満足度★★★★
亡き父に見せたかった江波さんの好演
個人的にも大変親しい江波杏子さんが、アッカーマンの舞台にご出演ということで、大変楽しみに伺いました。
正直、期待以上に江波さんが好演されていて、わが事のような嬉しさでした。
あの燐とした、よく通る声!その圧倒的な存在感は、主役の麻実さんをも凌いでいました。
江波さんに、舞台女優の道を勧めたのは、我が父でしたから、本当に、進化を父に観てほしかったと思いました。
とても雰囲気のあるアッカーマンならではの舞台だったのに、客席がまばらで、実に残念でなりませんでした。
ストーン夫人に終始つきまとう無言の男を演じた鈴木信二さんの、迫真の演技に戦慄さえ覚え、注目したい俳優さんになりました。
満足度★★★
れい様が華麗すぎて・・・
クラシカルな舞台劇術に負けないほど、派手な役者をそろえ、
大人数のアンサンブルで味付けした、高級フランス料理フルコースのような作品。
アッカーマンの作品て、いつも出演者が多いですね。
人数の多さは、宝塚の本公演じゃないけど、
それだけで迫力がありますよね。
アンサンブルは手弁当だろうけど、人望が厚いのかな。
とにかく、れい様が、終始華麗!
それが故に、設定というか、役との距離に、やや無理がある。
れい様は、落ちぶれないだろう、もっと強いだろうって
思わずにはいられない、このアンバランスさ。
堕ちていないんだもの、最後まで、りりしい。
精神的にバランスを崩す、ってテネシーウィリアムのお家芸が、
どうも伝わってこない。
哀愁とか陰りとか、感じられませんでしたなぁ、
バリバリ現役!
ストーン夫人を演じている麻美れいって姿で浮かび上がり、
どうも作品の世界には居ても、その役にはなっていなかった。
江波さんは、何をやっても、底意地悪そうですよね。
根は悪い人じゃないんだけど、なんか意地悪で強欲。
「人に歴史あり」という雰囲気があり、過去を深く語らなくても
「なんかありそう」な感じを持ちながら、
台詞のひとつひとつに含みがあるような感じは流石です。
でも、はまり役すぎて、意外性がないってのは、
ちょっと、物足らない。
どの芝居でも、とにかく肉体美をさらすパク君は、
子犬系の顔立ちで、決してホストな顔立ちではない分、
素直な人に見えてしまう、そんな部分での役柄との
ギャップが意外性があり、物語に膨らみを出した。
わからないのは鈴木信二、彼は何だったんでしょう。
十分美少年なんだから、江波マダムの下で働けばいいのに。
とにかくセットが大きくて豪華。
パルコ劇場の舞台から、はみ出さないばかり。
こんなに大きな装置はパルコで初めてみました。
前から2列目で見ましたが、舞台を見きれませんでした。
衣装も豪華、小道具も豪華、出演者も多い。
ある意味、バブリーな作品。
客席はガラガラだったけど。
舞台の雰囲気が、ローマなんですよね。
作品のカラーが、「キャバレー」とリンクしちゃって、
どうもドイツっぽい。
ローマって、もっとサンシャインな想像をしてました。
満足度★★★★
世界初演の首尾。
世界初演が日本ということに、なかなかに興奮させられたので観劇。
アッカーマン。いつまでも日本にいて欲しい演出家の一人だ。
カレン・ストーンが徐々に恋に溺れる様を麻実れいが好演。
愛人役のパク・ソヒはもはやアッカーマン作品に欠かせぬ存在だろう。
そして、胡散臭い作家・今井朋彦が、小気味よい。
何と言ってもアッカーマン演出はアンサンブルが生きてこその感がある。
必要最小限の人数でローマを表現していたことは目を見張る。
「ローマがそこにあった」なんて言ってしまうと大袈裟な気はするが、
何かと問われれば「ローマだったよ」と答えざるを得ないだろう。
重厚なアクリルが印象的な美術とそれに併せた照明。
それだけでも一見の価値があるだろう。
満足度★★★
ヒリヒリするような・・・
テネシー・ウィリアムズでした、確かに。
春というよりも陽の傾きかけた夏の午後
石畳からの照り返しが眩しい陽炎立つような。
人が奥深くにしまい込んだ熱情が炙り出されるような戯曲。
またも麗しい人が奈落へと堕ちゆく話。
この作家は美しくあろうとする人を
引きずり下ろすのが好きなのか。
カンパニーを率いることの大変さと面白さ
どちらも感じて観たこれまでの3作品。
客席で舞台を見つめていた演出家の
大きな背中をポンと叩いてあげたくなった