コーラないんですけど 公演情報 コーラないんですけど」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-9件 / 9件中
  • 満足度★★★★

    兎に角、役者さんの演技に引かれた。
    シンプルだが深みのある演出。。それを最大限に表現していた3名の役者さんのポテンシャルの高さに満足のいく舞台であった。

  • 母と子の役が劇中に何度も交代する演出はビビった。三上晴佳と工藤良平の演技に拍手。小学校の同級生、コンビニ店員、民間軍事会社のマスコットガール「まもりちゃん」など、幾つかの役で飛び道具的な役割を果たす音喜多咲子の存在も素晴らしい。
    後半にたたみかけるような伏線回収の勢いにやられた。

  • 満足度★★★★★

    ■約85分■
    男児として母から生まれた者として、胸を引きむしられるような思いで鑑賞しました。

    ネタバレBOX

    息子を持つ母の痛々しいまでの親バカぶりを生々しく描くかたわら、軍靴の響きが高まりつつある世相を鋭く抉った、じつに見応えある一作でした。
  • 満足度★★★★

    高校演劇の流れからか、ナベ源の舞台は装置が簡素で無対象(小道具を使わず「有る」体でやる)演技も多い。その「約束事」を逆手に取り?演技がカリカチュアライズな、コミカルな質感を伴い、「これはお芝居です」の範疇に止まる感が冒頭から既にある。にも関わらず舞台上の役者は笑っておらず真剣そのもの、題材もシビアでやがて観客も笑えなくなる、というパターン多し。
    今回の舞台も例に漏れず、クスリと笑える場面満載だが全体にはシリアスのトーンが支配し、順当に、話はシリアスの線をなぞるべくなぞって行く。
    「貧困」を描いてはいないが母子家庭をモデルにした時点でその要素あり、案の定、でもないが、「戦争」が身近に存在する未来へと話は直行する。ていの良い徴兵制(誘導型)が如何にも無垢なマスコットガールに誘導される形で実質化している様も、「マイラッキーナンバー」などという歯の浮くネーミングも、無さそうでいて将来「有る」状況が想像された。あの青年のように八方塞がりな状況では、歯の浮く綺麗な言葉に、見せかけの笑顔に、乗ってしまうだろう。なぜなら、そこの他には彼の「立つ瀬」などどこにも無かったからである。
    タブレットのゲームに興じる彼のルーティンな動作、時々相手を倒す瞬間に連打する力の入れよう、相手が倒れた時の瞬間的な爽快・安堵感、それらは彼がゲームに向かえば必ず得られる安定したサイクル(+ちょっとした臨場感)であり、「何もしない」怖ろしい時間を回避するため、彼はそれをし続ける(か食べるか寝る)しかない。その事がありありと滲んだ、半分ふてくされた表情。怠惰と浪費と罪悪感から抜け出せない地獄を、膠着した表情の向こうに見る思いがした。
    三上氏と工藤氏による母子の劇は淡々と進み、級友や店員やマスコットキャラ等の音喜多氏と、日替わり助っ人が脇で笑わせるが、基本的には静寂のある劇で、説明的でない。音楽は限定使用、転換他の間は埋めず、声も張らない。だからぼんやり見ていると単純素朴な芝居だ。が、実はそこかしこに、ドラマを立体的に浮上させる鍵となる場面や台詞が仕込まれ、ラストにはしっかりと実を結ぶ。
    一介の小さな「家族」であった二人が世界の中に取り残されたような最後、母の口から小さな「後悔」の声を聴いた時、私達は彼らを包み込むもの(毛布、的なものだろうか)を、無対象に持ちながら手をこまねいている自分を発見する。

  • 満足度★★★★

    面白かったです。年明け1本目にちょうどよかったです。

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2016/12/30 (金)

    三上晴佳さんと工藤良平さんにあて書きしたというだけあってドンピシャのキャラ。
    少し歪んだ“日本の母子”が、“世界の現実”の濁流にのまれて行くさまが描かれる。
    「この子の代わりに私が戦地へ…!」という愚かな母親がリアル。
    それにしても音喜多咲子さん、3月に卒業式かってほどランドセル似合い過ぎ!

    ネタバレBOX

    母親が過剰な期待で次々と習い事をさせた結果、
    ひとり息子はネットでゲームするだけの引きこもりになる。
    何でもいいから仕事してほしい母親が持ってきた話は、
    紛争地へ物資を運ぶという名目ながら実は戦闘員だった。
    母子は厳しい現実を前にして、初めて引き離される。
    そして数年後…。

    母子の過去のやり取りが、役を入れ替えて演じられるのが面白い。
    三上晴佳さんが幼い息子を、工藤良平さんが若い日の母親を演じる。
    母子が互いに無邪気だった時代が描かれ、その行きついた先がこれか、と思わせる。
    三上さんの子どもが絶品。
    単に子どもの口調を真似るだけでなく、思考の幼さを表して巧み。

    母親は常に傍にいるもの、そして拒絶するもの、と決めている引きこもり息子が
    初めて社会に放り出されたらそこは紛争地域だった、というギャップの大きさ。
    工藤良平さん演じる若い母親に深い思慮は無く、ただ愛情表現が
    子どもの才能に期待して習い事をさせることに集中しているというアンバランス。
    そして武器を携帯した男が普通にコンビニで買い物する近未来の日本、という設定。
    すべては声高な変化ではなく、“日常の延長線上に存在する”ところが怖ろしい。

    物流だけだと信じるノーテンキな日本は、やがて武器を持たされて
    “やられる前にやらなければ殺される”状況に飲み込まれるだろう。
    帰国した息子が目にした母親は、もう自分を息子だと認識すらできない。
    老いた母親にかける言葉もない、息子の眼差しが本当に切ない。
    近いうちにコーラやゲームなど人気商品は戦地でしか買えない、という
    笑えない社会が現実になるかもしれないと思わせる。
    作者の危機感がひしひしと伝わってくる作品。
  • 満足度★★★★

    鑑賞日2016/12/31 (土)

    ネタばれ

    ネタバレBOX

    渡辺源四郎商店の【コーラないんですけど】を観劇。

    青森を中心に活動している劇団。

    母子家庭で、子育てに上手く言っていない母親。
    息子の為にと、ピアノ、ヴァイオリン、水泳などのお稽古事を習わせるが、無理強いさせているからか、ことごとく拒否されてしまう。そんな息子も成長と共に引きこもりになってしまい、ネットゲーム三昧だ。
    そして将来を案じて、親戚に頼んで仕事の面倒を見てもらうのだが、それが紛争地域での派遣活動だったのだ.....。

    日本が紛争地域で行っている派遣活動を描いている作品で、それに残された家族を描いている。
    母子家庭ながら、母と息子が過ごした楽しかった時間、自立する息子、母との別れ、そして【瞼の母】という流れにはせず、母と息子が過ごした辛い時間、引きこもり、自立すら出来ない息子、そして親子関係すら破綻してしまうという負の出来事だけをあえて描く事によって、母と息子との何十年ぶりの再会には心を揺さぶられてしまう。
    では何故?、あえて楽しい思い出ではなく、負の出来事だけを描いた後に、家族を離れ離れにして、悲劇に落して行くのか?
    そんな疑問を考えながら観ていくと、作家の意図が思う存分伝わってくる作品になっている。

    傑作である。
  • 満足度★★★★★

    母親とゲーム好きの息子の絆と感動のうさぎ庵仕込みの会話劇という感じ。

  • 満足度★★★★★

    そして、切ない。

    ネタバレBOX

    副題が「正義のテロリスト」というシューティングゲームで鍛えた腕を見込まれたニートが、軍事から民間までを扱うセキュリティ会社に入って紛争地域に行く話。

    コーラって時々無性に飲みたくなりますが、そんなコーラが品薄で、戦地のコンビニには置いてあるなんてずるい作戦です。

    力いっぱい世話を焼いていた息子が急にいなくなったこともあってか、戦地に行っている間に母親が痴呆症になっていたのは切ないですね。

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