女中たち 公演情報 劇団 風蝕異人街「女中たち」の観てきた!クチコミとコメント

  • 秘密の花園のような舞台空間が印象的。
    『旬の観たいもの展2010』参加作品。
    ジャン・ジェネの『女中たち』は他者への羨やみが妬み→恨み→殺意へとステップアップしていく姉妹の心理模様と『ごっこ遊び』の多層的な演じ分け、そしてこれらを補佐する視覚的な道具が見物の作品だと個人的にはおもうのですが、3点目の視覚的な道具(舞台美術含む)以外では、戯曲の持ち味を堪能することが少々困難な結果になりました。(※原作に忠実なB班の感想です)

    ネタバレBOX

    色とりどりのゴージャスなドレスと花々に囲まれた奥さまのお部屋で、奥さまが外出中なのをいいことに仕事をサボり『ごっこ遊び』に夢中の姉のソランジュと妹のクレール。

    奥さまのお気に入りのドレスを身につけてフカフカのソファーに寝そべり牛乳屋との恋を妄想したりなんかして日ごろの憂さ晴らしをしていた彼女たちは、奥さま役と姉妹役とをとっかえひっかえ演じ分け、奥さまから怒られたり罵られたりしたあの日のことを繰り返し『再現』していくうちに、奥さまへの羨望は憎悪と悪意に変わっていく…。

    憎悪は手紙という形で発露され、旦那様を罪びとに仕立て上げとソランジュにカミングアウトをするクレール。
    そんな時に部屋にかかってきた一本の電話。
    旦那様がもうすぐ帰ってくるらしい。
    奥さまを懲らしめるためとはいえ、旦那様を冤罪にしたことがバレたら私たちは死ぬしかない!というパラノイアに冒されて慌てるソランジュ。

    考えた末、ふたりは紅茶に毒を混ぜ奥さま殺しへシフトチェンジ。しかしあっさり奥さまに見破られ、奥さま役を演じたままで紅茶をすすり自殺するクレール。その後を追うようにしてソランジュは窓を開け放つ・・・。


    旦那様からの一本の電話に慌てふためく姉妹がなんとかその場を取り繕うとしてバタバタと奔走する滑稽さはみていて面白かったのですが、少々表情に乏しいのが気になりました。わざと無にしていたのでしょうか。

    また、『ごっこ遊び』の終わりを告げ女中としての現実がはじまる合図のめざまし時計はただ鳴っていたように見え、現実に戻る『虚しさ』や『失意』がみえにくかったです。もちろん、夢から現実に戻るための形式的な支度をしていることは仕草ではわかりましたけれど。

    致命的だったのは、クレール役の方の滑舌、声量、抑揚のつけ方。特に早口で発話する場面では、台詞のほとんどが聞き取れませんでしたね。
    ソランジュ役の方はよく通る声で目に表情がありました。
    特に終盤のモノローグシーンでは自暴自棄になって最後の悪あがきをする惨めな女を豊かに演じておられました。

    奥さまのキャストの方もものすごい存在感でしたが、シガレットのふかし方に少し気品が欠けているようにおもえました。

    イントレに布を張り、小部屋に見立てた舞台美術は不思議な華やかさがあってみていて飽きませんでした。

    ソランジュの方のグリーンのドレスの衣装が奥さまの着用しているドレスよりもなんだかゴージャスで、女中らしいみすぼらしさがなかったのは少し気になりました。
    ヴァイオリンの演奏が劇中ほとんどなかったのも少し残念でしたね・・・。

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    2010/08/30 00:47

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