パール食堂のマリア 公演情報 パール食堂のマリア」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.8
1-17件 / 17件中
  • 満足度★★★★

    絵画を観てるような美しい舞台でした。
    誰もが生きる事に必死で、その為に犯した罪があり、それを償いながらも生きる姿に涙した。
    未来は明るいと信じられそうな光を感じました。

  • 満足度★★★★

    昭和の風の中で
    僅かながら冒頭を見逃したことによる印象の差異は、後から台本等で修正してもなかなか、最初の「印象」は拭いきれない。この作品では、あるのどかな日常の典型的な場面があり、そして非・人間の語り部がこれからこの町の物語が始まることを告げる。町の物語である、という事は風景として眺めることを要求する。それは過去を遡って見るための一つの態度かも知れない。
     ・・で、私はこの「典型的な日常」の場面を見逃した。この場面は最後にリフレインされる。この時になってああこれはあのパターンだと知れ、頭がぐいっと回転して、全体像を修正しようとするのが分かったが、追いつかない。再構成は無理だった。
     おそらく、「猫」のまなざし、遠い目で俯瞰するまなざしを持つと持たないでは場面の見え方が違うのだ。もっとも、場面での人物の行動は理解できるし、面白いのだが・・。
     逆に考えれば、このドラマは全体で一つの「絵」を構成するものであり、冒頭とラストは額縁(境界)を示す役割だという事だろう。
     枠の位置によって絵の見え方は異なる、が、境界線の位置にかかわらず突き出てくる部分もある。印象に残る場面が幾つかあった。「絵」のカンバス地がうっすらとみえるように思えたのは、妹が涙に濡れる夜のシーン。別れを告げた相手の「温り」が、彼女がどちらに涙しているのか分からなくさせている、そんな「昭和」の風が涙を違和を強めるものとしてでなく受容し、風景の一部にしていた。
     少し変わった人たちの、ささやかな人生の物語ではあるが、登場させる人物の「人選」が憎く、人と動物と街の「小宇宙」が美しく形作られていた。(この小宇宙は冷厳な大宇宙に接している。)

  • 満足度★★★★★

    見事な再演
    2011年に劇団化した最初の作品であり、主宰の吉田の生まれ育った横浜を舞台とした芝居が見事に再演された。基本的に、「良い人」たちの一寸寂しい部分も含めた切ない話を描くのが得意な吉田だが、そういった特性はこの戯曲でも存分に描かれている。しかし、劇団員以外の客演が変わったことで、初演とは雰囲気が大きく変わった。特に、軸となる存在のマリアが、幽玄的な木下祐子からリアリティ強い渋谷はるかになったことが大きい。それでもステキな作品であることに変わりはない。戯曲の巧みさを感じさせてくれる芝居だった。

  • 満足度★★★★★

    これぞ青☆組
    忙しかったために書きそびれてしまったが、やはりひと言でも書こうと思い、こちらに。
    まさに「切なくも温かい」という物語なのである。
    これ以上の言葉は見つからない。
    あまりに切なく、あまりに温かい。そして懐かしい。
    過剰な演技もなく、言葉が実に心地よく心に響いてくる。
    こういう気持ちにさせてくれる作品を作る劇団を、自分はほかに知らない。

  • 満足度★★★★

    あたたかい
    織り交ざる人々。切ないんだけどその中から希望が見えるような優しい舞台でした。

  • 満足度★★★★★

    懐かしい昭和の世界
    パール食堂の家族とそこに出入りする人々の物語。恵まれない境遇にあっても悲しいことがあっても、愛情と思いやりを忘れずみんな懸命に生きていた。そんな懐かしい昭和の世界が優しさに満ちた視線で描かれ、力強く温かく演じられていた。

  • 満足度★★★★★

    お見事!
    初演に続いての2度目の観劇。実に見事な人間ドラマで、ストーリー展開は知っていても、やはり胸を打つ。あー、また観たいなー。

  • 満足度★★★★★

    いいもんを観た!
    再演だとそうですが、初回も見たかった。4回も不覚を取ってしまいました。
    今回も、そこは吉田小夏さんの世界。ビー玉をひっくり返したようなキラキラした色彩感や、舞台ならではの独特の演出。2つのシーンが同時進行で重なり、当たり前のように展開する。
    食堂でテーブルを囲む場面は、瀬戸山美咲さんの「彼らの敵」の喫茶店のシーンと裏表のようで、ひとりニヤニヤしてました。

  • 満足度★★★★★

    上質な日常
    ほんのり懐かしさを感じる当たり前の日常。
    人間一人一人にドラマがあると改めて教えられる物語。
    広い劇場の空間をうまく生かした美術も秀逸。
    淡々と描かれる物語に絡みつく人間臭い感情が琴線を刺激する。
    深い味わいの物語でした。
    自分的にはもう一歩、涙腺を刺激する展開も観たかった気がする。

  • 満足度★★★★★

    大人の童話
    昭和の時代を生きた人々の喜怒哀楽が主宰、吉田小夏の世界観で見事に表現されていた。観る者の胸をザワザワさせる台詞が涙を誘う。青⭐︎組としては暗転場面が多い作品らしいが、全編を通じて効果音が少ない印象を受けたのは演出的な配慮の結果かもしれないので良しとしても、暗転時に無音というのは、どんなものだろう?真っ暗だからどうしても耳か音に敏感になる!「カタッ、コトッ、ギシッ」ばかりが耳に付くのは、興醒めだった。あと、なぜか知らないが年配の観客が多かった。時代設定を思えば、この物語にドンピシャな年代といえる。それだけに感情移入しやすいのか、やたら私語が多くて、うるさくて参った。これからは、携帯電話の電源だけでなく私語禁止も、前説で アピールして欲しい。

  • 満足度★★★★

    寄り添って・・・
    昭和47年横浜、とある食堂の家族を中心としたお話。

    登場人物それぞれのエピソードが織り込まれストーリーを成してゆくのですが、
    エピソードはストーリーに対して誇大にならず、違和感なく極自然であり、
    劇団紹介の記述にあるように“哀愁・儚さ・逞しさ”が見事に描かれていました。

    細やかで丁寧な演出も、作品を上質なものとし惹きつけられた舞台でした。

  • 満足度★★★★★

    傷は時間と共に癒えて行く
    だれか、そばにいてくれる人がいれば・・・。どんな悲しいことも苦しい事も、無理にあがくことなく、ただ一緒にいてくれる誰かと、ゆっくり時間と共に生きていれば、傷跡は残っても、痛みは自然に癒されていくものだと、この舞台を観て感じていた。創作されたものであっても、観ている自分と重なってくる感情があまりにも多く、鳥肌が立った。そこに流れる横浜の風や匂い、しっかり造り込まれたセットにも物語を感じさせる風情が有った。汚れなく真っ直ぐに生きようとする姉妹、潔いストリッパー、清楚な娼婦、誰もがそれぞれ違う形であっても、凛とした美しさを持っていた。皆が“マリア”と呼ばれるにふさわしい生き方をしていたと、タイトルにの意味合いの大きさも感じさせられた。この完成度、演技力、小劇団(と言っていいんだろうか?)としては断トツの素晴らしさだった。

  • 満足度★★★★★

    泣いた
    とっても良かった。
    皆傷抱えているけど、逞しく前を向いて生きている。その姿に感動した。
    感動したとこネダバレに少しかいたけど、作家と演出が人に寄り添って芝居作ってる感じがした。
    また見にきたい。

    ネタバレBOX

    お父さんが倒れた後のまり子役のやり場のない気持ちをぶつけて、それをなにも言わずに受け止める妹のやり取りがとっても感動した。
    妹が同僚の先生から別れを告げられた後にお父さんが優しく声をかける所。
  • 満足度★★★★★

    素晴らしい!!!
    終始、じわーっと涙が流れました。

    ネタバレBOX

    1970年代の港近くの横浜界隈を描いた話。

    マリアとか、メリーとか、エメリーとか、女王陛下など街の人々によって様々に呼ばれていた娼婦Mについて、女性から毛嫌いされていたなど初演時よりもより詳細に描かれていたように感じましたが、アフタートークで、初演時と比べて当て書きが強い部分を2~3行削っただけで後は同じだという話を聞いて本当に驚きました。

    時事ネタ風話題を盛り込まないというか、無駄がなく、余計なものもないということの証左だと思うとともに、観る側の思い入れによって感慨が異なるものだとつくづく思いました。

    80年代初頭に関内付近で白塗りのメリーさんを何度か見掛けたことや、寄席の後に親娘で寿司でも食べようという台詞に、その頃野毛の寿司屋に行っていたことを懐かしく思い出しました。

    「去る者は追わず、ただ忘れないだけ」、オカマバーの店主の言葉が心に沁みました。出会いがあって、別れがあって、そのようにして世代を重ねていくのだと思いました。

    去る者を追わない私、そしていずれ去っていく私を、それでいいのだと愛おしく思えました。
  • 満足度★★★★★

    欠けたトコある人々の群像劇・・・・かな
    なかなかな琴線わしづかみな115分の作品でした

    ケチをつけるとするならば
    後列の客がズーっとカサコソ耳障りで喧しい音を発していたことぐらいかな・・

    綺麗なセットにて
    空間と間と静寂が紡ぎだす粛々とした舞台でした
    (その分 雑音はムカついた!)

    ネタバレBOX

    上野動物園にパンダが初来日する年での
    港町にある食堂を舞台にした市井の人々の日常劇です

    ドロッドロになりそうな話を
    ふんわりとした感覚でカラリと描いたトコは
    自分的には高評価(^ー^)

    リアルに食べ飲みするのも
    作品に合っていました

    坂が多いトコで白いマリーさんが出てくるので
    横浜の港の川の側んとこ舞台かなぁと
    作中のみからも分かるのもGoodっした

    猫がしゃべるのが
    なんか「さよならノーチラス号」を思い浮かべたりしたです

    アフタートークが20分ほどついて
    お得な感じもチョイ嬉しかったな
    →なんでも初演とほとんど同じなセットと台詞で
    劇場が大きくなった分セットも大きく見えて
    台詞は2行半変えた・・削った・だったかな・・だそうです
    初演も観た方が20人弱ほど
    客層は結構年齢が高めな方々も多かった
    (後列の騒音の元は老夫婦でしたし・・)
    私を含めた青☆組初見な人は10人ぐらいだったようです

    重力ピエロ・・・でも子供の肌の色が異なっていたら・・とか
    そんな事も思い浮かんだなぁ・・・

    サイボーグ009の主人公も”あいのこ”呼ばわりされてたような・・・

    いろいろ考えさせられたけど
    なんとなくの結末の明るさと
    カラリと描いた作風は自分的には
    好みなものであました
  • 満足度★★★★★

    孤独だがひとりぽっちではない
    会場に足を踏み入れた途端目に入る美しい町。
    階段による高さと奥行きのおかげで、群像劇に相応しいスペースが
    いくつも用意されている。
    皆死んだ者たちを想いながら生きている。
    その苦悩と切なさが、他者への優しさにつながっていく。
    緊張感と癒しの相乗作用で、どうしようもなく涙があふれた。


    ネタバレBOX

    昭和47年の横浜を舞台に、戦後28年経ってもその傷跡を引きずりながら
    ささやかに生きる人々を描く群像劇。
    野良猫の“ナナシ”(大西玲子)が時折狂言回し的役割を演じる。

    パール食堂を切り盛りする父と長女、教師の次女、店で働く若いコック。
    その向かいにはゲイの店主が営むバーがある。
    教師の次女のクラスには、彼女を慕う少年、その母は美容院の経営が苦しくて
    パール食堂のツケがたまっている。
    食堂に出入りするストリップ小屋の経営者は、浮気を繰り返しては
    看板踊り子をブチ切れさせている。
    そして夕暮れに現れる、街娼でありながら「女王陛下」とも呼ばれる不思議な女。
    丘の上にはたくさんの白い十字架があって、アメリカ兵とのあいのこが眠っている…。

    誰もがうまくいかない人生を、それでも精一杯生きて、同時に誰かを守ろうとしている。
    オカマバーの店主クレモンティーヌ(塚越健一)が、
    死んだ野良猫の名前をいくつも挙げるが
    ひょっとしてあれは丘に眠るあいのこの名前ではなかったか。
    たぶん名前も与えられずに葬られただろうからそんなはずはないのに、
    彼の名前を呼ぶ声には、喪った者への痛切な思いがこもっていた。
    クレモンティーヌの示唆に富んだ言葉は少年を成長させ、観る者を癒す。

    渋谷はるかさんが、街娼のほかいくつかの母親役を演じている。
    どの母親も、子どもを守ろうとして守り切れなかった悲哀に満ちている。
    街を彷徨う街娼は、全ての母親の悔いを引きずりながら、しずしずと歩く。

    若いコックが、年上の長女と一緒にこの店を継ぎたいと決意を告げるところ、
    クレモンティーヌが、故郷の母親と一緒に作ったみかんを送ってくるところ、
    そして病癒えた看板踊り子が、新入りの少女と一緒に
    これからは中華そば屋でもやろうかと言うところ、
    それぞれのここに至るまでを知れば、よかったなあと思うと同時に
    涙があふれてどうしようもない。
    みんな孤独を抱えているが、誰もがひとりぽっちでなくて良かったと
    心からほっとした。
    その中で、街娼だけが気掛かりでならないけれど…。

    どの町にも、どの家にも、きっとマリアはいる。
    涙を拭いて笑顔を見せて、誰かのためにご飯を作り、お茶を淹れて、
    送り出し迎え入れる。
    「枯れた芙蓉の花もいつかまた花を咲かせる」ように、くり返しくり返し…。

    劇団化して最初の作品だそうだが、その後の青☆組の基礎となるものが
    全て注ぎ込まれたような作品だと思った。
    登場人物の健気さや強さ、儚さとしたたかさ等人間の普遍的な営みが丁寧に描かれ
    同時にひっそりと消えて行ったものへの哀惜の念がにじむ。
    この湿度のある空気は、青☆組ならではの心地よさであり、私が好きな理由だ。
    劇団化5周年に再演してくださったことに感謝したい。





  • 満足度★★★★★

    気持ちメロウに感じたかな
    さすがのOn7(オンナナ)のお二人:渋谷はるか(文学座)さん、吉田久美(演劇集団円)さんの存在感は勿論のこと、中林舞さん、渡邊りょう(悪い芝居)さんといった客演陣皆光ってました。
    殊に渋谷はるかさんのパートが兎に角泣ける。

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