わが家の最終的解決 公演情報 わが家の最終的解決」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.7
1-18件 / 18件中
  • 満足度★★★★

    「会議コメディ」とは別のアガリクスのもう1本の柱、「不謹慎シットコム」。

    東京大空襲の前日を描いた『大空襲イヴ』では、主人公を含めすべての登場人物が翌日の東京大空襲を知らないまま物語は進んでいく。
    観客のみが知っている悲劇が笑いの下に流れていて、どんなラストにせよ、悲しくて強いメッセージの裏打ちがあった。

    そして今回は……

    ネタバレBOX

    今回の『わが家の最終的解決』は、ユダヤ人であることで待ち受けるホロコーストと、それを匿うことで主人公が被るであろう死が、背中に張り付いたまま進む。
    こちらは、その後、彼らがどうなるのかは観客もわからないのだ。
    この点が『大空襲イヴ』とは異なる。

    どちらがいいか、ということではないが、『大空襲イヴ』のほうが、どう転がっても悲劇なので、戦争をテーマにしたということが、きちんと伝わってきたのではないかとも思う。

    とは言え、あいかわらずテンポがいいし、知られたくない情報と顔合わせをしたくない人、そうした関係が、人ごと、時間ごとに変化して突き進む戯曲は面白い。
    1本の中心ストーリーを交差して、絡めてくるエピソードの多様さがうまいのだ。

    ただ、逆に言えば、盛り込みすぎで山場がうまく作り上がっていかない気もしたし、ガチャガチャしすぎな印象もある。

    小さな緩急と、大きな盛り上がりがうまく組み合わされば、静かなラストを演出でき、さらに最後のオチも鮮やかに決まったのではないだうろか。

    ラストで言えば、単純な「メデタシ、メデタシ」でないところが、「うまいな」と思わざるを得なかった。
    音楽でメンデルスゾーンとワーグナーの対比が効いていて、さらにワーグナーの『結婚行進曲』が使われているオペラ『ローエングリン』では、ローエングリンが自分が何者であるかを、妻エルザに告げることで彼女の前から去るというストーリーであり、このラストを暗示してたのではないか、と公演を観てからしばらくして気が付いた。
    ……そこまで意識して作ったのかどうかはわからないけど。

    ゲシュタポの黒い制服は、この時期はすでに着用禁止だったと思うのと、そもそもゲシュタポの場合、制服と私服のどちらでもOKだったはずなので(実際、上司は制服着てないし)、主人公ハンスは、私服のままでよかったのではないかと思う。

    ハンスの制服にまつわるドタバタはそれほど意外性もないので、むしろハンスの友人のどちらかが、黒い制服にこだわりがあり(着用禁止にもかかわらず好きだから着続けている的な)、彼が現れてから彼を匿っている家族から見えないようにする、さらに制服を脱がせる(太陽と北風的な)というステップのほうが、よりハードルが高くなり、面白さが増したように思うのだが、どうだろうか。

    ハンスを演じた甲田守さんだからこそ、の変な生真面目さが良く出ていたが、よくよく考えるとゲシュタポに入っていてこんなことをやっているというのは、明らかに頭がおかしい(笑)ので(愛のためとはいえ)、甲田守さんの一途さが段々不気味に見えてきた。

    逆にエヴァを演じた熊谷有芳さんは、明らかに頭の回転が早く、行動力もあるので、ハンスが何者か知っていて、ハンスの間抜けさを利用したように思えてきた。だからラストはあっさりと分かれるのは当然。

    2人が愛し合っている、という雰囲気もまったく伝わってひなかったし。

    レジスタンスの淺越岳人さんは、あいかわらずの屁理屈王だったが、ちょっと無理矢理そうさせすぎたか。

    タイトルは上手い。
  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2016/05/04 (水)

    初日独特の緊張感の中で俳優陣に多少ミスがあったけど滅茶苦茶笑った。甲田守、負担大きいけどラストまで頑張って欲しい。矢吹ジャンプ、作品全体をまとめていて流石。中盤の塩原俊之と藤田慶輔のすれ違いトークはヤバさが絶品。津和野諒、流石のオモシロさ安定。普通の事が面白く見える巧さ。くまゆか、真っ直ぐさが笑いに転化していく定番パターンが効いてて良かった。髪型の不規則編み込みが妙に可愛いのがヒロインらしくて良かった。鹿島ゆきこ、今作ではほぼ笑いを担わないが、綺麗なお姉さんキャラがハマる。ワンピースが可愛い。沈ゆうこ、序盤からキャラ全開。ズルい飛び道具なんだが、ストーリーの絡みがなくもっと効かせて欲しいと思うファンの我儘。初日だからと言いたくないが、まだ大分伸びシロがある印象。相変わらずの台詞量なので、まだ俳優に馴染みきってない。それであんだけ笑えるのだから、明日はもっとヤバくなるはず。観客と触れたのでもっと良くなる。

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2016/05/14 (土) 19:30

    昨年、ナイゲンが大成功したから直前では前売りが完売してたんですよ。諦めてたけど、当日券で拝見出来ました。富阪さんは何をやっても上手く纏める力が有る事を再確認した作品。ナチがユダヤ人の恋人を匿い、逃がすって事だけど、妙なタイミングで妙な連中が現れ、笑を含めながら問題が増えて飽和していく。最後のピンチの後、解決していく所はなかなか良かった。期待はしていたけど、期待通りの範疇でまた同じ事の繰り返しで終わるエンディングには、もう少し予想外の人物を匿って欲しかったです。人の良さそうな甲田さんが主人公にしたのが◎、でもコータさんでハイテンションなテンパリが続く主人公ってのも面白いかな?

    ネタバレBOX

    https://blogs.yahoo.co.jp/minamonitokeruhikari/64092189.html
  • 秀逸なドタバタでした、悲観的になる可能性のあるナチスを扱いつつ家族と思いとやさしさと。

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2016/05/06 (金)

    要所には屁理屈も健在のアガリスクらしいシチュエーションコメディ。紅白旗合戦の実績があるから、「ユダヤ人」「ゲシュタポ」が題材でも安心して笑えたが、日本が舞台じゃないからかブラックジョーク的な笑いどころで一瞬反応が遅れたのも確か
    後半には笑い疲れてるほど面白くて2時間あっという間だったが、それでもナイゲン全国版とかを考えると、まだまだ生まれたばっかりでこれから成長していく舞台だと強く感じた。
    ヨーゼフへの異物感というか違和感は、全身で感情表現しながら大ボケしているのに時々ツッコミが無くて投げっぱなしになっているからかなと思った
    ゲルトナーさんだけコメディに絡んでないように見えるのはなんかもったいない気がした。最後のハンストのやりとりもイマイチ意味が伝わらなかった

  • 満足度★★★★★

    毎度の質の高さ...
    シチュエーションコメディの醍醐味を堪能。こんなおとなしい役の前田さんは初めてです!

    ネタバレBOX

    今回はホワイトボードが出なかったぜ!
  • 満足度★★★★★

    コメディの強度の圧倒的高さ
    誤魔化し勘違いのシチュエーションコメディとして面白く、さらに物語としても成立させつつ、歴史の暗部にも触れている。これは、掛け値なしに素晴らしい傑作でしょう。
    「ブラックで暖かく、残酷で笑えるホームコメディ」と説明に書いてあって、そんな事出来るのかい、風呂敷広げたなあと高をくくってましたが、申し訳ない御見それしました。
    あれだけ大人数を出しているのにキャラ立ちもしっかりしているし、交通整理も的確で混乱することなく、それぞれに笑わせ感心させられました。

    ネタバレBOX

    ゲシュタポ同僚とユダヤ人お父さんの最恐最高の勘違い会話。物凄く不謹慎でギリギリアウトなのに面白いって、私も笑いましたが凄いですね。

    3話構成のタイトルについて、私個人の好みですが、1話目タイトル「ミートザペアレンツ」。確かに内容とあってるのですが、2話目、3話目のコンテンツと合わせると「ファミリータイズ」が良かったかなと思いましたが、古過ぎますかね。
  • 満足度★★★★★

    今作も傑作
    テーマ的にはとても重いのだけど、見事にブラックで暖かく、残酷で笑えるコメディでした!アガリスクさんの舞台はどれも大変好きなのですが、今作も期待以上でした。プロローグ、1~3話、エピローグと切替のメリハリもあり、登場人物のキャラ立ちが流石です。そして、役者さんが皆上手い!台詞が無い時の演技が皆一様に上手く、惹き込まれます。
    コメディではあるのですが、途中途中の熱い台詞だったり、エピローグのまとめ方だったりが、作品を引き締め余韻を残します。
    最後のオチも効いていて、また是非再演を期待したい舞台でした。

  • 満足度★★★★

    さすがでした。
    題材が題材なだけに、中盤からラストにかけてはどうしても重くなっていきましたが、そこからの更なる笑いへのもって行き方が見事でした。
    この攻め方好きです。
    力のある作品でした。

  • 満足度★★★★★

    面白かった
    ナチスとゲシュタポという重くなりがちなテーマなのに、
    ここまで笑わせてくれるのが凄い。
    キャストに常連の方も多く、
    それぞれのキャラも分かってるだけに、
    より笑えました。

  • 満足度★★★★

    解決
    面白い。125分。

    ネタバレBOX

    ゲシュタポの一員のハンス(甲田守)は、ユダヤ人の彼女であるエヴァ(熊谷有芳)を匿いつつ、自身の仕事を隠している。ツテで手に入れた戸籍書類を使用し彼女と幸せな結婚をしたいと思っている矢先に、エヴァの家族をも匿うこととなる。そこに、ゲシュタポ同僚や上司、上司の娘、姉夫妻、隣人などが次々やってきて、ハンスと使用人のアルフレッド(矢吹ジャンプ)は、秘密を隠そうと躍起になるが…。

    二時間という時間も気にならない、スマッシュヒットな笑いが炸裂する作品。純粋に楽しめた。
    特に、ハンスの同僚のルドルフ(塩原俊之)とエヴァの父オットー(藤田慶輔)らのゲシュタポ仕事のくだりは最高だった。人間じゃないんだから、とか。
    質の高いコメディで、役者も上手い人が多かった。特に使用人のアルフレッドは定番なポジションを安定して演技できてた。あと、ハンスの姉マルガレーテ(鹿島ゆきこ)の夫フリッツ(伊藤圭太)も好き。

    ラスト、ハンスが家に戻り再度アルフレッドを呼びよせると、ナチ狩りが始まっていることがわかる。なぜ家に戻ったんだと問うアルフレッドに、柱の隠し部屋にルドルフを隠していることを明かし、また隠し事が始まるというオチも、パワーがあってサッパリとした気持ちで終幕できてた。
    ナチス系の凄惨な物事をコメディなエネルギーで突き破ったような感覚。

    エヴァらと逃げる算段をつけようとするシーンはやや緩んだ気がするけど、いい作品と思った。
  • 満足度★★★★★

    最高!
    アガリスクエンターテイメントの新作且つ名作。
    歴史的背景から、笑っては不謹慎なんじゃないかとの懸念があったが、人間ってどんな時でも笑えるのかもと感じさせてくれた。
    ライフ イズ ビューティフルを思い出した。
    是非再演を。

  • 満足度★★★★★

    さすがアガリスクエンターテイメント
    アガリスクエンターテイメントの公演にはずれはない。今回も同様。次の公演が楽しみ。

  • 満足度★★★★★

    希望と絶望が織りなすノンストップ・コメディ
    新たな名作の予感!
    ナチスドイツの占領下のオランダを舞台に、ゲシュタポの青年が、自分の正体を隠しながらユダヤ人の恋人をかくまっていることで巻き起こる、ホロコーストを背景にしたシチュエーションコメディ。
    シリアスな題材なのに、劇場は爆笑の渦。
    笑いの中にも悲しみが、絶望の中にも希望があって、笑いと涙で翻弄されるけど、観終わった後、残るのは大きな満足感だった!

    ネタバレBOX

    ゲシュタポの青年ハンスと、ドイツから呼び寄せた使用人のアルフレッドの、いかにもシチュエーションコメディっぽい始まりからの、オープニング。
    不鮮明な、白黒の記録写真(?)の映像をバックに流れる、ワルキューレと結婚行進曲のアレンジが、観客に、あの事実を突きつけ、逃げ場のない設定に追いこむ。
    ここで、もう、勝負があった気がする。

    そこからの1幕目、登場したヒロインのエヴァが、ウェットでないのがまた良くて、熊谷さんの、大胆さと爽やかさと可愛らしさがとても良かった。
    一緒に住むことになったエヴァ父の藤田さんの頑固さとキュートさ、エヴァ母の前田さんの優しさと母親らしい鋭さが魅力的で、安定した演技力が物語を支えていたと思う。
    そして元カレのおもしろさと巧さ・・・津和野さんの集中力はすごい。つい、表情を追ってしまった。

    ハンスの姉の、鹿島さんの、さっぱりしているけど、洞察力が鋭いところが良かったし、姉の夫の、伊藤さんの細かくてちっちゃい人物像が私的にツボだった。
    そして、レジスタンスの男、淺越さんが、屁理屈を言い出すと、「キターーー」と心で叫んでしまう。

    たびたび苦情を言いに来る隣人のヘルマン夫婦。こんな状況なのに、夫の悩みがまたおかしい。山田さんは、気弱で可愛い夫だった。沈さんの、実年齢よりずっと上に見える、妻のサンドラのイライラ感は見事だった。

    ここで語られる重要なハンスの思いと、ドイツ大使館勤務の義兄の主張との対比も、おしつけがましくなく提示されて良かったと思う。

    2幕目は、ハンスの同僚の友人が訪ねてくる場面で、ここは、勘違いや嘘、ごまかしが炸裂して、もう、ホロコーストもの、ということも忘れてただただ笑いの渦に巻き込まれる。
    友人、ルドルフの塩原さん。前々から、(良い意味で)狂気を秘めている感じがしていたけど、今回、クレイジーさが炸裂。制服姿が格好いい、という声も多し。
    同じく友人のカールの斉藤さんは、いつも爽やかな風を巻き起こす。可愛らしさがあって、軽いタッチの演技が明るい笑いを生み出すところがいい。
    ハンスに恋をしているリーゼの榎並さん。可憐の一言だし、偏見がない人物像がよく出ていた。

    山岡さん演じる、娘思いで、どこか優しさも感じさせるハンスの上司が登場してから、事態はシリアスになっていって、ハンスも窮地に立たされた後、どうするのかな・・・と思っていたら、なるほど、そういう手があるか!と思った。
    最後のハンスとエヴァのシーンは、切なくて涙を誘われた。

    ゲシュタポに所属しながら、ユダヤ人の恋人を助ける、ということを観客に納得させるには、甲田さんの無垢で優しいキャラクターが生きていたと思うし、物語の結び目になる、使用人、アルフレッドは、全編に渡って、もう、八面六臂の活躍で、矢吹さん、お疲れ様です!と言いたい。

    3幕目、終戦後。
    このエピソードがアガリスクがアガリスクたるゆえんで、秀逸だと思った。
    ハンスとエヴァの恋の結末も、そうなるだろうな・・と、納得いくし、胸に切ない思いが残る。立場が変わった歴史の皮肉も示されて、ここは、映画「ブラックブック」のオマージュかな、とも思った。
    そして、最後の大オチ・・・「まいりました!」と思ったし、ホロコーストVSコメディの確固たる勝負がついた瞬間だったと思う。

    アガリスクエンターテイメントの、「悲劇を悲劇で終わらせず、喜劇に転じさせることができるか」という、果敢な挑戦は、成功に終わったと私は思う。
  • 満足度★★★★★

    必見
    かなり笑ったし、涙の感動もある。一つ間違えると相当に不謹慎になるところだが、うまい。ちなみに転換で流れる2つの結婚曲の作曲家は、一人はユダヤのメンデルスゾーン、もう一人はドイツ人で反ユダヤのワーグナー。

  • 満足度★★★★★

    ナチスのユダヤ人虐殺
    ナチスのユダヤ人虐殺、ホロコーストを扱っています。
    アガリスク冨坂さんが好きな感じの主題。
    プロデュース公演ではあるものの作品作りはアガリスクが受け持っているそうです。

    ネタバレBOX

    ついにやったか、と思いましたが、やはりシチュエーションコメディにしていました。
    「笑ってはいけない内容で、どこまで笑いを起こせるか」をテーマにしていました。
    会場がどこまで笑っていいのか、笑っちゃいけないのか、ある意味空気の読みあいのような感じが、アガリスクが好きな感じですよね。
    125分と長い上演時間ですが、中盤からの加速がすごく、飽きずにみきれました。
  • 満足度★★★★★

    最近笑ってないという人に片っ端から薦めたい
    ここしばらく声を上げて笑ってないっていう人は、とにかく試しに一度観に行ってみて欲しい。
    もちろん何を面白いと思うかは千差万別だし、そもそも題材が題材なので立場が違えば笑いごとではなくなってしまうのだろうけれど、それでも。

    時代ものだけど予備知識なしでも大いに楽しめるし、笑いばかりではないけれど堅苦しさは全くない、バランスの取れた作品。
    何を書いてもネタバラシになってしまいそうなのでこちらではここまでに。

    ネタバレBOX

    不鮮明な音声の演説は恐らくかの独裁者のもの。そして白黒写真とワルキューレの騎行と結婚行進曲の組み合わせがあれほど人を不安な気持ちにさせるものだとは思わなかった。ここでまず揺さぶりをかけられる。
    そうしておいてあとはひたすら笑いの海へ。嘘・誤解・その場しのぎ、優柔不断と確固たる意志、思慕に未練に横恋慕、家族愛に同胞/同朋愛、絡み合い対立しあるいはズレまくる人々の思惑、そしてちょいちょい横槍を入れてくるお隣さん。登場人物の一挙手一投足がもれなく笑いに変わっていくかのような時間。
    面白さの波が来たら身を任せてとことん笑う。そうこうするうちに「線引き」が迫害される側、あるいはする側からなされ、ひりつく痛みとともに現実が戻ってくる。当然のことながら人生は笑える状況ばかりではない、ごまかせることばかりでもない。それでも、迫害する側もされる側もどちらでもない者も、美点も欠点も強さも弱さも抱える血のかよった生き物のはずで、だから全面的悪人も全き善人もいなかった(いない)はず。喜劇の中にも、真面目に考え、絶望したり希望を持ったりできる要素が鏤められている、と思う。このあたり好み・評価が分かれるかも知れないけれど。

    一観客の小理屈はさておき、オットーの悪行暴露を経て繰り返される「人間というのはそんなに強いものじゃない」にはアルフレッドと一緒に突っ込みたくなるし、ヨーゼフはオランダまで連れて来てもらえたのが不思議に思えるくらい性格に問題あるし(コメディだってあれほど露骨な焼き餅焼きキャラは珍しいような)、出番は決して多くないレジスタンスの男は出て来るとなったらまあ喋る喋る(ああいうのをトリックスターって言うんだろうか。屁理屈キャラと訣別なさったわけじゃなかったんですね淺越さん?)。一方でゲルトナー班長はそこまで極端な娘煩悩には見えなかった。職務に忠実かと思いきやハンス達のことも見逃してくれたようだし(ナチスの天下もそう長くないと見抜いていたんだろうか)。
    前作『ナイゲン(全国版)』(およびそれ以前の『ナイゲン』)を思い出して思わずにんまりしてしまう台詞もあるし、そちらで王道ヒロインだった榎並さんが今回チョロイン化(?)しちゃってるし。
    最後に純粋な結婚行進曲になったから恋愛成就したのかと思いきやエヴァひとり遠くで幸せになってて(近現代史振り返ってみるとそうとも言い切れないのか)、なーんだ残念と思ってるうちに更に敗戦を経た立場逆転からの「ふりだしに戻る」!
    透ける本棚のからくり素敵だし、おしまいまで観たら再見時には「陰の隠し部屋」に演者さんが近づくたびにハラハラしちゃいそうだし(万万一ふとした弾みで開いちゃったらオチが台無しになりかねない!)。
    割と目立つ場面で演者さんがちょこっととちったりハンスの発音が怪しくなるところがあったりと気になる部分はあれど、それでもやっぱり、楽しい、面白い、素敵な夜だった。
  • 満足度★★★★★

    ブラックで暖かく、残酷で笑える
    本当にそうでした。テンポの良さと絶妙なタイミングで、エンディングに向かってぐいぐい。笑えない話なんだけど、笑っちゃう。笑っちゃうんだけど、本当は笑いごとじゃない。「ナイゲン」を超える、この劇団の(暫定)最高傑作。

    ネタバレBOX

    皆の命を救ったのは人情だったところに救いが見出せました。深い!

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