満足度★★★★★
読売演劇大賞
昨年は前川知大の年であったと言ってもいいのではないか、というくらいに彼の活躍が中央から遠く離れた福岡でも観ることができた。
『抜け穴の会議室~Room No.002~』『散歩する侵略者』『現代能楽集Ⅵ 奇ッ怪其ノ弐』の3作が立て続けに上演され、そのどれもが演劇によってしか表現できないいくつもの「仕掛け」によって、劇場を異空間へと誘っていた。
それは、具体的には象徴的な舞台美術であり照明であり、もちろん前川戯曲そのものが常に「SF」である点に起因しているのだけれども、特に『奇ッ怪 其の弐』は、能舞台をイメージした舞台上舞台を設置し、俳優たちには、夢幻能を思わせる緩慢な演技と、日常的な演技とを演じ分けさせることによって、まさしく虚実皮膜の世界を構築していた点において3作中、白眉であった。これまでの読売演劇大賞作品には、どうかなと首を傾げたくなる作品もあったが、今回は多くの人に支持される受賞であったろう。
残念なことに、もう一つの新作『太陽』は、福岡まで来ることがなかった。リチャード・マシスンや藤子・F・不二雄に触発されて書かれた作品であることを、前川氏自身が語っているので、今後、福岡での再演の機会があるならば、何を置いても観たいと思う。
満足度★★★★★
満足した
色々なエピソードを繰り広げながらラストにすうっとまとまる感じが良かった。前作が面白過ぎたため「能」になったらどうなるだろうと心配してたが杞憂であった。今作も面白かった。大満足。
満足度★★★★★
語られる奇怪だが泣ける物語の数々。仲村トオルのおっとりした暖かさ、池田成志の達者な語り口。
偶然出会った男たち。
そして語られる奇ッ怪な物語の数々。
仲村トオルさんの語る、一見関連性の無い
いくつかの不思議な話と、意外な真実。
仲村トオルさんの、あったかさ、
池田さんの語り口の達者さ、強さ、可笑しさ、
他ではエキセントリックな役が多い山内さんの
普通の役が実にいい。
特に前半部分の物語が良いです。
それぞれの話の導入部から引き込まれ、
語り口に魅せられ、最後に泣かされます。
「その一」より良かった!
DVDが出たら絶対買う。
満足度★★★★★
不思議な世界へ
前川さんの演出の完成形を見たような気がする。
散歩する侵略者も素晴らしい演出だったが、さらに一歩先をいった気がする。
最後のシーンは、まさに奇ッ怪!
主人公と共に迷い込んだ世界に取り残された気分になった。
仲村トオルさんは、チーム・バチスタ3のドラマと平行しての仕事だったのか、
ちょっとあちらのキャラが入っていましたね(^_^;
火山ガスで全滅した集落に里帰りした主人公。
実家の神社には仲村トオル演じる謎の男が住んでる。
それを胡散臭い不動産屋と調査に来た学者さん。
4人が奇っ怪な話を紡いでいく。
そんな話。
話の最中に、生者でない死者を思わせる仮面の男女達が、
何かの動作をしながら舞台上を横切る。
物語は、集落最後の日を語る段になると、
今まで死者だったと思われる人々の動きが分かる仕掛け。
生きていた人の動きが、あの仮面の人々と一緒なのだ。
ガスで一瞬で死んだ人たち。
自分たちが死んだことに気がついていないか、
そこにあった営みを繰り返し行っていたのだ。
ここに震災と被るが、
何か得体の知れない怖さと悲しさを感じた。
しかも最初から登場していた、
不動産屋と調査に来た学者も死んでいたとはねΣ(´∀`;)
笑いありの途中から、ラストのしっとりと終わる様は、
まさに能というか、上手い落語の話を聞いているような、
凄いものをみたという感じをうけた。
満足度★★★
能より狂言寄り?
かな?
体をわずかに動かす、振り向く、それだけで違う話が始まるという手法は好き。
笑わせてもらいました。
だからこそ
浮き出る人々の動きが、ラストでリンクした瞬間の怖さといったら。
鳥肌がたちました・・・。
満足度★★★★
まさに、現代能楽だった
面白かった。
幽霊たちが行き来する場所で、突然過去の出来事が現れたりする。
仮面の使い方、舞台の使い方も素晴らしく、こちらとあちらにどんな橋が横たわってといるのかと、確かに現代の夢幻能と言える。
しかも、お話の中に出てくる小道具を変えれば、どの時代の「現代」にも変えられる。
永遠に繰り返される「あの日」、自分の実在性に疑いすら持ってしまう「実存性」の問題と、人間にとっていつの時代にも繰り返されるテーマを描いている。
池田氏の悪乗りが少し目立ち、役者たちの演技が崩れてしまったのは残念だったが、全体にはとても良い舞台だった。
満足度★★★★
あのお面ほしい。
仲村トオルさんはくずしても二枚目演技ではありますが、脇を固める池田成志さん・山内圭哉さん・小松和重さんの笑いある演技がマッチしてよろしかったです。最後につながる伏線もまとまってました。
満足度★★★★★
すばらしい前川節
「イキウメ」の前川さんの2回目の「奇ッ怪」。前作よりも、より緻密な物語構成。演者さんも素晴らしい。特に中村トオルさんは格段に素晴らしく、素敵だった。他のメインキャストの御三方ももちろん、すばらしい。比較的笑えるシーンも多く、楽しく見る中、最後に心に滲みる。「イキウメ」は大好きな劇団ですが、説明過多な気がしていたが、今作は色々想いに浸りながら帰途についた。DVD化しないのが本当に残念でならない。 舞台は生ものでアドリブらしき部分やとちった部分、メインじゃない部分もコミで素晴らしいが、時間が経つと再度観たいと思っても観れずにいつも哀しい。 本当に素晴らしい舞台で全力で拍手をし、感謝の気持ちで一杯でした。
満足度★★★★★
心に沁みました。
22日(I列)に観て感動して、29日にも観てきました。29日は3階だったのですが、顔の表情もよく見えますし、俯瞰で見ることができたのでI列では気づかなかった繊細な照明の効果まで楽しむことができました。
死者の思いの上に生きる思い、残されたものの思い。出演者の演技はもちろん、脚本・演出・美術・照明・音楽などこの作品の全てが心に沁みて、楽しんだとともに、私は鎮魂されました。
本当に怖いものは
『奇ッ怪』其の壱に圧巻されて、其の弐も期待して拝見しました。
其の壱では、小泉八雲の原作を時代劇的な感じで取り入れた着物でのシーンがあったり、エンターテイメント感の強い中で怖さを感じていたのですが、其の弐はぐぐっと現代にフォーカスされていて、新鮮な気持ちで見ました。
語りからテンポよくシーンが移り変わり重なっていく手腕はやはり見事で、楽しい。
笑いもったぷりあって思わず吹きだすシーンもたくさんあったけど、終幕に向けて、壱とは違う角度の怖さがじわじわと少しづつ積もってゆきました・・。
無念さ、無常感、という意味では、今回いっそう怖かった気がする。
満足度★★★★
役者がうまい
噛んだり、なるしーのアドリブで吹き出してしまったり、細かいことは多少あれど、それを軽く乗り越えてしまう技量の高さがあった。もちろん、本も演出もよかった。
満足度★★★★★
コミカルだけど切ない
夏の怪談めいたお話で、映画「異人たちとの夏」をほうふつさせる。
すごく笑えるけど切ない内容。
とにかく脚本と演出がうまい。
同じ役者でもどんどん役が変わって、舞台装置の転換もなく、突然、時間も場所も変わっていくのだが、不思議とついていける分かりやすさ。
その緻密な脚本は、ちょっとしたカンドーでした。
芸達者な役者さんが多くて、どこまでがアドリブか分からない自然な演技で、ものすごく引き込まれました。
今後シリーズがあるならもっと観たい。
満足度★★★★
死者の幻影に彩られた舞台が秀逸
やはり、如何にも前川作品。
いつもは、笑いを取る役の多い山内さんのスタンスが新鮮でした。
小松さん、以前も何度か拝見していて、それほどに感じなかったのに、この舞台、彼の発声がほとんど聞き取れず、閉口しました。脳内で、クロスワードパズルを解くように、小松さんの台詞を予想する作業を強いられ、前川作品に素直に没頭できなかったのが、かなり残念でなりません。
でも、それでも尚、前川さんの作品には、過剰な台詞を排したが故の、目に訴える印象が鮮やかで、舞台を観る内に、個人的に親しかった逝ってしまった人々や、震災で亡くなった方々への想いが交錯し、不意に涙ぐみそうになる瞬間が多々ありました。
静に心に染み入る舞台作品でした。
満足度★★★★
限りなくイキウメっぽい。
初めてのパブリックシアター!
2階席でしたが、充分楽しめました。
舞台も素敵だし、役者さんたちもみんな上手いし、安心して観られる感じ。
「狂言」も「能」もなじみがない自分には、前作のほうが面白かったけど・・・。
「怪談」「狂言・能」ときて、次は何が・・・?
楽しみです。
満足度★★★★★
前作に続き、楽しめました
前作を観ていたので、期待して観ました。
「怪談」の怖さではないものの、現代の自分達の日常に渦巻く「怖さ」を、
うまく表現してくれていたと思います。
ラストシーンは、鳥肌が立ちました。
笑いもあり、非常に楽しめました。もう一度みたいです。
「奇ッ怪 其ノ参」を期待してしまいます。
満足度★★★★
とても長く感じた(いい意味)
前半の
一つ一つの話や切り替えの早さと
後半の
間とスピードの違いが原因なのか
上演時間 1時間40分が 2時間40分にも感じた。
そんだけの密度をもった舞台。
もっと、それぞれの話が
絡み合ってくれば よかったのにとも思う
満足度★★★★
渋めの幽霊譚
ラストシーンが秀逸。
池田&小松のおふざけに仲村(苦笑)という図は前回同様。
3階席からでも十二分に楽しめる。
大量の女性客は仲村トオルファンなのかな。
満足度★★★★★
トークショー付きの日に観た
シンプルなアレンジされた能舞台?前作同様、軽妙な語り部を交えつつ先の展開が読めないまま進んで行く、と思っていたらしっかり収まり、面白かった。
能楽集の括りなので、複雑かなと思いきや世界観の深さに思いっきり引き込まれ、結末わかっているけど、また見たいと思った。