満足度★★★★
それぞれの答え
評判で気になり観劇してきました。
パレスチナ問題を詳しく知らないで観劇しましたが、焦点となる部分は劇中でわかりやすく説明されていて、関係性や問題となる重さが充分伝わってきました。
人としての幸せを望む時、人種や生い立ち、周りの環境がそれを阻む場合、どう答えを出すのか。
劇中で出された答えは悲しいものでしたが、それ以外にどうすれば良かったのかというものを自分では見つけられませんでした。
重く辛い結末に、舞台ではあるけど現実でもあるのだと考えさせられました。
満足度★★★★★
ばらばら
語弊をおそれずにいうなら、まず芝居はバラバラだった。
そして言い方の癖が酷い女優もいた。
でもとにかく面白かった!芝居がそれぞれバラバラだから逆に、役の抱えるモノとリンクしてた!
ん?と疑問を感じる所もあったがそれでも面白かった!
いろいろ要素のある芝居だから観るヒトにより感じ方も違うだろうが…
そしてプロジェクションマッピングを使っていたのは驚いた笑
あとやっぱりベテラン2人はさすがの一言ですね☆
満足度★★★★★
国立劇場に相応しい企画
「ミュージカル界のプリンス」が目当てで来場するミーハー女性ファンに、ずしりと重い翻訳物の台詞劇を投げかける―国立劇場に相応しい、素晴らしい企画だと思いました。井上芳雄ファンの一部でも、新たに良質なストレートプレイを観劇する習慣を持つようになったら、演劇界にとってかなりの集客UPです。
満足度★★★
うーん・・・
評判のよさに観に行ったものの、あまり乗れず。
2004年のニューヨークでの戯曲を、2012年の東京で上演しようというときに、その間にある時間と場所の距離と、そこから生じる観客の視線の違いを越えるような、そんな潤色・リライトが必要だったのではないだろうか。
2004年と2012年との8年の間に、日本の観客には初演時のニューヨークの観客よりもはるかにパレスチナで起きていることについての多い情報が入ってきているわけで、作品をそうした情報の後追いに終わらせないためには、何らかの工夫があってしかるべきだったのでは、ということを考えてしまいました。
そうしたことなしにそのまま上演してしまったことによって、作品のパワーが上手く弾けてないままになっているのではないか、(例えば、この作品の感想が判で押したような「パレスチナ問題について考えさせられました」的な内容で落ち着いてしまっているのはそういうことなんじゃ?)そんな印象を持ってしまった。
脚本に関してですが、第一幕が駆け足だったために第二幕でのマフムードとハンスのシーンがそれほど生きていなかったのでは?と感じてしまいました。二人が友情を深めるシーンは不可欠だったのではないでしょうか。
演出ですが場面転換が上手くいってるところとそうでないところとで差があったのが残念。映像面であそこまでこったのであれば、転換等もスマートにやってほしかったです。
もっと残念だったのは音響に関して。もうちょっとスピーカーから流してる音っぽさをなくすような設計ができなかったんでしょうか。終盤の「音」はもっと迫力がほしかったです。
役者さんは皆さん好演されていて、そこら辺でかなり楽しめたというのはよかったです。特に後半以降の益岡さん井上さんの素晴らしさは印象的。脚本の弱い部分を乗り越えて空間をドライブさせる、まさに名芝居。
ただマフムードの兄のステロタイプな演じ方には疑問が・・・。
・・・と、まあ、いろいろ書いてきましたが、±で言ったらプラスのほうが勝ってる、満足感は低くない、観て損はなかった、自分にとってはそんな舞台です。
満足度★★★★★
まさに演劇の真髄に触れた思い
これこそが、私が心で定義している真の演劇そのものでした。
嘘のない脚本、演出、役者。人間をきちんと描いた本を、俳優が血肉を注いで、リアルな人物に造形する。
遠く離れた、人種も宗教も異なる日本にいて、この生易しくない、人間の不条理をひと時でも、自分の身に寄せて体感でき、思考できるのは、演劇だからこそと強く感じました。
まだ学生時にミュージカルの世界に突然足を踏み入れた井上さんが、ここへ来て、たくさんの名舞台を経験し、まさに鬼に金棒の名役者ぶり。
初舞台から拝見しているので、無関係ながら、何だか子供の成長を見守って来た母親のような感動を覚えました。
ノラ役の女優さん、どこかで見覚えがあると思ったら、真中瞳さんが改名されて、東風万智子さんになられたんですね。こちらも、とても好演されていて、ノラのこれからを思うと、胸が痛みました。
ハンス役の益岡さん、ソーニャ役のあめくみちこさんも含め、キャストの役作りがしっかりしていて、ずっと、息を詰めて舞台を凝視してしまい、何だかひどく疲れたのですが、これは、描かれている解決のつかない難題を真っ向から問題定義する芝居だったから仕方ないことかもしれません。
終演後、一人珈琲を飲みながらも、ずっと嗚咽してしまいました。
でも、この疲労は、決して不快なものではないのです。
こういう素晴らしい芝居を今後もたくさん上演して頂ける日本の演劇界であってほしいと切実に願います。似非演劇には、もう食傷気味ですから。
満足度★★★★
平日ソワレなら残席ある回も
前評判どおり重かったが、良かった。異国の戦争、生活が肉声で届くから自分のこととして考えられる(私はそう)。もし自分が彼/彼女だったらと、彼らの苦悩を知り得ないと知りつつも想像し続けた。休憩含む2時間45分。
満足度★★★★
誰も過去からは隠れる事も逃げる事も出来ない
「輪廻」…ともいうべきなのでしょうか。
過去に虐げられてきたユダヤ人がひとたび虐げる側に回れば
以前自分達を苦しめてきた者たちと同じこと、いや、実際に
現在進行形で抑圧を受けている者にとってはそれ以上の
残酷なことをしてのけてしまう。
しかし、いつまでも虐げる・虐げられる者の関係が変わらないとは
誰もいえないのです。かくして、負の連鎖は終わることがない。
その永遠にも続くように感じられる関係性が、主人公であるユダヤ・
パレスチナ人二人の関係性にも重ね合わされていると思えるところが
素晴らしくよく出来た演劇作品だな、と強く感じました。