満足度★★★★★
細長いステージは、ポスターの写真同様、道を表しているのだろう。関を守る側、越えようとする側。それぞれの思惑を追いつつ、物語は進む。ラップなども使ったスピーディな展開に、すり足のような和物の所作が混じる独特の雰囲気。
弁慶と富樫の命を賭けたやり取りの緊張感と疾走感、そして、越えられぬ境界を見据える哀切さをスタイリッシュに描いていた。
そこで見せるいくつかの関係が興味深い。弁慶と富樫の丁々発止のやり取り。主を守るために主を叱咤する弁慶の胸のうち。直接には目線を合わせることもない義経と富樫のある種の共感。
義経を演じた高山市のえみさんの、静かな覚悟を感じさせる凜とした美しさと、冨樫役の坂口涼太郎さんの胸のうちをうかがわせる微かな笑みが、それぞれ切なく印象に残った。