赤い竜と土の旅人 公演情報 赤い竜と土の旅人」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.9
1-20件 / 31件中
  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2016/03/04 (金)

    作者が英国ウェールズで取材した、ウェールズ国旗のデザインにもなっている、赤い竜の伝説
    当地で建設が進められている原発プラント(日立や東芝が関係しています)への反対・推進両派の対立
    を基に作られた寓話的音楽劇。

    赤い竜は「大地の意思=自然」を、黒い竜は「原発に代表される、人々の暮らしに大いなる利便を与えつつも、一つ間違えればカタストロフィを招く人類の英知」を、象徴したもののようです。

    最後、赤い竜・黒い竜は、もみ合いながら消滅していくのですが、(うがちすぎかもしれませんが)その姿は、大地の意思と、人類の英知とが、まるで手を合わせて未来のために祈っている…ように、私の目には映りました。

    社会的に様々な意見のある問題ですが、対立ではなく、互いの意見を昇華した先の、未来への希望…勝手ながら、作者の意図をそのように解しました。

    作品自体への感想。
    メロディアスでノスタルジックでもある出演者たちの唄
    荒波や放牧された牛などを表現していく、白い椅子を用いての巧みな描写
    イギリス南部の貧しい住民そのものの衣装
    2時間強の上演時間を感じさせない、テンポの良いストーリー展開
    そして何よりも、活き活きと舞台で演じ・唄う出演者たち
    2016年の個人的ベスト5にカウントさせて頂いた、素晴らしい舞台でした。

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2016/03/03 (木)

    久々の地下空港である。前回観たのはちょうど3年前(♪あれは3年前…笑)のエコー劇場での「壺を割った男」だが、私にとっての地下空港はといえば恵比寿のギャラリーSiteで上演された「増殖島のスキャンダル」の印象が強く、あの小さなギャラリー空間を自在に使いこなして独自の演劇世界を創り上げた地下空港が桟敷童子のダイナミックな舞台でお馴染みのすみだパークスタジオ倉をどう使うのかが今回の興味の焦点だった。 

    この作品は英国・ウェールズ国立劇場が行なう新進日本人アーティスト招聘プロジェクト・ウェールズラボに応募した国内約70組から選出され、一昨年夏に渡英し、現地で2020年代前半の運転開始をめざして日英のパートナーシップによって進められているウィルファ原子力発電所計画などをリサーチした上で発表されたものという。 

    開場されて中に入ると、ステージ中央部分に黒いシートが敷かれ、上手と下手に白い木製の椅子がそれぞれ5脚x2列に並べられている。そのステージ上で、茶系の衣装を着けた役者たちが散らばって思い思いにアップをしている。中の何人かは黒系の衣装。
    開演時間になって前説が始まる。「上演時間は2時間15分を予定しています。お手洗いは今の内にお済ませください」って、オイオイ、開演時間は過ぎてるんだよ。しかもここのトイレまでは結構距離があるのだ。まだ寒い時期でもあり、何人もトイレに立ったら開演は大幅に遅れてしまう。もっと早くに前説をすべきだろう。 

    5分遅れで開演。 

    (以下、ネタバレBOXにて…)

    ネタバレBOX

    両端の椅子を黒いシートの上に運んで客席の方を向けて置き、20人の役者が座る。暗転なしに開演。
    黒い服の女(田代絵麻)が立って物語の背景を説明する。やがて彼女は赤いコート状の踝まで隠れる衣装を身につける。赤い竜に化身したのだ。ウェールズの民にとって赤い竜は決して邪悪なものではなく、国や民族の象徴・化身とされ、ウェールズの国旗にも中央に大きく描かれている。
    貧困と北風に晒される海辺の町。崖の上に孤児で片足のない青年・ロイがやってきて、崖の下からその声だけが聞こえる赤い竜と話し始める。この町で赤い竜の声が聞こえるのは彼だけ。だがそれを誰も信じない。この場面、周りの役者たちが白い木の椅子を持って動くことで崖の下に打ち寄せる波を表現する。これはうまい。 

    この崖の上に灯台を建てることになり、整地が必要となって、商人・ヤビンは町民を無償で働かせようとするが、彼らは抵抗する。ロイは「風騒ぎ、町震え、土は勝ち、炎が訪れる」という竜の声を聞く。
    そんな時、黒い船が流れ着くが、乗っていたのはトノイとセネという父娘のみで、その他には釜がひとつだけ。言葉はほとんど通じないが、ロイはセネの声が赤い竜の声と同じなのに驚く。
    彼らが携えていた釜には不思議な力があった。壊れたものをその釜の中に入れ、トノイが呪文を唱えると釜から「わが叫びを聞け。されば望み叶えん」という声が響くや、入れたものが新しくなり、効力も増加しているのだ。こうしてこの父娘と釜は町民にとって無くてはならぬものとなっていく。やがて病人や心が病んだ者もその釜に入るようになり…。 

    実はこの釜には戦争の後で捕らえられ殺されようとした黒い竜が閉じ込められていたのだが、終盤になってその能力を超えたこと(周辺の土を入れることにより、侵略されない強い国土を造る)を要求され、爆発して大きな災害となる。それを救ったのは赤い竜だった…。 

    言うまでもなく、この釜は原発を象徴しているし、赤い竜は土の下深くに眠る石油や石炭、そして自然エネルギーだろう。とすれば原発を持ち込んだ言葉も通じない人間は、冒頭に書いたことを考えれば日本人ということになる。原発を持てはやすウェールズの人たちも、やがてはその恐ろしい厄災に見舞われることになる。そうならないためには自然のエネルギーをもっと評価せねば…日英のパートナーシップによって進められている原発計画に対する地下空港主宰・伊藤靖朗のメッセージということだろう。 

    が、原発に変わるエネルギー源として火力発電への依存比率を上昇させればCO2排出量が増大し地球温暖化が進むし(CO2排出量と温暖化は無関係と言う説もあり、温暖化自体が虚構との説もあるが)、他の自然エネルギーを利用する方法は原子力発電による電力量を賄いきれないしコストも高く、経済に与える影響は甚大だ。その問題にどう対処するのか。
    こういった問題も踏まえた上で、ではどうすればいいのかという視点も示さずに反原発を叫ぶことは簡単であり、かつそのメッセージだけ捉えれば正義とも受け取られることだろう。がそれだけでいいのか。 

    とはいえ、この作品は前述した「増殖島のスキャンダル」ほどにはメッセージ性を前面に出さず、寓話性を強くしている。その点では観ていて面白いし、表現にもやはり独自のものがある。 

    赤い竜とセネの2役を演じる田代絵麻が実にいい。「増殖島」の時は何度も傍に来たり横に座ったりされて、その時から気にはなっていたのだが、この数年でさらに力をつけている。牛飼いのユエ役を演じた大塚由祈子も魅力的。 

    それにしても“殖産興業”なんて言葉を久しぶりに聞いた。今の若い人にわかるのかなァ…(笑)。
  • 満足度★★★

    音楽劇としての意味、ウェールズとの交流の意義
    主演の片足の少年(村田慶介)の演技、歌声ともにすばらしかった。貴種流離譚の一種かと思ったのだが、彼が片足であるということが、本編にそれほど影響していなかったのが残念だ。もっと、片足の設定に因果めいたものを持たせることができただろう。

    台本の前半に歌が集中しており、後半の見所はぜんぶアクトでおこなわれていたので、音楽劇としては少し物足りなかった。音楽については、ラストのテーマソングをもっと雄大に聴かせるように盛り上げることはできたのではないか。
    全編にわたり、物語はとても楽しめたのだが、村人たちの台詞、アクトがややのっぺりと、ありきたりだった。ありきたりというのは「台詞以上」のことを何も伝えられていないという意味である。台詞の言葉以上の深みがない。寓話が現実を越えていない。現実のその先を照射して、考えさせないと「寓話」として見せる意味がなく、遠い国のおとぎ話で終わってしまうのだ。そこに本作の限界を感じてしまった。そのためにはエンディングで主人公たちに「待つ」だけでなく積極的な選択をさせてもよかったかもしれない。体に穴があくという描写から、放射能汚染による差別を描くこともできたのではないか? 人々が窯の力を捨てられなかった強欲さ(核の利便性)と、原爆による殺戮(核兵器)を、もっと描きわけられたのではないか。死の恐怖と故郷をなくす悲しみは別物のはずで、そこがこの物語のさらなる発展の余地だと思う。

    ウェールズ国立劇場との連携プロジェクトの意義は深く、すばらしい。このような海外との結びつき方もあるという例を知ることが出来て、私自身も大変勉強になった。作品については厳しいことを書いてしまったが、とても期待していて、舞台芸術集団 地下空港の創作への真摯さはじゅうぶん理解できたと感じているし、これからの作品もぜひ拝見したいと思っている。

  • 満足度★★★★★

    赤い竜と土の旅人
    作品の壮大さに度肝を抜かれました。時代的緊急性、構想力、緻密な設計、舞台装置の美しさ、セリフ、どれを取っても一流です。

  • 満足度★★★

    寓話的な現代の物語
    日本とウェールズという全く違う風土を持った国をつなげ、世界の現状を映し出す手法に、深く考え抜かれた趣向を感じました。壮大な世界を広げていく表現の勇敢な手つきにも、他の劇団にはないオリジナリティーを感じています。と同時に、こういった遠い世界へ観客をさらう作風には、もっと技術力を高め、完璧に“ここではない異世界”を「信じさせてほしい」という気がしました。椅子を使って竜を表現した場面が実に面白かったのですが、このダイナミックさ、洗練された表現を随所に見たかった気がします。
     クラウドファンディングによってインターネット生放送を実現したりと、運営力/制作力も高く、発信力を持った集団という点にも、大いに期待します。

  • 満足度★★★★

    原発、難民問題などを力強いファンタジーに
     ある田舎の島に漂着した旅人が持っていた“釜”の不思議な、巨大な力が、人々の暮らしを一変させます。釜の力の由来や、それを利用しようとする勢力、やがて起こる大きな災害…。物語に日本の原子力政策や東京電力福島第一原発事故、そして事故後の世界を映していることは明らかです。

     そんな社会派と言い切っても問題ないお芝居ですが、オリジナルの楽曲とイスを使った表情豊かなステージング、工夫を凝らした身体表現によって、躍動感のある娯楽作に仕上がっていました。衣装とヘアメイクが凝っていて、役の区別もつきやすく、デザインも良かったです。

     ドローンを用いた予告編ミュージック・ビデオのクオリティーの高さに驚きました。クラウドファンデイングで資金を得て、3/12(土)19時の回は英語字幕付きで、Ustreamで無料中継されました。この作品が生まれるきっかけとなったイギリス・ウェールズ国立劇場のスタッフもご覧になったようで、国境を超えたアーティスト同士のつながりを維持する努力が素晴らしいと思いました。

     本番直前に病気降板になった俳優に代わって、奥田努さんがタンレ役で出演されていました。タンレはいわゆる悪者として物語を引っ張っていく主要人物です。奥田さんが所属されている劇団Studio Lifeは中劇場ツアーも行っている、数十年の歴史がある劇団です。奥田さんは大勢の俳優を抱える同劇団で主役も経験されています。中堅舞台俳優の底力を見せていただけたように思いました。

    ネタバレBOX

     片足の少年(村田慶介)、赤い竜(田代絵麻)、土の旅人(野田孝之輔)に込められた意味を探ろうとしたら、便利で危険な釜が登場し、必死で謎に食らい付いていこうとしたのですが、“釜と人間との契約”のところで頭がこんがらがってしまいました。テーマを盛り込み過ぎではないでしょうか。複雑なことも敢えてファンタジー、寓話として楽しむのも方法かもしれませんが、私は“とことん意味を知りたい病”を発症してしまいました。そして快癒できず…。

     釜に物を入れると新品になり、人間を入れると若返って元気になります。役人や豪商がその利権を独り占めしようとしますが、釜から出た人間に穴が開くことがわかります。昔、旅人は自分の故郷を破壊した黒い竜をしとめ、釜に閉じ込めました。そして黒い竜と、「釜に入れた物・人で、旅人の故郷を元に戻していく」という契約を結んだのです。釜に入った人間は元気になりますが、旅人の故郷の穴を埋める代わりに、その人間の体に穴が空くという設定でした。

     旅人の故郷は原爆が投下された街(広島もしくは長崎)だったとわかったところで、黒い竜の正体は原子力爆弾、原子力発電の材料となるウランであると予想がつき、日本が原爆をいつでも作れるように、原発関連施設を保持していることとつながります。
     キャパオーバーになった釜は黒い竜が焼き尽くして爆発。土の旅人の故郷と同じように、ロイの故郷も破壊されました。原子力発電所の輸出や放射性廃棄物の再処理工程を想像してしまいます。それは日本とウェールズをつなぐものでもあります。

     黒い竜がウランで、赤い竜が島に住まう神だとすれば、両方とも土から生まれたものです。私たちの故郷(地球)には常に善悪の種があり、どれも使い方次第。2つの竜のパペットがぶつかりあう戦闘場面は、不思議な感触のクライマックスでした。竜を操る複数の俳優(=人間)の懸命の演技は胸を打つものがありました。

     ほぼ何もない舞台で、俳優は両袖にスタンバイし、舞台に出ていない時も観客の目にさらされます。そういえば俳優は開場時間からステージに居て、それぞれ自由に発声、体操などのアップをしていました。開演まで30分あったのでしょうか。私には長すぎましたね、観ていてちょっと疲れてしまいました。

     俳優の中では、主人公ロイを演じた村田慶介さんの歌声が素直でいいなと思いました。ロイのおば・ミシェ役の野々目良子さんも声に説得力があり、力強い存在感でした。あとは先述の奥田努さんが印象に残っています。
  • 満足度★★★★★

    これを見たら音楽劇にハマる
    まず衣裳が素晴らしかった。そして竜の作り方、椅子の使い方など演出も面白かった。

    難しいテーマに挑み、そしてなにより、「皆で唄う」ことで昇華されるものがあるのが素晴らしかった。

  • 満足度★★★★

    素晴らしい! これこそ舞台芸術!
    自分たちが制御し切れないような力を人間が持つ事への警告。そして、自然の怒り。
    本作を観て自分が感じ取ったメッセージは、今年1月に観た劇団ショウダウンの『錆色の瞳、黄金の海』と共通するものでした。こうした寓話性のある作品が相次いで上演されるのは、世の中が不安に包まれている中で、多くの人が演劇の力を信じてやまないからなのでしょう。

    しかし両作品とも、決して重いテーマを観客に押し付けるような事はしません。何を感じとるかは観る人それぞれに任せつつ、そっと祈るように、心に投げかけて来ます。

    純粋に演劇として充分に面白い作品です。だからこそ、そこに含まれたメッセージは、役者に強い口調でぶつけられた激しい台詞よりも、ずっと心に響き、残り続けます。

    ほとんど舞台装置も無い素舞台に近い空間で、椅子と役者が密集したり散開したりしながら、時には波になり、時には船になり、羊になり、窯になり、そして、竜になる。観客の想像力を掻き立てるその手法には、劇団ではなく「舞台芸術集団」と冠しているのも納得です。

    役者の熱演だけでなく、歌唱も本当に素晴らしいものでした。

    終演後、思わず上演台本を購入しました。
    (他の劇団と比べて高額な上に、A4横向き印刷が縦に綴じてあって読みにくい…。)
    これを読んで、またあの独特の世界を堪能したいと思います。

  • 満足度★★★

    期待していたが…
    何となく予想はついていましたが、ありふれた演出。全てにおいて雑な感じがしました。純粋にもっと考えてほしいなと思います。 とにかくグッとこなかった。 衣装はすごいなと思わされました。作品自体は、もっと斬新なイメージがありましたが、期待してたのとは違いました。

  • 満足度★★★★★

    MVPは
    個人的には商人の妻ガレ・タンレ役の鎹さやかさんだった。
    再演もあるかもしれないので、以下はネタバレに下記致します。

    ネタバレBOX

    主要な登場人物の中で、物語の最初と最後で彼女が最も考え方も感じ方も
    姿勢も変わった人物であったように思う。
    その移ろっていく心情変化を見事に演じていたように感じた。
    特に、醜聞を聞いた帰宅後の演技は、初日、3日目、楽日と3回観劇したが、
    3回ともに胸に迫るものがあった。特に楽日の演技は全2回とは違い、
    特に胸に迫る感情の爆発があった。とても素晴らしいものを拝見できました。

    また、直前に代役となった、商人ヤビン・タンレ役の奥田努さんも大変素晴らしかった。ほんとに直前での登板だったと聞いていましたが、初日でも、
    全く遜色がなかった。言われないと誰が代役だったのかわからないくらい
    でした。多少のセリフトチリはご愛敬でしょう。楽日に台本通り「蒸気機関」
    と聞けて、台本を頂いた自分としては、余計に楽しめました。

    舞台装置の黒い椅子に関して。
    私見ですが、舞台背景が大黒幕のように真っ黒であったため、
    黒い椅子は「目を凝らさないと見えない非日常のモノ、人工的なモノ」
    というとらえ方を最終的にしました。
    その対比として、「日常の風景や自然」を白い椅子で表現されていたと
    思っています。

    穴があいたモノが見つかるたびに、黒い椅子に砂が落ちていく、音としての
    違和感は感じているが、正体を見破れない。忍び寄ってくるもの。
    最後に旅人が舞台の前方に黒い椅子をもってきますが、これは、
    「ほら、こんなになるまで気づかなかっただろう。目の前の日常に目を奪わ
    れて、本質を見ようとしない。目の前にだされるまで気づかない。
    日常のみにとらわれず、物事の本質に目を凝らせ、違和感を感じたら
    目を凝らせ」という観客への問いかけがあの最後の黒い椅子だったのだと
    私は感じています。
    問いかけはシンプルではありますが、人間が生活していく中で、
    普遍的な命題だと再認識した舞台でした。

    最後に、鎹さやかさん、奥田努さん、大塚由祈子さん、野々目良子さん、檀上太郎さん、綾坂なんりさんの他の舞台が是非観劇したいと感じました。
  • 満足度★★★★★

    「生きぬく」ことの重み
    背景もなければ小道具もない。
    幕さえもないのだ。
    だから本番直前にそれぞれ気を高める出演者の様子がいやでも目に入る。
    当初はその意図がわからず大いに戸惑った。
    が、
    劇が進むうちに腑に落ちてくる。
    そもそも最初の前口上で、その意図らしきものも述べられている。

    「伝えたいものは『想い』だ」と。そして「皆さん、俳優でも観客でもなく、皆で一緒に考えましょう」ということなのだろう。

    そしてその意図は、登場人物の極めてリアルな人間関係と、俳優の熱演によって、見事に達せられている。

    ネタバレBOX

    「黒い竜」は明らかに「原子力」だ・・・単に原発に止まらず原爆をも含む、本来人間の手に余る巨大な力だ。
    そして、その力を利用しようとする「商人」も「役人」も登場する。

    では、その「商人」や「役人」を倒して万々歳というストーリーなのか?
    正義の味方「赤い竜」によって、無事に「黒い竜」を倒してめでたしめでたしという結末なのか?

    どちらでもない。
    sの、凡百の「反原発もの」と異なる展開こそが、本作の大きなポイントだろう。
    「商人」も「役人」も、思ったほど悪人には描かれていない。
    人々も、罪を背負おうとする人々も存在する一方で、誰かのせいにしたがる人もいる。
    「赤い竜」は「黒い竜」と相打ちとなり、その声は最早聞こえない。町は人の住めない土地となってしまった。
    ・・・何ともリアル過ぎる結末ではないか。

    そんな中、主人公達はこの現実に雄々しく立ち向かおうとする。
    何とも強かなことに、利益のみを追求する「役人」の思いを利用しようとさえする。
    「赤い竜」の声はもう聞こえないが、「いつか必ずまた聞こえる」と信じる。
    そして、
    今は住めないが、「必ずここに帰る」と固く心に誓う。

    ・・・気負った様子もなく、
    上から目線ではなく、作り手も観客も同じ立場の者同士として、語りかけ、問いかけるのだ。

    ようやく「原発」に真正面から向き合い、決して逃げ隠れしようとしない作品が生まれた。
    そのことが、嬉しくて仕方がない。
  • 満足度★★★★★

    無題1771(16-061)、1772(16-062)
    3/5(土)14:00(曇)、3/13(日)14:00(曇)の2回。

    13:00受付、整理番号あり、13:30開場。

    桟敷童子の造り込んだ舞台装置からは想像できない、素のフラットな舞台。客席はひな壇。

    役者さんが客席誘導(足もとに機材があるが、お客さんはなかなか注意しない)、あるいは自由に過ごしている。

    茶系の衣装のなかで野田さん(おひとりだけ雰囲気が違う)と田代さんは黒。左右に白い椅子、中央奥は黒の椅子。

    毎回ビジュアル的には異なった印象を受けますが、お話しの本質は変わらないのではないかと思いました。

    SFを読み始めた頃、それはa long time ago in a galaxy far far awayの頃のこと、ジュブナイルものやNHKの少年ドラマシリーズに夢中になっていました。
    きっとそのときのテイストと同じものを感じるのだと。

    「OLと魔王(2011/1@BIG TREE)」から7公演目。

  • 満足度★★★★★

    想像すること、感じること
    地下空港さんの作品を観るのはこれが3作目になります。
    前作のタガタリが大変凝った演出だったのですが、今回は一転、がらんとした空間にあるのは椅子だけ。

    ネタバレBOX

    椅子で見立てられるものを、受け手も想像し、そうして作品の中に入り込む。
    そんな気がしました。実際、崖に吹き付ける風や荒々しい波、ぼこぼこと荒ぶる釜がちゃんと見えました。

    この舞台が作られた背景や、日本の原発をめぐる現状、考えなくてはいけないことはたくさんあります。
    様々な立場の人たちが私利私欲におぼれ、それぞれの立場で正義を主張し、片や純粋な愛情でひかれあい、この町はまるで社会の縮図のようでした。
    黒い竜、赤い竜が示すもの、釜やたくさんの穴の意味・・・やはり数回見ておきたかったと思いました。
    主演の村田さんの片足での熱演、歌声に心が震えました。
    あの歌を思い出すと、ふるさとをなくしたひとたち(劇中でも、今の日本でも)の悲しみの色が見え、自然と涙があふれます。

    おそらく、3.11のこのタイミングで上演された舞台かと思いました。
    もしかすると今後の情勢で描かれる内容は変わってくるかもですが、またぜひ再演していただきたい、多くの方たちに見てもらいたい舞台だと思いました。
    また主宰の伊藤氏のブログにも、この作品が生まれた経緯が記されているので、ぜひ読んでほしいと思います。
    日本の原発が事故を起こした後もまた海外で建設されようとしているのを、知っているひとがどれくらいいるのだろう・・・

    6月の紀伊國屋での公演も期待しています。
  • 満足度★★

    拝見しました。
    歌のメロディーが、印象に残らないのが不思議でした。初見で楽しむには難しいメロディーラインなのかな、と思います。

    前評判から何となく予想はついていましたが、やはりどこかで観たような道具の使い方、演出。もう少しスタイリッシュなイメージがありましたが、今回に関しては、どちらかというともっさりしてました。ちょっと雑かなー。すべてを椅子で表現するには、あまりに捻りがなさすぎる。

    メッセージも私には散漫な感じで、ダイレクトに伝わるものがなく、残念。

    前の方で見たので、衣装の凝ったすごさに感動しました。

  • 満足度★★★★

    目先の利得ばかりを追い求めて『深く関心がなかった』人たちは加担者となる
    テーマはそこにあるような気もしました。

    何も引っかからず周りに同調している人が殆どで、そういう見えないもの、空気の怖さを感じたりもしました。
    さっきまで味方だったのにって。

    音楽劇であるが故、歌詞にはとても大事な意味があります。
    そこがちゃんと聞き取れなかったことが唯一悔やまれる点だと思う。これがリアルタイムに解っていればと。

    もちろん好き嫌いはあって良いと思う。

    それでも、今、非常に観る意味があると思うし感じることができて良かった。そう思います。

    ネタバレBOX

    放射能で汚染された福島(穴だらけの住めない土地)で、なすがままに生きるのか、出るべきなのか、その様にも感じ取れました。

    いつか『シマに戻れたら』良いのになぁ、とは思います。

  • 満足度★★★★★

    震災を思い出させる
    日本の風潮をあらわしていて、人によって見方が別れる、考えさせてくれる感動劇でした。
    個人的には、流されずに自分の意見持たないといかんな、家族を大切にしようと改めて思い起こさせてもらいました。

    ネタバレBOX

    ミュージカルを普段みていませんが、生の歌が心に響きました。
    合唱している感じも好きです。

    2時間15分があっという間にすぎていきました。
    最後に家族や恋人を大切にしようとするメッセージ?が個人的に嬉かった。
  • 満足度★★★★

    初めての地下空港
    がらんとした舞台で、椅子を使って表現。小道具や舞台装置を使いすぎるより、こちらの方が好みです。皆さん思った以上に歌がお上手でびっくりしました。とても楽しめました。

    ネタバレBOX

    「私たちは何も知らないで釜の力を使ってしまった。」「いいえ私よ。私沢山の人を呼んで釜に入れたもの。」
    胸にきました。
  • 満足度★★★★

    観てきました!
    正直、 こちらでの評判がイマイチだったので あまり期待せずに拝見したのですが、  思いのほか良かったです☆  
    ”音楽劇” というだけあって 歌うシーンがたくさんあるのですが、 その歌が  なんとも いい感じで  自分は好きですね~ ☆

    ネタバレBOX

    ここの劇場には何度か来たことがあるのですが、 こんなに ガラ~ンとした 舞台セットらしいものが何もない芝居を観たのははじめて。 
    普通は舞台袖があって、 役者が舞台上から完全に見えなくなる場所があるものですが、  この芝居は それがないのです! ビックリです!  
    左右に椅子があって、 演技を終えた役者は そこで待機しているのです。
    最初から最後まで 常に客の前にいるわけです。  
    やってる方は なかなか大変だろうな~って思いました!   

    良かったのは、 歌と、 あと照明の使い方が なんか良かった。 それから椅子を使って 波や いろんなものを表現するのも良かった。 釜のまわりで手を組んでる役者たちが ぶるぶる体を震わせる演技は、とても面白かった。  
    気になったのは、  開演前から舞台上で役者が練習というか、声出したり、ストレッチしたりしていたこと。  あれは あまり観たくないです。
    あと、 ところどころ、マイク音声になったこと。  このくらいの劇場なら 生声で十分なのに なんで?? って思いました。  

    まあでも  全体的には 良かったので、次回の公演も行ってみようかと思います。 
  • 満足度★★★

    観てきました!
    普通会場が寒いことが多いのですが、こちらなぜか暑かったです。
    初めての劇団さんで椅子が道具ろいうのも、よく枠組みだけでみる舞台と同じ手法

    こりっち10作品の選ばれているので、期待しすぎてしまって竜というよりかもめに見えてしまう道具

    セリフ両サイドからの声が合わなく何を言っているのかききとれなかったこと。

    アカデミー賞と同じで、評論家受けはいいと思うのですが娯楽としてみる舞台だと前日しっかり寝て観ないといけない感じで。いい作品なのですが眠くなるのは何
    故だろうと考えてしました。

    隣の女性も寝ていたので長いのかな







  • 満足度★★

    窯が眼前に立ち上らず
    そのことはこの芝居を観る者にとって残念で悔しいこと、窯を空目できなければ果たしてこの芝居は観なかったも同然。椅子でいろんな表現(手抜きに見えないこともない)していたことも含めて美術をもっと大掛かりにしてほしかった。震災の年に恵比寿で観たやはり核を扱った作品の方を観ており当然それを超えてくるだろう期待したのだが、前観た作品の方がおもしろかったしそっちの方がいろんな意味でレベルが高かったように思えた。

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