満足度★★★★
鑑賞日2016/10/30 (日)
3年前の初演時、各方面から絶賛された作品ですが、自分にとっては、今回の再演舞台がお初! 昭和世代のオイラ、特段の予習もすることなく、明治・大正・昭和の3代の天皇に関する、既知の「常識」のみをもって、拝見させてもらいました。
満足度★★★★★
時代のうねりや歴史の必然にもまれ、翻弄されながら生きていく個人の想い。いや、個人と言ってしまうには重過ぎる定めを背負って生まれ、生きて、そして亡くなったその人の想い。
自由で優しい気性のその人が、一国の器とも言うべき役割をどう受け止め、どう果たそうとしたか。2時間半休憩なしの会話劇が静かな緊張感に満ちたまま、観る側の集中も途切れずに、気が付けばカーテンコールとなっていた。
初演の評判に違わぬ、見応えのある作品だった。
満足度★★★
チケットをぎりぎりに手に入れたせいで最前列の端の席になってしまい、舞台全体が見えなかったことも影響したか、あまり良い感じには思えなかった。役者の皆さんが達者なのはわかりますが、内容についてもそんなに感じず。
満足度★★★★★
鑑賞日2016/11/06 (日)
三年前の初演からの待望の再演。初演の際の衝撃そのままに終盤は泣きっぱなしになる。宿命を受け入れ、それを全うしようと直向きに努力する神ならざる男の姿とそれを支えた周囲の人々の物語。何度観ても素晴らしい逸作。
大千穐楽。ラストは納得のトリプルコール。観れてよかった。こういった作品に出会えて再演を目の当たりにして、観劇の楽しみを再確認出来た。
満足度★★★★★
脚本も演出も演技も素晴らしいの一言
前回を観た時に完璧な仕上がりだと思ったのですが、今回もやっぱり凄いと感じました。
特に今回は折しも生前退位が話題となっている時期なだけに非常にセンシティブで、何時もチョコレートケーキの舞台は過去の話、他国の話と油断していると今現実の日本の話だと喉元に突き付けてくるのが、今回は特に感じられました。
ただ、これは自分の問題ですが、登場人物の内面描写と夫婦愛及び親子の愛憎が掘り下げて語られているのを、話を知っている故に長いと感じてしまいました。
満足度★★★★
目のつけどころ
初演は駅前劇場の後方席で観劇、皇后の笑顔に白けを催した。大正天皇嘉仁を演じた西尾氏の演技が突出。歴史認識の面では、明治・昭和に挟まれたデモクラシーが花開いた時代とは言え、これを大正天皇の個人思想、資質に寄せ過ぎでは・・フィクションとしては面白いけども、という印象だった。
が、すこぶる評判がよく賞まで取った。しかもあの皇后を演じた女優が・・という事で珍しく(会場がトラムという事もあり期待も膨らませて)、足を運んだ。
皇后は内面を見せない「宮様」の所作をなぞり、その所作の中で精一杯「意思」を貫こうとする様が、今回は見えた。もっとも、意味的には、だから何だという話ではあるのだが。
歴史の流れ(軍主導の政治)に抗えない個人、という意味で庶民と同様であった、という結論がそこにある。押さえるべき「問題」は、その抗えなさにある訳だが、抗えない中でも抗おうとした、その痕跡を示し、それを見る者が胸を打たれるというのは、忠臣蔵である。そういう感動の仕方を私は好まない。もし大正天皇もろとも日本の民主主義の萌芽が摘まれたなら、歯がみこそすれ涙などもっての外だ。全て今の問題だ。
芝居は面白い。静謐な宮中でのやり取りが、抑制した台詞が、佇まいや儀礼的な所作が、可能な限り(実際そうなのかなと想像される形で)なぞられていて、その中での感情の昂ぶりも的確な温度で透けてみえ、そうした「現象」を味わう快さがある。そうして人物たちの内面がよく伝わってきた。
大正天皇を俎上に上げた功績、という事になるのだろうが、しかし人間嘉仁物語、というのでもない独特なものがある。
満足度★★★★★
人間味あふれる姿
人間味あふれる大正天皇像を描いて感動的な舞台でした。皇后は割と受身な姿で描かれていましたが、宮中某重大事件が出てくれば、皇后の見せ場になったと思ったけど、牧野宮内大臣・内大臣以外はみんな良い人として扱うには、難しい事件なのかな。
満足度★★★★★
未だに感動を引きずってます
一人の人間としての大正天皇はとても人間味に溢れていて、愛おしい人物でした。皇后節子に向ける笑顔が優しい人柄を表していて、冒頭の二人のシーンが素敵でした。
それだけに後半の苦悩、怒り、無念さに涙が抑えきれなかった。
キャスト皆さんが役に生きて、こんなにも上質な舞台をあの値段で観させていただいて申し訳ない気持ちです。
素晴らしい舞台をありがとうございました。
満足度★★★★★
護りたい笑顔がそこにあった
明治、大正、昭和という3つの時代、3人の天皇がそれぞれ自らのありようを示し、その使命を全うしようとする
生まれ持って背負わされたものが、その国の歴史や文化、国民の想いというような、例え自分の資質と異なっていても捨てることも逃げ出すこともできない種類のものだったら。
とにかくそういう状況の中で、それでも自分なりに模索し、切り拓き、自分自身を心から身体から全てをぶつけて、その器の上に乗せていく大正帝。
笑顔が素敵で、慕わしくて護りたいと思わせる人物造形で、苦難に有っていく状況では観ているこちらも苦しくて悔しくて哀しくて。
この劇の土台としてあるのは、登場人物それぞれが折り目正しい所作と台詞で厳格なる空気感を作り上げている部分。そしてその上でそれぞれの信念や感情や想いが、はっきりとした輪郭の登場人物を作り上げていく
重厚な感情や想いをぶつけられ、観てるこちらも感情を揺さぶられずにはいられなかった
天皇が題材ではあるが、けして政治的な考えを押し付けては来ない、観た人が考えてくれという。歴史を知っているがゆえに、正しくも思えたり、間違っているようにも思えたり。
満足度★★★★★
素晴らしい。
口コミを拝見し、立ち見覚悟で開場時間前から並んだ。
開場15分前にも関わらずかなりの人数が並んでおり、立ち見もできないかもしれないと不安になった。が入れる事に。
立ち見で2時間30分
正直にいうと自信がなかった。
が、気がつくとカーテンコールだった。
東京という場所が発信する演劇に対して
絶望していた所だったのだが、
こんなに素晴らしい作品に出会えた事
とても嬉しく思う。
再演になると失敗になる劇団が多い中
人間の想いが丁寧で涙を止める事はできなかった。
役者の力量と本の素晴らしさ。
それを生かす演出が見事にマッチした素晴らしい作品を
この11/3に観劇できたことを運命に思う。
日本の演劇に可能性を感じた。
満足度★★★★★
素晴らしいの一言!
懇意になっている方のオススメで、なおかつ天皇を取り上げる作品、これは観に行かねばと勇んで向かったのですが、予想以上に面白かったです。
虚構の、しかし実在した明治・大正・昭和の天皇と取り上げる。ストーリーもさることながら、その先の実史を知っているからこそ考えなくてはならない案件、この舞台が見せるのが真実の可能性だったとしたら、私たちは今真実を見ることができるているのだろうかという問い、その他様々な面で、この作品は素晴らしいと思いました。
次回以降の公演も追って観続けなくてはと思う舞台でした。
満足度★★★★★
椅子に主役をみた
やっと観られました。
簡素な舞台。演技、お芝居をとても丁寧に観られる。
普段なら絶対に眠くなる内容。それでも観続けられる事が出来るのは、台詞が流れているのではなく、心と思いみたいなものが流れているからだと思う。
満足度★★★★★
人のお話
大正天皇の伝記ものとして一見ドキュメントドラマ、歴史ドラマの様相を呈しているが良質な(絶対的)フィクション劇。皇室という特異な設定の中で一人の人としてのあり方、早すぎた改革者としての孤独、さらには歴史の妙と政治、親との関係、と様々な問いが詰まっている。英国でもエリザベス女王の生涯を扱った映画が人気を博しているのをよく見るが、それに共通するように宿命を背負った特別な人間の中に、観ている観客の人生と重なる部分を巧みに見つけ出し描き出した「人のお話」。さらに実在した歴史上の人をモデルにしていることにより、その先の歴史を知ってしまっている我々だからこそ味わえる面白さも加味される。今日のホットトピックでもある天皇制、天皇の立場(「人」であること)についても考える機会を与えてくれる。
満足度★★★★★
時代の鑑
象徴であるため、良くも悪くもその時代を映す存在で、その存在を「目的」とするか「手段」とするか、為政者の思惑も大きなファクターとなる。そしていま、きな臭いこの時代にこの象徴はどのような役目を果たすのか。
今を生きる人間として、しっかり見届けたい。
満足度★★★★★
傑作
本の着眼点や構想も素晴らしいが、無駄を省いて省いての演出が、より一層、その時代の空気や想いを濃厚に、仕上げることに、成功している。
役者陣の眼差しや佇まいが饒舌で、逃れられない宿命だけでなく、民や家族、共への愛の滲ませ方が秀逸。
見る側に、とても深い余韻を残す、傑作でした。