満足度★★★★
鑑賞日2016/04/09 (土)
演出はあんまり好みじゃなくて、柱とかチューブとか最後までよく分からんかったし、登場人物が多くて拡散気味だったけど、設定の上手さと俳優の力技で終盤ボロ泣きしてしまった。ちょっとズルいぞ辻貴大。あと小林樹は、ああいう役やらせると抜群に映えるな。印象強烈過ぎ。
満足度★
説得力が見出せず
人間の主人公がレドモンの妻を持っていることを、後ろめたいと思っているのか、本当は大切なのか、最後までわからなかった。後者だと信じたいと思って観ていたけれど、主人公のあらゆる言葉、行動に説得力がなくてわからなかった。
ヨーロッパでの移民排斥運動、日本での在日韓国人へのヘイトスピーチ問題などが白熱する中で、差別や隔離の問題はこれからもっともっと、私たちの暮らしに切実に迫ってくる問題のはずだ。でも、この作品を観て、そうした問題を一緒に考える気持ちにはなれなかった。「作家」は、観客に現実を教えて啓蒙してやる偉い人間などではなく、社会の矛盾や人間の薄汚さに敏感な弱い存在だと思うし、だからこそ、彼らの生み出す言葉は観客に響く。今作のような、底の浅い家族観と異人種への差別・隔離描写では、作品で描こうとした真の問題意識は伝わってこなかった。詳しくはネタバレBOXをご覧下さい。
満足度★★★
現代のSF
地球外知的生命体<レドモン>と地球人とその混血<マジリ>の物語に、人種差別やヘイト問題や難民問題が透けてくる……現代的なテーマ性ある壮大なSFを演劇で、という意欲を感じる舞台でした。とはいえ、肝になっている家族のドラマが薄く感じられ「これが散りじりになっていく家族だろうか?」という印象のまま終わってしまいました。座った席が寒く、途中で一番後ろに移動したのですが(スミマセン)、上から全体を見渡したほうが、地下まで使った舞台美術がよく見え、ロープで境界線をあらわしていく演出が面白く感じました。
満足度★★★
宇宙人との共生を描くSFに現代を映す
地球にやってきた宇宙人“レドモン”と人間、そしてその混血(マジリ)との共生の可能性を、ホットかつウェットな人間ドラマで探っていく近未来ファンタジーでした。地球人の体制側がレドモンを母星へと強制送還させようとすることで、人々の暮らしに大きな亀裂が生まれます。初演は2007年ですが、今、まさに起こっているヘイトスピーチなどの人種差別や難民問題と、ヴィヴィッドに重なっていきました。
ガランとした天井の高い空間に、鉄骨のような背の高い柱がそびえたつ舞台美術でした。柱と柱の間をつなぐ透明のホースが、目には見えない境界線を示すかのようで、俳優がホースを外したり、つなげたりして場面転換をするのも含意があって良かったです。
満足度★★★★
泣けるSF
ちゃんとテーマ性もありつつ設定が練られていて楽しめた。こういうSF的な世界観は舞台ならではの自由さがあっていい。
個人的には親子の物語に感動した。
満足度★★★★
もう少しリアリティが欲しい
人類と宇宙人との地球上での共生という題材は、否応なしに現実の人種差別やヘイト問題を思わせます。
本作で描かれる、人類社会にいつの間にか紛れ込んだ「レドモン」と呼ばれる宇宙人たちも、発見され次第、故郷の星に強制送還させられるという設定です。赤い尻尾があること以外は人類と全く変わらない姿と知能を持ちながら、市民権を得られず、差別され、排斥されようとしているという設定から、現実の社会問題を想起させられた観客は少なくないでしょう。
しかしどういうわけか、登場するレドモンたちからは、いつ捕まってもおかしくない、捕まれば強制送還させられるという緊張感が全く感じられません。悠々と食事やおしゃべりを楽しんでいたり、レドモンと人類の混血である「マジリ」専用の塾に子供を通わせたりと、レドモンである事を秘匿している様子すら全くありません。
恐らく、宇宙人という設定に気をとられがちですが、そこに必然性は無く、本作の真のテーマは家族愛だったのではないかと思います。家族の絆の物語としては、本当に良い作品です。ただ、設定にもう少しリアリティと必然性が欲しい。そうすれば、物語はより説得力を持ち、もっと泣ける作品になったでしょうし、主人公が最後にとった選択にも納得がいったのではないでしょうか。
再再演して頂ける事を強く希望します。ただ、その際はもう少し設定に深みを与えた上でお願いしたいと思います。
満足度★★★★
良いお話し。
社会性のある骨太なテーマを、
SF味を加えさらりと見易くした感じのヒューマンドラマ。
共に生きる、血のつながり、尊厳の戦いが、
ほのぼのした愛の物語につつまれ、判り易く解きほぐされてゆく。
他者との関係性、考え方、差別特別の捉え方など、
自分とは異なる思考部分もあったが、
物語の展開としてのエンターテインメント性が優れていて見ごたえがあった。
展開的には結論への導きが性急で、
流れがアリバイ的になり残念な部分もあったが、
舞台美術や場面転換の手法など、
テンポの良い展開と演出はカッコ良かった。
満足度★★★★
レドモン
そもそもレドモンが地球に来たのは何年前なのか?その時地球人はどのように彼らを迎えたのか?その後レドモンはどのようにして地球人の中に入って行って家族まで持つようになったのか。帰される星で生きて行けるのか?・・・等々。普通ならこういう事が気になってしまうたちなのですが、今回はそんなことは全く気にせず見る事ができました。家族のあんなやりとりはどこにでもあることです。地球人、いえ、日本人同士の家族でもなかなか難しいのだからまして・・・。宇宙人でなくても、他国の人じゃなくても、日本の中にでも差別はあって、自分はそんなことないと思っていても、気がつかないところで差別したり憎んだりしているのかもしれない。宇宙に行けるんだと、何も知らずにはしゃぐデルを見ていたら涙が止まらなくなりました。
満足度★★★★
軟弱すぎる嫌いが有るものの
重すぎず、滑稽なものをギリギリのところで楽しくセンスも光る作り。
小劇場を中心に活躍する大好きな劇団が吉祥寺シアターで公演を打つと、往々にして良さを失いそこの独自性が薄らいでしまい退屈な作品が多い。
そんな中、最後まで飽きさせぬ工夫が為されていたと思う。
満足度★★★★
考えさせられる
これ、地球人と宇宙人のお話なんだけど、
これを現在の社会問題等に置き換えられます。
なので、見ていて色々と考えさせられました。
クライマックスも好みが分かれるとは思いますが、
私は涙目でずっと見てました。
面白かったです。
満足度★★★★
表層的には地球人と地球外生命体(=レドモン)の共存共栄が成り立つのか、そんな投げ掛けがされているようだ。この投げ掛けは異文化との関わりであり、卑近な例をとれば移民・難民問題を提示していると思う。
さて移民などの問題に関して、自分は、正義と秩序の守護神とされるギリシャ神話の女神・テーミスのように公平無私になれない。さしずめフーコーの振り子のようにその考えが定まらない。もっとも国レベルの政策から個人レベルの思いまで、各段階でもその捉え方は様々かもしれない。
本公演は、対象となる者(地球外生命体として)と距離を置くことで客観的に物事を捉えている。その核心について考える材料を提示し、観客の思いに委ねている。
なお、作品自体がSF風であることから、世界観を重視し物語(筋)における多少の違和感は卑小なこととして楽しんだ。
満足度★★★★★
差別?区別?
社会派のテーマ(差別と区別)と家族愛を軸にしたSFチックな作品。ただ、SF感はそれ程なく、宇宙人として人種差別を扱った様に感じた。設定にいくつか疑問を覚えましたが、役者陣の熱演で見応えのある舞台でした。特に各人の心情の動きが垣間見れ、背負うもの、考え方の違い等での齟齬が、観ていて苦しくなる場面もあった。
ロープを使った演出には、賛否両論ありそうですが、個人的には面白い演出だと思います。
この作品の初演が7年前という点も驚きで、今でも色あせない作品だと感じました。
満足度★★★
「共存・共生」というテーマ
「共存・共生」というテーマは1年半前に観た「未開の議場」と同じだ。ただ前作は1つの場面でスリリングな論戦が続いたのに対して、今作は頻繁に入れ替わる場面で流れが分断されテンポが悪い。次の場面に移る際、役者が舞台上で椅子、支柱、ロープなどを移動させるのが見えて転換の切れの点で気になった。さらに道具を多目的に用いる点は転換の効率の面でも良いのだが、支柱やロープがじゃまだと感じる場面もあった。SFベースの割にストーリーはやや単調で、もう少し事件性や意外性が欲しい(逆に過剰なキャラと思える人物設定もあった)。登場人物の心理描写は立川家の3人をはじめとして役者さんが自然にそして的確に表現されていて素晴らしかった。
満足度★★★★
120分弱
犬畜生と同じ弱肉強食の世界を志向しつつあり、弱者までがそれに気づかず弱肉強食化に加勢しつつある現代日本への警鐘。
できるだけ多くの人に観られるべき作品。
満足度★★★★
対象を見る目
異物を排除し差別する人間を描いたSF作品だが、
台詞に繊細な人間関係がにじむところがリアル。
例えば厚労省の女と新聞社の男、夫と妻、親と子、そして少年少女・・・。
ただ差別の根深さは解るが、設定があいまいな伝わり方だったのではないか。
最後の小さな台詞に決壊した如く涙があふれた。
満足度★★★★
差別
少し劇場が広すぎたのではないかということ、「レドモン」と人類の関係がいまひとつあやふや。というスッキリしない部分はあるのですが・・・それを忘れてしまいそうになるくらい、台詞の微妙さが上手い!特に人の心の中の曖昧さを表す台詞、間合いもいい。対し、痛いくらい疑問をぶつけてくる子供の言葉の痛みも感じる。異物を怖れ、嫌悪する、それは別人種だけでなく、すぐそばにもあること。“差別はしない”そう言いつつ、現実社会に起こる差別。観ながらいくつもの差別が頭の中に浮かんだ。
満足度★★★★
うちゅう人
物語の中の宇宙人が様々な立場で苦しんでいる在日外国人と重なって見えた。
ネトウヨやヘイトスピーチが大手を振る昨今、この作品の問いかける意義は大きい。
高史明さんの息子で12歳で自死を選んだ岡真史さんの詩「ぼくはうちゅう人だ」を思い出した。
満足度★★★
もっと気持ち悪くしてほしかった。
比較的穏当な内容。
今回初めてカムヰヤッセンの作品を拝見し、小劇場演劇に特有の「訳の分からなさ」が少ないことに驚かされた。ストーリーと構造がはっきりしていて、その点、少し期を楽にして見ることができた。