廃墟 公演情報 廃墟」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
1-20件 / 21件中
  • 満足度★★★★

    戦争どころか貧しさを体感したことの無い10代20代の若い人たちにはどう映ったのだろう。
    私も含めて世の中のシステムが変革したしたことが無い、変わることが無いと思っている人々が大半である日本で、このような骨太な物語が上演され見続けられることが貴重で重要であるとも思う。
    熱き想いが行き交う濃厚な会話劇に、たじろく人も嫌悪する人も二の足を踏む人も様々いるかと思うが
    その熱量が今の日本の土台であったのだろうと感じられる舞台でした。
    屋根裏部屋を上手く表現する舞台演出も、鋭く突き刺さる台詞も心に響く物語で心地よかった。
    一つ残念だったのは、アンケートの記入を促すも、誰も回収しない、受付に誰もいないのはどうかと。
    それならアンケートなどはやめてSNS一本にするべきでは。内容が良いだけに残念でした。

  • 満足度★★★★

    難しく、答えが出ない内容でしたが、その分考えさせられました。重厚な雰囲気の中の討論は惹き込まれましたが、声を張り上げすぎて煩い印象がありました(熱演は良いのですが)。物の溢れている現在、たった数十年前は、こんなに過酷な生活を送っていたかと思うと、何とも言えない気持ちになりました。考えさせられる良い舞台でした。

  • 満足度★★★

    鑑賞日2018/03/18 (日) 18:00

    座席1階1列

    演劇ユニット ハツビロコウ『廃墟』シアターシャイン

    敗戦後の日本での普通の人たちの生活がリアルに感じられました。
    こんな感じに国の未来や戦争について真剣に討論したことが無かったので、
    こういう時代もあったのかと新鮮な感じでした。

    照明効果や階下から聞こえる喧噪など、
    リアルな演出の数々も素晴らしかった。

    後半の白熱の論争劇は圧倒的な熱量で面白かったけど
    大声でがなり立てる演技は5~10分が限界かなぁと思いました。
    あまり長すぎると観ていて「まだ続くのか…」みたいに疲れてきます。

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2018/03/16 (金) 14:00

    この劇団は初めてなので、過去の公演は何も知らない。ただ、三好十郎の「廃墟」を上演する熱意と意欲に惹かれて、また、2015年の文化座と東演による新劇合同公演「廃墟」の印象がとても強いために、ぜひ見せていただきたいと思った公演である。小劇場での上演としては、よく工夫されていたし、あの空間が、廃墟にふさわしい雰囲気を醸しだしていて、若い人たちが多いのに、戦後の雰囲気をよく出していた。俳優の熱演のおかげで、予想以上に、面白い芝居に出来上がっていた。

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2018/03/13 (火) 19:00

    終戦直後、階下が焼けたため屋根裏部屋で生活する親族(+α)のひととき。ソリッド/硬派な印象はいかにもハツビロコウ。
    そして理想的(?)な生き方を実践する父にも無茶をしがちな息子にも共感する。(実際ああいう局面になったら息子のような行動をとるのだろうけれど)
    また、あんな荒廃したところから日本人たちは再起したんだなぁ、とも。
    あと、会場の構造が屋根裏部屋にはうってつけだし、潔いと言うかバッサリ切って余韻を残す終わり方も良かった。

    ネタバレBOX

    三好十郎の戯曲そのままでなく松本さんの上演台本によるものとのことなのでどこがオリジナルなのか気になって青空文庫で冒頭部分と結末部分を拾い読みしたところ、屋根裏部屋設定は松本台本によるもの、そして終わり方は原典通りだが、暗転とその後の暗闇の中での慟哭は松本演出と判明。
  • 満足度★★★

    鑑賞日2018/03/20 (火) 18:00

    座席1階1列

    率直な感想、三好十郎脚本の上演ということで、悪い方の予測があたった感じ。
    何事でも挑戦が大事、一歩踏み出すことが必要ということも判るけれど、ハツビロコウにはこうした会話劇は似合わない感性なのかな。それとも演出が追い付いていないのか、ないしは台本が未消化なのだろうか。

    ハツビロコウの過去作品は、敢えて言葉を省くことで、強い情念を示すことに長けていたように思う。沈黙をセリフとして使うような。そのために、かなり入り組んだ設定(時間軸が入れ子になったり、新たな事実が加味されたり)でも、コンパクトにまとめあげることが可能で、物語が拡散するとなく、深い親和性を獲得し観客が極めて同調しやすいものになっていた。

    今回、最も気になったのは、会話劇であるがゆえに、熱量を込めすぎたこと。会話を継続するために抑揚ではなく、大声を張りあげる場面が多くなってしまった。まあ、三好十郎の脚本って、先鋭な言葉の応酬というのが特徴で、こうなりやすいのかもしれない。でもね、沈黙よりも強い熱量はないですよ。

    うーん、期待とちょっと違いました。

  • 満足度★★★★

    三好十郎の作品は初観劇ですが、“ハツビロコウ”の素晴らしい舞台に、氏の他の作品も観てみたいと思いました。

  • 「後出しジャンケン」
    この言葉が思い浮かびました。

  • 満足度★★

    熱演の2時間でした
    残念ながらその熱は、私の心には響きませんでした

  • 満足度★★★★★

    心が熱くなりっ放しの2時間でした。

    ネタバレBOX

    敗戦により先が見えない時代の一家の話でした。
    特に教職に携わるものとしてまた一国民として、戦争責任を痛感する父親と、戦争は軍閥や財閥により引き起こされたものであると考え共産主義に走る長男、特攻の生き残りという苦悩から人生を踏み外した弟、による三つ巴の口論は圧巻でした。
    また、舞台中央に天井からぶら下がる白熱球が、まるで時代の波に翻弄される一家を象徴しているかの如く感じさせるような演出がとても印象的でした。
  • 満足度★★★★

    ハツビロコウが初めて(?)鐘下辰男作品上演劇団の枠を出でて、三好十郎の重厚な議論劇に挑戦、なるほどと期待。私の結論を言えば、三好十郎のこの戯曲は、ハツビロコウの術は手に余った、であった。もっとも、それを言っちゃ古典戯曲の読み直しなどできない・・そんな声も聞えそうだ。焼け跡のまさに占領時代に書かれた戯曲を現代に「演劇的翻訳」するための何らかの策があったとすれば、それを具現するに技量が及ばなかったという事で、何が必要とされたのかが見据えられれば今後の挑戦にも光がさすだろう。そんな思いで辛口評を記す。

    『廃墟』の近年の秀でた舞台は何と言っても2015年東演+文化座合同公演(もっとも他の「廃墟」は知らないが)で、小さな劇場の観客の目に堪える演技を、特に若手二人(対照的な兄弟二人)がやり切っていたのが記憶に新しい。
    鵜山仁演出は、敗戦後の乾いた土と焼け朽ちた木、周囲を囲む植物的なもので舞台を覆い尽くし、「家」であると同時にそこが家屋の態を成さず「外」に通じる曖昧な空間(つまり囲いが無い、が外界とは一定の距離を保っている雰囲気)を作り、俳優をそこに置いた。これは生活を営む場の物理的な質感を出し、また思索の場にもなっていた。
    敗戦後に残された道義の問題、責任の問題(1948年当時の情報で少なくとも作者の中で意識された問題)が示され、同時にこの問題が、2000年代の今も解決を見ていない事実が立ち上ってくる・・言わば戯曲の的確な読解と、現代への「翻訳」が為された舞台であった。
    この2015年の「廃墟」がどうしてもモデルとなって立ちはだかり、見比べてしまう。

    今回の舞台は、新劇サイドからの(正統的)アプローチでも、独自の方法論に基づく実験的アプローチというのでもなく、直感的に舞台を作って来たハツビロコウが、言わば自らを探る途上、新たな土俵で勝負した舞台、という風に言えそうだ。
    だがハツビロコウ特有の、己を追い込んだ先に漏れ出るようなギザギザした発語が、この作品のテキストを通すとカバーしきれない部分が多かった。
    シアターシャインの制約(左右の袖・壁に出入口が無く、奈落からの出入りしか使えないこと、舞台の奥行きが狭いこと)が、特に奥行きの狭さはマイナスして見えた。中央のテーブルの下が戦前あった地下防空壕に通じ、地盤が緩んだので修繕を行なっているから、これとは別の左右の床に空いた穴はこの“家”への象徴的な出入口かに見えたが、「天井裏」の設定に変えたのだとすれば、ここは「比較的自由に人が出入りできる家」というセミパブリック性を帯びた空間でなく、密室となってしまう。議論の口調は密室空間に親和性があり(ハツビロコウの得意技)、浮浪者の闖入は解釈不可能なまでに浮いてしまう。そうでなくやはり地上一階の床の上なのだと見れば、モードが密室であるのと齟齬がある。密室モードは、議論が起きればそれが人々の中心に置かれてしまう。何しろ他の関心事は台詞に書かれていないのだ。台詞が吐かれるところ、その言葉が舞台の、ひいては舞台上の人物全員にとっての関心事であり中心に据えられる、というのは家族のあり方にはそぐわない。鼻の頭を掻く者がいてもよいし、家族の営みを阻害する「議論」を行なっている事への疚しさが発語の端々に滲んでいたり、従って議論(というか口論)は舞台のどちらか片側でやっていればよく、でも厭でも耳に入るから家族皆に険悪の空気が伝染したりする。そのグラデーションの描写がこの舞台の条件では困難である事が、私には重要に思えた。父の本心吐露に至って家族はそれを中心にして存在する、という事がある・・こうして家族を描く、という側面が私はこの戯曲では非常に大事で、人物や集団の文脈を潜って出て来る言葉が、火花を散らすことで議論の言葉でなく「人物」が描かれることに帰着する・・この舞台が目指すべき地点はそういうことであったのではないかと思う。
    まあオーソドックスではあるが、戯曲の台詞がそのように書かれている。その中からピックアップしたい議論、テーマがあったなら、それを軸にして改稿、翻案して上演するのが妥当だろうと思う。「廃墟2018」と題するだけの上演を貫くコンセプトが欲しかった、という事になるか。

  • 満足度★★★★

    敗戦の翌年に発表された戯曲とはいえ、劇中の議論の内容は(お花畑的発言でイライラさせてくれる発言者の存在も含め)現代と大差ない。以前ネットで戯曲をざっと眺めただけなので、今回の上演台本がどの程度手が入ってるのか分からないが、とにかく最後まで見入ってしまった。決して好きな話ではないけど…。

  • 満足度★★★

    平成も終わろうかというこの時代に、この表現はある意味貴重かも。
    要所要所で感情移入しやすい場面は有るもののやはり演劇的魅せる要素に乏しいので面白味に欠ける。

  • 満足度★★★★

    『廃墟』2時間の作品を見せていただきました。前半は芝居に入っていけずあまり面白くありませんでした。それぞれの考え方の議論が展開されるあたりから面白さが一気に増してきます。役者さん達も熱演でした。戦争責任 どれもこれも一理あります。難しいことです。答えは出ないと思います。

  • 満足度★★★★

    この劇は会話のみの劇で音楽等一切なく静かな状態が続くので必ず携帯は切ってほしい。(他の舞台もそうだが)
    座った席の前のほうから携帯のバイブの音が何度も何度も聞こえてきて気になってしまった。
    舞台内容はずっしりと重い会話劇でタイトルの「廃墟」とは場所のみではなく各々の内側もさしているのではと。
    犬小屋の人があまり触れられず勿体なかったような・・・

    ネタバレBOX

    勝手な想像をしてしまったのだが、あれだけ飢えて食べるものがない状態だったので犬小屋の人を食べてしまうのかと思い
    ちょっとビクビクしていしまった。食べるわけでも何かさせるわけでもないのならば何故屋根裏にあげたのだろう。
  • 満足度★★★

    会話が終始堂々巡りで、ラストは救いようがない。もっと生きる元気を与えるものを期待していたのは私だけか。唯一共感出来たのが父親と長男の対話に入って正論を言った娘の台詞でした。

  • 満足度★★★★★

    一幕の濃密な会話劇。台詞の応酬は迫力があり圧倒される。戦後1年という混乱期であるが、日常の生活は足元にあり、当初交わされる会話は淡々としている。家族が食卓を囲むが、団欒の場でそれぞれの主義・主張、心情が吐露されるにともない、物語は最高潮に達したその先にある出来事は...。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    舞台は中央に木製の横長テーブルと椅子、そして裸電球が吊るされている。上手側に木机、下手側は低位に囲った衝立の奥に、粗末な炊事場のようなもの。上手・中央・下手のセットの下に穴がある。この部屋は遠戚に借りているのか、自宅なのか判然としなかったが、いずれにしても屋根裏という設定である。
    防空壕を掘ったのは自分であり、それを埋めるのも自分の責任である。空襲で焼けた家を建てた時の建築費の取立ての場面もあるが、台詞に遠戚から借りているともあった。屋根裏、その「廃墟」のような所が、当時の日本人の心、日本という国そのものを表しているようだ。この場所同様、日本(人)の拠り所は、敗戦という混乱期にある仮の姿(錯乱)なのか、自宅という屋台骨(魂)も燃え尽きたのか。

    父、長男、次男とその妹、その4人がそれぞれの立場で主義・主張を言い張る。4者4様の思いは当時の日本人が思っていたことを代表しており、それは現代にも通じるところがある。父は大学の(日本)歴史学者であり、自分も含め戦争回避出来なかったこと、無作為で知らず知らず戦争へ向かわせてしまった自責の念にかられている。そして闇市の食料は食さず栄養失調になっている。長男は脱資本主義(左翼思想)を掲げデモを計画しており、戦時中は反政府活動のため投獄されていた。自分達だけが反戦活動をしていた良識人と思っている。理想を唱えるが、日々の生活費は微々たるものしか入れない。次男は父、兄のように未来展望を描くのではなく、日々の生活の糧を得るため闇市から物資を調達している。粗暴な振る舞いなど刹那的な生き方である。妹は父、兄達の激論に嫌気がさし、家族仲良くという事なかれの哀願をする。相互に批判し合う姿は、日本(人)の混沌とした状況を映し出す。

    物語は国家観の違いという骨太な内容、それを緻密なプロットと濃密な会話で描いているが、一方、個人的な恋愛感情を持ち込むことによって社会(国)と人間(個人)という観点の異なる出来事を同一場面で表している。色々な事柄を綯い交ぜにし収拾がつかないことが、当時の混乱を表しているようで観応えがあった。

    基本は会話劇であるから動作(演技)が限られるが、穴を利用し出入りさせることで立体感を出し単調にしない、また電球のヒューズ交換という照明効果を入れるなど演出も上手い。そして議論(激高した怒声と観るか、力み過ぎと捉えるか)が高じ、最終的には暴力という人間の本性が露になるような...。

    次回公演を楽しみにしております。
  • 満足度★★★

    初めて観る団体だったが、かつてのガジラファンだったのと、前回の公演の口コミが好評だったのとで期待値が高かった。
    ウェルカムな心持ちで観ていたはずなのだが、学生が帰る辺りから足りないものを埋めながら観ている自分に気づき始め、次男の登場で若干盛り返すものの、全体的に求心力、軸を欠いているように感じた。

    座学、ディベート、演出などが不足しているのか、熱量そのものが目的化しているかのようで、台詞が刺さりきらないのが気になった。
    渡しきらずに諦めを漂わせてしまうとやり取りが重くなる。
    敢えて行き詰まった感を選んだのだとしたらあまり賛成出来ない。
    NHKでカラー処理された戦後の群衆の映像を見た時、当たり前なのだけれどその「リアルさ」に衝撃を受けたのを思い出す。そこには悲壮感より命のしぶとさ、逞しさすら感じた。
    暗さ、湿度的なものが全体を覆ってしまったせいか、演者の身体も語らず、ストレートな内容なのに悪い意味で状況が分からない瞬間が散見された。

    期待値が高いがゆえにネガなコメントが並んでしまったけれど、さらに発展させ、媚びずに独自性を追究してくれることを期待したい。

  • 満足度★★★★

    「どんなことをしても生き抜く」が「戦後の奇跡的な復興」につながったのではないか、を感じた。

    三好十郎の作品はどれも骨太である。
    したがって生半可には扱えないのだが、今回は自分たち用に脚本を書き直すことで、自分たちができ、観客に伝えられることができる作品に上手く仕上げていたと思う。

    ネタバレBOX

    少し固いのかギクシャクしたようなやり取りが続き、どうなるものかと心配したが、先生の義理の弟が出てきたあたりからようやくエンジンがかかったような印象。
    一気に面白くなってきた。

    自らに「一人分の戦争責任がある」として、学校を休職し、ヤミの食料は食べない先生は強いと思っていたが、どうやらイヤなモノから目を背けるようなところがあるようだ。家の建築代金を取りに来た女とのやり取りでそれが現れてしまった。取り立ての女の前から姿を消すように防空壕に降り、対応を同居する女性に任せてしまう。
    それが先生の狡さであり、戦中の行動、つまり戦争に反対と考えているのだがそれを表明することができなかった先生の行動に重なってくる。

    ヤミを食べないとしても実際は食べているようだし、休職していても歴史の研究をしたいなんてことを言っていたりする。「御用学者」と言われれば、自分には「一人分の戦争責任がある」と言いながらも、それにつばを飛ばしてに反論する。

    かつて別の劇団で同じ演目を観たことがあるが、そのときには「頑な人」という印象が先生にはあった。
    しかしこの公演の先生には、戦中も戦後も理由をつけて「逃げている」ように見えてきた。
    そして家族や周囲には迷惑を掛けているのだ。

    先生宅には次々と登場人物が現れてくるが、いずれも戦後の日本人を象徴するような人ばかりである。
    特攻帰りで自暴自棄になりながらも逞しく生きる者、特高に捕まり逆に獄中で共産主義を固め、その道を邁進しようとする者、何も考えられずに右往左往している者、正気を失い惚けてしまった者等々。
    その人々が混じり合い、ぶつかり合いながら現在の日本を作ってきたのではないだろうか。

    先生の主張する歴史の見方(「外からの力がない歴史観」)は興味深い。それは理想であろう。歴史は過去を語るということなので主観が入ってしまう。主観には外からの力は入らざるを得ない。したがって先生の理想は達成することはできないのではないか。
    その「理想」を求める先生という存在は、浮き世離れしていると言っていいかもしれない。

    先生とその息子たちは驚くほど議論好きだ。議論をしたいだけなのだろう。
    その議論は、娘の「大切なのは(議論ではなく)人と人との信頼」という一言にかき消されてしまっている。しかし彼らの耳には届かない。
    その議論は今も続いているのではないだろうか。その「問い」の「答え」は未だ見つかっていない。

    先生宅のパンをすべて食べ、犬小屋にいたところを捕らえられた男は、一言も発しない。
    先生たちの議論をぼうっと観ているだけ。
    そして議論の末の乱闘の後、誰にしているのか頭をしきりに下げる。
    この男とその様は、戦争という大きな問いに未だ答えを見出せないまま、とにかく頭だけ下げている現代の私たちの姿なのかもしれない。何が悪かったのかを、きちんと突き止めないままに、とりあえず頭だけ下げている姿。

    以前観た『廃墟』は2時間半を超えていたと思う。
    フライヤーや当日パンフに「上演台本」とあるように、原作に手が入っているようだ。
    先生の弟は、少し軽薄なぐらいのノリの良いもっと軽い人だったように思うのだが、その「浮かれた」ようなトーンは控えめになっていた。
    先にも書いたとおりに、先生宅に登場する人々は終戦後の日本の縮図のようだったので、新しい文化に触れ、自由になったという開放感から浮かれてしまった人もいたほうがよかったように思う。議論好きな先生と息子たちの対比としてもそのほうが印象深いと思うのだ。
    また、長い台詞が整理されていたり、現代の観客が耳で聞いてわかりにくい言葉は削除されていたようだ。
    さらに劇場の構造に合わせて先生宅を「屋根裏部屋」にしていたのではないかと思う。

    いずれにしても上演台本にしたことで、観客としてはヘンに引っかかるところがなく、作品に集中できたのではないだうか。
    つまり、今回は自分たち用の脚本に書き直し、自分たちができ、観客に伝えられる作品に上手く仕上げていたと思う。

    先生には静かに「生きること」を放棄しているような「ズルさ」があるのだが、彼以外は「どんなことをしても生き抜く」という気概が溢れていて、それが「奇跡的な戦後の復興」につながったのではないか、ということがうかがえた。

    当日パンフには役者名のみで役名がないのでどなたが演じたのかはわからないが、先生の弟役の方がいい感じではあった。あったのだが、先に書いたとおり先生の弟のキャラが少し異なっていたので、後半はあまり印象に残らなかったのが残念。
    また先生と2人の息子たちの激しい議論のテンポがとても良かった。しかし激論のときにのみ面白く、そうでないとき(冒頭とか)にもっと観客を惹き付けてほしいと思った。
    先生のところに同居している女性役の方の微妙な位置づけが上手く出ていたと思う。

    それとシンプルなのだが、微妙な加減で徐々に暗くなっていく室内と、電球の明かりの様子、さらにその中で、観客の観劇の邪魔をせず登場人物をきちんと照らす照明がとても良かった。
  • 満足度★★★

    鑑賞日2018/03/14 (水) 19:00

    価格0円

    チケプレをペアでいただきました。ありがとうございました。
    感想は遠慮なく書きますのでご了承ください。

    久しぶりの阿佐ヶ谷、久しぶりのシアターシャインでした。
    入ってみると「こんなに狭かったかな?」と思うほど。席は50席ぐらいでしょうか。

    ネタバレBOX

    さて本劇は唐突に始まり唐突なところから演者さんが出てきます。
    あれはシャインの構造ですよね?セリとは思えませんので収納庫でしょうか。

    お話しは終戦してから日本は食料が十分に配給されない日が続き、そして理想と現実がかけ離れ未来の見えない家族の姿を描いていました。
    かなり意見と意見がぶつかるドストレイトな会話劇です。

    振り返ると「その当時はそういうこともあったろう。たとえ共産主義者が戦争を止められたとしても別の厳しい日本もあったのではないだろうか。いまの日本はあっただろうか」と私にはそう思わせる作品でした。ただし作り手がそういったメッセージを伝えたかったとは思いません。

    終盤は怒鳴り合うシーンが多いのですが、役者さんは声を張り上げ過ぎと思います。意見を言い合う力強いシーンは胸打ちますが、小さな劇場では声が大きすぎると台詞も耳に入らず不快になってきます。
    これは今回が例外ではなく他の劇団にもみられることです。そういった演出でしょうけど、もう少し台詞がすんなり入りやすいトーンをご考慮いただきたいです。

    今回は連れに感想を聞きましたが、ほぼ同じでした。
    よかったところも同じ。「あの次男の俳優さんよかったよね」。
    声の大きさも丁度良く、演技も非常に見ていて安定していました。お名前は草彅智文さんでよろしいでしょうか。

    救いのない終わり方には抵抗はありません。ただもう少し話の流れに「変化」が欲しかったです。
    堂々巡りになっていて、話は殆ど進んでいきません。
    棟梁の娘、犬小屋にいた男も一瞬の登場だけでなく、その後の展開につながる役目を持ってもよかったのではないでしょうか。

    希望を言えばあの家族にひとつの光が欲しかった・・そこから復興日本を想像してみたかったです。

この公演に関するtwitter

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  1. 夜桜の下の日本は廃墟です #俳句

    6年以上前

  2. ただの廃墟じゃねーかwwwwwwwwwwww

    6年以上前

  3. 【0324 本日の一冊】 全てが終わりを迎えた世界。ふたりぼっちで旅に出る つくみず『少女終末旅行』 廃墟都市をさまよい、上へ、上へ 「テッケンクラート」に乗って始まった二人の旅もいよいよ終わりを迎えます 2017年にア… https://t.co/1DD7ShaUQD

    6年以上前

  4. 血糊とか使ったり鬱系グロ系(ダーク系?)とかはあえて白廃墟で撮影したい人。 白廃墟の澄んだ空間に紅色って絶対映えると思うんだよね〜〜。 透明感だけど仄暗い雰囲気。 そんな創作をしてみたいな…。

    6年以上前

  5. すぐそばに建つ廃墟のような小学校 https://t.co/U7ytRwbQ2r

    6年以上前

  6. @relate666 @himemiya_ran なんですかこの廃墟感!!素晴らしい!!

    6年以上前

  7. 麻耶観光ホテル「マヤカン」廃墟ファン永遠の憧れ② https://t.co/Xgm3iWJqSc

    6年以上前

  8. @eastbraker ほら、どうしても俺がホテルを作ると廃墟の名前から取ってきちゃうのよ() 望洋楼とかニュー長門とかさ(

    6年以上前

  9. アメブロを更新しました。 『【イベント】変わる廃墟展2018に行ってきた! 前編』 https://t.co/8PP9KW9aWt

    6年以上前

  10. 暇な人??? 廃墟いこ

    6年以上前

  11. マジデ廃墟の地英語どこにも売ってなくてウケる

    6年以上前

  12. ユキナさん、じゅんなさんと 廃墟コンカフェか屋台コンカフェ やるぞ~~ 1ヶ月で潰れるかも・・・・ https://t.co/uEktTNRdW7

    6年以上前

  13. タカ:廃墟を歩こう的な本に俺たちの基地が紹介されてた

    6年以上前

  14. 【食べやすいパンの特徴】覚醒大氷パンフリザーニャだ(雪山の廃墟に住むマトーニャパンが陰りのパンの力によって悪の力が覚醒した)

    6年以上前

  15. 新世界のあの廃墟にはまだギンティさんのパンツがあるのか。新世界なんばから歩いていけた距離だけど怖いから確認には行きたくない

    6年以上前

  16. 大観音寺の御本尊《純金開運寶珠大観世音菩薩》 高さ33メートル、金箔を貼った観音像。 大観音寺はバブル期に流行した仏教テーマパークの先駆け的な存在。 その後、全国にこのような施設が作られたが廃墟となったところも多い。その意味では… https://t.co/E1kAdXPxf3

    6年以上前

  17. クラーコの廃墟観光、街の修繕のためにどんどん宣伝してくれって言われたけどたくさん見てもらうにはタグとか付けまくればええんかな。良い写真撮れてれば文章とか関係無い気もするけど

    6年以上前

  18. 廃墟探検怖かったなぁ、、、このマネキンはほんとに謎だった。 https://t.co/xqyC15EJC2

    6年以上前

  19. 趣味が全く合わない夫婦ってどうしてる?私は廃墟、ゲーム、マンガ、パソコン、編み物、園芸と多趣味なんだけど。旦那は無趣味。ゲームなんて子供の頃から一度もやったことない。漫画も同じく。PS4買ってワクテカしてるのに全く伝わらない。

    6年以上前

  20. 誰もいない廃墟で飯を食いたい人生だった

    6年以上前

  21. 当然です。ゴーストタウンというのは、もともと人の住まなくなった廃墟の街という意味で実際に幽霊がいるわけではないのです。

    6年以上前

  22. ホライゾンゼロドーンみたいな衰退して廃墟と化して大自然に埋もれた現代建物に機械の獣っていうのとか、さっきみたいなゴッドイーターの石の建物が燃えながら溶けるとか、そういうの結構ときめく

    6年以上前

  23. ↓すげえ。外観は完全に廃墟だけど、湯船のあるところはしっかりしてるみたい・・・

    6年以上前

  24. @wgyu22 やった〜〜〜〜撮らせて〜〜〜〜〜〜!!!!!ちょっとまじで廃墟もいきたいし黄昏時の海にも連れ出したい大外無理聖人🙏🙏🙏 神絵師ではないですけど全員カワカワ絵描きたいです!!!!!!!!

    6年以上前

  25. ちなみにCageのPVのイメージに合わせて廃墟ちっくなとこで撮ってまいりました。 外の撮影でも結構できるもんだね〜。 ベースは今の相棒の5弦で、演奏してるという意味では初お披露目でございます。

    6年以上前

  26. ひよ夜はほんと廃墟とかめっちゃ行くし夜ちゃんほんとにそういう所好きだしで該博くそ多い

    6年以上前

  27. ⚠︎コスプレ 【FGO】 女王メイヴ 第3再臨 photo:たまささん@msh035tsr studio:笹塚廃墟スタジオ メイヴ ちゃんやってきました♡ https://t.co/E2LnPEje2H

    6年以上前

  28. 日本全国、廃墟が目に飛び込んでこないリゾートはほぼ皆無なのね・・・・ https://t.co/O8BmaXlzIl

    6年以上前

  29. 安くて美味しくて客の民度が低い廃墟中華料理屋来てます。

    6年以上前

  30. 核戦争とか世界大戦終結後の廃墟と化した世界を探索する的なのいいよね。荒廃した世界の中に昔の文明が窺える朽ちたものや美しいものや物騒なものが散らばったりしてて。

    6年以上前

  31. 現代に起こる不可解な怪奇現象見ると反射的にSCP系!と思ったり古い遺跡や廃墟を見るとだくそマップ!と思っちゃうのもミーム汚染ですね

    6年以上前

  32. @okmt03_ri なんじゃと(´゚ω゚`)せこいせこい廃墟いいな てかうさぎ可愛いすぎやろ。。やっぱ噂の通りわんさかおるん?笑

    6年以上前

  33. 百年の孤独 蜃気楼の村マコンド。その草創、隆盛、衰退、廃墟と化すまでの百年を通じて、開拓者一族ブエンディア家の、受け継がれる運命にあった底なしの孤独。絶望と野望、苦悶と悦楽、現実と幻想、死と生、すなわち人間であることの葛藤をことごとく呑み尽し…。20世紀の、物語の豊潤な奇蹟。

    6年以上前

  34. そういや廃墟とスイーツ!気づけばキャラシ締切あと1週間だよ〜!よろしくね〜!

    6年以上前

  35. 廃墟周回の理想と現実 EX指輪くーださーいなっ 上アンプルでもいいです(2度目のねだり https://t.co/vI96sKZ0DI #花騎士

    6年以上前

  36. @_____assassin__ うう、…誰か、いませんか?(がしゃん、。玩具の壊れるような音をあたりに響かせて廃墟を見渡す異形の少女。視界の端に見えたような艶やかな黒髪を追うように空を見上げれば、隠れる貴方の方へそうっと声をかけ… https://t.co/YEeFnTCD6T

    6年以上前

  37. ァア…廃墟

    6年以上前

  38. 廃墟ファン待望の探索ADV『HomeSick』プレイレポ―無人の廃墟から闇に怯えながら脱出 https://t.co/sXSWGdSlhE

    6年以上前

  39. 30%OFF廃墟だオラァ! 新年ワイスはだるま投げた後のニッコニコな表情がいいね https://t.co/IBZzxTt06N #花騎士 #フラワーナイトガール

    6年以上前

  40. みんなの遠足ログ♫ 「松尾」廃墟界のコンビニかっ!てくらい次から次へと人がログインしてくる。本当に次から次へと。中には一家そろってくる猛者も。  投稿者:えぬびー https://t.co/nac2mF06wS

    6年以上前

  41. 廃駅にも春の花は咲くと知って。 駅という制度の死は迎えても、そこにある物体と自然は何ら死を迎えてないと知って胸が暑くなりました。 廃墟でも四季は巡る。 https://t.co/Bn23SR7sX7

    6年以上前

  42. 遺跡とか絶滅動物とか廃墟とか寂れた博物館とかが好きなのはオワコン萌えみたいなとこがあるのかもしれず、そこに人が集まってくるとなんか逆に醒めるのかもしれず、ジャンルも衰退してるのが良かったのかもしれず、でもやっぱ恐竜は好きだしなあ。

    6年以上前

  43. 吸血鬼隆はもともといた神父と仲が良くて死んだ神父の代わりに廃れてく教会と神父が愛した街を守るために住みついてるか、効率よく血を得る為に神父を殺して成り代わったか、もともと廃墟になりかけの加護もクソも無くなってた教会に体良く住み着いたかのどれか(差が激しい)

    6年以上前

  44. 沖縄のガマの情報を募集します。 DM等で情報ください  ♯心霊スポット  #沖縄 #廃墟

    6年以上前

  45. そんなことより、桜の季節になって、ここの廃墟の前通るたびに、杜甫の「春望」の一節、「国破れて山河あり 城春にして草木深し」が頭をよぎるのである。 https://t.co/Qc2l25nFXl

    6年以上前

  46. 今日はイクサラン(¥216)8Pとイクサランの相克(¥162)18Pでヴラスカの侮辱、殺戮の暴君、レギサウルスの頭目、宝物の地図、廃墟の地、フェニックスFoil、レインジャー、クメーナとかゆう爆アドパックで4000円近くお金増えた

    6年以上前

  47. 廃墟でも行きたい

    6年以上前

  48. @shinkaigyo0526 笹塚という所で廃墟撮影ができるみたいなんです!フォロワーさんが登録してくださいました!

    6年以上前

  49. 今朝みた夢 廃墟のような場所にある鏡の前。そこで、紐の束を決められた色で決められた順に染めてその鏡に映すと、鏡に映る景色の中に古ぼけた井戸が現れ、そこから女性の怨霊が這い出てきて呪い殺されるらしいという噂を確かめるために、実際に紐の束を染めてみた。

    6年以上前

  50. たけたんが歌ったら私たぶん人間廃墟になるよ #anadeep

    6年以上前

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