ジプシー 〜千の輪の切り株の上の物語〜 公演情報 ジプシー 〜千の輪の切り株の上の物語〜」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-12件 / 12件中
  • 満足度★★★★

    鑑賞日2016/08/18 (木)

    いろんな劇団さんで、幾たびもの上演を重ねてきた「歴戦のつわもの」的戯曲を取り上げて紹介してくれる、ことのはboxさん。演劇経験ド素人のオッサンにとっては、まさしく「演劇講座の先生」みたいな団体さんです。
    その、ことのはboxさんの8月公演。雨が降っても駅から近いぞ♪の三鷹・武蔵野芸能劇場で観てきました(18日ソワレ)。

    ネタバレBOX

    全くの予備知識ゼロで拝見させて頂いたんですが、主人公の若夫婦、特に夫(演・大平隆行さん)のセリフの端々に、ちょっと「時代」が感じられ、後でパンフレットを拝見したら、初演1989年! 昭和と平成のはざかい年、自分が社会人ウン年目の頃のおはなしでした。
    なっこともあってか? バブル景気の真っ只中、住宅ローンもバカ高なアノ当時、せっかく苦労して手に入れたマンションを正体不明の連中に占拠されたことへの夫の怒りが凄~~~く理解でき、おはなしのテーマ、頭では理解しつつも、そっちのけ! 舞台後半まで、夫と共に、ただただ激怒し続けていました(笑)。

    ですが、そこは「普遍的テーマ」の「ハートフルストーリー」です。
    ラストシーン。それまでの過剰な喜怒哀楽が消え、憑き物が取れたように爽やかな笑顔を浮かべる夫…同時代を生きた者の端くれだからこそ、作者が意図した、当時の世相に対するメッセージに、しみじみとさせられました。

    話が長くなったので、最後に出演者について簡単に!
    前公演ではヒロイン役だった、葭本未織(よしもとみおり)さん。ジプシー家族の少年役が大層愛らしく感じられました。
    それから、夫ばっかり肩入れしてますが、妻役の矢嶋さん美(さんび)さん。明瞭な発声もですが、何よりも舞台上での立ち姿が美しく目に留まりました。以前にも、どこかで目にした感覚だなと、後でプロフィールを拝見したら…やっぱり俳優座の薫陶を受けた方! 流儀というか伝統は、連綿と受け継がれるもののようですね。
  • 満足度★★★★

    ジプシー
    時事的にジプシーと言うのはもしかしたら難民のことなのでは?と思いながら見に行ったのですが、30年くらい前の脚本だそうで若くしてマンションを買った若い夫の盛り上がるさまが今様ではないのはそのためでしょうか。そう言えば昔は私もトランクひとつでいつでもどこへでも行ける暮らしに憧れてたななんて思い出しつつも、ジプシーと一緒に行くと言った夫が戻って来た時にはほっとしました。なかなか思うようには生きて行けないけれど、この夫も少し変ることができたのではないでしょうか。

  • 満足度★★★★

    楽日に拝見 花四つ星
     生命を十全に生きるとは?

    ネタバレBOX

     漂泊の民をイメージしたタイトルのようだが、「ジプシー」というタイトルは如何なものか? 内容的には寧ろエコロジカルな生活習慣を持っていた先住民、ネイティブアメリカン、アイヌ、アボリジニなどの哲学や宗教・生命観などを、現在金銭経済に塗れ当に金を神と崇める時代精神に対比しているように思われる。
     長老(大家族の祖父)の持つ呪術的な力は、欧米や敗戦後殊にアメリカナイズされた現代日本の大衆が持つ、先住民に対する懼れと蔑視が入り混じったアプリオリな偏見によって醸成された幻惑の視覚化である。同時に彼らの生活様態に基本的に無駄の無いことは、使い捨てでしか機能しない資本主義への痛烈な批判である。彼らは十全に楽しみ、一所懸命に生き、自らの在り様に納得して過去から現在そして未来を渡ってゆく。時の旅人即ち時空の散策者なのである。
     本来、生き物としてのヒトに、他の生き方を強いる必要はなかったのではないか?
  • 満足度★★★★★

    楽しかった。本当に楽しかったです。
    千秋楽!観てきました。生きるものの命を繋ぐ。普遍的なテーマは若夫婦の感情の対比とジプシーの真の自由の世界を求める姿で表され、改めて今の自分を見つめ直す良い機会となりました。構成としてもコミカルとシリアスが絶妙にマッチして1時間50分があっという間に過ぎました。ただ、ジプシーが鳥であることが判るシーンと若夫婦が鳥について行くシーンには演出的な一工夫があればと思いました。トクさんが逝くシーンには泣けました。カンさん役の原さん、コンビニ店員の玉岡さん、監督の楢崎さん良い味出していました。そして、透き通った声の新田さんと矢嶋さんの掛け合いからの最後のシーンは清々しい終わり方になっていました。大平さんと矢嶋さんのシルエットは本当に奇麗でした。

  • 満足度★★★★

    よかったです
    夢物語みたいな話ですが、結構リアルに響いてきましたね。これはサンカへのオマージュなのかな。

  • 満足度★★★★★

    改めて考える
    細かいことは色々あるけれど、
    生けるものの共生という普遍的で濃密な内容に圧倒されたひと時でした。
    歌とダンスも秀逸で、深く地の底から湧きあがる力に、楽しく生を感じるリズム。
    物語に引き込まれる感覚も気持ち良かった。
    また、ジプシー家族の中でもシゲルとアユの兄妹は素晴らしかったです。
    若さゆえの過激さと素直さ、
    未来への希望を感じさせる演技と言葉に魅了されました。
    素敵な役者さんですね。

    ネタバレBOX

    ルールもモラルも無視する傍若無人なジプシー家族の在り方が、
    現代社会の法治国家が抱える軋みを超越し行く。
    自分自身が現世のモラルに縛られているのか、
    前半の謂れのない不条理さにキリキリするものの、
    ファミリーの真の姿に迫るに従って、壮大な物語の全容が見えてくる。
    心地よく楽しめた物語でした。
  • 満足度★★★★★

    深い
    以前、他団体でも見たことがありますが、こちらの方が数段素晴らしい。トクは能や狂言に通じる深みがあり、熱量に偏りがちな小劇場演劇では貴重な深い演技でした。対比する熱量や若さも他の演者さん達によって表現され、とても豊かな舞台でした。素晴らしかったです。

  • 満足度★★★★★

    もらい泣きしそうでした
    黒船とは別の仮面をかぶる野村香奈さんを見ることができ、輪になって踊るシーンでは、誰よりも楽しそうな笑顔が輝いていて、ずっと目で追いかけていました。素敵な時間がすごせました。
    ありがとうです。実は、急に空きが出来た土曜日も行けばよかったと、ちょっと後悔しています。
    今回は原田さんが演出をされたとのことなので、次は酒井菜月さんが演出される作品が見たいです。

    ネタバレBOX

    ジプシーというのは渡り鳥の精霊あるいは化身だったのでしょうか。最初は理不尽な振る舞いに見えていたものが、物語が進むにつれて、暖かい気持ちに変わりました。
    野村さんの心優しい若奥様の演技が素敵でした。
    特に、おじいちゃんな亡くなるシーンでは、タマキが涙を溢れさせていたのが印象的で、もらい泣きをしそうでした。
    でも、ただ一つ気になったことがありました。返事に悩んだ演技をされていたようですが、孝史にタケマツが『ついてきてもいいよ』と返事をした台詞です。
    前後のシーンとの違和感が残り、しっくりしないままにカーテンコールになってしまったのが残念に思えました。
    カンさんの「故郷に縛られるか、自由に縛られるか」のやり取りが伏線として感じられたので、タケマツは家に縛られるように諭す台詞であったならば違和感を覚えなかったのではないかと、素人ながらに感じました。
  • 満足度★★★★

    切り株の上の物語
    ジプシーのメッセージが心に響きました。

    ネタバレBOX

    前半の歌と踊りで一気に引き込まれました。現実のようで現実でない設定であるのに、すっかり、その世界に浸りました。一番最初の場面で、若夫婦が懐中電灯で辺りを照らすシーンはそこそこの長さでしたが、懐中電灯で観客を照らすことにもなり、何回かその光が目に直撃し、その後、気になりました。観客は照らさないようにしていただければと思いました。
  • 満足度★★★★

    共生を感じるような...
    この脚本「ジプシー~千の輪の切り株の上の物語」(横内謙介 氏)は、1989年初演で、今から約30年前のものという。台詞から感じる状況・背景は少し古いような気もするが...。しかし、色々な対比を通して普遍的なテーマも透けて見えてくる。
    さて、バブル期にマンションを購入した夫婦、特に夫のはしゃぎようは分かる。一方、説明にある建築中のマンションに闖入・占拠しているジプシーは物質や定住に拘らない。建築中でコンクリートむき出しの殺伐とした所になぜ居るのか。後に分かるが、ジプシーの正体、この場所にいる意味と謎が氷解していく。
    そこに見た「生ある存在」と、登場する人々との交流を通して描かれた心温まる物語。色々な意味で「共生」を感じる。
    (上演時間1時間45分)

    ネタバレBOX

    梗概は、説明から「マンションを買った若い夫婦が完成を待ちきれず、建築中の建物に忍び込んてだ。そこには既にジプシーの大家族が住んでいた」と。
    舞台セットは、コンクリート壁、中央に窓になるであろう部分が刳り貫かれ、その向こうに建築足場のパイプ組が見える。

    バブル期には無理してでもマンション(住宅)を購入しようとする風潮。一方、パート時給が○円という低賃金で働くという貧富さ。マンション(購入)を持つことによって経済・精神、そしてその地にしばられ自由が失なわれる。他方、ジプシーは物質や地にとらわれず、住(棲)みやすい場所を転々とする自由さ。この建築現場、以前は大きな木があったという。コンクリートと木という ぬくもり...などいくつか対比を描く。物語ではどちらが正解か、そのような導きはしない。色々な考えがあり、その上での自己判断。ここまでが普遍的と思えるところ。

    さて、誤解を生みそうな気もするが、移民(ジプシーとは違う)の問題を想起してしまう。寛容と自己防衛(移民問題とテロが同時に俎上に上がることもある)の鬩ぎあいを思ってしまう。欧州では国境線が変わり帰属する国も変わる、という歴史を繰り返してきた。そのことで政治体制はもちろん、文化・宗教も変わる。自分と異なる他者が現れると畏怖し排除しようとする。この側面が現代的と思ってしまう。

    上演後、演出・原田直樹氏と話をさせていただいた。自分はこの演出で、特に次のところが気に入っている。
    音楽...ジプシーの合唱において、地声と裏声で歌わせている。具体的には母親は裏声で子が地声である。地声の方が個性的で感情表現の幅が広くなる。一方裏声は美しく聞こえるが音色の変化に乏しく歌い手の個性が発揮しにくい。その違い(個性)を成長期の子に担わせている。
    もう1つは照明での印象付である。舞台セットは内装前のコンクリート壁のみ。この殺風景な空間に木の陰影を照らし出す。それはモノトーンであり、夫が希望する部屋内装のコンセプトそのもの。超高山、深海は色が段々となくなり「生」のイメージが少なくなる。さてジプシーの衣装はカラフルで、その色合いからは...。

    このジプシーの正体は...、以前あった木(欅)に梅雨時だけ「居る」というもの。
    初日観劇したが、台詞や歌声に硬さが見られたこと、動き(動線)が不自然なところも見受けられたが、だんだんと良くなっていくだろう。

    次回公演も楽しみにしております。
  • 満足度★★★★★

    良い!泣いたぁ~でも爽やかぁ~
    粗を探せば色々あるけど、観終わった第一印象は「良かった!」ですね~。大平さんの器用さ矢嶋さんの真っすぐさが素敵、「絶対奥さんのが強いぜぇw」って思ったけどw。奥居さんの深みと存在感が良い。新田さんは演じて・歌って・踊って良しの舞台女優っぷりが素敵。原さんいい味出てますたっぷり。葭本さん・槇野さんのエイエイ!ってシーンが超かわいかった。書くと切りがないけど、他の演者さんもみなさん素敵でした。演出も小細工なく媚びてない感じが好みです。良かったぁ~。

  • 満足度★★★★★

    プチ文明の衝突
    ジプシーの魅力を生き生きと描いた作品。
    頭の中では、近い将来自分の家になるところにジプシー一家に入り込まれて困る夫婦や建設会社の人と同じ立場なんだけど、心のほうはジプシーの魅力にぐいぐい引き込まれていきました。コーラスも良かったな。

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