勧進帳 公演情報 勧進帳」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★★★★

    細長いステージは、ポスターの写真同様、道を表しているのだろう。関を守る側、越えようとする側。それぞれの思惑を追いつつ、物語は進む。ラップなども使ったスピーディな展開に、すり足のような和物の所作が混じる独特の雰囲気。

    弁慶と富樫の命を賭けたやり取りの緊張感と疾走感、そして、越えられぬ境界を見据える哀切さをスタイリッシュに描いていた。

    そこで見せるいくつかの関係が興味深い。弁慶と富樫の丁々発止のやり取り。主を守るために主を叱咤する弁慶の胸のうち。直接には目線を合わせることもない義経と富樫のある種の共感。

    義経を演じた高山市のえみさんの、静かな覚悟を感じさせる凜とした美しさと、冨樫役の坂口涼太郎さんの胸のうちをうかがわせる微かな笑みが、それぞれ切なく印象に残った。

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2016/10/22 (土)

    まずイントロに痺れた。最初、すごく無造作に役者陣が現れて仕込みを始めるんですよ。思わず、「えっ?」ってなる程、全く芝居っ気が無い。そこに照明と音響がグワっと入り、役者の姿勢が変わる、一瞬にして纏う空気が変わる、800年の刻を超える… 痺れるわぁ…

    始まると、1つのシーンを分解したり繰り返したり、2つのシーンを融合させたりの進行で「時空間の使い方」が面白い。現代との融合もいつもながら見事ですが、中でも様式美を活かしつつもダンスの様に昇華された「足捌き」とか格好良かったなぁ。
    音楽の使い方も、今まで観た中で一番ポップでした。歌舞伎語(?)が少ないのも特徴的でしたね。

    そして、やっぱりキャスティングが素晴らしくて、弁慶・義経の異彩の放ち方が尋常じゃない。そういう"見てくれ"だけじゃない意味が込められているのも印象的でした。

  • 奥が深い。
    歌舞伎の勧進帳を現代語に置き換えて、歌舞伎の特徴も残しつつ演じられていきます。有名な話ではありますが、衣装や音楽、小道具も現代風にしていますが、芯は押さえられています。
    義経の家来4人と関守の家来4人が2役で演じられており、切り替えも違和感なく、照明の山奥を意識させる配置もよく、作品が深いです。

    ネタバレBOX

    小劇場を縦に二分して、中央は幅2けんの白い縦長の舞台。この白い舞台は境界線であり、その上で義経一行と関守の超える超えないを演じているとのことでした。
    加えて、弁慶がアメリカ籍で18年日本で暮らしている方、義経がニューハーフ で性別は男性だけど心は女性、という別の境界線の紹介もいただきました。

このページのQRコードです。

拡大