、謎の事象が「解明」されて行く痛快さにあり、常識を揺さぶる世界観とこれに息を吹き込む俳優への「感心」の要素が大きかった。
    ところが今作はストーリーや世界観の斬新さより、新型コロナ禍の下で加速するある種のベクトルへの疑問を全力で投げかけたものと感じる所大であった。従来作品では人間同士の悩ましい諸々はあっても、あくまで「敵」は(現実世界に問題を持ち込んだ)不可知領域であった。だが今作では不可知領域(が示唆するもの)に気づけない人間、空気に従いしたり顔でステロタイプを押し付けて来る浅薄な人間が不気味な「集合」として見えて来る。(主人公となる二人以外の人物たちを風景として描き、コロス的な動きをさせる演出にそれは表れている。)
    これを書かせた作者の心底は知る由もないが、わが眼には舞台に切実なそれが滲み出すかに見えた。

    ネタバレBOX

    今作ではセンスオブワンダーの世界を如何に矛盾なく(あるいは二時間楽しめる程度に)解明し、成立させるかは殆ど目指されておらず、あらゆる超常現象がまるで地球を滅ぼす人間に対して全面戦争を挑む妖怪たち、という構図を思わせる。「無」の存在、「空鳴り」、過去のない人間・・。時々聞こえる不穏な「空鳴り」の方へ人々はその時注意を向けるが、垂れ籠めた黒雲の下に長らく住まう日々を受け入れている風でもある。「無」は主人公(ら)にだけ感知され、「その他大勢」には見えない。この違いが「無から生まれた人間」の存在の受け止め違いに表れ、両者が似て非なる事を観客は見る。超常事象をその存在ごと感知する希少種である主人公(ら)は、現実世界では不器用な生き方の選択をせざるを得ず、明確に表裏の関係となる。彼らは最後に一つの決断をするが、この物語上の解釈はどうあれ、確かなのは自分を守る(売り渡さない)ために「この社会に暮らせなくなる」選択をする勇気が常に試みられている事(主人公二人のように)。
    イキウメ作品にあった現代人の精神生活に豊かさを分け与える「あり得る一つの考え方」は今や急迫を告げる事態の中で皆に指し示されるべきあり方、となったのではないか。今現在に対する態度を観客に問う、芸術の側からの申立てを物語構成を通して物した前川氏の筆力にはやはり「感心」。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2021/06/08 (火)

    わゎ怖い。でも実際に自分にあてはめてみるとすごく納得できる話でもあり。面白い。説法を聴いているような、なんか不思議な空間に漂えるイキウメ。すごいなぁ。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    山鳥と寺泊の二人の男女の体験した奇妙ま話から、それぞれの見る世界、出会う人たちが歪んでいき、閉塞していき、出口のない内面世界に潜り込んでいく。この二人の閉塞ぶりは、二人以外の演者が、二人の内的世界の住民としてしか出てこないことでもわかる。全員が出突っ張りで、用のない時も、舞台の喫茶店の空いた椅子に座って待機している。

    山鳥、寺泊の体験を、演者が動いて示しながら、その声を別の俳優が語るというやり方も興味うかい。これまで見てきた前川知大の大きな世界観(設定)を土台に持ったSF的芝居と違い、観念的に内向していく。スピリチュアルという意見もわかる。まったく真っ暗な時間も二度ほどあった。俳優の動き方、空間の使い方はおもしろいが、物語としての驚き(落差)、カタルシスは乏しい。これまではそこが前川知大作品の魅力だったのだが、

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    イキウメの世界も、このコロナ禍の一年余で変わってきたようだ。
    以前は天体の運行とか、宇宙人の襲来とか、SFでも飛び道具のような設定で、現代社会の奥に潜む人々の不確実性を鮮やかに描いて見せてくれた作品が多かったが、今回は、SF的ではあるが、設定はだいぶ変わった。
    舞台は相変わらずの北の小さな町。故郷へ帰ってきて、配送屋で生活している四十過ぎの男寺泊(安井順平)が地元の行政書士事務所で働いているかつての同級生の山鳥(池谷のぶえ)に再会して、全国からひそかに客が来るという町はずれの喫茶店で、店主(森下創)の手品を見に行く。それは個体を人間の中に埋め込んでしまうという手品で、実際に政治家がパーティの会場で、その場で割れたビール瓶のかけらを頭に埋め込まれて急死する超現実的な事件があった。
    手品を見たころから寺泊の周囲に奇妙な事件が起き始める。妻〈豊田エリー〉が美しくなり始め、どうやら、山鳥の弟と浮気しているようでもある。配送する荷物は行き先が分からず、誤配で返送されてくる。配送物の中身は「無」と書かれている。中にはマックロクロスケ、闇が入っていて、そこから漏れ出した闇は時に舞台を暗黒の世界に誘っていく。
    ・・とイキウメらしい展開になっていく。しかし、それは、全社会に及んでいく超自然現象ではなくて、個々の人間の、個人の記憶と認識から始まり、見知らぬ子ども(大窪人衛)が家族と主張して入り込んできたりする。
    SFファンタジーのような、ホラーのような、イキウメ独特の舞台の感触は変わらないが、仕掛けが壮大な宇宙から個人になった。同級生の間の人間関係や喫茶店のマスターの手品など、いままでになかった人間的な味わいやユーモアがあるし、どこか、幼いころ読んだ、小川未明の童話の街の雰囲気もあって、なかなか面白い。
    休演している間にブラッシュアップする時間もあったのだろう、完成度も高い。見終わったあと、あれはどういう事だったのだろうと思い返して、はたと手を打つ楽しみも大きい。


  • 実演鑑賞

    満足度★★

    本来なら2020年上演予定だったが、コロナ禍で中止となった本作。
    WIPなどを挟んで、満を持してのリベンジとなりました。

    コロナの影響で考える時間が増えたせいか、以前にも増して哲学的、
    スピリチュアル的になっており、主に安井順平さんが繰り出すギャグ的
    せりふ回しや動きがないと突拍子もなさすぎる話になってきてる気がする。

    「少し不思議」の中で繰り広げられる、人間のどうしようもなさの描き方が
    好きなんだけどな。

    ネタバレBOX

    都心から遠く離れた町で、20年以上ぶりの再会を果たした寺泊満(安井)と山鳥芽衣(池谷のぶえ)。

    与党政治家の変死を追ううちに、常人離れした「手品」の使い手であるマスターに頭をいじられた
    ことから、人とは違う世界が見えるようになってしまった寺泊、

    「無」と書かれた宅配物を開けたことから、部屋を真っ暗な“無”に侵食され始め、やがて闇の空間から
    得体のしれない少年を見つけ出した山鳥。その少年はいるはずもない「山鳥の息子」と捉えられ始め
    あろうことか存在するはずのない証明写真や戸籍などの記録が出てくるようになる。

    入り口は違えど、「世にも奇妙な世界」にいつの間にか入り込んでしまった2人。お互いだけがよき
    理解者で、周囲は完全に気の狂った「病人」としかみなさない世界の中で、2人がいつの間にか
    落ち着いた空間にまでも真っ黒な「無」が迫りくるようになる…。

    最近のイキウメの作品に顕著だけど、回収されないというか、本筋から外れたエピソード多すぎる
    感じがする。与党政治家の死の真相とか、山鳥母の話とか、本筋にガッチリ入り込んでいたわりに
    結局何だったのか、よく分からなかったし。話を進めるためのマテリアルだったのかな?

    「無」に侵食されて真っ暗な世界に飲み込まれて、自分を失ってしまう恐怖というのは分かるけど、
    三太が出てきた時点で「あ、新しく、というか、どこか別の空間に出てくる可能性あるんだな」と
    感じちゃって、いまいち深刻に考えられなかった。「有」のことは触れない方がよかった気がする。

    総じて、興味深い話とか見方とかあったけど、本筋が弱くなっちゃってて「いい話」「うまい演出」の
    話どまりになっちゃった感。魂とか、ここではない世界とか、昔はもっとテーマに絡めて現実的に
    扱えてた覚えがあるんだけど…。

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