負傷者16人 -SIXTEEN WOUNDED- 公演情報 負傷者16人 -SIXTEEN WOUNDED-」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-7件 / 7件中
  • 満足度★★★★

    それぞれの答え
    評判で気になり観劇してきました。
    パレスチナ問題を詳しく知らないで観劇しましたが、焦点となる部分は劇中でわかりやすく説明されていて、関係性や問題となる重さが充分伝わってきました。
    人としての幸せを望む時、人種や生い立ち、周りの環境がそれを阻む場合、どう答えを出すのか。
    劇中で出された答えは悲しいものでしたが、それ以外にどうすれば良かったのかというものを自分では見つけられませんでした。
    重く辛い結末に、舞台ではあるけど現実でもあるのだと考えさせられました。

  • 満足度★★★★★

    ばらばら
    語弊をおそれずにいうなら、まず芝居はバラバラだった。
    そして言い方の癖が酷い女優もいた。
    でもとにかく面白かった!芝居がそれぞれバラバラだから逆に、役の抱えるモノとリンクしてた!
    ん?と疑問を感じる所もあったがそれでも面白かった!
    いろいろ要素のある芝居だから観るヒトにより感じ方も違うだろうが…
    そしてプロジェクションマッピングを使っていたのは驚いた笑
    あとやっぱりベテラン2人はさすがの一言ですね☆

  • 満足度★★★★★

    国立劇場に相応しい企画
    「ミュージカル界のプリンス」が目当てで来場するミーハー女性ファンに、ずしりと重い翻訳物の台詞劇を投げかける―国立劇場に相応しい、素晴らしい企画だと思いました。井上芳雄ファンの一部でも、新たに良質なストレートプレイを観劇する習慣を持つようになったら、演劇界にとってかなりの集客UPです。

  • 満足度★★★

    うーん・・・
    評判のよさに観に行ったものの、あまり乗れず。
     
    2004年のニューヨークでの戯曲を、2012年の東京で上演しようというときに、その間にある時間と場所の距離と、そこから生じる観客の視線の違いを越えるような、そんな潤色・リライトが必要だったのではないだろうか。
    2004年と2012年との8年の間に、日本の観客には初演時のニューヨークの観客よりもはるかにパレスチナで起きていることについての多い情報が入ってきているわけで、作品をそうした情報の後追いに終わらせないためには、何らかの工夫があってしかるべきだったのでは、ということを考えてしまいました。
    そうしたことなしにそのまま上演してしまったことによって、作品のパワーが上手く弾けてないままになっているのではないか、(例えば、この作品の感想が判で押したような「パレスチナ問題について考えさせられました」的な内容で落ち着いてしまっているのはそういうことなんじゃ?)そんな印象を持ってしまった。
     
    脚本に関してですが、第一幕が駆け足だったために第二幕でのマフムードとハンスのシーンがそれほど生きていなかったのでは?と感じてしまいました。二人が友情を深めるシーンは不可欠だったのではないでしょうか。
     
    演出ですが場面転換が上手くいってるところとそうでないところとで差があったのが残念。映像面であそこまでこったのであれば、転換等もスマートにやってほしかったです。
    もっと残念だったのは音響に関して。もうちょっとスピーカーから流してる音っぽさをなくすような設計ができなかったんでしょうか。終盤の「音」はもっと迫力がほしかったです。
     
    役者さんは皆さん好演されていて、そこら辺でかなり楽しめたというのはよかったです。特に後半以降の益岡さん井上さんの素晴らしさは印象的。脚本の弱い部分を乗り越えて空間をドライブさせる、まさに名芝居。
    ただマフムードの兄のステロタイプな演じ方には疑問が・・・。
       

    ・・・と、まあ、いろいろ書いてきましたが、±で言ったらプラスのほうが勝ってる、満足感は低くない、観て損はなかった、自分にとってはそんな舞台です。

  • 満足度★★★★★

    まさに演劇の真髄に触れた思い
    これこそが、私が心で定義している真の演劇そのものでした。

    嘘のない脚本、演出、役者。人間をきちんと描いた本を、俳優が血肉を注いで、リアルな人物に造形する。

    遠く離れた、人種も宗教も異なる日本にいて、この生易しくない、人間の不条理をひと時でも、自分の身に寄せて体感でき、思考できるのは、演劇だからこそと強く感じました。

    まだ学生時にミュージカルの世界に突然足を踏み入れた井上さんが、ここへ来て、たくさんの名舞台を経験し、まさに鬼に金棒の名役者ぶり。
    初舞台から拝見しているので、無関係ながら、何だか子供の成長を見守って来た母親のような感動を覚えました。

    ノラ役の女優さん、どこかで見覚えがあると思ったら、真中瞳さんが改名されて、東風万智子さんになられたんですね。こちらも、とても好演されていて、ノラのこれからを思うと、胸が痛みました。

    ハンス役の益岡さん、ソーニャ役のあめくみちこさんも含め、キャストの役作りがしっかりしていて、ずっと、息を詰めて舞台を凝視してしまい、何だかひどく疲れたのですが、これは、描かれている解決のつかない難題を真っ向から問題定義する芝居だったから仕方ないことかもしれません。

    終演後、一人珈琲を飲みながらも、ずっと嗚咽してしまいました。

    でも、この疲労は、決して不快なものではないのです。

    こういう素晴らしい芝居を今後もたくさん上演して頂ける日本の演劇界であってほしいと切実に願います。似非演劇には、もう食傷気味ですから。

    ネタバレBOX

    内容は辛い現実に根ざしているのですが、普通なら、理解し得ない、パレスチナ人とユダヤ人の人間としての心の交流に重きを置いた脚本が秀逸でした。

    バスの爆破テロをして、アムステルダムに逃亡して来たパレスチナ人役の井上さん、ユダヤ人のパン職人に助けられ、数年後、しっかりパンの職人として働いている場面の、パンの捏ね方に感嘆しました。驚くべき職人芸!プロはだしの所作でした。

    いつの間に、こんなにしっかりとした演技者になられたのかと、感無量でした。

    ハンスの過去も、ずっと思慕しているソーニャに求婚を受け入れられない男の悲哀までも、描くことで、登場人物それぞれの、悲劇的な事情が、その都度、自分の身の回りの出来事のように、追体験できて、何と、奥の深い作品かと、何度も、この舞台を見過ごさずに済んだ幸福に感謝しました。

    こういう、人間をきちんと深く描いた名戯曲を、きちんと勉強して、上から目線でない演出家に、日本での上演だということをしっかりと視野に置いた上で、名役者揃いで、上演していただけたら、申し分ありません。

    こんな名舞台を、3000円代のチケット代で、観られる幸福で、心が満たされました。
  • 満足度★★★★

    平日ソワレなら残席ある回も
    前評判どおり重かったが、良かった。異国の戦争、生活が肉声で届くから自分のこととして考えられる(私はそう)。もし自分が彼/彼女だったらと、彼らの苦悩を知り得ないと知りつつも想像し続けた。休憩含む2時間45分。

    ネタバレBOX

    身重の恋人がパン屋に掛け込んで来る最期の場面はいらなかったんじゃないか、という感想を聞いて、なるほどな~と。たしかに説明っぽいかも。私は気にならなかったですが。
  • 満足度★★★★

    誰も過去からは隠れる事も逃げる事も出来ない
    「輪廻」…ともいうべきなのでしょうか。
    過去に虐げられてきたユダヤ人がひとたび虐げる側に回れば
    以前自分達を苦しめてきた者たちと同じこと、いや、実際に
    現在進行形で抑圧を受けている者にとってはそれ以上の
    残酷なことをしてのけてしまう。

    しかし、いつまでも虐げる・虐げられる者の関係が変わらないとは
    誰もいえないのです。かくして、負の連鎖は終わることがない。

    その永遠にも続くように感じられる関係性が、主人公であるユダヤ・
    パレスチナ人二人の関係性にも重ね合わされていると思えるところが
    素晴らしくよく出来た演劇作品だな、と強く感じました。

    ネタバレBOX

    「イスラエル-パレスチナ問題」は多くの人々を巻き込みながら、未だ
    解決の糸口が見えない難問の一つですが、ここ日本では地理的な
    問題もあって、その重大性がいまいち伝わっていないきらいがあります。
    だからこそ、この作品が上演される意味がある。

    アムステルダムでパン屋を営むハンス。
    とんがった感がありありのパレスチナ人青年のマフムード。

    人を避けるように、人目から隠れていくように生きている、序盤から
    何だかいわくありげな二人ですが、物語が進むにつれて暗い過去が
    暴き出されていきます。

    恐ろしいのは、彼等が体験し、忌み嫌ってきた過去が、二人の「現在」まで
    縛り、規定し、ある種「アイデンティティ」にまで成長してしまっている事です。

    幼少時に、強制収容所で過ごし、対独協力者として生き残り、その後
    盗みに入ったパン屋で偶然にも拾われる事になったハンス。

    同じく幼い頃から、占領下のパレスチナで生まれ育ち、虐待を受け続け
    長じてからバス爆破事件で死傷者を出すような事態を引き起こし、
    アムステルダムにまで逃げてきたマフムード。

    ハンスは、刺されて倒れていたマフムードを見て、これは自分がかつて
    受けた「借り」を返さなければいけない時だ、と思ったと言いましたが、
    私はそれだけでなく、マフムードの中に自身と同じ「匂い」を敏感に
    感じ取ったからじゃないか、と今では少し考えています。

    「過去」が二人をその他大勢の人達から遠ざけ、孤独にし、そして
    マフムードに至っては「自爆テロ」(自身が起こしたバス爆破事件が
    結果として彼のその後を縛り、死ななくてはいけない、という結末まで
    招き寄せたのは確かだと思います)という形で、

    新しい命を間近に控えた家族までかなぐり捨てて、人生の幕を下ろして
    しまった、という結果を知るにつれ、積み重なった過去の重み、そして
    そこから人は逃げる事も隠れる事も最終的には出来ない、という現実まで
    突きつけられたようで、

    黒く染まっていく舞台を見つめながら、憂鬱な気持ちになりました。

    そして、そういった人々の「死の記憶」「死の過去」を業のように背負った
    イスラエルとパレスチナが果たして和解を選べるのか、よしんば
    赦し合えたとしても、お互いの過去に向かっていけるのか、その今後を
    考えるにつれ、また同時に暗い見通ししか出来ないのです。

    それだけにラスト直前、一晩だけではありましたが、お互いがついに
    直前まで消す事が出来なかった「ユダヤ人」「パレスチナ人」を遂に超えて
    「人間の友人」としてお互い通じあえた場面に、私は希望をおきたいと
    思いたいのです。

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