ダム・ウェイター 公演情報 「ダム・ウェイター」の観てきた!クチコミ一覧

★ 満足度の平均 ★ ★ ★ ★ ★ 4.0
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★★★

    鑑賞日2018/04/28 (土) 18:00

    「不条理」とは何か?
    座談会で1つのテーマになっておりましたが、私は日常とか慣習、普通とか常識といったものが突然に(あるいは暴力的に)外される、取り留めのない恐怖だと思います。言い換えると、つい先ほどまで何の意識もせずに、体を任せてきた椅子が、突然外されてしまったことが、トラウマになるような、非常な居心地の悪さ。

    この舞台、はっきりと前半と後半に別れていて、前半はベンとガスの取り留めのない会話劇、後半はダム・ウェイターを介して展開される2人の行動劇。

    前半の会話劇は、ただただ怖い。イラつくガスとそれを受け止めながら、極端な反応と全き無反応を繰り返すベン。彼らは、殺し屋でその指示を待っているということが、次第に判ってくる。だけれど、彼らの言葉と行動のズレは、おそらく何かを知っていて、何かを知らないことによるズレだということにも気付いてくる。
    だから、この会話がやたらと居心地が悪い。フラストレーションが溜まり始めたころ、
    ダム・ウェーターが動き出す。

    ネタバレBOX

    ガスがお湯を沸かそうとしたら、ガス欠ってシャレ?(両方ともGAS?)
    「やかんに火を点ける」は正しい表現なの?
    11歳の男の子が猫を殺したの?実は8歳の女の子が殺したの?
    87歳の男は、なぜトラックの下に潜ろうとしたの?
    なぜ2人に、ベッドがあてがわれているの?

    なんて思っていたら、
    なぜベンは、忖度しながら注文と異なる食物を階上に送ろうとするの?
    ガスが持参した飲食物が、やたらと腐りかけたものばかりなのはなぜ?
    ガスはどうして、階上にサラダとビールがあると思っているの?
    ベンとガスの殺しの手筈は、何を想定して交わされているの?

    などなど、わーっと訳わからない、と思っていたら、殺しの指示がきて、、、、
    不条理劇は疲れるなあ。



  • 満足度★★★★

     劇団名はPlayers StudioではなくPrayers Studioである。然し宗教的な組織が背景にあるとか、関係しているということでは無論ない。(華4つ☆)

    ネタバレBOX

    主宰の渡部氏がロシアのレオニード・アニシモフ氏に師事し氏主宰のレパートリー・シアターで体験した謂わば根源的な演劇体験が、人が真摯に祈る時の態度・心象に近いのではないか、と感じる故である。
     今回ベン、ガスを演じた2人の俳優、小八重 智さん(ベン役)、北口 哲也さん(ガス役)にしても真摯な演技には好感を持った。
     作品はピンターの「ダムウェイター」大分前に三茶のシアタートラムでも上演されたことのある作品だが、大方の方が述べるのとは、少し異なる視点から、観てみよう。
     それは、この二人に決定的な情報が最後まで与えられない、ということの意味についてである。観客である我々は、現在、膨大な量の情報の洪水に毎日、毎時、毎分、毎秒襲われ続け溺れている。然しこれらの情報の如何ほどが、自分が現場でリアルタイムに、見聴きしたことだろうか? 伝言ゲームというゲームがある。この結果は、ご存じであろう。我らの日常に、確たる情報など自らの直接体験し得るもの以外、実は殆ど無いのであり「~だそうだ」という話でしかないことは、かつて吉本 隆明が指摘した通りである。ありていに言えば、今作が我々の実存に直接訴えていることとは、実は本当に大切な情報が、実は所、他のどうでも良い(自分の実存にとって)情報の氾濫に隠されてしまって見えていない怖さなのではないか? ダムウェイターが降りてくる度、与えられるメニューが隠喩に満ちていることは、実に示唆的ではないか? 而も、隠喩を読み取れない者にとって、それは、馬鹿げた文言や謎に過ぎないのであれば、そこには、ピンターからのもう一つのメッセージ、メディアリテラシーへの誘いが含まれているとも言えよう。

このページのQRコードです。

拡大