メロン農家の罠 公演情報 桃尻犬「メロン農家の罠」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2017/01/18 (水)

    差別など、あらゆる価値観を相対化していく視点が面白かった。
    未来への希望のなさ、人間への幻滅なども、とても共感した。
    作家・演者にとっても、切実な問題なのだと思う。
    役者さんたちの力の入った演技がとてもよかった。

    ネタバレBOX

    観劇後にいくつか考えたことを列記。
    〇前半はとても面白かったけれど、後半、面白さが減った気がした。「差別」を生むのは、人と人との価値観のズレから生じるものなので、そのズレの際どさが前半の面白さを作っていたと思うのだけれど、後半はあらゆる価値観が崩壊していき、カオスになってしまう。それによって、ズレからくる面白も無くなってしまったように感じる。
    また、ある構築されたものが解体されるというのも、ひとつのドラマツルギーの典型のため、典型だと悪いという訳でもないけれど、驚きがなかった。
    〇差別や偏見を扱うことのキワドさについて。ギリギリで成立していてよかったけれど、この脚本がどれほどギリギリかという点へ作家が自覚的であるのかというのは、どちらとも取れる。差別的視点を自覚的に書いてこの本の可能性もあれば、無自覚的の可能性も。具体的に言えば、「工業高校出身」(学歴)であるとか、「ヤンキーで早く子供を作ったから、変な名前を子供に付けた」などの部分。扱い方をちょっと間違えば、これこそ差別で。また最後のオチを「ヴェトナム人」にするところとかも。もちろん、ギリギリでどうとでも観客が受け取れるというラインで成立しているから問題はないのだけれど。逆に言えば、その辺がスリリングな問題提起になっているとは言えるけれど。
    〇エロネタが後半多用されるけれど、それ自体に良いも悪いもないけれど、もはや性の問題はタブーというほどではない時代に、あえてあれほど出して書かなくてもとは思う。前半部でも面白い脚本が書けているのだから、エロネタみたいなキャッチ―なものに頼らなくてもいいのになと。それで面白おかしいという客もいる反面、それで損している部分もあるんじゃないかなとさえ思う。
    ネタバレは、余計なお世話ですよね、すみません。何かの参考になればと。悪しからず。

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    2017/01/19 16:07

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