公演情報
「ロビー・ヒーロー」の観てきた!クチコミ一覧
実演鑑賞
満足度★★★★★
桑原女史が演出のみを手掛ける舞台、という関心で随分久々となる新国立を訊ねた。正直「外れ」も多い新国立プロデュースの舞台だが、唸った。
私たちは普段様々な問題が複雑に絡み合った時間を生きているが、本作ではその幾本もの糸が脚本の中の台詞という形で再現される。それらは問いを投げ掛けるが、(現実がそうであるように)言葉を与えるまでは本当にそこに何が横たわっているのか判らない、しかしそこに何か言葉を紡ぎ出さなきゃならない状況に個人は追いやられ、言葉が絞り出される。すなわち言葉とはその瞬間、その主体の未来へ向かう意思であり存在証明である、という事を痛切に思わされる。そしてまた言葉にならなかった領域の深さ、不確かさ、可能性は、人物の態度の「変化」の中に見え隠れする。
作者的には最後、「和解」の結末としたかったのだろうか...? だが次の瞬間何が起こり、それが人物の態度をどう「変えて」行くのかは未知である、との余白を残して芝居は一旦終える(人生もそのようなものだろう?)。その感じが自分にはフィットした。
桑原女史が起用された理由を知りたいが、自分的には大当たりである。
実演鑑賞
満足度★★★★
このシリーズの前回のプロダクションほどではないが、これもなかなか一筋縄にはいかない会話劇。それぞれの登場人物たちの言動に正義と利己が混じり葛藤する会話が延々繰り返されたあげく、問題は残されたままスッキリしない幕切れとなる。善悪や正誤がスッキリ割り切れない今の社会や人間の姿そのままを映している印象。
4人の俳優いずれも好演で、特にジェフ役は素晴らしい演技。マンションの入り口ドアの外側と内側がくるりと入れ替わる回転舞台の演出が興味深い。
実演鑑賞
満足度★★★★★
戯曲も俳優も見事な芝居だった。海軍を追い出されて、仕方なく警備員(ドアマン)をやってる中村蒼(ジェフ)がいい。のびのびした若さとお気楽なお調子者の様子が、全身からあふれていた。細かい所作もよく考えて作りこまれたものだろう。
ウイリアム(板橋駿谷)が、殺人の疑いで逮捕された弟のために、偽のアリバイ証言をするかどうか悩む。「無実の黒人が刑務所にはいっぱいいるっていうことも知ってる」というセリフで、ウイリアムは黒人の設定? と感じた。眞熊に調べると、米国での上演では黒人が演じていた。そうわかってみると、彼の「この社会は最低だって知ってるさ」等々の科白、ひたすら上に上るための職務への忠実さの裏に、黒人を取り巻く厳しい現実と差別があることがわかる。「お前は黒人だろうに」のようなあからさまなセリフはないので、見のがしやすいが。
家族や相棒のために嘘は許されるのか、逆に正直に話すことは密告・裏切りではないのか。普通、身内をかばうためのうそは当然と思うが、カントはいかなる場合も嘘を否定した。しかし現実には単純な答えはない。正義とは何かを、具体的に問いかけるいい芝居だった。
実演鑑賞
満足度★★★
長く感じます!こんなにセリフを喋らせるなら、後半に何か引っかかって来るのだろうと思うがそれも期待するほどなし!しかも釈然としない終わり方!みんな傷ついてしまったけど、それでも生きて行こうねチャンチャン♪みたいな!
舞台慣れしたせいかここは削って~とか、ここはもっと印象付かせるために~とか色々考えてしまった。
4人の俳優さんたちの努力は見えた!イライラを表現するためだけにタバコを吸わせるのはどうかと思いますが!
色んな演劇があるのだなぁと勉強になりました。
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/05/06 (金) 19:00
日本初演だそうだが、膨大なセリフに圧倒される会話劇。83分(休15分)76分=174分。
マンションの警備員のジェフ(中村蒼)は軽薄でお喋りで、上司のウィリアム(板橋駿谷)に注意されている。そのマンションに住む娼婦に勤務時間中に会いに来るベテラン警官のビル(瑞木健太郎)だが、一方で見習い警官のドーン(岡本玲)といい仲になりたい…、という4人が、それぞれに弱点と強気になれる点を持って、膨大な会話を交わす。ジェフの口の軽さが事件を起こすが、それが修復されたのか、されないのか、よく分からないまま一見ハッピーエンドっぽく終わるが、これって実はハッピーじゃないよね(^_^;)。全体で3時間になんなんとする長さは冗長感は否めないものの、その会話の中でジェフが口を滑らす、という展開を担っているのだと思う。ただ、この芝居って、もっと笑う場面が多い気がするんだけど、初日で観客が硬かったのか、笑いが怒らないのが残念。マンションの1階のロビーと、その玄関の外という2つのスペースを、ボンを使って巧みに扱う舞台は面白い。
3時間の長さなら、せめて18:30開演にしてほしかった。
実演鑑賞
満足度★★★
シリーズ「声 議論, 正論, 極論, 批判, 対話...の物語」の第2弾。第1弾と違ってすべてが明瞭である。でも無駄に長い(泣)85分+15分休憩+75分
警備員のジェフ(中村蒼)と監督役の上司ウィリアム(板橋駿谷)、ウィリアムの友人の警察官ビル(瑞木健太郎)と試用期間中の新人女性警官ドーン(岡本玲)の4人のお話。弟が犯したらしい殺人事件のアリバイをウィリアムが偽証したことで4人は複雑にそして歪に絡み合って行く…(CoRichの説明はもう少し詳しい)。
マイケル・サンデル入門のようなジレンマがテーマ。本来一人の問題だが、4人が雁字搦めになる状況を作り出す作者の力量は素晴らしい。そうなのだけれど、そのための準備に全体の4分の3の120分が費やされる。途中休憩ではまだまだ話が見えず、帰ってしまおうかと思うくらいだった。
4人の俳優さんは皆さんうまい。とくにジェフ役の中村さんの軽薄でしつこい演技は素晴らしく、そのために私のイライラが高じてしまう。血圧が高い人(含私)は観ない方が良いかもしれない。これもまた困ったジレンマである。
先日読んだ若い作家の小説は余計な記述が一切なく何とも味気無さを感じたが、この戯曲はというと半分は無駄でできている。その無駄と見える部分を楽しめるようになれば私も成長したということになるのだろうが今のところは「全体で120分以内におさめてくれれば、もっとすっきりと鑑賞できたと思う」となってしまう。