満足度★★★
うーん・・・
評判のよさに観に行ったものの、あまり乗れず。
2004年のニューヨークでの戯曲を、2012年の東京で上演しようというときに、その間にある時間と場所の距離と、そこから生じる観客の視線の違いを越えるような、そんな潤色・リライトが必要だったのではないだろうか。
2004年と2012年との8年の間に、日本の観客には初演時のニューヨークの観客よりもはるかにパレスチナで起きていることについての多い情報が入ってきているわけで、作品をそうした情報の後追いに終わらせないためには、何らかの工夫があってしかるべきだったのでは、ということを考えてしまいました。
そうしたことなしにそのまま上演してしまったことによって、作品のパワーが上手く弾けてないままになっているのではないか、(例えば、この作品の感想が判で押したような「パレスチナ問題について考えさせられました」的な内容で落ち着いてしまっているのはそういうことなんじゃ?)そんな印象を持ってしまった。
脚本に関してですが、第一幕が駆け足だったために第二幕でのマフムードとハンスのシーンがそれほど生きていなかったのでは?と感じてしまいました。二人が友情を深めるシーンは不可欠だったのではないでしょうか。
演出ですが場面転換が上手くいってるところとそうでないところとで差があったのが残念。映像面であそこまでこったのであれば、転換等もスマートにやってほしかったです。
もっと残念だったのは音響に関して。もうちょっとスピーカーから流してる音っぽさをなくすような設計ができなかったんでしょうか。終盤の「音」はもっと迫力がほしかったです。
役者さんは皆さん好演されていて、そこら辺でかなり楽しめたというのはよかったです。特に後半以降の益岡さん井上さんの素晴らしさは印象的。脚本の弱い部分を乗り越えて空間をドライブさせる、まさに名芝居。
ただマフムードの兄のステロタイプな演じ方には疑問が・・・。
・・・と、まあ、いろいろ書いてきましたが、±で言ったらプラスのほうが勝ってる、満足感は低くない、観て損はなかった、自分にとってはそんな舞台です。