満足度★★★★
実によかった
幸せと不幸は表裏一体。行き当たりばったりで、他力本願的な妊婦さん達の話は考えさせられることが多く、実によかったです。次の公演も観たいですね。
満足度★★★★
考えさせられる
幸せなはずの妊婦達が、実は様々な問題を抱えていて、未来への不安で一杯だったが、現実を受け止めて成長していく物語。
子供から大人への成長を、北海道の2部構成の盆踊りを使って巧みに表現したところが素晴らしい。
満足度★★★
貧乏妊婦さん達の悲喜劇でした
貧乏な妊婦3人がアパート201号室にて繰り広げる人生劇場。
強かさや甘え、打算や許容などいろいろ綯交ぜにしながら。
前向きな姿勢が評価できる舞台でありました。
<90分>
満足度★★★★★
自分で立つ
「生きさせろ」と世間に向かって迫るような熱い前向きなメッセージ、その腹のくくり方、その力強さはどっしりとして美しい。今の境遇は誰のせいでもない、自分のせいだと思わされる風潮はずっとずっとあるけれど。そうは言っても生きていかないといけないし、誰に文句言っていいかわからない。こうでなくてはいけない現実なんて決まってないし、でもうまくいかないことばかりだけど。世の中の押し付ける希望に抗いながら、自分の心に立つ生き方を必死に求める登場人物たちに勇気付けられました。
満足度★★★★
おかずはないが飯はある
本来めでたいはずの妊娠を誰からも祝福してもらえない3人の女が
ひとつ屋根の下で貧乏共同生活をしている。
根拠のない希望を食い散らかして、絶望を蹴散らして
生まれて来る子どもと2人分あがきまくる女たちに、私はいつしか寄り添っていた。
満足度★★★★★
幸せとは相対的な物なのかもしれない
一見、不幸せのように見える。
ただ、よくよく考えてみると、不幸せとばかりも言えないように思う。
幸せは相対的なものだから、
一見、不幸せにも見えるが、それを外から羨ましがっている存在も、
きちんと存在する。
また、過去の筆者の作品を観た感想から、
この作品が単純な
『幸せ・不幸せ』
の構図ばかりでないことも分かる。
登場する女性は、一見、3人。
ただし、冷静に観察すれば「女性」がもう一人存在する。
満足度★★★
変わらないのは盆踊りだけ
昔と同じことをやっていていいのか、先の見えない現代の不安が反映された作品ではあるが、彼女たちは・・・(以下ネタバレにて)
満足度★★★★
祝祭の儀式として!
三人の妊婦が舞台上に登場した瞬間にこの作家の感性に恐れ入った。
臨月の近い妊婦が三人だけで暮らしている。そのシチュエーションだけでどれだけ劇的なことか。
そして、劇中叫ばれるが、本来最も幸せであるべき妊婦が不幸せを競うという状況に胸打たれるものがある。彼女たちは何から逃亡し、何と戦っているのだろう。
ことほぐというタイトルがいい。演劇は祝祭の文化だ。円形の舞台に祭りという要素を取り込み、神に祝福されるべき妊婦の悲喜劇を見事に凝縮して見せてくれた。北の国に演劇の神髄を観た気がする。
満足度★★★★
北国のダークホース
わたしにとってまったく未知の、名前すら聞いたことのない劇団だったintro。今回のCoRich舞台芸術まつり!のダークホース的存在。「ロストジェネレーション」問題が勃発して久しい、もはや貧しさがデフォルトになった現代的な町の片隅を舞台に、異なる価値観をぶつかり合わせながら、女が(人が)この先ゆき不透明な時代をどのように生きていくかを描いた物語。
キャラクターとそのバックボーンがやや類型的に描かれすぎていると感じるところもあった。しかし貧しさの中にもささやかな幸福を追求しようとする人々への温かな眼差しには、同時代を生きる人間としてシンパシーを感じます。特に、北海道の盆踊りの特徴であるらしい「子供の部/大人の部」という二部構成をモチーフにした物語の構造は秀逸(だからこそディテイルはもっと冒険していい気もする……)。そして簡単に物語を投げてしまわない粘り腰がある。なるほど妊娠というのは、2つの生命体が特別な共存関係を持ちうる特殊な時間であり、にも関わらず、結局は人間はひとりなのだあ、と感じさせるものがあった。そのことはむしろ希望であり、清々しいもののように思えます。イトウワカナ(作・演出)の別の作品もまた観てみたい。『ことほぐ』は東京でも上演されるそうです(2012年9月@こまばアゴラ劇場)。
ただ、序盤の時間があまりスリリングではなく、しばしば入るツッコミもグルーヴを損なっていたと思う。もっとアブストラクトでシュールな不条理劇に接近してみるとかいう方法もあるのかも。余談ながら、まだ全貌を把握しているわけではないので断言はできないのだが、地方演劇の弱さのひとつは、そうした抽象性への耐性が弱いところにあるのかもしれない。よく「分かりやすくしないとお客さんに通じない」と地方の演劇関係者が口にしているのを耳にするのですが、しかし、それは本当にそうだろうか? 観客のポテンシャルをもっと信じていいのではないか? 意外と大丈夫、という手応えを感じる実例に接することが、増えてきているので。(以下、ネタバレボックスに続く)
満足度★★★★★
「ここにいる」ということ
ブラックボックスの中に楚々と立つ電信柱を見た瞬間、「あぁ、北海道まで来てよかった」と思いました。円形にとられた演技スペースの周囲にはバス停や自転車が置かれ、その上を電線が走っています。
物語の主人公は3人の祝福されない妊婦たち。頼れる男もいなければ、水道代さえない彼女らは、悪態をつきながらも、なんとか身を寄せ合って生きています。
満足度★★★★
みんな、ことほがれたい
誰もが不安と闘いながら生きているんです! みんな、祝福されて暮らしたいんです! 登場人物からそんな心の叫びが聞こえてきました。
満足度★★★★
“不幸”な妊婦と陽気な仲間たちの夏のファンタジー
演技スペースをぐるりと囲むように、客席が四方に分散して設置されています。床には円の模様が放射線状に描かれ、灰色に塗られた電信柱、ジャングルジム、バス停の看板などが、中央の円を囲みつつ点在。輪郭のはっきりしない円形劇場ともいえます。昭和歌謡が流れる、メラコンリックでどこか空虚な空間でした。劇場に入るなり期待度アップ。
舞台は貧困状態にある妊婦3人が同居するアパートの一室、とはいえ壁がなく、玄関の位置も曖昧です。女性3人の閉じられたひ弱なユートピアに、彼女らとゆかりのある男性たちが入り込んできます。会話に若干のまどろっこしさを感じましたが、ある意味のん気な妊婦たちと、彼女らを叱咤激励する男性陣にはそれぞれに憎めない魅力がありました。
子供ができたことを素直に幸せだと思えない、そして祝福もされない妊婦たちの悲しみ、憤りが、強がり混じりの切実な叫びとして直接セリフで語られる場面もあり、現代日本の若者の疑問や諦念を代弁しているようにも受け取れました。そんな悲壮感が漂う設定に軸を置き続けることなく、余白を多く残しながらコミカルに飛躍させていく演出には、演劇の力を信じて委ねる余裕と意気込みが感じられました。
北海道の盆踊りは子供の部と大人の部に分かれていて、音楽も振付も違うそうです。このことが当日パンフレットに書かれていたおかげで、作品から伝わる意味がずいぶんと味わい深いものになったと思います。
作・演出のイトウワカナさんが開演前にCoRich舞台芸術まつり!およびCoRich舞台芸術!の宣伝をしてくださいました。札幌でも公演登録やクチコミが増えて欲しいです。
満足度★★★★★
楽しかった!!
演劇は永らく見ていなかったのですが、久々に触手が動いたので行ってみたら、これが笑える、共感できる、味わえる!!まだまだ自分の感性を信じても良いなと確信できる劇団でした。冒頭からいきなりカオスに叩き込まれる。でそっからは静と動、程良い緩急でラストのダンスまで連れて行ってくれます。また最後の最後に踊ってるのが誰かってところが面白い!!ずっと出演しているけど姿は一度も見えないヤツなのです。前作「言祝ぎ」の展開よりもより複雑な展開は何ともプログレッシヴでした。次作はBebopか?と今後も楽しみになる劇団でした。演劇の表現の幅広さを感じれましたよ。改めて面白い劇団がいるものだと思い、嬉しくなりました。