満足度★★★
鑑賞日2017/01/13 (金)
安喰家の3人の他、中国人の農業研修生、姉に好意を寄せる農家の男性、東京から出戻って来たホスト崩れ、大阪から流れて来たCD屋夫婦、等の登場人物たち。
誰もが「幸せ」を求めて、日々、悪戦苦闘していたのですが…
ある出来事がきっかけとなって、それぞれが有する「幸せ」への希望も、ささやかながら有していた現在の「幸せ」さえ、台無しになってしまいます。
しかし、不甲斐ない自分への怒りを他人にぶつけるしか術のない、不器用な人たちが、それでもなお…
農家が主役であること以外、何も共通点は無いものの(苦笑)、一家で「約束の地」に旅立つ、スタインベックの『怒りの葡萄』の一節に、ふと思いが巡った95分。
何気に心震わされる作品でした。
満足度★★★★
初・桃尻犬。襖と木柱、畳、隅っこに「メロン盗むな」の文字が書かれた板(の一部)。取っつきにくいと想像した「農家」の話に冒頭から入り込んだ。いがぐり頭の実直な長男の(戯画的なまでの)一本気(=歳の離れた妹の親代わりを自負する生き様)、「地方」の物質的時間的条件を生きる人物たちの生活感が、「農」を茶化すのでない笑いを生み出していた。
地方の感覚を「脳天気さ」「ゆったりのんびり感」だとするならば、漫才にたとえればボケの一つのタイプと言え、「都市感覚」をもつ観客に突っ込ませるボケ的言動が舞台上で展開する格好であるが、地方=あちら様に括りながらそれらは人間が等しく持つ要素。「見たくない」己の一部を他者に仮託して笑うのが「笑い」であって、話が身につまされるに従い、「笑」ってる場合でなくなる。
だが、総じて言えば「笑い飛ばす」べく綴られた、人間共の物語。
満足度★★★★
鑑賞日2017/01/18 (水)
価格3,000円
18日午後、下北沢のOFF・OFFシアターで上演された桃尻犬冬の公演『メロン農家の罠』の千穐楽を観に行った。これは、知人の役者・嶋谷佳恵が出演していた関係からである。
これまで幾つも舞台を観てきたが、この舞台のようにインパクトのあるタイトルとフライヤーのデザインは初めて。どちらかというとコメディー的な内容なのかと思ったのだが、確かに笑える場面も数々あったが、本質的にはかなりシリアスな内容であり、上演時間95分が短く感じられた秀作の舞台であった。
話の中心は、幼くして両親を亡くした1男2女の兄弟が営むメロン農家・安喰一家。まぁ、次女は小五の設定なので実際には農業に従事しているわけではないが、この次女・乃愛琉(ノエルと読ませる)が舞台の重要な存在となる。10年間もメロンを盗まれている安喰一家には、中国人従業員・劉がいて、毎年メロン泥棒退治の仕掛けを作っている。安喰家の長女・美津子を好く近所の山岸は結局は結婚することになるが、美津子は堀淵という一家と付き合いのある男性と浮気もしてる複雑状況。安喰家の大黒柱・怜音(レオンと読ませる)は、人の良い実直な男で、いや実直すぎて合コンでも相手ができない。そんな一家に嵐を巻き起こすのが次女の乃愛琉。万引きし、その理由の本音を兄にぶつけ、兄も本音を吐露する。結局、一家三人の本音のぶつかり合いでギスギスしたことになるが、メロン泥棒が捕まり(仕掛けで目に怪我をさせてしまうが…)、次女がメロン畑にガソリンをまいて燃やしてしまうという行動を通じて、一家に絆が戻ってくる。
本音のぶつけ合いシーンは時に絶叫ありのかなりシリアスなもので、観ていて心が締め付けられたり…。所々で織り込まれた笑いのシーンがその緊張感をほぐしてくれる。
役者としては、難しい次女役の徳橋みのりの演技が秀逸。長男役の森崎健吾と長女役の嶋谷佳恵の熱演も光る。
脇役として、乃愛琉が万引きをするCDショップの夫婦も登場して、舞台に緩やかな風を注ぎ込んでいた。
舞台を大小2面に分けて進行させる演出は、小劇場の舞台の使い方としては上手かった。脚本も変な小細工を使わず正面から勝負を挑んでいて気に入った。この桃尻犬という劇団(ユニット?)、なかなかの実力とみた、次回作も観てみたい。
満足度★★★★
鑑賞日2017/01/18 (水)
差別など、あらゆる価値観を相対化していく視点が面白かった。
未来への希望のなさ、人間への幻滅なども、とても共感した。
作家・演者にとっても、切実な問題なのだと思う。
役者さんたちの力の入った演技がとてもよかった。
満足度★★★★★
鑑賞日2017/01/17 (火)
人との関係で、そこまで言っちゃだめだろうと言う事をガンガン言い合い、パワフルな負のオーラ全開で不幸へと突き進んで行く。ほのぼのとかハートウォーミングなんて要らない、こんな作品が好きです。
満足度★★★★
狭い世界の物語であるが、その向こうに現代都鄙の問題が垣間見えるようだ。日常の生活をデフォルメして奇妙に描いているが、そこには「人」を表出、息をのむような生々しさが…。登場する人物の本音にざわざわし息苦しさを感じる。そぅ、「自分はこういう人間である」という叫び声である。この肉体と性格を持って生まれ、こう思っている、感じているという強烈な主張のぶつかり合いに緊迫感がある。平凡な生活に僻々している、その裏返しにメロン泥棒という刺激を与えることで物語を牽引する。
この物語は東京近郊の農家を舞台にしているが、シチュエーションこそ違うが、1980年代のある映画を想起してしまう。青春群像劇ならぬ猥雑な土着群像劇は見応えあった。
(上演時間1時間35分)
満足度★★★★★
コミカルなのにシリアス、そしてブラック。イイですね~、好みです。
役者の皆さんの演技も素晴らしく、ストーリーも面白かった。
気になるドラマの収束も、「なるほどね」と、納得の結末。。。
満足度★★★★★
鑑賞日2017/01/15 (日)
ほんわかした部分と過激な部分が絶妙にミックスされている面白ステージでした。あの一家とまわりの人の今後に関しては、心配で仕方ありません。登場人物全員が個性的。
満足度★★★★
観てるうちに気持ちがざわざわしてきて、なんとなく居心地も悪くなってきて。劇場出たあともモヤモヤが残って。
そういう意味では余韻はあったってことかなあ。
ただやっぱりすっきりはしないので、いつまでもモヤモヤ。モヤモヤ。
満足度★★★★
鑑賞日2017/01/15 (日)
価格3,000円
いい作品だとは思うのだが、終始重い展開と救いが無さ過ぎる部分が好みに合わない。このちょっとしたズレを感じるのも観劇の楽しみという事で。俳優陣は皆良かったが、特に村上誠基と徳橋みのりの作品への寄与が大きいと感じた。
満足度★★★★
鑑賞日2017/01/14 (土) 14:00
いや~面白くて馬鹿っぽい会話に何度も笑いました。
馬鹿な人々(普通の人々でもある)が誰一人幸せになれずに終わるんだけどね
10歳の女の子が言うように、人間によってつくられた人間だから幸せになんて
なれる訳がないと、ホントに思える位、猥雑でノーテンキな登場人物の展開。
もの悲しい気も若干ありながら、0からでも同じテンションで生きていけると
想えるくらい、馬鹿で元気な感じが良いです。配役もみなさんピッタリだったね!
満足度★★★★★
野田氏の脚本、演出のセンス、そして魅力的なキャスト、とにかく良かった。
何だか恥ずかしくなってしまう台詞も乱暴にだったりコミカルにだったり、しかし繊細に隠されていてにくらしかった。
『誰が悪いのか』、グルグルと頭を巡ったが答えは出なかった。
櫻井みず穂の活かし方が上手い!
僕が初めて彼女に『笑撃』を受けた倍の衝撃がありました。是非またこんな彼女が見たい。
そして徳橋みのり、彼女に何度もグッと来させられました。終盤の叫び、刺さりました。素晴らしい女優です。
大満足。
満足度★★★★
チラシからの想像だともっとふざけたドタバタコメディかと思っていて そのイメージが良い意味で裏切られた。
妹役に共感してエグられたけど、笑いも沢山あって面白かった。
満足度★★★★
ストーリーも笑いもテンポが良く楽しめた舞台だった。
前半はコミカルなのだが後半に向けて段々と雲行きが怪しくなりはじめ・・・・
幸せになりたいという希望を叶えてあげたかったなぁ。
満足度★★★
桃尻という単語を初めて使ったのは、橋本 治ではないか? 桃尻娘はシリーズ化して映画にもなった人気作。東大在学中に”とめてくれるなおっかさん背中の銀杏が泣いている 男東大どこへ行く”というフレーズを編み出し一躍有名になった。タッパは80以上あるだろう。結構ガタイも良い。その彼の趣味は編み物。