女中たち 公演情報 女中たち」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-7件 / 7件中
  • 20100829
    。・`ω´・)ノ

  • 満足度★★★★

    演じるの、演劇
    Genetの「Les Bonnes」とこしばさんと私にはちょっとした縁がある。
    ...2006年の利賀演出家コンクール。私は自分の翻訳・演出で自団体で出品したのと同時に、ドラマトゥルクとしてもう一団体の作品にも参加していた。どちらも同じ「女中たち」。そこに審査員として参加していたのがこしばさんとの出会いだった。

    なのでそのこしばさんが自演出の女中たちをやると知って、期待は高まる。
    その期待に応えてくれる刺激的な作品だった。2 versionsあることになっているが、これは2 versions別作品として観るべきではなくてまとめて一つの原作者への応答になっていると思う。なのでまだ未見の方は是非とも両方観てほしい。

    時間の制約の中におしこめられて、破壊的な速度になった台詞が、微妙なルール変更を施しただけで、同じ台詞のはずなのに違って聴こえてくる。だから結末が違った絵になることが必然にみえる。
    そして演じること=戯れることを主題とした作品において、どこまでが遊びであるかの二通りの線引きを両 versionsで提示して、そのことで、さらにどこまでが遊びであるかの無限の可能性へと観るものの妄想をかき立てる。二つ観たあとに、「いや、私だったらこの戯曲のこの段階までを演技と考えここからを演じ終わったもののリアルと考えるよ。」「いや私は...。」そんな議論が観客の間に誘発されたらおもしろいと思う。

    4人の俳優のそれぞれに演技体の異なった居住まいが、演じるということについてさらに考える助けとなる。

    アングラだ地方の劇団だと比較的マージナルに追いやるような肩書で紹介されるこの劇団、少なくともこの作品においては、演劇史のメインストリームとして、社会の中で「演じる」とはどういう行為なのかその考えを提示している。

  • 満足度★★★★

    B班観劇-虚虚実実、考えさせられた
    この作品、過去に2度見逃してる。昔、花組芝居でもやってるはず。で、もうひとつ、明治大学の実験劇場アトリエ公演、唐十郎の後輩たちの劇団だけに観たかった、いや観ておくべきだったといまも思うが、体調が悪く断念。
    旬の観たいもの展の一環公演だったんですね。知らなかった。
    この劇団に注目したのは以前の公演をtetorapackさんが絶賛してたから。
    自分の観た日、A班はまったく違うアングラっぽい演出と聞いて、A班も観たかったなーと思った。
    今後、ときどき上京するらしいので、また機会があれば観たいと思っている。
    虚虚実実の、このお芝居みたいなことがけっこう私たちの身の回りにも起こっているような気がして怖くなった。

    ネタバレBOX

    ソランジュとクレールの女中姉妹が奥様と女中ごっこをしているけれど、始まったときはわからなかった。
    奥様登場。この奥様が、まるで女装の男優のようにインパクトのある人で。
    奥様も虚栄心の塊のようで、どこか壊れかけている人。
    奥様に毒を飲ませようとして、失敗。
    だが、この女中姉妹もよくわからない人たち。
    天井から吊るされた美しい奥様のドレスの数々がとてもステキだった。しかし、このドレスが奥様の、いえ、人間のいくつもの虚虚実実なさまを象徴しているようで、感慨深かった。
    ドレスを着替えるように、仮面をかぶり、他人になりすましているだれかがいっぱいの世の中なんて、想像するだけでゾッとする。だが、現代のネット社会は案外そんなものかもしれないと思い、興味深い作品だった。
    ヴァイオリンの生演奏が効果的。先日もピアノの生演奏の芝居を観たが。
    上演中、カーテン越しに、主宰がうろつくのが丸見えで、最初、出番のある俳優かと思った。目障りなので、じっとしていてほしかった(笑)。
  • 満足度★★★★

    全編「外郎売り」的緊張感(笑)
    2パターンのうちの「クレージーな方」とのことで、平均1.2倍速、瞬間最大1.8倍速(推定)の台詞回しがロックギターの速弾きのようにスリリングで、換言すれば全編「外郎売り」の緊張感、的な?(笑)
    それにしても4月に観たM.M.S.T版(『Les Bonnes』)はサックスで今回はヴァイオリンと生演奏付き(+実験的な演出)が続いたのは偶然?
    なお、速回しの台詞もM.M.S.T版に比べると聞き取り易く、今回初めてストーリーを理解する。(爆)

  • 満足度★★★★

    テンポ良く進展!
    舞台はキンキラなドレスも掛かっている衣装部屋。贅沢な暮しが窺えます。

    ネタバレBOX

    奥方と女中のやり取りでスタート。女中が屋根裏部屋に牛乳屋をつれ込んだことなどを揶揄する奥方だったが、実は二人は姉妹で、二人とも女中だったことが判明する。姉妹は奥方の帰宅時間まで女中ごっこに興じていたのだ。
    常に不満を持つ二人は警察に告発状を送付し、ご主人は逮捕されていた。しかし、ご主人から保釈された旨の電話が入り、このままではばれてしまうと思った女中は奥方の殺害を計画する。
    帰宅した奥方が筆跡鑑定を行うようなことを言い出すので、女中は急いで睡眠薬入りお茶を飲まそうと試みたものの、奥方は飲まずに夫の待つ飲食店に出掛けてしまう。その後、妹が冷めたお茶を飲み自殺し、姉が逮捕される。

    なんでこうなるのという気はしましたが、活舌が良くテンポ良く進み、楽しめました。
  • 秘密の花園のような舞台空間が印象的。
    『旬の観たいもの展2010』参加作品。
    ジャン・ジェネの『女中たち』は他者への羨やみが妬み→恨み→殺意へとステップアップしていく姉妹の心理模様と『ごっこ遊び』の多層的な演じ分け、そしてこれらを補佐する視覚的な道具が見物の作品だと個人的にはおもうのですが、3点目の視覚的な道具(舞台美術含む)以外では、戯曲の持ち味を堪能することが少々困難な結果になりました。(※原作に忠実なB班の感想です)

    ネタバレBOX

    色とりどりのゴージャスなドレスと花々に囲まれた奥さまのお部屋で、奥さまが外出中なのをいいことに仕事をサボり『ごっこ遊び』に夢中の姉のソランジュと妹のクレール。

    奥さまのお気に入りのドレスを身につけてフカフカのソファーに寝そべり牛乳屋との恋を妄想したりなんかして日ごろの憂さ晴らしをしていた彼女たちは、奥さま役と姉妹役とをとっかえひっかえ演じ分け、奥さまから怒られたり罵られたりしたあの日のことを繰り返し『再現』していくうちに、奥さまへの羨望は憎悪と悪意に変わっていく…。

    憎悪は手紙という形で発露され、旦那様を罪びとに仕立て上げとソランジュにカミングアウトをするクレール。
    そんな時に部屋にかかってきた一本の電話。
    旦那様がもうすぐ帰ってくるらしい。
    奥さまを懲らしめるためとはいえ、旦那様を冤罪にしたことがバレたら私たちは死ぬしかない!というパラノイアに冒されて慌てるソランジュ。

    考えた末、ふたりは紅茶に毒を混ぜ奥さま殺しへシフトチェンジ。しかしあっさり奥さまに見破られ、奥さま役を演じたままで紅茶をすすり自殺するクレール。その後を追うようにしてソランジュは窓を開け放つ・・・。


    旦那様からの一本の電話に慌てふためく姉妹がなんとかその場を取り繕うとしてバタバタと奔走する滑稽さはみていて面白かったのですが、少々表情に乏しいのが気になりました。わざと無にしていたのでしょうか。

    また、『ごっこ遊び』の終わりを告げ女中としての現実がはじまる合図のめざまし時計はただ鳴っていたように見え、現実に戻る『虚しさ』や『失意』がみえにくかったです。もちろん、夢から現実に戻るための形式的な支度をしていることは仕草ではわかりましたけれど。

    致命的だったのは、クレール役の方の滑舌、声量、抑揚のつけ方。特に早口で発話する場面では、台詞のほとんどが聞き取れませんでしたね。
    ソランジュ役の方はよく通る声で目に表情がありました。
    特に終盤のモノローグシーンでは自暴自棄になって最後の悪あがきをする惨めな女を豊かに演じておられました。

    奥さまのキャストの方もものすごい存在感でしたが、シガレットのふかし方に少し気品が欠けているようにおもえました。

    イントレに布を張り、小部屋に見立てた舞台美術は不思議な華やかさがあってみていて飽きませんでした。

    ソランジュの方のグリーンのドレスの衣装が奥さまの着用しているドレスよりもなんだかゴージャスで、女中らしいみすぼらしさがなかったのは少し気になりました。
    ヴァイオリンの演奏が劇中ほとんどなかったのも少し残念でしたね・・・。
  • 満足度★★★★

    ぶっ飛んだ3人芝居
    売春婦であった母から生まれ、生後7ヶ月でその母に捨てられたジャン・ジュネ。その後、田舎に住む木こりの夫婦の養子となったジュネは犯罪を繰り返すようになった。養母が死亡した後、新たな夫妻の養子となったが、繰り返して起こした犯罪のため、15歳のときに感化院に送られた。18歳のときに外国人部隊に志願し入隊するが、後に脱走してフランスを離れ、ヨーロッパを放浪した。この際にも、窃盗や乞食、男娼、わいせつ、麻薬密売といった犯罪を繰り返していた。このように数奇な運命を自ら実践してきた彼は遂に1942年に中央刑務所に投獄されるという、小説の主人公みたいな生き方をしてきた。
    だから、今回「女中たち」を楽しみにしていた。。

    ネタバレBOX

    ソランジュとクレールの二人姉妹は屋敷の女中。奥様の留守に奥様の衣類をつけて沢山の花に囲まれた豪華な部屋で奥様ごっこをして遊ぶ毎日。若い牛乳屋とのいけない遊びに耽ったり、旦那様を陥れて徒刑場に行かせようと企てたり、奥様の嘆く様子を見て喜んだり、奥様を毒殺しようと試みたりしている。

    二人は健気で愛らしく、罪深さを、淫らさ、汚らわしさを憎み、愛している。ここで登場する奥様は自意識過剰の娼婦のような奥様だ。やけに長い睫毛をセンスのようにヒラヒラ、バサバサさせながら、目をパチクリする。笑)
    このキャラクターがとても素敵だ。インパクトありまくりで彼女が登場した途端、場の空気の流れが逆流したかのよう。笑)

    しかし、この遊びの中、二人は次第に追い詰められ、また追い詰められる自分たちに夢中になりすぎて自ら毒(ボダージュカのお茶)をあおって死んでしまう。


    女3人芝居。膨大でテンポの速いセリフはさぞかし大変だったろうな。と思う。惜しむらくはクレールのセリフが聞き取り難かったこと。毒々しいソランジュ役のキャストが熱演していた。楽しいというより、面白い舞台だった。

    追伸:劇団の主宰が公演中に裏でちょろちょろしていた。客席から丸見え。気が散るから止めて欲しい。苦笑!



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